チキンカツ・エピソード
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チキンカツのエピソード
中二病少年。いつも理解に苦しむ痛々しい発言をしているが、そこを突っ込まれると恥ずかしがってしまう。
御侍についていけるように、強くなる方法を探している。
Ⅰ 役立たず
「ぐっ……ケホッ、ゴホッ。」
埃が舞い上がる。俺は触手に体を鷲掴みにされた状態で、地面に叩きつけられた。
全身に激痛が走り、低い呻きが漏れ出し、咳が止まらない。
「つ、強い……」
煙と埃が徐々に収まると、隠れていた堕神が姿を現した。
黒い炎が空中で燃え、触手は狂ったように蠢いている。
「くっ……!まただ……!」
近付いてくる堕神を目前にしても、俺はもう恐怖すら感じず、ただ無力な悔しさに囚われる。
これから何が起こるか、もうわかっているから。
「下がって!」
不意に背後から澄んだ声が聞こえた。それと同時に金木犀の花びらが春雨のようにひらひらと舞い踊る。
スカートの裾をたくしあげて、品の良い女が俺の前を遮る。
そして彼女は手に持った本を堕神に向けて力強く振り下ろした。
さっきまで手も足も出させないほど俺を圧倒していた堕神は、その一撃で地面に叩きつけられる。
黒炎はふっと消え、今しがたまで蠢いていた触手も一瞬にして萎縮していった。
「……また……か」
俺は青筋を浮かべて、下唇を噛みながら拳を握りしめる。
鏡などなくても俺には『見える』――己の悔しさで歪んだ顔が。
「大丈夫ですか?」
俺を助けた女が、柔らかな笑みを浮かべて俺に手を差し伸べた。
その表情から心配してくれていることがわかる。
「俺は無事だ!ハーッハッハッハ!どうってことないぜ!」
俺は頭を上げて、さっきまでの苦々しい表情を隠して何事もなかったように笑顔を浮かべた。
俺は大丈夫だ。
みんなが強いから。
だから、俺は大丈夫。
だから、誰も俺に用はない。
(そんなこと……俺にはとっくにわかってるさ)
Ⅱ 旅立ち
「修行に出たい?」
御侍様は疑問の言葉と共にこっちを向いた。
「……いきなりどうした?」
「はは、俺も強くなりたいからね」
俺は拳を振り回して、何もなかったかように笑ってみせた。
「今の俺は弱いから、鍛錬が必要と思うから」
「……それは、昼間の戦いのことか?」
御侍様は何かを考えてるように眉を顰めた。
「チキンカツ、お前はそんな事をする必要はない。誰もお前を……」
「わかってる!」
俺は失礼にも、言葉が言い終える前にそれを遮った。
それは長く蓄積してきたストレスのせいなのか、それともただの劣等感のせいなのかわからない。
でもそんな事は重要ではない。
大事なのは、俺はずっと言いたかったことを言い出せた。
「わかってるよ……御侍様」
俺は微笑みながら御侍様を凝視して、口から出た言葉には自分自身にもよくわからない覚悟を帯びていた。
「みんな俺のことを責めたりしなかった。でも俺は強くなりたい。もう何もできずみんなの後ろに隠れたくない」
「だから……お願い」
それだけを言って、俺は御侍様に向けて深く頭を下げた。
「……わかった」
しばらくの沈黙の後、御侍様は複雑そうな眼差しで俺の懇願を了承した。
俺は修行の旅に出た。
仲間を共にせず、たった一人で。
仲間たちの後ろに隠れるだけでは、俺はいつまでになっても成長することはない。
頭の中で数人の背中が掠って、俺は自嘲気味に笑った。
あの人たちに追い付くことは容易ではないだろう。
修行の旅に出たいを言ったのは一時の衝動ではないけど、いざ一人で親しんだ環境から離れたと思うと、思わず戸惑ってしまった。
何処に行くべきなのか、何処までいけるのか。
修行とはなんなのか、どうやって修行すればいいのか。
結局俺は何も考えてなかったようだ。
「行ける所まで行ってみよう」
そう考えて俺は溜息をしながら目的もないまま歩き出した。
まさか俺の人生にあれほどのサプライズが用意されていたとは、このとき思いもしなかった。
Ⅲ 身の程知らず
実装まで今しばらくお待ちください。
Ⅳ 修行と成長
実装まで今しばらくお待ちください。
Ⅴチキンカツ
実装まで今しばらくお待ちください。
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