ライス・エピソード
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目次 (ライス・エピソード)
ライスのエピソード
ライスは霊力がなく、「空っぽ」である。
レストランで雑務しかできないが、その聡い性格で食霊たちから愛されている。
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Ⅰ目覚め
「......あれ?」
頭が急に目覚めたよう。なんだかとても...冴えた感じです。御侍さまに召喚されてから、こんな感覚は......初めてです。周りの景色がだんだんはっきりしてきました......よく見るとここは空き部屋のようです。いえ、「空き」とは少し違うかもしれません。家具も装飾もないけれど、部屋には食霊がいっぱいいます。
「え?どうなってるの......?」
さっきまで御侍さまの手伝いをしていたはずなのに、どうしてここにいるの?その間に何があったの?全然わからないからすごく怖い.......怖くて落ち着くことができません。それにもう一つ怖いのは、たくさんの食霊たちがみんなライスのことをじっと見ているのです。
「えっと......」
そうこう考えているうちに、ひとりのおとなしそうな食霊がライスの側に来て、心配そうに様子を窺ってきました。無事を確認した彼女は、ホッとしたかのようにライスに抱きついてきました。
「目覚めたのね!」
「え......?あの......その......ライスのことを知っているのですか?」
勇気を出して尋ねると、みんながざわざわし始めました。
「わたしたちのことを覚えていないの?」
「そんなわけないよ、きっと疲れているのよ」
何を言っているのかわからないけど、どうやらライスはずっとこの人たちと一緒にいたようです。でも...そんなわけない!もしかしてこれは夢......ですか?
「ラ、ライスは、あまり、あなたたちのことを、覚えていないんです.......みなさん、どこから来たのですか?」
「わたしたちはずっとここにいたけど?」
おとなしそうな食霊はライスの問いに戸惑いました。彼女は頭を傾けて少し考えてから、ライスの質問に答えてくれました。
「人間がわたしたちはここにいる方がいいと言っていたの」
「一体何のために、こんなにもたくさんの食霊が集まっているのですか?」
「しょく、れい?しょくれいってなに?」
えっ?
「食霊は......ここにいる全員のことですけど......あなたたちは知らないの...ですか?」
みんな目を丸くして首を横に振りました。
びっくりです。自分が何なのか、目の前のみんなは知らない様子です。 .......とても嘘だとも思えません。
「じ、じゃ、あなたたちは、自分がどんな、食霊なのかは......知ってます...よね?例えば、わたしはライス、あなたたちは?」
「らい......す?」
おとなしそうな食霊の反応はさっきと同じく全く要領を得ていないようです。他の食霊の顔を見ても、みんな同じ反応をしています
「えっと......じゃあ...あなたたちの名前はなんですか?」
「おれ、十一番!」
明るくて男の子らしい食霊が率先して返事をしました。それに続いて他の食霊も次々と彼らの思う「名前」を口にしました。
「七番。」
「わたしは二十五番です!」
「あたしは.....十六番......」
…………
あのおとなしそうな食霊も名乗りました
──......三十番。
どの食霊もお互いを数字でお互いを呼び合っています。しかし、これは食霊の名前ではないはずです。しかもこの変な部屋にも名前があるようです。
「マイホーム」
Ⅱ 人間さまのために
食霊がうじゃうじゃいる部屋は、ライスにとって......とてもストレスが溜まります。でも、食霊たちはストレスを感じていないようです彼らにとって、ここにいるのは当たり前のことみたいです。彼らの御侍さまはいったいなにをしているのでしょうか。みんなをこんなふうに扱ってはいけないと思います。
そう思ったとしても、ライスにはどうすることもできません。ドアがありますが、外側から鍵が掛かっています。ライスがドアを叩いただけで、食霊たちはとても怯えてしまいました。おそらく......彼らはこの部屋から出たことがなんじゃないかと思います。ある日そのドアが開けられました。ライスは立ち上がってドアを見ると、......辛そうに歩く食霊が入ってきました。
「う、うう...!」
彼女の表情はとても苦しそうです。ドアはすぐに閉じられてしまいました。その拍子に彼女は転んでしまったのです。ライスは慌てて彼女のもとへ行くと、すごい怪我をしていました。
「早く治療しないと!」
そう思ったライスが近くにいる食霊に手伝ってもらおうとしたとき、自分の手から光が現れました──霊力だ!ライスは空なのに、なぜか霊力が使えました。......それは嬉しいことだけど、とても変なことです。
彼女を治療すると、どこからか男の人の声が聞こえてきました。
「次、二十二番」
ドアが再び開きました。部屋の中にいた一人の食霊が立ちあがり、彼女はライスたちに手を振って、部屋を出て行きました。......怖がっている様子はありません。
「外では......いったいなにが起きているのでしょう?」
「みんなは人間を助けるために、実験を受けないといけないんだ」
先ほどまで怪我をしていたのに、三十番は微笑んで言いました。でも、それはいったい何の実験なんでしょうか?彼女たちにこんな重傷を負わせるなんて...…
「確かに怪我をするけど、人間のために、価値のある実験なんだ......きっと」
無理やり、彼女はこういって自分を納得させます。
「……でも例外もあるよ。噂によれば、召喚されるとき、逃げ出したものもいたみたい。どうして逃げるんだろう?人間を助けることだけが私たちの使命なのに!」
逃げるという選択のほうが正しいのかもしれない......ライスは......自分の考えを言えませんでした......。
Ⅲ 未来への憧れ
ここにどれくらい長く拘束されているのか......わかりません。窓のない部屋は、昼なのか夜なのかさえわからなくなります。
食霊たちは相変わらず実験を受け続けています......以前は実験のあと怪我はしても、ちゃんと戻ってきていたけれど......最近......実験を受けた食霊は戻ってこなくなりました。三十番によると、こんなことは自分が召喚されてから初めてのことらしいです。ライスには終わりがいつ来るのかもわかりません。
「どうして......こんなことになったの......御侍さま......」
「御侍さま?なにそれ?」
「え......あなたたちは“料理御侍”を......知らないのですか?」
同じ食霊なのに、ライス以外のみんなは食霊に関することを全く知りません。こんな環境は食堂の雰囲気とは違い......すごく...違和感があります......
時が過ぎ、部屋を出て行って帰らない食霊が多くなりました。賑やかだった部屋もとても静かになりました。この“部屋”には重い空気が漂っていますが、意見を言う食霊はいません。意見を言おうとした食霊はすでに逃げ出したのかも知ません。
「みんなはまだ帰ってこないの......?」
仲間を待っている三十番を見て、ライスがどうにかしなければと思うけど、みんなを連れて一緒に逃げることはむずかしそうです。
今できることは......彼女を慰めることだけ……
「みんなは冒険に行ったのかもしれないですよ?」
「冒険に......行った?」
「そうです......外の世界へ......行ったと思います。知っていますか?......外には、とっても広い世界が.....あります!」
この世界しか知らない食霊たちはライスの言葉に驚き、みんなそばに寄ってきました。好奇に満ちた目を前に、ライスは知っている限り、たくさんの希望を持たせてあげたい......と思いました。
「世界......ってどんな感じなの?」
「世界は......たくさんあります。......高い山、碧い海、茂る森......そして......人間と食霊がいっぱいいます......ライスたちが、一緒に暮らしている町もあります」
「人間......と一緒に暮らす?」
三十番はライスの言葉を信じられないようです。
「私たちは人間と、一緒に暮らせるの?」
「みんなは.....想像できないかもしれないけれど.....本当のことです!」
ライスは──自分が御侍さまとの生活を話した。毎日の食堂での生活や、一緒に冒険したこと、自分の宝物の思い出を、すべてみんなに話しました。
するとだんだん、みんなの目がキラキラしてきて......希望の光が見えるようになりました。
食霊たちは自分がいつか自分の料理御侍と一緒に冒険することを願っています。そして......いつか人間と一緒に暮らす日を待っています──
そんなことを望んでいた食霊たちは、男の冷たい声によって、部屋を去っていきました。
最後に残ったのはライスと三十番だけでした……
Ⅳ 準備完了
三十番と部屋の隅で寄り添い合っています。
......向かい側には食霊たちを次々と“飲み込む”ドアがあります。ライスたちは長い間会話をしていません。声を出したら、あの冷たい声で呼ばれてドアに飲み込まれそうで怖いのです。
「………………」
三十番はライスの手を強く握っています。言葉にしなくても、彼女も怖がっていることはわかっています。一人になることが怖くて......でもそれを避けることはできません──
人間のために実験を受けることを自分で決めたみたいです。だけど、自分もドアを出て行った食霊たちと同じ運命になることを恐れています。
「......あの......」
彼女はやっと声を出しました。
「本当に......外の世界はあるの?」
「本当です......」
ライスが実際に見てきたことだから、うそではありません。
「うん、信じる......でも変だね。私たちはずっとここにいたのに、あなたは外の世界で暮らしたことがあるんだね......」
「でも、あなたの”御侍さま“との生活、うらやましい......いつか私も自分の御侍さまと一緒に暮らしたいな......」
「──そろそろ時間だ。三十番、お前の番だ」
向かい側のドアは開けられました。......お別れのときがきてしまったようです......!
心が締め付けられます。ライスは三十番を見ました──彼女とはもう会えなくなります……
「.......じゃ......行くね」
彼女は立ち上がり歩き出しましたが、突然立ち止まります。ライスが彼女の手を掴んで離さないからです。彼女は驚いてライスを見ましたが、その手を振り払おうとはせず、彼女は期待を込めた目をしました。
「......三十番......逃げましょう!」
彼女はこの状況にとうとう耐えられず、ライスの胸へ飛び込んできました。
「.......うん!」
“食霊を傷付けるやつはとんでもない悪党だ!”──御侍さまはいつもそう言っていました。御侍さまの食霊なんだから、ほかの食霊も守らなきゃいけません!
「一緒に、ヒレイナへ行きましょう。御侍さまはそこにいるから......ここから逃げられれば......」
どうやって鎖を外して逃げ出すかを考えているとき、数人の人間がドアから入ってきました。
「......あなたたちは......誰ですか!」
「………………」
首領のような男は白い服を着て、金の細いめがねをかけています。一見優しそうに見えますが、目が合うと恐怖を感じずにはいられません。
「......連れて行け」
彼は静かな口調で言いました。ライスが二人を止めようとしたとき、自分が動けないことに気がつきました。
「いやだ!放して!放して!」
三十番は泣きながらもがいています。ライスに手を伸ばし助けを求めているのですが、彼らは三十番を連れ出してしまいました。ドアが閉まる瞬間、三十番は全力でライスを呼びました──
「お姉ちゃん!!!」
お......お姉ちゃん!?
「家族ごっこはもう終わりだ」
あの男は三十番の叫びにうんざりしたようですが、表情はかすかに笑っていました。
「いったい、どういうこと?あなたは誰?ここは、いったい、どこなのですか!?」
動けない体で、必死に男に言いましたが、彼は答えません。ライスの問いかけには答えず、
「理解して欲しい。実験を成功させるため、私は君たちを拘束しているのだ。人間の未来のために、君たちにはちゃんと働いてもらわないとな。さもないと、逃げたやつと同じ目にあうぞ」
「.......逃げた......やつ?」
「大丈夫だ、これまでの実験で準備はすべて完了した。核心の実験体として、これからが本番だ。」
「さぁ、実験の時間だ──二番」
Ⅴライス
「ミスラ、科学的な解釈は私には難しすぎるから、簡単にまとめてもらえる?」
「つまり、食霊の霊体は人間の生理状態を真似できる。でもそれは記憶を無理やり保存することよ。つまり、過去を忘れても、とある条件を満たしたら思い出せる......わかった?」
「ほう.......おお!そ、それは砂糖の瓶に塩を入れて、長いスプーンで食べたら、あまじょっぱい味がするってこと?」
「はぁ?」
ミスラと呼ばれる少女は軽蔑の目で目の前にいる科学が苦手な料理御侍を見た。
「とにかく、うちのライスがそんな状況に出くわしたとしたら、それは君が言っていることが原因のようだね。だよねライス?」
「………………」
「ちょっと」
「ん!?」
「ライスは君のやり方に納得している?」
「そりゃ、私のライスだし......でもなんか今変な間が?」
「.......御侍さま......ラ、ライスは、よくわからなくて......なにかを、思い出したみたいです......」
「あれ!?もしかして過去のことを!?」
ライスの話を聞いて、ミスラはとても気になったようだ。
「それで、なにを思い出したの?」
目を輝かせる二人に対して、ライスは必死に思い出そうとするも首を振った。
「......覚えていません。......ただ、今は、頭がこんがらがって......ごめん......なさい......」
「そうだね......たぶん記憶のせいじゃないかな?」
「うーん。でも怖がることはない。私がいる限り、なにがあってもお前を守ってやるから!」
「......はい!」
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2020/12/1までの旧翻訳▼
Ⅰ目覚め
「……あれ?」
頭が急に冴えた感じがして私は瞬きをした。
御侍さまに召喚されてから、こんな感覚は……初めてなのです。
周りの景色がだんだんはっきりしてきて、 私は辺りを見回した。
(……よく見るとここは空き部屋みたい)
ううん、「空き部屋」とは少し違うかもしれません。家具も装飾もないけれど、 部屋には食霊がいっぱいいたから。
「え? ここはどこ……?」
さっきまで御侍さまの手伝いをしていたはずなのに、どうしてこんなところにいるのか、私にはわかりませんでした。
何があったのか、まったくわからずに心の奥から恐怖が込み上げてきました。
だから私はそわそわしてしまう。それに、この場所だけじゃない。それ以上に怖いことが起きていた。
この部屋にいるたくさんの食霊たち──彼らが、私のことをじっと見ていたのです。
「ええっと……」
思案していると、おとなしそうな食霊が私の傍にやってきました。
「大丈夫?」
その言葉に私が領くと、彼女は安堵した様子で私に抱きついてきました。
「やっと目覚めたのね!」
「え……?あの……私のことを知っているのですか?」
勇気を出して尋ねると、私を見ているみんながざわざわと騒ぎ始めます。
「わたしたちのことを覚えていないの?」
「そんなわけないよ、きっと疲れているのよ!」
何を言っているのかわからないけど、 どうやら私はずっとこの人たちと一緒にいたようです。でも……そんな記憶はありません。もしかしてこれは夢……ですか?
「わ、私は、あなたたちのことがわかりません……みなさんどこから来たのですか?」
「え? わたしたちはずっとここにいたよ?」
おとなしそうな食霊は私の問いに戸惑った様子です。彼女は頭を傾けて少し考えてから、私の質問に答えてくれました。
「人間は、わたしたちはここにいる方がいいと言っていたんだよ」
「一体何のために、こんなにもたくさんの食霊が集まっているのですか?」
「しょく、れい? しょくれいってなに?」
──えっ?
「食霊は……ここにいる全員のことですけど……あなたたちは知らないの…ですか?」
みんな目を丸くして首を横に振りました。
びっくりです。自分が何なのか、目の前のみんなは知らない様子です。
でも……彼らはどうやら本当に知らないようです。
その態度から、とても嘘をついているようには見えません。
「じ、じゃ、あなたたちは、自分がどんな名前の食霊なのかは……知ってます……よね?わたしはライスです。 あなたたちの名前を教えてくれませんか?」
「らい……す?」
おとなしそうな食霊の反応はさっきと同じく、全く要領を得ていないようです。 他の食霊の顔を見ても、みんな同じ反応をしています……
「えっと……じゃあ……あなたたちの名前はなんですか?」
「おれ、十一番!」
明るくて元気な男の子の食霊が率先して答えてくれました。それに続いて他の食霊も次々と彼らの思う『名前』を口にしました。
「七番」
「わたしは二十五番です!」
「あたしは……十六番……」
(これは……いったい? )
あのおとなしそうな食霊も名乗りました……
『三十番』らしいです。
どの食霊もお互いを数字でお互いを呼び合っています。しかし、これは食霊の名前ではないはずです。しかもこの変な部屋にも名前があるようです。
──『マイホーム』。
Ⅱ 人類さまのため
Ⅱ以降の翻訳がかなり怪しい為、ページ後半に編集補足として読みやすいよう書き換えたものを載せています。
私にとって、この食霊がいっぱいいる部屋は重くて抑圧されてる感じだけど、他の食霊たちはそうは思わないみたい。彼らにとってこれは当たり前なことかもしれない。みんなの御侍さまが何をしているのかわからないけど、みんなをこんな風にしてるのは良くないと思います。
だけどこれを知ったところで私は役に立たない。この部屋、ドアがあるけど向こうでロックされてる。ドアに向いて叫ぶ時に、誰かの返事を期待するけど、全員が怖がって口も聞けなかった。そのため、誰もここを離れることを真剣に考えたことがないと思う。長い時間が過ぎた後、ドアが開き、外から一人の食霊がたじたじしながら入った。
「ううう──!!」
ドアがすぐ閉まった。彼は転げ落ち、顔が苦しそう。私が彼のそばに行って、傷だらけの姿を見た。
「これは治療しなきゃ……」
と思う。他の食霊にお願いする時、自分の手から淡い光が出ることを発見した。 これは──霊力だ!空っぽだったのにここに来た後、なんと霊力が現れた。嬉しいけど、実際はこれは普通のことじゃないのです。
相手の傷を治療した後、 どこからか男性の声が耳に入った。
「次の項目、 二十二号」
あのドアが再び開いた。ある食霊が立ち上がってこちらに手を振る。彼女の顔には恐れと迷いが見えない。そして全員が彼女を見送った。
「外で何が起こったのですか?」
「みんなは実験を受けます。 人類さまのためです」
三十号の微笑みは、 まるで自分の答えを確認するみたい。ですが、一体どんな実験でそこまで傷ついたのでしょう?
「まあ、確かに怪我することがあります。けど人類さまのためになれば、きっと有意義なことです。きっと」
彼女はいつもその言葉で、自分自身に信じさせようとしてるみたいでした。
「例外もありますよ。人類さまから、私たちが召喚される前に多くの臆病者が逃げたと聞きました。本当に信じられないことです。人類さまを助けることこそ私たちの使命なのに」
逃げることが正しい道かもしれません……とは、最後まで言えなかった。
Ⅲ 未来への憧れ
自分がここにどれぐらい拘禁されたかわからない。この窓がない部屋で太陽が沈むことさえ知らない。
一方、食霊たちの実験はまだ続いている……もし傷つくことが仕方がないなら、最近、実験を受けるために出て行った食霊たちは誰も戻ってこなかった。
三十号もこれは召喚されてから初めてのことで、いつまで終わるかわからない、とのこと。
「どうして、こんなことになったの……もし、御侍さまがここにいれば……」
「あれは何だ?」
「そうだ、あなたたちまだ『料理御侍』の意味がわからないでしょう?」
みんな全部食霊なのに、私しか御侍のことを知らない。他の食霊に関することも知らない。レストランとは全然違い、不安だけが生じた……。
時間が少しずつ過ぎていく、部屋を離れる食霊が増えた。あちこちで聞こえていた話し声も、今は少しずつ静かになっていく。この「家」の雰囲気が重くなった。自分の考えを言い表す食霊はまだいない。言い表したい食霊は、既に逃げたのかもしれない。
「みんなまだ戻れないのかな……?」
三十号も仲間たちが戻ることを望んでいる。
だけど全員連れ帰るなんて現実的ではありません。私にできるのは、一時的に慰めることだけ。
「もしかして、みんな外へ冒険に行ったのかもしれません」
「ぼう......冒険?」
「そう、外の世界に冒険する。知ってる?外の世界は、非常に広いところだよ」
こんな「聞いたこともない」ことを言った時、残された食霊たちが私を囲んだ。みんなの目から大きな好奇心が見えた。 決めた。できる限りみんなに希望をあげる。
「世界……というものはどんな様子だ?」
「世界は、一見するも止まりが見えないところ。高い山、青い海、緑の森……またたくさんの人類と食霊……一緒に生活している都会」
「人類さまと……一緒に生活する?」
三十号は信じられない顔を見せた。
「そんないいことがある?人類さまと一緒に生活すること??」
「みんなたぶん想像できないでしょう、でも本当ですよ!」
自分の話を証明するため、自分の御侍と一緒にやったこと、レストランの日常から外の冒険まで、宝物を大切にするような思いでみんなに言った。
少しずつ、みんなの目から未来への憧れを見た。誰でも将来に自分の御侍と一緒に冒険するためココロの準備をした。そして人類と一緒に生活できる日を期待する。
しかし、そんなに望んでいる食霊たちが、あの冷たい声の男性の要求に応じるため、次々と部屋から離れた。最後に残されたのは、 私と三十号だけ。
Ⅳ 準備完了
三十号と一緒に部屋の隅に座った。向こうはあの食霊たちを「食い込む」ドア。 長い間に喋らなかった、まるで声が出る時に、あの冷たい声が出るような。
г……………………」
三十号は私と手を繋ぐ、何も喋らなかったけど、彼女のびくびく気持ちを感じた。二人で誰かここから離れることを怖がる。これは回避できない一人類のため実験を受ける、これは彼女のココロの準備。私も自分の運命が同じものを心配する。
「あの…………」
長い沈黙を破れ、彼女の口よく開いた。
「本当に、外の世界が存在する?」
「本当よ!」
自分にやったことから、嘘じゃない。
「うん!私が信じる……でもおかしいな、ずっとここにいるなのに、 君が本当に外の世界で行ったみたい……」
「でも、君と君の「御侍」 と一緒に生活すること、本当に羨ましいよ……将来は自分の御侍と会うかとうかわからないね」
あのドアが開いた。結局この時が来た……!
胸で重いショックを受けたようになった。三十号も──三十号も私と離れる。
「……じゃ……いってきます。」
彼女が立ち上がれ、前に歩いたいが、すぐ止まった──私がまだあの手を離れないから。
彼女が振り返って、驚い目で私を見る。私がその目で望みと待つを見た。
「……三十号、一緒に逃げろう!」
あの悲しみやっと押さえなくなる、 彼女が私の胸に飛び込んだ。
「うん!」
「食霊を傷つける奴が決していい人ではない」──御侍さまがずっとこのように言った。
御侍の食霊として、 他の食霊を守らなければならない!
「連れてあげる、ヒレイナへ行こうよ。うちの御侍さまがあそこにいるから、ここから逃げれば……」
重い柳から開放されたような私がまだ自由の未来を迎えることを計画している途中で、急にいくつの人類があのドアから入れた。
「……君たち一体誰だ?」
「…………」
一番前の男が真っ白な服を着て、眼鏡をかけている。彼の顔が穏やかが、視線を交えた瞬間に恐れが生じた。
「……連れて行って。」
淡々たる語りロで三十号の運命を決めた。私があの連中を止めたいけど、足が動かないことに気づいた。
「やだ!離せ!早く離せ!」
三十号が泣かしている。三十号が踏ん張っている。絶望の三十号が私に向け、手を伸ばす。これはまだ彼たちの哀れみを喚起することができなかった。 あのドアが閉めた前に、三十号が最後の力で私を呼ぶ──
「姉ちゃん──!!!」
姉、姉ちゃん!?
「この余計な茶番を早く止めて欲しい」
あの男は三十号の叫びに対して失望したが、まだ笑顔を保つ。
「一体、どういうこと?君は誰?ここが一体どこ?」
動くことができないため、質問しかできなかった。しかしあの男が返事せず、 自分の話が続く。
「お前たちの関係を制限するの理由は、 実験がうまく行かせるのためだ。お前たちがきちんと仕事を完成するだけ、人類が未来を掴むさもないと君があの逃げられた奴と同じものになる。」
「……逃げられた奴?」
「だけど問題ない、今まで前期準備が既に完成した。コアの実験対象として、これからお前の本番だ。」
「さあ、実験を始めよう──二号。」
Ⅴ ライス
「ミスラ、やはり私にとって科学的な解釈が難しすぎだよ。 何か簡単的なまとめがある?」
「ですから、食霊の霊体が人類の生理状態を模倣することができるが、ただ機械的に自分の記憶を保有する。言い換え、過去で何を忘れても、ある特定の刺激で再び喚起する……これで理解できる?」
「おお……なるほど!つまり砂糖の缶に塩を入れる。スプーンが長いやつなら、半分甘い半分鹹いの味ができるだぜ?」
「頭が大丈夫?」
ミスラと言われた少女は不機嫌の目でこの科
学アホである料理御侍を見ている。
「私がわかるとうかまず放っておいて。うちのライスちゃんがもしこの情況にあったら、必ずその原因でしょう?そうではないか?ライスちゃん?」
「……………………」
「ねえ、お兄さん?」
「ええ?」
「ライスちゃんが結構君のことを気に入ってるそうだ」
「当たり前ことだ、 さすがうちのライスちゃん……どうしたの?」
「御侍さま……私もわからない……何かを思い出したように……」
「ええ?もしかすると、昔のこと?」
好奇心を持つの二人を対して、ライスが長い間に考えたが、けっきょく首を横に振った。
「私も……よくわからない……ただ気分が……悪くなった……すみません」
「うん、悲しい記憶かもしれない」
「そうか、別に怖がることがないよ。 どんなことをあっても、私がいれば絶対ライスちゃんを守るから」
「……うん!」
Ⅱ〜Ⅴ編集補足
英語(国際版)エピソード(公式がファンメイドの翻訳を逆輸入したもの)、中国語(原語版)エピソードの2つと日本語訳を見比べながら、意味が分かる程度に書き足し・書き換えを行った文章です。
Ⅱ人類様のため
私にとって、この食霊がいっぱいいる部屋の抑圧感は重く感じられますが、他の食霊たちはそう思わない様子です。彼らにとってはこれが当たり前のことなのかもしれません。ここにいる彼らの御侍さまは一体何をしているかは分かりませんが、このように食霊達を扱うのは正しくないと思います。
しかしこれを知っているところでここにいるみんなの役には立ちません。この部屋にはドアがありますが、向こう側でロックされています。私はドアに向かって叫んで、誰かが返事をすることに期待しましたが、部屋にいる食霊達は妙なことに非常に怖がり、口も聞きませんでした。そのため、誰もここを離れることを真剣に考えたことがないと思いました。長い時間が過ぎた後、ドアが開き、外から一人の食霊が弱々しく入ってきました。
「ううう──!!」
ドアはすぐ閉められました。彼は床に倒れこみ、顔はとても苦しそうです。私が彼のそばに行くと、満身創痩の姿だと分かりました。
「急いで彼を治療しなきゃ……!」
そう思い、他の食霊に助けを求めた時、自分の手から淡い光が出ることを発見しました。これは──霊力だ!私は空殻(からっぽ)なのに、ここに来た後、なんと霊力が出ました。嬉しいことですが、実を言うと異常な事です。
相手の傷を治療した後、どこからか男性の声が耳に入ってきました。
「次のプロジェクト、 二十二号」
あのドアが再び開き、ある食霊が立ち上がってこちらに手を振りました。彼女の顔には恐怖と迷いは見えません。そして全員が彼女を見送りました。
「外で何が起こっているのですか?」
「みんなは実験を受けます。 人類さまのためです」
三十号の微笑みは、まるで自分の答えを確認するみたい。ですが、一体どんな実験が彼らをそこまで傷つけるのでしょうか。
「まあ、確かに怪我することはあります。けど人類さまのためになるなら、きっと有意義なことです。きっと……」
その言葉は何か、自分で自分を説得するようだと感じられました。
「例外もありますよ。人類さまから、私達を召喚する前に多くの臆病者が逃げたと聞きました。本当に信じられないことです。 人類さまを助けることこそ私たちの使命なのに」
逃げたほうが正しい道かもしれません……ということは、最後まで言えませんでした。
Ⅲ 未来への憧れ
自分がここにどれぐらい拘禁されたかが分かりません。この窓がない部屋では、太陽が沈んでいるかどうかさえ知ることができないのです。
一方、食霊たちの実験はまだ続いています……私は観念して、実験によって傷つくことは仕方ないと受け入れられることができましたが、このごろ実験を受けに行った食霊たちは誰も戻ってきませんでした。
三十号も、これは召喚されてから初めてのことだと言い、そしてそれがいつ終わるかも知りませんでした。
「どうして、こんなことに……もし、御侍さまがここにいれば……」
「それは何ですか?」
「そうだ、あなたたちはまだ「料理御侍」の意味が分からないですよね?」
みんな全員食霊なのに、私しか御侍のことを知らない。他の食霊に関することも知らない。レストランとは全然違い、別世界にいるかのような不安感が生じました……。
時間は少しずつ過ぎていき、部屋を離れた食霊が増えました。元々は部屋のあちこちから喋る声が聞こえてきたのに、今は少しずつ静かになっています。この「ホーム」の雰囲気は重くなりましたが、自分の考えを言い表す食霊はまだいません。おそらく、言い表したい食霊は既に逃げたのでしょう。
「みんなまだ戻れないのかな……?」
三十号も仲間たちが戻ることを望んでいます。私は何かをしなくてはいけないと考えましたが、ここにいる全員と一緒に逃げるのは可能性が低すぎました。
できるのは、一時的に慰めることだけ。
「もしかしたら、彼らは外へ冒険に行ったのかもしれません」
「ぼう......冒険?」
「そう、外の世界への冒険。知ってますか?ここの外の世界は、非常に広いところなんですよ」
こんな「聞いたこともない」ことを言った時、残された食霊たちは私を囲みました。彼たちの目からは大きな好奇心が見え、私はできる限り、彼たちに希望をあげることを決めました。
「世界……というものはどんな様子だ?」
「世界は、一見すると終わりが見えないところ。高い山、青い海、緑の森……それと、たくさんの人類と食霊が一緒に生活している都会……」
「人類さまと……一緒に生活する?」
三十号は信じられないという顔が出た。
「人類さまと一緒に生活するなんて、そんないいことがある?」
「みんなたぶん想像できないだろうけど、本当のことです!」
自分の話を証明するために、自分の御侍と一緒にやったこと、レストランでの日常から外の冒険のことまで、宝物として大切している思い出をみんなに言った。
少しずつ、みんなの目に未来への憧れが浮かんできました。将来、自分の御侍と一緒に冒険するためのココロの準備ができ、そして人類と一緒に生活できる日が、少しでも早く来るように期待するようになりました。
しかし、そんなに望んでいる食霊たちが、あの男性の冷たい声の要求に応じるため、次々と部屋から離れていきました。最後に残されたのは、私と三十号だけでした。
Ⅳ 準備完了
三十号と一緒に部屋の隅に座った。向かい側にはあの次々と食霊たちを「飲み込む」ドア。 声を出せば、あの冷たい声が私達にドアを通るように命じてくると恐れているかのように、私達は長い間喋りませんでした。
г………………」
三十号は私と手を繋ぎ、そのまま何も喋りませんでしたが、彼女は二人のうちどちらかがここを離れることに対して、とても怯えていると感じました。でもこれは回避できません──人類のため実験を受けることについては、すでに彼女はココロの準備を終えています。そして私も、彼女と同じく自分の運命に苦しむことを恐れました。
「あの…………」
長い沈黙を破り、彼女の口はようやく開きました。
「本当に、外の世界は存在するの?」
「本当です!」
自分で経験したことだから、決して嘘じゃない。
「うん!私は信じるよ……でもおかしいな、ずっと君はここにいたのに、君は本当に外の世界に行ったみたいだ……。でも、君が君の「御侍」 と一緒に生活することは本当に羨ましいよ……私が将来、自分の御侍と一緒になるかどうかはわからないけど」
「そろそろお前の番だ、三十号」
あのドアが開いた。結局この時が来た……!
私は胸で重いショックを受けたように感じました。三十号も──三十号も私と離れてしまう。
「……じゃあ……いってきます」
彼女は立ち上がり、ドアの方へ一歩踏み出しましたが、すぐ立ち止まりました──私がまだ、あの繋いでいる手を離さないから。
彼女は振り返って、驚いた目で私を見ます。
彼女のその目には期待と渇望が見えました。
「……三十号、一緒に逃げよう!」
彼女はやっとあの悲しみを抑えきれなくなり、私の胸に飛び込んできました。
「うん!」
『食霊を傷つける奴は決していい人間ではない』──御侍さまはずっとこのように言っていました。
御侍さまの食霊として、他の食霊を守らなければいけません!
「ヒレイナへ連れて行ってあげます。うちの御侍さまがあそこにいるから、ここから逃げられれば……」
重い枷から開放されたような私が、まだ自由な未来を迎えることを計画している途中で、急に何人かの人類があのドアから入ってきました。
「……あなた達は一体誰なんですか?!」
「…………」
一番前の男性は真っ白な服を着て、眼鏡をかけています。彼の顔は穏やかでしたが、視線を交えた瞬間に恐れが生じました。
「……連れて行け」
その人は淡々たる語りロで三十号の運命を決めました。私は三十号を連れ去ろうとするあの連中を止めようと思いましたが、手足が言うことを聞かないことに気付きます。
「やだ!離せ!早く離せ!」
三十号が泣いている。三十号が踏ん張っている。絶望しながらも三十号が私に向かって手を伸ばす。
しかし、これらは彼らの哀れみを少しも喚起することができませんでした。ドアが閉まる直前に、三十号は最後の力で私を呼びます──
「お姉ちゃん──!!!」
お、お姉ちゃん!?
「この余計な茶番を早くやめて欲しいと思っていた」
※補足1:「”ホーム“で食霊達が遊び合うのをやめることを心から望んでいた」(国際版)
※補足2:「この家族同士のような振る舞いを本当に早くやめて欲しいと思っていた」(原語版)
あの男は三十号の叫びに対して失望していましたが、それでもまだ笑顔を保っていました。
「一体、どういうことですか!?あなたは誰?!ここは一体どこ?!」
動くことができないため、私は質問しかできませんでした。しかしあの男は質問に対して返事をせず、自分の話が続きます。
「お前たちの関係を制限する理由は、実験をうまく行うためだ。お前たちがきちんと仕事を完成するだけ、人類が未来を掴む。さもないと君はあの逃げられた奴と同じ道を辿ることになる」
「……逃げられた奴?」
「だけど問題ない、前期準備は既に完成した。これからコアの実験対象として、お前の本番だ」
「さあ、実験を始めよう──二号。」
Ⅴ ライス
「ミスラ、やっぱり私にとっては科学的な説明が難しすぎるよ。簡単なまとめを教えて?」
「だから、“食霊の霊体は人類の生理状態を模倣することができるが、実際はただ機械的に自分の記憶を永久的に保有するのみである。言い換えると、過去で何かを忘れても、ある特定の刺激で再び喚起する”……これで理解できる?」
「おお……なるほど!つまり砂糖の缶に塩を入れる。使うスプーンが長いやつなら、半分甘い半分鹹い(しおからい)味ができるってこと?」
「頭は大丈夫?」
ミスラと呼ばれた少女は不機嫌な目で、この科学に弱いアホな料理御侍を見ている。
「私が分かるかどうかはまず放っておいて。うちのライスちゃんがもしこの状況にあったら、絶対今ミスラが説明したそれが原因でしょう?そうじゃないかな、ライスちゃん?」
「……………………」
「お兄さん?」
※「(先輩的な/仲のいい男性に対しての)兄さん」(原語版)
「えっ?」
「ライスは君の言葉をけっこう気に入ったみたいだな」
「当たり前のことだね、さすがうちのライスちゃん……どうしたの?」
「御侍さま……私もわかりません……何かを思い出したような……」
「ええっ!?もしかすると、昔のこと?」
好奇心を持つ二人に対して、ライスは長い間考えたが、結局首を横に振った。
「私も……よくわからなくて……ただ気分が……悪くなりました……すみません」
「うーん……悲しい記憶かもしれないわね」
「そうか、別に怖がることがないよ。どんなことをあっても、私がいれば絶対ライスちゃんを守るから」
「……はい!」
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