焼き小籠包・エピソード
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焼き小籠包のエピソード
見た目からさっぱりしていそうな感じで、物事を情理だてて行う。少し人間垂らしな感じもするせいか、とても親しみやすそうな雰囲気を纏っている。ちょっとだけ頑固な部分もあり、誰かに義理を借りるのが好きではなく、誰かを助けるのが好きで、助けても頑なに恩返しはされたく無い。
Ⅰ.品評
「こちらの青磁器は、内陸の文様がキメ細やかに整いすぎており、つぶつぶ感が際立っています。底には光耀大陸・林窯の印があります。しかし、林窯で作られた二十種の青磁の中で、陽刻と陰刻二つの技法が共存している物は無かったはず……」
「青磁器の口縁部にひびが入っておりますが、これは典型的な流断縁です。光耀大陸の青磁発展中期で誕生した物ですが、この青磁の口縁部の文様は発展初期のデザイン……」
「以上により、こちらは拙劣な模倣品です」
赤いシルクの上に置かれた器を指差した後、私は高ぶった気持ちを極力落ち着かせ、なるべく穏やかに自分の分析を語った――そして長々と息を吐いて、緊張しながら聴衆からの評価を待った。
「パチパチパチ――」
最初はぱらぱらと少ない拍手しか無かったが、すぐに波のようなどよめきが起きた。
「良いね」
長い白髭を貯えたご老人が立ち上がり、彼の瞳には賞賛と安堵が浮かんでいた。
「どこの子だ?」
「尺河先生、焼き小籠包はうちで働いています」
店長がホールの隅から顔を出して、ご老人に向かってお辞儀をした。
「おーーあんたを覚えているよ、あんたもなかなか良い。良い跡継ぎをたくさん育てたね」
尺河と呼ばれたご老人は目を細め、長い髭を撫でながら笑う。
「おめでとう、今年の優勝はあんたらの物だ」
―――――――――――
店長と共に本堂から離れた。道中、人々は次々と私に向かって祝いの言葉を述べた。私もぼんやりしながら一人ずつ礼を言った。さっきまでの出来事を未だに信じられないでいる。
「店長、私……」
「そんなに緊張するな」
店長は笑いながら私の肩を叩いた。
「君は今じゃ南離印館の有名人だ」
「以上により、こちらは拙劣な模倣品です~」
話していると、店長は急に変な声で私の真似を始めて、自分で笑い出した。
「凄いよ、焼き小籠包。他の人は知らないが、うちはよくわかっているよ。うちに来て半年、うちはお前に多くを教えていない。ほとんどはお前の独学だ、そうだろう?それでここまでやれるとは、流石だな」
店長の朗らかな姿を見て、私も思わず笑ってしまった。
一通り落ち着いてから、私は真面目に語った。
「私をここに連れて来てくれた事に、感謝しないといけません」
「よせ、うちはただ君の背中を押しただけ、ここまで来れたのは君自身のおかげだ」
店長は、これ以上話さなくていいと、手を左右に振った。そして前方の楼閣を指した。
「行ってこい、君のための報酬を受け取ってくるといい」
Ⅱ
編集中
Ⅲ
編集中
Ⅳ
編集中
Ⅴ
編集中
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