松の実酒・エピソード
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松の実酒のエピソード
南離印館の副館長の一人、館内の事務を明四喜と協力して共に行う。効率良く、能力も高い。公正で冷ややか、表情が少ない人に見えるが、実は心は熱く、周囲の事を考えており気配りが上手い思慮深い人。黙々と南離印館のために色々としている。長い付き合いから、館長の自由気ままと失踪癖に慣れきっている。
Ⅰ.南離
広い机の上には書類の小さな山が積まれていた。私は筆を持っていた手を下ろし、こめかみを押して疲れを抑えようとした。
点されている火は黙々と燃えていた。たまに冷たい風が吹き込んでくると、私は外套をしっかりと着直した。
顔を上げて見ると、もう一つの机の方には誰もいない。あるのは乾いた筆跡だけ。
それは「自由」過ぎて、まるで本人のようだった。
時間を計算してみると、もう大分経っていたようだった。既に日を跨ごうとしている頃、あの館長はまだ帰って来ていない。
またどこへ行ったのやら、書類だけは迷わず残していく。
突然意識が戻された――
彼を考えている暇があるなら、引き続き手元の書類を見て行かなければ。彼がいないだけで、書斎は大分さっぱりしている。
これが唯一幸いな事だろう。
雑念に惑わされている場合ではない。そう考えながら、茶碗を持ち上げて一口含んだ。冷たい感触が喉を通り過ぎて、少しだけ目が醒めた。
窓の外のまばらな蝉の声を聞いて、煩雑な書類を読み進めた。
骨董品業務の拡張、霊器閣の修繕のような大きな事項から、店舗の小さな雑事まで。何をするにも最初が大変だ、大きな印館を作るのは尚更。
霊器閣の修繕が終わろうとしているのに、失くした霊器はまだ見つかっていない、私の思考はまた乱された。
どうやっても、霊器は欠けてはならない。
明け方になって、私はようやくまた書類から顔を上げた。
疲れた両目を揉んだ後、向かいの机は昨日のままな事に気付いた。
あの人は一晩帰って来なかった?!
……またどこかの飲み屋で飲んだくれてるに違いない。
あれ以来、京醤肉糸が顔を出す頻度はどんどん少なくなった。三日、五日は姿が見えなくなったり、消息がつかめない事が良くある。
彼のお陰で、私が書斎にこもる時間はどんどん長くなっていった。
彼がいないと、彼の代わりに山積みの仕事を片付ける役目は自然と私の所に回ってきた。
はぁ……館長様がいつかもう少し真面目になってくれたら……何せ全ての事務作業を私が代わりに務められる訳ではないから……
Ⅱ.館長
「黄ちゃんよ、今日は元気が良いな。ああ、白ちゃんも悪くない~」
「毛ちゃんよ、新鮮な虫を用意して貰ったからたんとお食べ。さあ、鳴いてみろ」
「はて、昨日買って来た物語の本がないようだな。まあ良い、また新しい物が無いか探しに行くとしよう」
「松の実酒、私の代わりに四番目の棚からあの画集を――おいっ投げるな。これは貴重な物だ」
……
楽しそうな声と共に騒々しいコオロギの声や騒がしい鳥の鳴き声が部屋の中で混ざり合っていた。
まるで沸騰した熱湯から絶えず沸いてくるうるさい気泡のようだった。
五臓六腑がこの喧騒によって破れそうになっていた。頭がじくじくと痛み、目の前がぼやけてきた。
この時私はハッとした。この鍋で沸騰しているのは水ではなく私だと。
「バンッ!」
数百回目のコオロギの鳴き声が耳元に届いた時、苛立ちと怒りが私の理性を破った。少し力を入れるだけで筆が折れそうな程に、力を制御出来ずにいた。
苛立ちと怒りが全身を駆け巡り、礼儀作法などどうでも良くなり、思わず机を叩いて立ち上がった。服に引っかかった茶碗がいくつか落ちて、破裂音が鳴り響いた。
あまりにも急ぎすぎたのか、あたりの時間は一瞬止まったかのようになっていた。
「京醤肉糸!」
「はいはい、どうした~」
「貴方―――貴方は――」
この書斎を何だと思ってるんですか?!
……最終的には口に出す事はなかった。
短い沈黙の後、私はこめかみを押して、どうにか落ち着きを取り戻そうとした。
しかし顔を上げた時に見えた向かいにいる人は、依然と扇子を揺らしながら、慌てる様子もなく、むしろ不思議そうに自分を見ていた。
ますますそのいつでも余裕な笑顔を一発殴ってやろうという気持ちになってきた。
「ぷっ、初めてそんなに怒っているのを見た。可愛い子ちゃんたちは確かに今日は興奮気味で、邪魔をしてしまったな。彼らの代わりに謝罪しておこう。しかし――まず扉の外にいる人を入れたらどうだ、待っているようだから」
「申し訳ございません、お二方の話を邪魔するつもりはなかったのですが……」
「……」
扉の方を見ると、いつの間にか人が立っていた。苦い表情を浮かべながら、書類を抱えていて、報告しようとしているようだった。
先程の失態を思い出し、眉がピクッと動いた後、いっそ何も言わずに身を引いた。
京醤肉糸は定位置に座り、その人に報告を促した。
私の言動で驚かせてしまったのか、私を見る目には怯えた感情が含まれているような気がした……
「ぷっ、心配するな。副館長は普段は優しい、他の人もいない、話すと良い」
……余計な事を言っているような。
「館長の指示は全て完了しました。行方不明になっていた霊器についても、見つかっており、既に霊器閣に納めてあります」
行方不明になっていた霊器……?!まさか……
「館長はここ数日この件のために昼夜問わず駆けずり回っていましたが、どうにかご期待に沿えるような結果になりました」
昼夜問わず駆けずり回っていた?
まさか近頃彼がよく姿を消していたのは……
遊びに出かけていたわけではなく……霊器を探していたのか……
部下の話を聞いて私は思わず顔を上げた。私の驚きと怪訝に気付いても、京醤肉糸は笑うだけで何も話さない。
その人の報告が終わってから、ようやく彼はゆっくりと口を開いた。
「最近貴方が気を揉んでいた事はもう解決した」
「ど……どうして言わなかったんですか……」
「本当に……お疲れ様でした……」
「いや、そこまで大変ではなかった。責務を果たしたまで。責務をな!」
言葉にできない感情が込み上げてきた。私は一瞬呆気に取られ、どう答えたら良いかわからなくなった。自分が怒っていた事すら忘れた。
相手が笑顔で軽く事のあらましを説明しているのを聞いて、先程の怒りと理解できない感情が少しずつ消えていった。まだ不満は残るが、彼を誤解していた事を認めない訳にもいかない。
「……」
「先程は……申し訳ございませんでした……」
「気にするな、疲れていたのだろう。たまにはきちんと休まなければならないよ~もう怒ってないならそれで良い。折角だから今から私と出掛けないか?近くの飲み屋にまた良い酒が入って、素敵な舞姫もいるらしいからな~」
「……」
誤解していたのは一部だけのようだった。
Ⅲ.印章
また会計監査をする日がやってきた。いつも通り新しく開いた店舗の手伝いに行った。
店員と共に最近の帳簿を確認していた時、突然とてつもない酒臭い匂いが漂ってきた。
この匂いに耐えられない私は、眉間に皺を寄せ、仕方なく袖で鼻を覆った。
外からざわめきが聞こえ、書生のような人が店に入ってくるのが見えた。その人はサイコロを持っていて、酒臭さは更に増した。
彼は懐から包みを一つ取り出し、威勢よく店員を呼びつけた。
「印章が付いた骨董品を専門にしているんだってな?運が良いな、この手作りの紫陶急須を見ろ。俺が自ら紫陶を掘り、全て手作りで作った、百年に一つの極上品だ!」
その言葉を聞いてその急須を見た――
着色は均等になっておらず、本体も凹凸が目立つ、取っては少し欠けており、質も悪いように見える……急須の底には拙い「朱雀印」が捺されていた。
私からするとどれをとっても「極上品」とは言えなかった。
例え……本当に霊器であっても。
久しぶりに印章を目にしたのか、店員は目を輝かせて私が止める前に喜びの声を上げた。
「お客様、この印章は確かに買い取りを行っている物です。店長は今日不在ですが、彼は価格が適正であれば買い取って良いと仰ってました」
「金の延べ棒十本でどうだ、安くしてやったぞ!」
「金の延べ棒十本……?!」
……ほら……こういう人は、その物を欲している人がいると知れば、絶対に高値を吹っかけてくるものだ。
「申し訳ございません。印章付きの物を買い取ってはおりますが、優劣付けずになんでも買い取っている訳ではございません」
「は?何が優劣だ?誰がなんだって?!印章が欲しいのは館長だろ!お前は何様なんだ?!」
「……」
はぁ……
「こ、こちらは南離印館の副館長です……」
「館長とか副館長とかどうでもいいわ、見る目ねぇな。延べ棒十本で俺は損してんだ。どんだけの人がこれを欲しがってるのかわかってんのか?」
話が止まる気配がない、こういう言いがかりを言ってくる人には、確実な証拠を突きつけるのが一番良い。
私はこっそり店員に、机の上と棚の上にあった二つの急須を持ってこさせた。
「お客様、もし知りたいのなら、急須をお借り出来ないでしょうか?そうすれば自ずとわかります」
「チッ、理屈ばっか並べやがって、どんな手品を見せてくれんだ?壊すなよ、壊したら店ごと売っても弁償できねぇからな」
彼の皮肉を無視し、急須に満杯の水を入れ、それで壺の中に水を注ぎ始めた。
急須の口から清流のように水が流れ出て、壺に注がれていく。急須を高く持ち上げれば持ち上がる程、水しぶきは大きくなり、その音もうるさくなっていった。
書生は飛び散る水しぶきを慌てて避けながら言った。
「何してんだ!わざとか?!」
すぐに私は二つ目の急須を持ち上げ、先程と同じ動作を繰り返した。相変わらず水しぶきは飛んでいて、音もうるさい。
「チッ、何を遊んでんだか」
最後に三つ目の急須を持ち上げた。
まるで水晶のような流水が流れ、音もたてずに壺の中に注がれていった。
水しぶきも立てず、水の音もせず、ただ水面に波紋を広げるだけ。
「見てください。上等な手作りの急須なら、その水流は穏やかで、注いでも音が立つ事はありません」
「お客様の紫陶急須と二つ目の道端で購入した急須は相違ありませんでした」
「しかし三つ目の急須は、館で大切にしている上等品です。どの点をとっても最高級と言えるでしょう」
「もちろん、水の出方だけが急須を評価する基準ではありませんが。急須の材料や作りも大事な基準です」
いつの間にか周囲に人だかりが出来ていた。
まるで面白い劇を見ているようだった。
人々の不思議そうな、怪訝そうな視線は最後の流水が流れ落ちる場面を見つめた。書生も含め、その場にいた全員が驚きを隠せなかった。
「凄いな!前の二つと比べたら全然音がしないな!」
「こんなに高く持ち上げても水しぶきを立てないなんてな!」
「やっとわかった!こうやって比べたら、最後の急須だけが上等品だとはっきりわかるな!」
議論の声はどんどん盛り上がって行き、書生も意識が引き戻され血相を変えて叫び始めた。
「はっ?こ、こんなのはデタラメだ!」
私はそれを聞いて一瞬動きを止めた。書生の表情は崩れ、いたたまれなさと怒りが混じった顔になっていた。
「これでお客様の急須は上等品ではないと証明出来ました。金の延べ棒十本の価値もないという事も」
「きっ、貴様!全部デタラメだ!水を灌ぐだけで俺の急須を鑑定できるのか?何か小細工をしてるに違いねぇ!」
「もし信じられないのなら、ご自分で試したらいかがでしょうか?或いは、別の方を呼んでもう一度鑑定してみても良いでしょう」
「市場価格をお支払いする事しか出来ません、もし急ぎでしたらすぐにお支払い出来ます。もしご納得いただけないのなら――別の店に行ったらいかがでしょう?」
「それとお言葉ですが、お客様の頭脳は明晰でいらっしゃるようなので、身を修め、徳を養ったらいかがでしょう。賭場に溺れ、遊んでいるばかりじゃこの先は自滅しかありませんよ」
話し終えると書生に向かって一礼をした。ここまで話して理解してくれないのなら、もう言う事はありません。
「頭おかしいだろ!お前には関係ない!早く金をよこせ!」
書生は顔を真っ赤にして叫んだ。店を出て行くまで、ずっと聞き苦しい言葉を並べていた。
Ⅳ.対峙
野次馬は気付けば散っていた。私は店員を呼び止め、きちんと戒めようと決めた。
「覚えておいてください。今後は勝手に印章付きの物の買取りをしてはいけません。印章には偽物もあります。店主がきちんと教えてくださるでしょう。例え印章を持っていたとしても、値上げ交渉を好きにさせてはいけませんよ」
「印章というのは館内でも最重要事項です、慎重に対応しなければなりません。誰かに付け込まれてしまって、印館に迷惑が掛かる可能性だってあります。まだ経験不足なのはわかっています、なので余計勝手に判断をしないようにしてください、何かあれば店主に確認するように」
「はい……わかりました……」
「副館長の説明はわかりやすく、不才は感心致しました」
突然笑い声が聞こえてきた。聞き覚えのある声と共に足音が近づいてきて、私は一瞬固まってしまった。
来た人はやはりもう一人の副館長である明四喜だった。
彼は捉えどころのない笑顔を浮かべ、礼儀正しそうにしていた。敵意など感じ取れなかったが、どうしても警戒してしまう。
どうしてか、彼を本能的に好まないでいる。
「褒めすぎです。明四喜副館長から学ぶべき事もまだまだあります」
彼は見定めるような目で私を見ていた。目をそらしてしまうと負けを認めてしまった事になるような気がした。
「明四喜様、いらしてくださったんですね! 貴方様が先日あの急須を送ってくださったおかげで、金をせびろうとした人を追い出せたんです!」
「見ていましたよ、松の実酒副館長の功労です。私はたまたまですよ」
急須?まさか準備していたのか、まるで今日こういう事が起きるのを知っていたかのような……
「いえ、私はきちんと明四喜様と店主のお言葉を覚えていなかったからです……あと少しで面倒な事になっていました……」
「問題ないですよ、まだ若いですし、ゆっくり覚えて行けばいいです」
「わかりました!今日はまた何か教えてくださるのでしょうか?前回教えてくださった書画を鑑定するお話について、まだわからないところがあります」
店員は親し気に明四喜と話し始めていた、それを見て少し意外に思った……
他の人からすると、彼はこんなにも親しみやすいのか……
私はあまり店に来ない、外での事務の多くは彼が自ら行っている。
しかも、私と彼の付き合いは長くはない。
基本的に京醤肉糸が彼と話をしていた。
この人は見た目こそ礼儀正しく、八方美人で、何をするにも隙が無い。南離印館があるのは彼のお陰でもあるのは確かに否定できない。
しかし、為す事に隙がなく、笑顔が完璧であるからこそ、この人の考えが読めずにいる。
あまりの人の事を悪く推し量りたくはないが、ただ彼にだけはどうしても警戒心が解けない。まるで底の見えない深淵の奥に、人には言えない秘密が隠されているかのように感じる。彼が南離印館のためにした全ては、何かの目的達成のためにしているに過ぎないと……
こう考えながら、背筋が少し冷たくなった。
「副館長見回りお疲れ様です」
相手の言葉で現実に引き戻された。私は心を落ち着かせ、いつも通りの状態に戻した。
「労わってくださってありがとうございます、責務でございますので」
「館長にこのような助手がいて、本当に良かったです。誰しもが副館長のような決意があるなら、印館はもっと発展し、南離族の復興もすぐそこにあるでしょうに」
「私はただ出来る事をしているだけです。印館であっても南離族であっても、皆で力を合わせなければなりませんよ」
「ふふっ、その日が来るのを楽しみにしています」
明四喜は言い終わるとこの場から離れて行った。私は彼の背中を見つめながら、目を細めた。
考え過ぎだと良いのだが。
Ⅴ.松の実酒
光耀大陸には古い部族があった、それは南離族と呼ばれた。
伝承によると、かつて朱雀神君は霊器閣を残した。その中には幾千万の貴重な霊器があり、朱雀の印が記されているのだそう。そして南離族は代々朱雀神君を信仰し、霊器閣を守ってきた。
南離族を支える源として、南離族は自ら霊器閣を守りそして発展させていく使命を背負った。
その後、南離族で三人の食霊が現れた。館長の座は京醤肉糸に、松の実酒と明四喜はその補佐となった。
彼らの加入によって南離族に新たな力が注がれた。
元あった霊器閣を基盤に、南離印館は少しずつ確立していった。
それから、南離印館は骨董印象から金石、書画領域にまで拡張した。外部の食霊と人間も受け入れ、南離族の力を強めていった。
広くて明るい、綺麗に修繕された書斎の中、様々な目新しい物が積まれて、まるで小さな博物館のようだった。
その一角は綺麗に整えられており、整理整頓された文書の横には、誰かが突っ伏していた。
「ほお、桜の島から持って来させた画集は悪くないな~松の実酒、そんなつまらない書類を見てないで、早くこの美しい女子たちを見てくれ~」
「……」
「仙草ゼリーの所にまた新しい物が増えたらしい、すぐに戻るから午後の事務は任せた~」
「……」
「そうだ、久しく小鳥を連れて出かけていないな……」
「バキッ――!」
「おや、ここ二日で折った筆それでもう五本目だ。このままだと、館内の筆はいずれ全部折られてしまう」
「窓辺でうるさく鳴くあれが焼き鳥になって欲しくないなら、今すぐ、黙って、ください」
「……小鳥ちゃんこんなに可愛いのに、焼くだなんて、なんて冷たい世の中だ――」
「……」
松の実酒は必死で疼く頭を抑えて、どうにか目の前の机が壊れる事を防ごうとした。
しかし向かいにいる京醤肉糸は相変わらずの笑みで得意げな表情を浮かべていた。
長い付き合いを経て、松の実酒は彼のだらしなさにはもうとっくに慣れていた。すり合わせて行く内にどんどん息が合うようにもなっていった。
松の実酒は彼に与えられた使命や任務をよく知っているし、彼にのしかかっている重圧も見えていた。
彼の計略や、経営力を心から尊敬し、自ら進んで彼のために一部を背負った。
彼は本能的に直感していた、明四喜は誰にも言えない秘密を隠していると……彼がどれだけ細かく調査したとしても、怪しい点を見付ける事はできなかった……
自分が懸念している事を言っていない訳ではない。
ただ京醤肉糸は驚く事は無かった。淡々と知っていると言い、しかし印館の発展に明四喜が欠かせないと言った。
「私が館長である限り、明四喜を牽制する事が出来る。私を信じられないのか?」
ここまで自信満々に言い放ったのなら、南離族のため、南離印館のため、そして京醤肉糸のために、松の実酒はもう迷う事はない。
「全力を尽くし、初心を忘れるべからず、終始心得るべし」
これこそが、彼が自分を戒めてきた言葉だ。
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