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桃園再会・ストーリー

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桃園再会

プロローグ


某日

埠頭


 佳節がやってくる、光耀大陸の至る所が賑やかだ。大人が忙しなくしている中、子どもたちは楽しそうにしている。埠頭にいる子どもたちは、商船が近づいてくるのを見るとすぐに押し寄せていき、甲板に縋りつく勢いで何か珍しい物はないかと目を輝かせていた。

 一人の子どもが仲間の肩に乗って貨物室に忍び込もうとしているところに気付いた青年が、すぐさま子どもに駆け寄りその子のズボンを掴んだ。


天津煎餅:おいっ!いつもならともかく、今日はダメだ。今回の品物は親分が丁寧に検分したものだからな、壊したらわたしの給料が吹っ飛んじまう!

男の子:助けてー!誘拐されちゃうっ!!!

天津煎餅:ゆっ、誘拐だなんて!バカなことを言うな!

佛跳牆:何を騒いでいる?

天津煎餅:親分!なっ、なんでもないです……


 良く知っている声が聞こえてくると、天津煎餅は品物の点検をするフリをしながら、子どもたちを庇って逃がした。


天津煎餅:おっ、親分!今回の品物は、これで全部ですか?

佛跳牆:ああ、これを持ってついて来い。

天津煎餅:えっ!これ全部わたしが持つんですか?

佛跳牆:それがどうした?

天津煎餅:せめて一箱くらいは……ちょっ!親分!待ってくださいよー!!!


半刻後

楓林


天津煎餅:親分、親分、わたしたちは今どこに向かっているんですか?

佛跳牆:……

天津煎餅:親分?何か言ってくださいよ……まさか本当に竹煙の番頭さんが言っていたように、買った隠れ家で愛人を囲っている……とか?

佛跳牆:何を馬鹿な事を言っているんだ?!

天津煎餅:まさか本当なんですか?!親分!!!愛人を囲うお金があるなら、わたしの給料も上げてくださいよ!

佛跳牆:これ以上余計な話をしたら、給料を全部なくしてやる。

天津煎餅:ままま待ってください!もう喋りません……しかし……親分、どんどん暗いところに向かっていませんか、なんか変な物が出たら……

佛跳牆:……

天津煎餅:うわーっ!!!


 佛跳牆(ぶっちょうしょう)が悲鳴に驚いて振り返ると、そこには木の枝によって顔を叩かれた天津煎餅がいた。彼は呆れた顔で口を開く。


佛跳牆:俺と各地を旅して来たというのに、度胸は鍛えられなかったのか?たかが木の枝一本に、そんな情けない声を上げるな!

天津煎餅:!!!!!

佛跳牆:今度はどうした!

天津煎餅:おっ、親分……

佛跳牆:なんだ、もっとはっきり言え。

天津煎餅:親分……う、後ろ……


 天津煎餅の様子は明らかにおかしかった。そう思った佛跳牆が振り向いた瞬間、血まみれの人物が目にも止まらぬ速さで襲いかかってきたのだ。しかし反撃する間もなく、その人物は地面に倒れ込んでしまった。


佛跳牆:!!!

天津煎餅:!!!!!


ストーリー1-2


しばらくして

忘憂舎 湖畔の東屋


ワンタン:まずはお茶でも飲んで落ち着くと良いよ。

天津煎餅:……あの……あのひとは、大丈夫でしょうか?

佛跳牆:俺たちは出来る限りのことをした、後は廬山(ろざん)に任せればいい。

天津煎餅:廬山?

ワンタン:ははっ、このお兄さんはまだ廬山に会ったことがないのか。昔、君の親分とあの将軍が悪い奴らにやられた時にね……

佛跳牆:コホンッーー

ワンタン:隠す程の事じゃないだろう?狼狽した様子の君たちがやって来たと思ったら、怪我も治っていないのに帰ろうとするから、廬山雲霧茶(ろざんうんむちゃ)の機嫌を損ねてしまって、彼女にお灸を据えられただけじゃないか。

佛跳牆:……

ワンタン:あぁ……あの時の悲鳴を、もしお兄さんも聞いていたら、きっと私と同じように一生忘れられないのだろうな。

天津煎餅:本当ですか?親分が悲鳴を上げることなんてあるんですか?!

佛跳牆:ゴホンゴホンッ!!!


 親分の恥ずかしい話を聞いて、前のめりになるほど嬉しそうにしていた天津煎餅だったが、親分の咳ばらいを聞いて怖くなったのか大人しく席に戻った。


ワンタン:さて、冗談はここまでにしておこう。君もこのお兄さんを睨むのをやめたらどうだ?


佛跳牆:……久しぶりだな。なんだ?茶商にでもなるつもりか?どうしてこんなに茶をため込んでいる。

ワンタン:私がそんなことをすると思うか?全て近くの茶農家が送ってくれた物だ。どこからか私がお茶好きという事を聞きつけて、ちょくちょく持ってくるんだ。

佛跳牆:もしかしたら忘憂舎の財力が外に知られて、目をつけられたのやもしれん。

ワンタン:どうして亀苓膏(きれいこう)のやつと同じ事を言うんだ……もしそうだったら、君なんて商船から降りた途端身ぐるみを剥がされてしまうんじゃないか?

廬山雲霧茶:何をまた馬鹿な話をしているんですか。


 自分の背後から透き通った美しい声が聞こえて、天津煎餅は呆けた顔で振り返った。白い薄絹を身に纏う女性が音もなく東屋に入り、ゆっくりと腰を下ろした。

天津煎餅:天……天女さま……?


───

はぁ⋯⋯

・失礼な。

・黙れ、恥ずかしい。

・馬鹿な事を言うな!

───


ワンタン:ぷはっ……もう随分経つのに、まだ気にしているのか?

佛跳牆:……

ワンタン:さて、廬山よ、中にいる奴はまだ息はあるか?

廬山雲霧茶:……ほとんどが外傷でした。背中の火傷は重傷だが、あとは大したことはありません。

天津煎餅:ふぅ……良かった。

廬山雲霧茶:しかし……

ワンタン:うん?

廬山雲霧茶:あの食霊の霊力は異常に乱れている……かつて堕化したことがあるやもしれない。

天津煎餅:堕化?!

佛跳牆:……

ワンタン:かつて堕化したことがある……つまり、もう回復しているということか?

廬山雲霧茶:わかりません……現在は弱っている故、堕化の兆しが見えないだけやもしれない……


 ドンッーーガランッーードカーンッーー


天津煎餅:どっ、どうしたのでしょう?


 轟音が届いても、廬山雲霧茶は顔色一つ変えず、ただ音のする方を静かに見つめた。


廬山雲霧茶:……目覚めたか。


ストーリー1-4


同時刻

室内


亀苓膏:やめろ!

ロイヤルゼリー:……

亀苓膏:気でも狂ったのか?早くやめろ!

ロイヤルゼリー:……


 室内は荒れ果てていた。花瓶や茶碗は砕け散り、寝台上にある布団まで切り裂かれていて、急いで駆けつけた一行は目を丸くした。


ワンタン:おやーーこれはなかなかの惨状だ……

亀苓膏ワンタン!最近はただでさえ「物騒」なのに、君はまた面倒事を持ち込んだのか!これはまたどこから攫って来たんだ?!


───

⋯⋯

・今回ばかりは私とは関係ないぞ。

・ちょうどいい、私も聞きたかったところだ。

・それは彼らに聞いてくれー

───


天津煎餅:えっと……あの……むやみに動かないでください、傷口が開いちゃいます……待ってください、どこに行くつもりですか?!

佛跳牆:放っておけ。

天津煎餅:親分!まだ怪我が治っていないのに、そんな……

佛跳牆:ここは忘憂舎、景安商会ではない、出しゃばるな。

ワンタン:そんな事、気にしたりはしない。まあ、無理強いもしたくないしな……ここから出たいのなら、好きにさせてやれ。

天津煎餅:じゃっ、じゃあどうして当時親分を引き留めたんですか?もしかして……もしかして彼が堕化するのを恐れて、保身のために……

佛跳牆:黙れ。

天津煎餅:……


 天津煎餅佛跳牆に遮られたことで、自分の失言に気付いたのか、口を閉ざし、反省している子どものように大人しくなった。


ワンタン:はぁ……そんな深刻そうな顔をするな。確かに堕化したら厄介だが……共倒れになるよりも、まず彼の体力を消耗させた方が良いと判断したまでだ。あの様子ならそう遠くへも行けないだろう。

天津煎餅:……すみません、わたし……


 ワンタンは手を振って、謝罪の言葉を遮った。そして一行は、その食霊がよろめきながら出ていく様子を見守った。


ロイヤルゼリー:ハァ……ハァ……

カニみそ小籠包:止まれ!


 突然の叫び声で、天津煎餅はまたビクッと驚いてしまった。誰かがあの食霊を助けに来たのかと思い部屋を出て見ると、そこにはじゃれている子ども二人の姿が見えた。


カニみそ小籠包:止まれ!今度こそ、今度こそお茶にお酢を入れるその悪癖を直してやる!

小籠包:ほっほ……捕まえられるかのぉ?うわっ!


 バシャンッ--


小籠包:おや?何かにぶつかってしまったか?

カニみそ小籠包:ひっ……ひひひとがっ!

小籠包:何をどもっておるのじゃ?ひとがどうした?

カニみそ小籠包:バカッ!ひとを湖に落としたんだよ!!!

小籠包:なんと?!


ストーリー1-6


 あの食霊の怪我はそれ程酷くはないが、何故か体は不気味な程に炎に覆われていた。しかし湖に落ちると、まるで海に沈んだ石のようにピクリとも動かなくなった。

 その様子を見た天津煎餅は、いてもたってもいられず飛び出した。


天津煎餅:どいて、どいてくださいっ!


 バシャンッ--

 再び水しぶきが上がった。湖に飛び込んだ青年はすぐに金色の人影を見つけたが……彼のそばには何故か女性の姿があった。


天津煎餅:(おかしい……彼女は……何をしているんだ?!)


 金髪の食霊の肩を押さえて沈めようとしている女性を見て、青年はその食霊を助けようと駆け寄った。しかし、水の中ではこのか弱い女性の力にはかなわない事に気付く。


天津煎餅:(クソッ……もうすぐ……限界だ……)


 息苦しさに襲われ、彼の目の前は真っ白になり、体から力が抜けていくのを感じた。すると、口の中に何かを押し込まれたような感触の後、気付けば水中にいながら自在に呼吸が出来るようになった。

 岸にいた者たちは、湖面下の騒ぎについては何も知らない。彼らは湖の周りをぐるっと囲んで、腰をかがめて湖面を眺めていた、まるで珍しい宝物がそこにあるかのように。


佛跳牆:どうしてまだ上がってこないんだ……

ワンタン:安心するといい、この湖で事故を起こすのは容易ではない。なにしろ、伏兵がいるからなー

佛跳牆:伏兵?


 会話が終えるとすぐに静かな湖面にさざ波が立ち、一人の女性が湖から姿を現した。彼女は青ざめた顔で少し辛そうに、片手に天津煎餅を、もう片方の手で気を失っている食霊を掴んでいた。


佛跳牆:ここは……

西湖酢魚:あっ、貴方が落としたのは、この金の食霊ですか……それともこの銀……銅の食霊ですか?

佛跳牆:???

ワンタン:ぷっ……どっ、銅の、食霊……ハハハッ……


 全身が震える程に笑いを堪えるワンタンを見て、佛跳牆はやっと状況を理解した。


佛跳牆:……あんたのその悪趣味は、より一層酷くなったようだな……女性に妙な物語なんかを読ませるな……

天津煎餅:一体どうなっているんですか?どっ、どうしてさっき、彼を助けさせてくれなかったんですか?あと、さっき食べさせたのはなんなんですか!

西湖酢魚:えっと……それは……その……ワンタンが……

廬山雲霧茶:彼女は西湖酢魚(しーふーつーゆ)、この湖に住んでいる。そなたに食べさせたのは「水行丹」と呼ばれるもの、服用すると水の中でも平地にいるように呼吸が出来るようになります。

西湖酢魚:廬山……水……水が彼の堕化を止めてくれました……

廬山雲霧茶:……なるほど。酢魚、苦労を掛けました。

亀苓膏:まず彼らを陸に上げよう。


 全員が力を合わせて二人を岸に引き上げると、女性はまた湖に潜って姿を消した。金髪の食霊は気を失ってはいるものの、さっきまでのような荒々しさはなく、常人と変わらぬ静かな表情を浮かべていた。


廬山雲霧茶:この食霊が堕化した時、炎に包まれていたが、岸に上がったら消えた。火は水に弱い、きっとこの湖水が彼の堕化を抑えてくれたのでしょう。

天津煎餅:そ、そういえば……

廬山雲霧茶:酢魚はきっとそれに気づいて、そなたを阻止した……彼女を誤解してしまったようですね。


───

⋯⋯

・わたしはなんてことを……

・なるほど……わたしは……

・本当に申し訳ございません!

───


廬山雲霧茶:構わぬ。そなたは彼を救おうとした、その気持ちは彼女にも伝わっているはずです。


───


 言い終えると、廬山雲霧茶亀苓膏の助けを借りて、金髪の食霊を客室に連れ帰った。天津煎餅は足手まといにしかならなかった自分に嫌気がさしたのか、手助けする元気もなく申し訳なさそうな顔で静かな湖面を眺めた。


天津煎餅:何にも気付けなかった……


 佛跳牆は落ち込んでいる天津煎餅を一目見て、今は言葉を掛けても仕方がないと判断したのか、話題を変えた。



佛跳牆:……これで、あの食霊は確かに堕化していることがわかった。

小籠包:堕化……ま、まさか、わしがぶつかってしまったから、堕、堕化したのか?

カニみそ小籠包:バカ、お前のせいじゃないよ。

ワンタン:さて、ここに突っ立っててもしょうがない。小籠包、客人たちを客室に連れて一休みさせてやってくれ。

佛跳牆:待ってください。

ワンタン:うん?

佛跳牆:まだ清算しなければならないものがある。

ワンタン:?


ストーリー2-2


忘憂舎 湖畔


天津煎餅:……青釉の斗笠杯が三つ、屏風が一枚、紫砂の花瓶が二つ、加えて布団が一枚、以上となります。

佛跳牆:これらの品物は、近々景安商会から届けさせる。

ワンタン:気にするな、君たちも別にあの食霊の知り合いじゃないだろう、彼のために弁償する必要はない。


───

遠慮をするな。

・でなければ、今日ここに来た意味がない。

・面倒事を持ち込んだのはこちらだ、弁償しなければならない。

景安商会にとって、大した額ではない。

───


佛跳牆:ましてや、これらは本来忘憂舎への謝礼だ。

亀苓膏:こんなに派手にしていると、災いを引き寄せてしまうかもしれない……

佛跳牆:……さっきも「物騒」と言っていたな。この頃、忘憂舎で何か面倒事でも起きているのか?

亀苓膏:忘憂舎に限った話ではない。中秋節が近いため、皆色々と準備をしている、それを狙って盗みを働こうとしている者も多いそうだ。

佛跳牆:もしかすると、万引きだけではないかもしれない。そうでなければ、埠頭にいた子どもが誘拐だなんて言い出さないはずだ……


 そう言った後、佛跳牆は自分の部下の方を見た。魂を抜かれたようにぼんやりと、何かを悩んでいるようだった。彼は少し考えてから、ワンタンにわかるように目配せをした後、二人は顔を見合わせて笑った。


佛跳牆:……そう言えば、あの西湖酢魚というお嬢さんは一日中湖にいるのか?

ワンタン:そうだ、酢魚には足がない、陸の上で歩く事は出来ないからな。彼女にとっては、水の中が一番居心地が良いんだ。

佛跳牆:なるほど……

天津煎餅:……


 ドンッ--


天津煎餅:うわっ!親分、な、なんで蹴るんですか?!

佛跳牆:謝るならさっさと謝って来い!何をボーっとしているんだ、ここにいても何も始まらないだろう。

天津煎餅:えっ?……はいっ!親分、ありがとうございます!


 青年はようやく我に返って、目を輝かせながら厨房に向かった。


───


天津煎餅:……本には、人魚は剥きエビが好きって書いてあった。酢魚さんは人魚だから、きっと好きなはず……よしっ!これを持って謝りに行こう!

カニみそ小籠包:人魚が剥きエビが好きとか、どんな本を読んだんだ……

天津煎餅:あれ?貴方は!


 廬山雲霧茶の代わりに薬湯を作りに来たカニみそ小籠包だったが、厨房に入ってみると青年が剥きエビを大量に抱えているところに出くわした。彼は明るく笑う青年を見て、思わず頭を抱えた。


カニみそ小籠包:……そのエビで、湖を埋め尽くすつもりか?

天津煎餅:そんなつもりでは、これらは酢魚さんにあげようと……そ、その手はどうしたんですか?

カニみそ小籠包:お前らが連れて来たあいつのせいだよ!口をきいてくれないのはまだいいとして、親切に薬を変えてやろうとしたら、軟膏を奪われて逃げられた!なんなんだよあいつ!

天津煎餅:それは……

カニみそ小籠包:あいつのために弁解するな!廬山が「彼は自分が堕化すると、わたくしたちを傷つけてしまうのではと恐れているため、人目を避けているだけです」って言っていたけど……オレは信じねぇ!

天津煎餅:ご、ごめんなさい……わたしがどうしても彼を助けようとしたせいで、こんなに迷惑を掛けてしまって……

カニみそ小籠包:馬鹿な事を言うな、ひとを助けたのになんで謝る必要がある!酢魚に謝るつもりだろ?早く行け!

天津煎餅:わかりました……


───


 厨房から追い出された青年は、急いで湖の方へと向かった。もうすぐ目的地だというのに、彼は突然足を止めた。


天津煎餅:いきなり酢魚さんに食べ物を差し入れて、おかしく思われないかな……

天津煎餅:いや、でもこれ以上考えてもしょうがない、まずお嬢さんを呼び出そう……酢魚さん!酢魚さん!


 天津煎餅西湖酢魚の名前を叫びながら湖に沿って歩いていたが、一周しても波紋一つ見当たらなかった。


天津煎餅:酢魚さんはずっと湖にいるんじゃないのか、おかしいな……


 その時、突然青年は口を噤んだ。地面に見覚えのある包帯と薬、そして真っ赤な血だまりを見つけ、目を丸くしたのだ。


天津煎餅:ま、まさか……


 心の中の推測を口にする前、少し離れたところから叫び声が聞こえて来た。


小籠包:大変じゃ!武器庫が盗難に遭った!!!

天津煎餅:!!!


ストーリー2-4


亀苓膏:武器庫に賊が入ったのか?

小籠包:ああ!景安商会から送られてきた兵器じゃ、さっき倉庫に入れたばかりなのに、あっという間になくなってしまった!それに……

小籠包:金髪!武器庫から金髪の者が走り去って行くのが見えたのじゃ!

ワンタン:金髪……廬山、あの食霊は今どこにいるんだ?

廬山雲霧茶:……客室にはおらぬ。わたくしとカニみそ小籠包でしばらく探したが、まだ見つかっていません。

天津煎餅:わたしは……湖畔で、包帯と軟膏と、それから……血痕を見つけました……

廬山雲霧茶:湖畔?

天津煎餅:酢魚、酢魚さんも……行方不明になっているみたいです……

廬山雲霧茶:!!!


 天津煎餅の言葉を聞いて、廬山雲霧茶は湖畔の方へと走って行った、他の者もすぐに彼女の後を追いかけた。


廬山雲霧茶:酢魚!酢魚!

亀苓膏:酢魚が廬山の呼びかけに答えないはずがない、彼女に何かあったに違いない!

廬山雲霧茶:……この包帯と軟膏は、まさにあの食霊がわたくしから奪っていった物です。

カニみそ小籠包:クソッ!親切に助けてやったのに、感謝しないどころか、盗みを働いたり、酢魚まで誘拐したのか?!

亀苓膏:……この血痕は、彼の傷口から流れた物に違いない……早く!血痕を追おう!


 簡単に役割分担をしたところ、ワンタン小籠包は忘憂舎を改めて捜索、残りの者は血痕を追う事にした。仲間の安否がかかっているからか、いつも騒がしく言い合っている忘憂舎の面々も、この時ばかりは顔から笑みが消え、真剣な表情を浮かべていた。


───


 血痕を追いながらついには桃林にまでたどり着いた。しかし、血痕がどんどん薄くなっていくのにつれ、一行の顔色も暗くなっていった。


カニみそ小籠包:こいつ、こんなに血を垂れ流しにしているのに、よく逃げられるな……

天津煎餅:ま、また何か誤解があるのではないでしょうか……酢魚さんは歩けませんし、彼も怪我をしているんですから、誰かを背負ってこんなところまで逃げられる訳が……

カニみそ小籠包:今さらあいつを庇うつもりか?あいつは堕化しているんだ、何をしでかすかわからない!


───

⋯⋯

・うるさい!

・何か言いたい事があるなら後で言え!

・人探しが最優先だ!

───


廬山雲霧茶:酢魚!

天津煎餅:!!!


 廬山雲霧茶が呼びかけた先を見ると、桃林の奥で槍を杖がわりにしてよろめきながら立っている者がいた。金髪をもつ彼は、血まみれになりながら、肩に一人の女性を担いでいた。その女性はまさに西湖酢魚だった。


廬山雲霧茶:酢魚!

西湖酢魚:廬山……妾は……大丈夫です……

廬山雲霧茶:しっかりしてください、すぐに連れ戻します。


 廬山雲霧茶西湖酢魚を抱きかかえた所を確認すると、カニみそ小籠包は怒り狂いながら、拳を振り上げてあの金髪の食霊に向かって突進を始めた。


カニみそ小籠包:この野郎、やっぱりお前の仕業か!

佛跳牆:待て、状況がわからない、まだ結論付けるには早い。

カニみそ小籠包:早い?お前も見ただろ!状況ははっきりしている!

佛跳牆:目に見えるものが真実とは限らない。

カニみそ小籠包:貴方は!

亀苓膏:彼の言う通りだ、あそこを見ろ。


 亀苓膏が指さした所を見ると、金髪の食霊の背後、少し離れた場所にある草むらに、見覚えのある人物が横たわっていた。


カニみそ小籠包:そ、そいつは最近お茶を送ってくる茶農家?彼は……まさか?!

亀苓膏:……あいつを連れて行け、ゆっくり尋問しよう!


 カニみそ小籠包亀苓膏は気絶しているお茶農家を担ぎ上げ、彼を抱えて忘憂舎に帰った。


ロイヤルゼリー:おい……

佛跳牆:うん?

ロイヤルゼリー:これ、返す。


 歯を食いしばったまま槍を手渡すと、重傷を負っている食霊は力が抜け、気絶した。


ストーリー2-6


翌日

忘憂舎


カニみそ小籠包:ほっ、本当にあの農家がやったのか?

ワンタン:廬山が自ら尋問したんだ、嘘な訳がないだろう?聞こえなかったのか、あの農家の叫び声は、昔の誰かさんよりも酷いものだった!

佛跳牆:……

カニみそ小籠包:で、でも……この前、あいつからお茶をたくさん買ったのに、どうしてこんな恩を仇で返すような事を……

ワンタン:酢魚は伝説の人魚で、闇市に売れば大金が手に入るという話をどこからか聞いて、欲に駆られたのだろう。頻繁にここを訪ねていたのも、彼女の情報を探るためだったようだ。

カニみそ小籠包:じゃあ……あの食霊は……

廬山雲霧茶:彼が湖に落ちた時、酢魚に助けられただろう?しかし、堕化していたせいで、誤って彼女を傷付けてしまったそうだ。故に昨夜、彼は包帯と軟膏を持って彼女の傷を治療しに行こうとした。しかしちょうどその時、茶農家が彼女を攫う現場に鉢合わせてしまった、だから彼女を取り返そうとしたんだ。

カニみそ小籠包:そ、そうだったのか……だけど……

廬山雲霧茶:彼の傷はもう治しました。何か質問があるなら、自分で聞いて来なさい。わたくしは酢魚の様子を見て来ます。


 廬山雲霧茶はそう言うと、そそくさと立ち去っていった。カニみそ小籠包はしばらく目の前の扉を眺めていたが、やがて躊躇いがちに中に入った。


カニみそ小籠包:あの……か、体の調子はどうだ?


───

⋯⋯

・問題ない。

・大丈夫だ。

・死ぬほどの傷ではない。

───


カニみそ小籠包:……オレ……その……ご、ごめんなさい……勘違いしちゃって……

ロイヤルゼリー:……

ワンタン:まあ、そんなに落ち込むな。どうせこいつはしばらくうちで療養するんだ、許してもらう時間はいくらでもある。とりあえず一旦戻って、ゆっくり休ませてやろう……

天津煎餅:待ってください!まだ質問が!ど、どうして武器庫の物を盗もうとしたんですか?

ロイヤルゼリー:武器庫?あれは……ごみ置き場じゃなかったのか?


 金髪の食霊の真面目な表情を見て、カニみそ小籠包は白い目で部屋を出ようとしているワンタンを見た。


カニみそ小籠包:だから早く武器庫を整理しようって言ったんだ、ごみ置き場に間違われるなんて……

天津煎餅:たっ、例えごみだとしても……どうしてごみを盗んだんですか?

ロイヤルゼリー:立てないから。

天津煎餅:何?

ロイヤルゼリー:怪我が治ってないから、うまく立てなかった。だから杖がわりにした。

天津煎餅:……

佛跳牆:ははっ……面白い、実に面白い!

ロイヤルゼリー:?

佛跳牆:名前は?

ロイヤルゼリー:……言う必要があるのか?

佛跳牆景安商会は人手不足だ、うちに来ないか?

ロイヤルゼリー:……何故?

佛跳牆:重傷を負っている上に、誰も探しに来ない……きっと、行く宛てがないのだろう。

ロイヤルゼリー:……何故俺を……何故お前が。


 佛跳牆はあの金髪の食霊を観察した。彼の顔色は弱々しい青白さを見せているが、目つきは毅然としており、高慢な様子だった。


佛跳牆:俺は人手が欲しい、あんたは腕があるのに口数が少ない、ちょうど良い。

ロイヤルゼリー:……それだけか?

佛跳牆:それだけだ。

ロイヤルゼリー:……嫌だ……

佛跳牆:別に急いでいない、ゆっくり考えると良い。

ロイヤルゼリー:…………ロイヤルゼリー

佛跳牆:うん?

ロイヤルゼリー:…………名前だ。

佛跳牆:それは、同意したということか?

ロイヤルゼリー:なっ……違う!

佛跳牆:ははははっ。

ロイヤルゼリー:何がおかしい!

佛跳牆:そうか……ロイヤルゼリーか、まずはその名前だけ覚えておいてやろう。


ロイヤルゼリー√宝箱


数日後

忘憂舎 湖畔


 夜の帳が下りた頃、星空のように眩い金髪を持つ青年は何かを手にして、湖畔に片膝をついていた。すると、湖から人魚のような美しい女性が姿を現した。


西湖酢魚:またこんなにエビを、ありがとうございます……

ロイヤルゼリー:厨房にある物を、持ってきただけだ。

西湖酢魚:先日は助けて下さって、ありがとうございました。

ロイヤルゼリー:……別に。

西湖酢魚:怪我は、もう良くなりましたか?

ロイヤルゼリー:ああ……どうして、あの茶農家について行ったんだ?

西湖酢魚:?

ロイヤルゼリー:あいつは普通の人間だ、食霊には勝てない……あいつは、お前の仇を見つけたと言って、お前を騙して連れ出したと言っていた……

ロイヤルゼリー:それは本当か?

西湖酢魚:……仇ですか……彼はやはり勘違いしていたみたいですね……

ロイヤルゼリー:?

西湖酢魚:彼に傷つけられはしました、しかし……もう彼を恨んでいません。ただ、今は元気に暮らしていると、これからもずっと元気に暮らしていくと、この旨を伝えたかっただけです。


 少女はあどけない顔を上げ、豪雨のあとに決然と昇る朝日のように明るく綺麗な笑顔を浮かべた。


西湖酢魚:全ての傷は、いずれ治ります。

ロイヤルゼリー:……傷は、全て治る……

西湖酢魚:はい。治したいと思えば、この世には治らない傷なんてありません。

ロイヤルゼリー:……

西湖酢魚:あら……誰か来ましたね、お先に失礼します……


 少女は湖に潜って姿を消した。ロイヤルゼリーは黙ったまま、静かになった湖面を見つめる。過ごした数日で、振り返ることなく、足音だけで誰であるか見当がつくようになっていた。


ロイヤルゼリー:何か用か?

佛跳牆:この前の提案は、考えてくれたか?

ロイヤルゼリー:……

ロイヤルゼリー:お前は、俺を裏切ったりするか?

佛跳牆:する。

ロイヤルゼリー:……

佛跳牆:どうして俺を睨む?人生は長い、これからの事を誰が予測出来る?裏切らないと言い続けて、最後にあんたを陥れるよりも、最初から正直に話した方が良いだろう。

佛跳牆:余計な期待がなければ、傷つくこともない、だろう?

ロイヤルゼリー:……考えておく。

佛跳牆:俺たちは明日ここを発つ、それまでに返事をくれ。

ロイヤルゼリー:わかった。


 去っていく男の姿を見ていると、ここ数日の思い出が蘇った。ロイヤルゼリーはきゅっと唇をかむ。もしかしたら、そのひとは、本当に自分の過去の傷を治してくれて、新たな人生を歩めるようにしてくれるかもしれない……


ロイヤルゼリー:うぅ……


 慣れ親しんだ感覚が突然わき上がって来て、瞬く間に全身を焼き尽くす。少し離れたところの笑い声を聞きながら、ロイヤルゼリーは苦しそうに拳を握り締めた。


ロイヤルゼリー:クソッ……よりによってこんな時に……これ以上……あいつらに、迷惑を掛けられない……


 完全に意識を失い、この短くも楽しい時間をすっかり忘れてしまう前に、ロイヤルゼリーは唇を噛みしめ、よろめきながら忘憂舎から逃げ出した。


佛跳牆√宝箱


数日後

忘憂舎


小籠包佛跳牆ロイヤルゼリーをまたどこに隠したのじゃ?

佛跳牆:また?俺がいつあいつを隠したと言うんだ。

小籠包:嘘をつくでない!ロイヤルゼリーが行方不明になる時、彼を見つけ出すのはいつもおぬしじゃ!おぬしが彼を隠したに違いない!

カニみそ小籠包:バカ、彼がロイヤルゼリーを隠してどうするんだ?あいつはきっと俺たちがうるさくしているから、またどっかに隠れているんだろう。

小籠包:……わしは、そんなにうるさいかのお……

佛跳牆:……ロイヤルゼリーを探しているなら、あそこの林の中に隠れているだろう、今行けば見つかるかもしれない。


 二つの小さな影が林の中に駆け込んで行くのを見て、佛跳牆は思わず口角を上げた。


佛跳牆:ははっ、ロイヤルゼリー、逃げ場はないぞ。

天津煎餅:親分!この前、ロイヤルゼリーを商会に入れると言ったのは嘘じゃないんですか?

佛跳牆:まったく、面倒事は続けてくるな。

佛跳牆:どうして俺がそんな嘘をつく必要がある?

天津煎餅:えっ……まさか、親分がそんな親切な事をするなんて……

佛跳牆:はっ、彼がつけている玉を見ていないのか?見間違えでなければ、あれは北朔の物だ。彼は、そこの出身かもしれない。

天津煎餅:北朔……ずっと提携したいと言っていたあの……ああ、そんなことだろうと思いましたよ……

佛跳牆:?

天津煎餅:別に……では結果は?彼は来てくれるんですか?

佛跳牆:いや。

天津煎餅:……やっぱり……

佛跳牆:だが、断られてもいない。

天津煎餅:それって希望があるって事ですよね!

佛跳牆:それにしても……

カニみそ小籠包佛跳牆の嘘つき!ロイヤルゼリーは林にいないぞ!

佛跳牆:いまなんて?!


───


翌日

市場


天津煎餅:あーあ……

佛跳牆:……

天津煎餅:誰かさんが自信満々に言っていたので、てっきりロイヤルゼリーが商会に入るのは決定事項だと思っていました……まさか……はぁ……

佛跳牆:……もういいだろう?今月の給料はいらないのか?

天津煎餅:文句ぐらい言わせてくださいよ……まったく、あいつ、なんで黙って逃げたのでしょうか?

佛跳牆:安心しろ、また会える。

天津煎餅:え?彼がどこに行ったか知っているんですか?

佛跳牆:知らない。

天津煎餅:……

佛跳牆:睨むな。俺の船が行けない場所があると思うか?世界は小さい、あのロイヤルゼリーは逃げられない。

佛跳牆:いつかまた会える。



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タイトル FOOD FANTASY フードファンタジー
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ゲーム概要 美食擬人化RPG物語+経営シミュレーションゲーム

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