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パネトーネ・エピソード

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パネトーネのエピソード

活発でサッパリした、おおらかで細かいことは気にしない少女。機械知識の研究が大好きな手工芸の達人であり、その上、自ら「発明家」を名乗っている。ある方面では型破りな思考回路を持っているため、ユニークで奇抜な道具や発明品をよく作り出す。

Ⅰ.機械授業


「……パネトーネ、これがお前の提出作品か?」


広い教室で、黒髪をピカピカに光らせた機械工学の教授が眉をひそめ、恐ろしいほど厳しい顔をしている。

周りでは次々と、ヒソヒソとした噂話の声が聞こえてくる。


「見てよ、またあの変な発明を持ってきたよ」

「あの機械の鳥、前回は羽根が落ちて教授の腕を切ったんじゃなかった?よくまた持ってくるよな」

「教授を切ったことなんて序の口だろ?前にやった天気シミュレーター、教室全体を吹き飛ばしかけたんだぜ?それでもあきらめずに改良続けてたじゃん。結局全部ゴミだったけどな、はは……」


こういう嘲笑の言葉は、とっくに慣れっこだ。

私は顔を上げて、教授の言葉にまっすぐに答えた。


「私は機械の羽根の構造を再設計しました。これで確実に…」


「もういい、どうやらお前はまだ、この授業の意義が一体何なのか分かっていないようだな」


教授は手を振り、私に機械の鳥を持って戻るよう合図した。


「でも教科書通りに、もう量産されていたり時代遅れになった機械をただコピーすることに、何の意味があるんですか!」

「偉大な発明ってのは、みんな大胆で風変わりな考えから始まったんだってば!」


「先人たちの創造はたとえ時代遅れになっても、それなりの意義は存在する。基礎理論を叩き込むのも、経験をまとめるのも、今の君たちに必要な学びだ。」

「そのように革新を望むなら、クリエイティブコンテストに出るがいい。ワシの授業に出る必要はない。」


周囲の噂話の声はますます大きくなる。私は気づいた、これ以上言い争っても何も変わらないと。


教室のドアを背後でバタンと閉めると、私は校舎を飛び出した。


分かってない、みんな何も分かってない!


教科書の機械だって何度も作ったんだよ、先人の発明をないがしろにしたことなんて一度だってない!ただ…


ただ私はすごく…すごく早く…自分が納得できる、役に立つ作品を作りたくて…


みんな、何も分かっていないくせに、自分の気分だけで私を変人扱いして…


御侍様も…きっとこういう、してるんだろうな…


くそっ、私がもっと…


え?ここは…


勢い余って走り回り、気づいた時には周囲は完全に見知らぬ景色になっていた。


かすかな金属の軋む音が遠くから聞こえる…私はその音の方向へと歩かずにはいられなかった。


それはどこかの研究所の裏庭らしく、広い空き地に様々な石が積まれ、丸く囲んでいて、真ん中にはショートヘアの少女が座り、何か道具を手にしていた。


さっきの金属音…彼女が出した音だろうか…


私は興味深げに辺りを見回したが、視線が通り過ぎた瞬間、大きな石にもたれかかった梯子が不安定に揺れているのに気づいた。今にも倒れ落ちそうだった。


しかし彼女は全く気づいていない様子だ。


「おい!危ない──!!」


声が終わる前に、梯子は傾いて倒れ落ちた─


「わあああああ──!!」


やばい!


少女は避けるどころか、体を伏せてその石を守った。


私は慌てて梯子を支え、勢いで彼女のケガを確認した。


まともに当たった腕はすぐに赤く腫れあがったが、幸い骨までは傷ついていなかった…


「わあああ──私の大事な石!よかった、壊れてなくて…!」


「あんた…こういう時はさっさと避けるべきじゃない?なんで石を守りに行ったんだよ!石が傷つくわけない…」


「そんなこと言ったら石たちが泣いちゃうよ!彼らは歴史の試練を繰り返し受けて、やっとこうやって貴重な痕跡を残せたんだよ…そんな無念の災難に遭わせられるもんか!」


「何…言ってんだ?」


「あ、ごめん、私が興奮しすぎて…」

少女は夢から覚めたように、少し申し訳なさそうに笑った。


「私は考古学科のキャラメルマキアート。これらはとても貴重な化石なんだ。その上には時間についての秘密が記録されてる…この石たちにしか分からない秘密さ!だから絶対に傷つけるわけにはいかないんだよ!」


「えっ──うちの大学に考古学なんてあるんだ…」


「学院がすごく軽く見てる証拠だよ。宣伝すらしてないし、きっとほとんどの人が考古学科なんて知らないよ?それなのに君はこんなに真剣に働いて…本当に君に不運だと思う!」


「なんで?私は誰かに重要視してもらうためとか、考古学科の存在を知ってもらうためにこれやってるわけじゃないもん」


「えっ…?」


少女は確信した様子を微塵も変えず、きれいな光を目に宿していた。


「私がやってるのはただ好きだからだよ、考古学そのものと、その研究が持つ意義が好きなんだ!他の人が知っても知らなくても、重要視してもしなくても、それは彼らの問題だよ」


その瞬間、私の胸中も突然、ほのかに熱い火の粉を走らせた。


そうだ、そうだ!


元々私は教授の認可やクラスメイトの称賛を得るために、あんな機械を作ってるんじゃない!


私もただ、機械そのものと、それがこの世界にもたらす計り知れない価値が、単純に好きなだけだ!


心に火が再び灯った興奮は、すぐにそれまでの落ち込みを忘れさせた。


「ありがと、マキアート!でも私今とっても大事なことがあるんだ、だから先に行くよ!」

「あと、さっき「石は傷つかない」って言っちゃって…ごめんね!」


少女はまだ何か言おうとしているかのようだったが、私はもう来た道の方へと走り去っていた。


だって、さっきの瞬間、とてつもなくすごいアイデアが、僕の頭の中でひょっこりと芽を出したんだから!


Ⅱ.再製


時は金属のぶつかり合う音の中で静かに過ぎ、カレンダーはあっという間に機械クリエイティブコンテストの当日を迎えた。


この日こそが、長い間寝る間も惜しんで取り組んできた成果を証明する日だったはず。


だが、私は自分が思っていたよりずっと落ち着いていた。


「ここに、今回のコンテストで一等賞を獲得したのは──パネトーネ!」


司会者の高らかで熱のこもった声が四方八方から届き、同時に何本もの驚きの視線も飛んできた。


それでも私は、今までにないほどの平静さを感じていた。


「なに、あの代物が受賞しただと?」

「どうやら今年の審査員のレベルは高くなさそうだな」


言えよ、言いたいだけ言えよ…どうせ君たちにできるのはそれだけだろう…

もうとっくに慣れてるんだから。


「お前たちのような生徒を教えられるとは、どうやらワシのレベルも大したことないようだな」

騒々しい噂話の中、一つだけ聞き覚えのある声が耳元に不意に届いた。


「教、教授!?」


パネトーネ、今回はよくやった。今回のコンテストの審査員の一人としてな…機械工学の授業を二週間連続で休んだ件は、不問としておこう」


「ええ…ありがとうございます!それと…あの時の授業のこと、それにあなたの腕を切ってしまったこと…本当にすみませんでした!」


「ふん、お前よりもな、毎回失敗しても周囲の環境のせいにする人の方がよっぽど謝るべきだ」


あれ、もしかして「レベルが低い」って言われたのが気になってるのか?


見た目は厳格な教授でも、こんな子どもっぽい一面があるなんてね。


私はこっそり笑いながら、ビクビクした謝罪の声に紛れて表彰式からそっと抜け出した。


あの石でいっぱいの庭に再び来た時、私の気持ちは前回とは全く変わっていた。


マキアートを探し当て、彼女がまだポカンとしている所に、もう一度全力で感謝を伝えた。


それはトロフィーのためじゃない。彼女が教えてくれたこと──重要なのは他人の認めや賛辞じゃなくて、そのトロフィーを勝ち取るために費やした、私自身の努力なんだってことに気づかせてくれたことへの感謝だった。


その日以来、私はマキアートと親しい友達になった。


そしてその時初めて知ったのは、彼女がすでに学内でかなり有名な古物修復師だってことだった。


それでも、彼女は決して偉そうな態度を見せず、私の発明をとやかく言ったり、嘲笑ったりすることはなかった。

私は彼女からしばしば思いがけないインスピレーションをもらうこともあった。


その後、私の発明品は彼女の考古学仕事でも少しずつ役立つようになっていった。


私にとって、私たちは二つのかみ合った歯車のようなもの。それぞれの道を進みながらも、一緒になって熱いエネルギーを放っているんだ。


「マキアート、見て!機械小鳥の最新バージョンだよ!これで君の考古学発掘の効率も倍増……ん?引っ越すの?」


その日、私はいつものようにマキアートの研究室を訪れたが、目に入ったのは次々に荷造りされた荷物の数々だった。

道具を整理していたマキアートが顔を上げると、彼女の目には普段とは違う、どこか憧れに満ちた光が浮かんでいた。


「引越しじゃない。魔導学院を離れて外の世界を旅することを決めたんだ」


突然の言葉に思わず私は言葉を失った。


「魔導学院を離れる?!でも…」


「この大陸にはまだ見る価値のある場所がたくさんある。私は自分の目で見に行きたいんだ!これは私がずっと抱いていた夢なのさ!」


彼女の変わらぬ確かな口調を聞きながら、私は少しぼんやりとした。


あれほど優れた能力を持っている彼女が、もし学院に残って学び続ければ、きっと名誉と財産を手に入れられたはずなのに…


でも名誉も富も、貴重な経験や彼女の心からの熱情には代えられない…やっぱり、これがマキアートなんだな!


それでも私は思わず指を曲げて彼女のヘルメットをトントンと軽く叩いた。


「そんな大事なこと、前もって教えてくれないなんて!せめてちゃんとお別れくらいさせてよ」


「だって、君の部屋からこの何日間も七色の煙がモクモク出てるのを見かけたからさ…変な実験のアシスタントにされるのは勘弁だよ」


「なにが変な実験だよ!そんなこと言われたら、僕の新開発の機械小鳥が泣いちゃうぞ!」


「あはは、ごめんごめん!」


すぐに雰囲気はいつものおしゃべりと笑いに戻ったが、私の目尻は知らぬ間にうっすらと濡れてきた。


「あ、そうだ。この機械小鳥、もう名前を決めてあるんだ…啾ちゃん、君にプレゼントするよ!あの子、もう君と一緒に何度もフィールドテストしてきたし、これからもきっといっぱい手助けしてくれるはず」


マキアートは少し戸惑ったように、そして首を振った。

「ダメだよ。これは君が初めて賞をもらった作品だろ?記念になるだけでなく、これからの君の助けになるかもしれないんだから…」

「それに、君は私のために特別な道具を山ほど作ってくれて、全部長く使えるものばかりなんだよ」


「そっか…分かったよ、偉大なる探検家さん。もし何か壊れたら、手紙で連絡してね。生涯保証すると約束したから~」


「あはは、そうだね。次に会う頃には、君は魔導学院一の発明家になってるかもね!」


私は笑って答えながらも、別れの前夜に急いで新しい機械式ショベルをこしらえ、最後のプレゼントにした。


その日、背中に大きな荷物を背負った後ろ姿が昇る朝日の中に消えて行くのを見送りながら、どういうわけか、私の心にまたもや何とも言えない虚ろな感覚が浮かんだ。


魔導学院…で一番の発明家かぁ…


ふん…別に大したことないじゃん。


私は振り返って、後ろにそびえる巨大で威風堂々とした建物を見た…


たぶん、私もそろそろ自分がこれから進む道について考え始めてもいい頃なのかもね。


Ⅲ.提案


マキアートが去って間もなく、私は彼女がかつて使っていた仕事場に引っ越した。

ただ、この慣れ親しんだ空間にいても、普段のように集中して作業することはできなかった。


手から何度もネジが転がり落ちたのに、頭の中はただ過ぎ去る空ろな感覚と、どこか寂しい気持ちでいっぱいだった。


最初は、親しい友人の突然の別れにまだ慣れてないだけだと思っていた。

しかし周りの様々な形の機械製品に視線がふと触れた時、まるで思い出のスイッチが誤って押されたかのように、幾つかの言葉が突然心に浮かび上がってきた──


「そういえば、パネトーネってあんまり自分のごし(※御侍)さんのこと話さないよね?」

ある日の午後、マキアートが飴玉を噛みながら、好奇の目を私に向けてきた。


「ちっ、さすがあの怪人の食霊だ。作る物までおかしい」

休み時間、教室でクラスメイトの囁く声が耳に届いた。


それらの声が入り混じり、私はふっと我を忘れ、記憶はますます遠くへと飛んでいった。


……


一日中作業台に没頭し、手から工具を離さなかったあの男、それが私の御侍だ。


彼の発明創造への熱情と才能は、私の見る限り誰にも比べるものではなかった。


そしてまさに彼の影響で、私はこの機械で築かれた不思議な世界に触れるようになったのだ。


この金属たちに自らの手で豊かで鮮やかな命を与えられることに、私は心から喜びと誇りを感じた。でも、ごしcolor(#dddddd){(※御侍)}さんが機械製造の分野で天才的な創造力を持っていたとしても、それでもやはり私同様に、学院のほとんどの人から認められてはいなかった。


みんなは彼を「怪人」と呼び、少しの敬意もなく、むしろ嘲笑に満ちていた……


でもごしcolor(#dddddd){(※御侍)}さんはそんな雑音を全く気にせず、終日自分の創造に没頭していた。

それが、普通であるはずのたった一度の試験が、思いがけなく彼の命を奪うまで。


「想像する勇気があって初めて、あらゆる思い描いたことを現実に変える可能性が生まれる。結果が結局は無駄に終わっても、最後に何も得られなくても……」

「君の勇気も、努力も、奪われることもなければ真似されることもない、君だけの偉大な創造なんだ。」

「大事なのは結果じゃない、創造の過程そのものだ。パネ、君にも……ずっと頑張り続けてほしい。」


別れの前、彼は私にそう言い残してくれた。

まさにこの言葉こそが、私に彼の仕事を継ぐことを選ばせたのだ。


だが思いがけなかったのは、かつて彼を認めなかった人々が、彼の死後もよくあの事故の話を冗談にし、さらには彼の行った全てを否定し続けたことだった。


他人の目は気にする必要なんてないと分かっているが、時たまわずかばかりのやりきれなさが沸き起こることもあった。

ただ、多くの花と少しばかり違っているからって、陽光を受け入れることができず、庭園では生きられないと言うのだろうか?


いや、たぶん……


庭園なんて大して良くもない。


外の世界のほうが……ずっと広いのだから……


「コンコン、コンコン──」

突然のノックの音が静寂を破り、私は遊離した思考を取り戻した。


「すみません、キャラメル・マキアートさんは在宅でしょうか?」

優しい女性の声がドアの向こうから響く。ドアを開けると、そこには見知らぬ、可愛らしい見た目の少女が立っていた。


「えっと、マキアートはもう学院を離れてしまって、しばらく戻る予定はないんですけど……」


「ええ??じゃあ遺跡の発掘は間に合わないってこと……?」


「掘り出し?」

彼女の言葉の中のキーワードを掴み、私は思わず尋ねた。


「はい…観測点が最近地下遺跡を調査してるんですが、地上の入り口が狭くて、周辺の地形が複雑すぎて、掘削中に崩落のリスクが高いんです。だから経験豊富な専門家の支援が必要で……」

「マキアートさんがよく発掘作業をされていると聞いたので、助けをお願いしに来たんですけど、まさか……」


少女は丁寧に説明した。私は真剣に聞きながら、心の中に突然新しい考えが芽生えていた。


「マキアートはいないけど…もしかしたら、私が代わりに行くこともできるかもしれない」


「えっ?」


Ⅳ.誘い


「この機械小鳥はね、地下の様子を探れるだけでなく、ゆるんだ土をその場で補強できるんだ!それに体も小さくて、ほんのちょっとの隙間さえあればすり抜けられるから!」

「この子、前にマキアートといろんな発掘作業を一緒にこなしてきたんだ。改良もたくさん重ねてきたから、まさにベテランのプロフェッショナルってわけ!」

「もし必要なら、今すぐにでも動かせるよ!」


私の話を聞いて、少女は目をぱっちり見開き、その後にいくらか嬉しそうな表情を浮かべた。


「すごい!すぐに所長に報告してきますね!あ、そうだ、私は地質観測点のフィンブルーベリーパイです。お名前をまだ伺っていませんでした」


パネトーネって呼んでね」


「はい、覚えました!」


フィンブルーベリーパイが待ちきれないように立ち去る後ろ姿を眺めながら、少しだけ不安が後からじわっと込み上げてきた。


勢いで提案はしたけど、やっぱりこれは専門機関からの依頼だ。私の発明品…本当に役に立てるんだろうか…


観測点のスピードは私が思っていたよりもずっと早く、間もなく私は観測点の所長、タルタル牛肉とともに遺跡のある場所へ向かっていた。


皆好奇の視線を注ぐ中、私は機械小鳥を取り出した。


「…小鳥だったのか?どう見ても探査機には見えないけど…」

「おもちゃみたいな代物…本物のプロの作業の代わりになるの?」

「もし穴を掘ってる最中に入口の通り道を壊しでもしたら、私たちの努力はすべてパアになっちまうぞ…」


たった一秒もせず、噂話の声があちこちから漏れ始めた。


探るような視線が網の目のように覆いかぶさり、一瞬息が詰まりそうになった。


ただの嫌がらせじゃない…そして結果は大事じゃないって言ったけど、でもこの結果が他の人たちに影響するかもしれないって思うと…


突然、私の前に立った人物から、もっと大きな声が響き渡った。


「はは、さすがクリエイティブコンテストで一等賞を取ったプロフェッショナルは違うな!見た目からしてこれだけ個性的だ!やっぱりね、優秀でトップクラスの発明家ほど、生み出す作品は風変わりなんだよな!」


「それにシミュレーションテストの速さも、うちの今まで使ったどんな機材よりも速いんだぞ!プロフェッショナルの仕事は本当に心強いよ!」


タルタル牛肉の落ち着いて緩やかな口調は、まるで安定剤のようで、たちまちあちこちからの噂話の声を鎮めてしまった。


思わず彼を見つめたところ、ちょうど全面に認めと信頼の気持ちを浮かべた彼の視線とぶつかった。


信じられないことに、心にかかっていた焦燥感は急にいくらか引いて行った。


私は深く息を吸い込み、タルタルビーフ(※タルタル牛肉の助けを借りながら作業を始めた。

事前に地形図をしっかり確認していたおかげで、思っていたほど難しくはなかった。


最終的に機械小鳥はその使命を見事に果たした。

周りからは驚きと称賛の声が上がり、私は少しずつ胸をなでおろしながら、今までにない満足感を心に味わった。


ただ、これで全てが片付いたと思いきや、タルタル牛肉フィンブルーベリーパイが再び私を見つけてきた。


パネトーネさん、この度は本当にありがとうございました。今回ご協力いただいたおかげで、我々調査隊の任務も滞りなく進めることができました」

制服姿のタルタルが大きな笑みを浮かべながら話す様子は、前回現場で見せた頼もしい姿とは少し異なるニュアンスを帯びていた。

「というわけで、これが観測点からの謝礼です。パネトーネさん、ぜひお受け取りください」


彼の口調はとても誠実だったにもかかわらず、私は首を振った。

「お金はいいよ。ただ私の大切な発明たちが活躍の場を得ることが、最高の報酬なんだから」


パネトーネお姉ちゃんの発明ってすごい!それに機械小鳥だけじゃなくて、ここの機械全部すごくカッコイイね!」

ブルーベリーがそう言うと、澄んだ目の中に光が溢れる。


「そうですね、僕もパネトーネさんのお作りになった品物にとても興味がありますよ。ぜひご拝見する光栄を頂けませんでしょうか?」


「あの…私の発明に興味があるって?それに…変だとは思わないの…?」


この言葉を受けて、タルタルは何かに気づいたかのように爽やかに笑った。

「もちろん思わないさ。これらの作品は、創作者が膨大な情熱を注いでいるのは明らかだ。パネトーネさんはきっと多くのアイデアと努力を捧げて、これらの唯一無二の発明品を創り出せたのだと思う」


「うん!私も所長の意見に賛成!こんなにも近くで拝見させてもらえるなんて、私たちにとっても光栄です」


二人の思わぬ言葉に、私はその場に釘付けになってしまった。

まるで何かが心の中に差し込んだかのように、混乱していた心の霧が段々と消え去っていった。


そうだ、これらの機械製品はみんな私だけの唯一無二の宝物なんだ!それに、その限りない価値を見出せるのは私だけだから!


過程だけでなく…努力して生み出した結果もこんなに満足させてくれる、これ以上はないことだ!


「あ、そうだ。実はもう一つご相談がありまして」

「今後も、パネトーネさんには引き続き観測点と協力していただけないでしょうか?」


「え?つまり…観測点はこれからも私の発明を使ってくれるってこと?」


「はい。もし可能なら…」


「承諾した!」


私は即座にそう言った。


「きっとこのチャンスを確実に掴み取って、私の大切な子たちにもっといろんな場所で、本当の価値を存分に発揮してもらうから!」


Ⅴ.パネトーネ


「ドゴォン!」

観測点の中庭に轟音が反響し、巨大な歯車ベルトが芝生を轢き割り、もうもうと砂煙を巻き上げる。


「……無理、吐きそう……やめてくれ……」


「これでもまだ試験の第一段階なのに~?その本当の実力はまだぜんぜん出し切れてないんだからさ!」

「もう少し我慢してよ、実験が成功したら、今度はクロカン車にも変身できるようにするんだぞ!」


「はあ??クレーン機なのに、そんなのまで必要……わああああああ!!」


タルタル牛肉の悲鳴が中庭全体に響き渡る。たまたま通りかかったトカイは、宙に放り出されそうな姿を目にし、思わず眉をひそめる。

「……地質観測点は、いつもこんな有様なのか。」


「ええ……だってパネトーネの試作機って、いつも個性的ですからね。」

隣のカプリケーキは揺るがぬ穏やかな笑みを浮かべ、最早見慣れた光景といった風情だ。


それを見て、フィンブルーベリーパイも言葉を継いだ。

パネトーネお姉ちゃんはどんどん凄くなってるよ。今は彼女の作品を買いたいって人も増えてるんだ。結局はテストパイロット役をやらされるって分かるとみんな諦めちゃうけどね……」

「でもお姉ちゃんが観測点に来てから、所の仕事用に新しい発明品をたくさん作ってくれたんだよ!前に作った空飛ぶショベルカーとか、ベッドにもなれるブルドーザーとか…」


「…………」


トカイは信じがたい名前を聞きながらも思案深そうに黙り込み、ついに沈黙を選んだ。



日が暮れかけ、夕焼けの温かな光が雲の層を染めていた。

パネトーネが仕事場に戻ると、ちょうど遠方から届いた一通の手紙を受け取った。


封筒を開け、見覚えのある筆跡に彼女は喜びを隠せない。


パネトーネ!元気にしてる?この手紙が届いた頃には、きっと僕たちはもう北へ向かってるはずだよ。」


「実は、私が学院を去った後、地質観測点が連絡をくれたんだ。でも私は思ったんだ、多分君にこそ学院以外の新しい環境が

必要なんじゃないかって…だから勝手に君を推薦しちゃった。」

「まさか君が本当に観測所に入るなんて!噂じゃあそこは簡単には入れないんだろ?どうやら君の発明がどんどん認められてきてるみたいじゃないか~さすがパネ!」


「次に会える日が楽しみだよ!その時には、すごい発明家パネトーネがきっと私にたくさんのサプライズを見せてくれるよね!」


手紙の最後に視線がゆっくり落ちた頃には、少女の心には言い表せない感動が溢れていた。


親友であるマキアートの存在も、理解されなくても認められなくても決して諦めなかった、発明へのこの熱意も…。


自分の決断と固執は、やはり正しかったのだ。


彼女はあの日、大きなリュックを背負い決然と旅立つマキアートの背中を再び思い出した。

今となっては、自分を支え続け歩ませる力の正体もついに分かった。


熱意を追い求める純粋な心こそが何よりも大切なのだ。

それに何より、今の自分には無意識のうちに、寄りかかれる安全な港と仲間たちも揃っているのだから。


ぽろぽろとこぼれ落ちる涙を抑えきれずにいた時、ちょうどタルタル牛肉がドアの外に現れた。


「あれ?パネ、どうしたんだ?なんか悲しそうに見えるけど…さっきのテスト結果が思わしくなかったとか?」


「ふっ!誰が言ったのよ!私のスーパークレーンⅡ号は現在最高に完璧なんだから!」


「でもさっき泣いてるの、見えちゃったんだよ…」


「……泣くなんてしてないわ、ただほこりが目に入っただけ!見なかったことにしてくれなきゃ、次の実験の対象はもう即決で君ってことになるんだからね。」


「え、待ってそんな突然は…!?はあ…まあ君の実験に捧げられるのは科学と観測所の安全のためとはいえ名誉なことだけどね~」

「ただしさ!──お互いの成長のためにさっきから新しい料理に挑戦してるんだ!かき玉チョコレート、抹茶豚骨スープ、ラテアートトムヤムクン…どれから試食してくれる?~」


「ヤダ!絶対ヤダ!!」



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