「白詰のくノ一」しろつめ_include

しろつめ「あたしを仲間に？それってつまり、護衛任務ってこと？」

主人公「えっと、そういうことになるのか。」

しろつめ「任務ならうちの頭領に通してもらわないと引き受けられないのよねー。」

しろつめ「まあでも、今は他の任務も入ってないし、たぶん大丈夫だと思うよ！」

しろつめ「掟で頭領に話を通さないとダメってだけだし、ちゃんと筋を通せば仕事は受理してもらえるからね。」

主人公「なるほど、掟かあ……。忍者もいろいろ大変そうだよな……。」

しろつめ「そーそー。」

しろつめ「おしゃれだってできないし、仕事以外であんまり人と仲良くできないし、それに……、」

しろつめ「って、これ、ここだけの話ね！」

主人公「あ、ああ。」

しろつめ「頭領に聞かれるとまたうるさいからさー。」

しろつめ「いつもはあんまりこんなこと言わないんだけど、君にはなんだかつい話しちゃった。癒術士だからかなあ……。」

しろつめ「そういえば、癒術士ってモンスターを癒すためにいろんなところを旅してるんだよね？」

主人公「まあ、そうだな……。」

しろつめ「いいなあ……。あたしと同じように役目を背負ってるのに、自由なんだもんなあ……。」

しろつめ「はあ、あたしも自由になりたいよ～……。掟さえなければな～……。」

主人公「そこでの仕事はやめられないのか？」

しろつめ「ムリムリ！うちはフリーランスも、任務以外で里を出るのも掟で禁じられてるから」

しろつめ「里抜けなんてしたら、すっごく怖いおしおきされちゃうもん。」

主人公「そ、そんな怖いおしおきが……！？いったいどんなおしおきなんだ……？」

しろつめ「き、きかない方がいいよ！夜、眠れなくなるかも……！」

主人公「そう言われると余計に気になってきた……！」

しろつめ「……わかったよ、しょうがない。おしおきってのはね……、」

しろつめ「まず体を拘束されるの。」

主人公「拘束……！？」

しろつめ「逃げ出せないようにね……。それで里のみんなの前で……、」

主人公「前で……？」

しろつめ「昔書いた恥ずかしい作文を音読されるの……！さらに隠しておきたい趣味グッズまで広げられる始末……。」

しろつめ「事前に処分しようとしても、なぜか頭領が異変に気づいて駆けつけるから不可能なうえ」

しろつめ「自分で再び見れば思わず転がって手足をじたばたさせたくなること必至……！」

主人公「そ、それは……！」

しろつめ「前に里抜けをしようとした忍びがその刑を受けていたのを見たことがあるの……。」

しろつめ「かわいそうに、みんなの前で隠していた育毛剤を出されて、カツラだということを暴露されていたわ……。」

しろつめ「ずっと金髪イケメンとして有名だったのに、あれ以降、近づく者は若い娘じゃなくて」

しろつめ「カツラ同盟に引きずり込もうとするおっさんばかりになったわ……。」

主人公「なんてむごい……。人が隠しておきたかった秘密を……、」

しろつめ「それもなければ、あとは肉体的苦痛を与えられるわ……。最も苦しい罰……、」

しろつめ「くすぐりの刑でね……！」

しろつめ「道具はきちんと手入れされていて、いつも最高の効き目が出るようにされてるわ……。」

しろつめ「１番恐ろしいのは頭領特製の羽箒ね……。あれで足の裏をこしょこしょされると、どんな大男でも観念してしまうという……。」

主人公「き、聞いただけでくすぐったくなってくる……！」

しろつめ「これでわかったでしょ？掟を破ることなんてできないって……。」

しろつめ「いろいろ理由はあるけど、これがあたしが仕事を辞められない理由の１つなのよ……。」

主人公「……、」

しろつめ「それじゃあ、あたしは行くわ。頭領に話を通しておくから！」

主人公「あ、ああ。……その、いやな話、聞いてごめんな……。」

しろつめ「いいのよ、なんたってお得意様になるかもしれないんだしね。じゃーね、癒術士くん！」

主人公「掟……、まさかあんなに恐ろしいものだったなんて……。なんて厳しい世界なんだ……。」