「菱台の黄金弓」ソレル_include

ソレル「今日からご一緒させていただきます、

　　　　ソレルですわ。

　　　　よろしくお願いいたします。」

メルク「こちらこそ、よろしくなのですよー！

　　　　ソレルさんが仲間になってくれて、嬉しいのです！」

ソレル「それにしても……、先ほどお見かけした時に

　　　　なんだか浮かない顔をされていましたが、

　　　　どうかなさりまして？」

メルク「みゅっ、見られていたとは……！」

メルク「実は、雑貨屋さんで素敵な指輪見つけたのですが、

　　　　主人公さんが買ってくれなかったのですよ～……。」

ソレル「なるほど、そうだったのですね。」

メルク「節約しないといけないことはわかっているので、

　　　　しょうがないことなのですが……、

　　　　ちょっと残念だったのです……。」

ソレル「ほほう……。

　　　　時に、そのお店はどちらにありまして？」

メルク「みゅ？ すぐそこの……、」

ソレル「わかりましたわ。

　　　　ちょっとわたくし、行って参ります。」

メルク「みゅっ！？

　　　　ど、どこへ……、」

ソレル「いえ、今日から旅を

　　　　ご一緒にさせていただくわけですから、

　　　　お近づきの品代わりにでもと。」

メルク「（はっ！

　　　　まさか主人公さんの代わりに

　　　　指輪を買ってくれようと……！？）」

メルク「そんな、悪いのですよ！」

ソレル「といっても、

　　　　雑貨屋１軒程度では安すぎるでしょうか？

　　　　このあたり一帯の店を買い占めて……、」

メルク「ほ、本当に悪いのですよおおお！」

ソレル「あらあら、遠慮なさらず……、」

メルク「遠慮せずにはいられないのですよ！？」

ソレル「まあ、メルクさんは

　　　　うちの班のクローバーと同じで

　　　　慎ましい方でいらっしゃるのですわね。」

ソレル「でも、本当に遠慮しなくても結構ですのよ？

　　　　この程度、わたくしが仕事で使っているお金に比べたら

　　　　微々たるものですわ。」

メルク「仕事でそんな大金を使っているのですよ！？」

ソレル「本部の方が、あまり予算を出してくれないのですわ。

　　　　ですけど、

　　　　我らが班長に不自由をさせたくありませんから……、」

ソレル「自費で仕事部屋を一級品の家具で揃え、

　　　　また、班長がいつお腹を空かせてもいいように

　　　　専属のシェフとパティシエに常駐して頂き……、」

メルク「それはきっと、

　　　　予算が足りないのではなく、

　　　　費用が大きすぎるのですよ……。」

ソレル「うふふ、だからメルクさんに

　　　　雑貨屋を１軒プレゼントするくらい

　　　　なんてことないのですわ。」

メルク「なるほど、それなら……、」

メルク「って、ならないのですよ！」

メルク「……ソレルさんはこの旅で

　　　　金銭感覚を身につけたほうがいいかもなのですよ。」