「天翔ける童夢」ロスコー_include
属性補正
炎属性
93%
水属性
93%
風属性
93%
光属性
100%
闇属性
125%
モデル
ストーリー
紹介所のお姉さん「ああ、主人公くん!ちょうどよかったわ。
主人公「紹介所のお姉さん?ええっと、どうしたんですか。外で会うなんてめずらしいですね。
メルク「みゅふふ、私にはわかるのですよ。村の子どもたちの目にふれないように隠しておいたとっておきのおやつを……、」
紹介所のお姉さん「メルクちゃんが私をどんな人間だと思っているのか小一時間くらい問いつめたいところだけど、とにかくいまはいっしょにきてもらえるかしら。
メルク「みゅ……?」
ロスコー「へえ。流線型っての。この動翼なら。ほう。迎角さげても、わりかしいけそうだなァ。気嚢(きのう)の骨組みから考えなおすか~。
回転翼へらさねえと重心設計もあやういな。兄貴のオンボロ機関でっけ~からはばとるしな。ああでも推力たりねえや。もうすこし翼長のばそうか。
ううん。耐えられんか。だったいイカれるなァ。やっぱり素材がダメだ。もっと丈夫で、かるくねえと。そういえば、オレはソイツをさがしにきたんだっけか。
すっかりわすれてたな。つ~か、どこだよここは。わからん。んでもってだれだよ。そこのアンタは。」
主人公「……。」
ロスコー「図面をひいてるときは、なるべくひとりでいたいんだが。まあいいや。きょうはおしまいにするつもりだから。もしかしてここ、アンタのおうちだったか?」
主人公「いや、あの……、」
紹介所のお姉さん「ちがうわよー!」
ロスコー「ん~?」
紹介所のお姉さん「ちょっと、もうわすれたの!?さっきあなたに追いだされた紹介所のお姉さんよっ!ちなみにここはだれの家でもなくて! 紹介所なの!」
ロスコー「へえ、なるほど。よくわからんが、オレはアンタを追いだしたのか?」
紹介所のお姉さん「そういってるのよっ。」
ロスコー「カハハッ。なんつ~か、わるかったな。作業に没頭してると、ついやっちまうんだよ。」
紹介所のお姉さん「いや、ええっと。あなたに悪気があったわけではないのなら、私もあまりとやかくいうつもりはないんだけど……」
ロスコー「お詫びのしるしといっちゃあなんだが。コイツをやるから、どうにか勘弁してくれね~かな。」
紹介所のお姉さん「お詫び……?」
メルク「みゅ!? 白鳥の模型のようなものが、翼をはためかせながら飛んでいるのですよ!」
ロスコー「ククッ。おうよ、ゼンマイ式のオモチャだ。近所のガキにでもやるとけっこうよろこぶぞォ~。」
紹介所のお姉さん「ふふ、かわいい。ぱたぱたとがんばっているわね。もしかしてこれは、あなたがつくったの?」
ロスコー「ああ。専門は工作よりか設計だが、このていどならたやすいもんさ。」
メルク「器用なのですね~!出身は機械の国になるのですよ?」
ロスコー「やっぱりわかるか、おじょうちゃん。オレの設計してる機械にな。たりねえ素材があるんだ。ソイツをもとめてきたんだと、いまさっき思いだしたよ。」
メルク「わ、わすれていたのですよ……?とはいえ、それだけ集中していたのかもですね。床に設計図らしきものがたくさん落ちているのですよ。」
ロスコー「あ~。うん。わりと書いたな。散らかしてわるかったよ。ねえちゃん。とっととかたづけて、おいとまするからさ。」
主人公「……。」
ロスコー「どうしたよ、アンタ。なに書いてあるのかサッパリだろ~?わかったとしても、興味ねえだろうがな。まあ、だれにも理解されなくていいんだよ。こんなオレにも、ザッカリーの兄貴がいるからよ。」
紹介所のお姉さん「あら。あなた、ザッカリーくんの弟だったの?機械の国出身ということは、まちがいないわね。彼ならうちの紹介所にも登録してるわよ。」
ロスコー「ふうん。兄貴はひとづきあいが達者なんだよな~。まあ兄貴のことはよろしくしてやってくれよ。知ってるかもしれねえが、気のいいヤツなんだ。オレみたいなさ。小生意気なガキとはちがうんだよ。」
紹介所のお姉さん「いえ、むしろお世話になっているわ。ふふ、あなたも家族のことは気にかけているのね。」
ロスコー「ど~だかなァ。」
主人公「なあ。」
ロスコー「ん~?」
主人公「この設計図、内容はよくわからないんだけど。もしかして、さっきのオモチャみたいなものをつくろうと?」
ロスコー「へえ。殴り書きの図面だったのに、よくわかったな~。ま、あれとはくらべようもないほど複雑なシロモノだが。興味あるのか?ちなみにオマエには、コイツがどうみえる。」
主人公「ええっと、いきなりそういわれてもな。でもなんとなく、空を飛びたいってことはつたわるよ。」
ロスコー「なあ。ただ空を飛びたいだけならさ。さほどむずかしくはね~よなァ。たとえばこの国なら、癒術がある。翼をもったモンスターに歩み寄れば、背中を貸してくれるかもしれない。とうぜんながら、オレにはできない芸当だ。ならば癒術士の知りあいをつくるべきなのか。それともさ。空の国でもたずねてみるか。カハハッ。オレにはどうもしっくりこねえや。そりおかげで、オレはいつも笑われっぱなしだった。
まあ、笑いたけりゃあ勝手に笑ってろってはなしだ。ないヤツには、ないヤツなりのやりかたがあるからな。翼なら、このオレの頭のなかにある。後ろ指さされようが、知ったことじゃね~よな。」
主人公「……。」
ロスコー「で。オマエにはコイツがどうみえるんだ?
主人公「俺は……、思ってもみなかったよ。機械で空を飛ぼうとしているやつがいるなんて。夢のようなはなしだけど。俺はこの機械で、空を飛んでみたいな。それだけ、心の惹かれるものにみえたんだ。」
ロスコー「ふうん、そう。」
主人公「な、なんでにやにやしんるんだよ。おかしいことでもいったか……?」
ロスコー「いいや、べつに。「オマエ、名前は?その言葉にいつわれがねえなら、おしえろよなァ~。ものほすれのひどいオレでも、おぼえてやるからさ。」
主人公「ああ!俺は主人公。とある理由があって、いまは旅をしてる。さがしものがあるなら、協力できるかもしれない。」
ロスコー「オレはロスコー。いまさらいうまでもないが、設計技師だ。オレに協力しろよ、主人公。そうしたら、オマエにとびっきりの景色をみせてやる。地べたを這いつくばって生きるちっぽけな人間が、知恵をふりしぼり、想像力を翼にかえて、飛翔するんだ。なあ。オマエをつれていってやるよ、あの空の果てまで。」
備考