「冬を齎す者」ラピスラズリ_include
属性補正
炎属性
170%
水属性
100%
風属性
59%
光属性
100%
闇属性
100%
モデル
ストーリー
(夜の村)
主人公「ああ、もうこんな時間か!」
メルク「すっかり夜中になってしまったのです。 はやく宿に戻るのですよ~。」
「―――♪」
主人公「なんだ……、ハープの音色と歌声?」
メルク「紹介所からなのですよ。」
(場面切り替え・夜の紹介所)
ラピスラズリ「―――冬、それは白き静寂。すべてが凍りつき、動きを止める。七彩は黙し、霜の下に微睡(まどろ)む。」
ラピスラズリ「それゆえわたしは歌うのです。冬よ去っておくれ、汝はいかにもつまらない。」
ラピスラズリ「けれどもあなたは歌うのです。冬よ去りゆくなかれ、汝はいかにも美しい。」
ラピスラズリ「わたしと翅を触れ合わせ、髪に白薔薇を差し、あなたはささやき歌うのです。霜の画布こそが、やわらかな熱を彩りに変えるのだ。」
ラピスラズリ「ああ、季節よ巡れ。つまらぬものなどなにもない。惜しめぬものこそつまらない。」
ラピスラズリ「春は馥郁(ふくいく)たる花の香り。夏は爽風にさざめく野草。」
ラピスラズリ「秋は朽ち葉に艶めく果実。冬は霜月(そうげつ)に翅を寄せ合う蝶。」
ラピスラズリ「季節よ巡れ、汝はいつでも美しい。」
主人公&メルク「……、」
ラピスラズリ「……、」
主人公「あっ! す、すみません、勝手に聞き入っちゃって……。」
ラピスラズリ「……お兄ちゃんたち、だあれ?」
主人公「お、お兄ちゃん?」
主人公「ええと、俺は主人公っていいます。こっちは友だちのメルク。」
メルク「メ、メルクなのです。 あなたは……?」
ラピスラズリ「……、ラピスラズリ。」
メルク「ラピスラズリさん……。とてもきれいな曲だったのです。でも……、どうしてそんな悲しげに歌うのですよ?」
ラピスラズリ「……いけないことを、ねがっちゃったから。」
主人公「いけないこと?」
ラピスラズリ「ずっと冬がつづけばいいのにって。そしたらあの人が、ずっとわたしのところにいてくれるのにって。」
メルク「それがいけないことなのです……?」
ラピスラズリ「うん……。わたしは、いちばん初めに冬がやってくる、冬の谷の王女だから。」
ラピスラズリ「―――♪」
ラピスラズリ「紅い頬をした、渡り蝶の少年。季節の巡りと共に羽ばたく彼を惜しんで、冬をもたらす王女は愚かにも望んでしまった。」
ラピスラズリ「永遠の冬を。春が彼を春の丘へと、夏が彼を夏の野に、秋が彼を秋の森に、誘ってしまわぬように。」
ラピスラズリ「王女の望みのままに、春のきざしを閉じ込めて、薔薇の蕾は凍てついた。詩を奏でる唇閉ざし、彼は冬の眠りへとついた。」
ラピスラズリ「ただひとり、霜つく薔薇の前に残されたるは季節(とき)の巡りの美しさを知らぬ、愚かで傲慢な、冬の谷の王女だった罪深き娘。」
ラピスラズリ「娘は紡ぎ続ける、贖罪の詩を。巡る季節と音楽を愛した彼が眠る薔薇のそばで。」
メルク「それでラピスラズリさんはあんなに悲しい歌を歌っていたのですね……。」
ラピスラズリ「……わたしがよんだ冬は、まださらない。春の丘の女王さまでも、すこしずつしか春をよべない。」
ラピスラズリ「だから歌ってるの。あの人は歌がすきだから。」
ラピスラズリ「春がやってくるまで、花がひらくまで、あの人は歌うこともできないから。」
主人公「あの、春の丘の女王さまの力でも、春を呼ぶのに時間がかかるのか……。」
メルク「で、でもなにか他に方法があるのかもしれないのですよ!」
主人公「まあ、たしかに世界は広いけど……、」
ラピスラズリ「……、だから、探しに来たの。」
主人公「もしかして、ラピスラズリさんが王国にいるのって……、その人を眠りから覚ます方法を探すためなんですか?」
ラピスラズリ「……うん。まだ見つからないけど……、あの人のためにできることはこれしかないから。」
メルク「そうだったのですね……。その、私たちにもできることなら協力するのですよ。」
主人公「そうだな……、俺たちも結構、いろんな国を巡ってきたし、なにか手伝いできることがあるかもしれない。」
メルク「ラピスラズリさん、もしよかったらなのですが……、私たちと一緒に旅をするのはどうなのです?」
ラピスラズリ「……。 ……いいの?」
メルク「もちろんなのです!」
主人公「ひとりじゃなかなか見つからなくても、3人なら少しは早く見つかるかもしれない。」
ラピスラズリ「……。 あの……、」
ラピスラズリ「あ、ありがとう……、お兄ちゃんたち。わたし、がんばるから……。お兄ちゃんたちのめいわくにならないように。」
ラピスラズリ「だから、おねがいします……、わたしをつれてってください。あの人を、たすけたいの。」
(場面切り替え・夜の森)
主人公「くー……」
「―――♪」
メルク「今夜も、月が白いのですよ」
ラピスラズリ「―――冬、それは甘美な密めき。霜降る月に、あなたは訪れる。翅が交わされ、白肌を熱が彩る。」
ラピスラズリ「それゆえわたしは歌ったのです。冬よ去りゆくなかれ、汝はいかにも美しい。」
ラピスラズリ「けれでも、ああ、美しさを知らぬ愚か者よ。春のきざしを閉じ込めて、凍てつく薔薇の蕾。花びらに包まれて、あなたは冬の眠りについた。」
ラピスラズリ「季節よ巡れ。歌わぬあなたのいかにつまらぬことか。」
ラピスラズリ「季節よ巡れ。触れた翅の冷たさよ。」
ラピスラズリ「季節よ巡れ。あなたが髪に飾った白薔薇は凍てついて、熟すこともできぬままなのです。」
備考
ユニストの春の丘の女王は「春を統べる者」フロイレイダのこと