「渚の悪戯娘」フィオリナ

メルク　　　　　　「みゅ？

　　　　　　　　　　フィオリナさん、

　　　　　　　　　　そんなところに隠れて何をしているのですよ？」

フィオリナ　　　　「お、メルクちゃん。

　　　　　　　　　　このあたしを見つけるなんて、

　　　　　　　　　　なかなか目ざといベイビィだね？」

フィオリナ　　　　「へへへー、あそこ、見てみなよ。」

メルク　　　　　　「あれは……、

　　　　　　　　　　紹介所によくいる、町のお姉さんとお兄さんなのですよ。

　　　　　　　　　　あの人たちがどうかしたのですよ？」

フィオリナ　　　　「まーまー、見てなって。」

メルク　　　　　　「みゅ？」

町のお兄さん　　　「それにしても、こないだの女の子、素敵だったなあ……。

　　　　　　　　　　こう、おっとりしてて、健気で……。

　　　　　　　　　　けど、声もかけられないまま、旅立っちゃったな……。」

町のお姉さん　　　「声をかけたところでフラれるのがオチでしょ。」

町のお兄さん　　　「なんだよ、そんないい方しなくても……。

　　　　　　　　　　だいたいそっちだって、

　　　　　　　　　　いつまでたっても恋人できないくせに……。」

町のお姉さん　　　「いったい誰のせいだと……！」

町のお兄さん　　　「……？」

町のお姉さん　　　「……別に、あんたみたいに目移りが激しくないだけよ。」

町のお姉さん　　　「それに引き換え、

　　　　　　　　　　あんたときたら鈍いし、胸が大きい女の子に弱いし、

　　　　　　　　　　そんなんじゃずっと恋人なんてできないわね！」

町のお姉さん　　　「そ、そうなったらあたしがもらってあげてもいいわよ。」

町のお兄さん　　　「か、かわいくねー！

　　　　　　　　　　お前みたいな気の強いやつ、誰が……、」

メルク　　　　　　「みゅわわ……、２人がけんか腰に……、」

フィオリナ　　　　「今だっ！」

メルク　　　　　　「何かが天井から降って……、

　　　　　　　　　　あ、あれは……！」

町のお兄さん　　　「うわあっ！？

　　　　　　　　　　天井から蛇が！？」

町のお姉さん　　　「……！」

町のお兄さん　　　「えっ！？

　　　　　　　　　　な、なに抱き付いて……」

町のお姉さん　　　「へ、蛇キライなの……！」

町のお兄さん　　　「……、」

町のお姉さん　　　「も、もうだめ……、」

（フィオリナ画面右へ）

フィオリナ　　　　「今だっ！？」

メルク　　　　　　「フィオリナさん！

　　　　　　　　　　どこへ……、」

（画面が揺れる）

フィオリナ　　　　『サプラ～イズ！』

町のお兄さん＆

町のお姉さん　　　「へ……？」

フィオリナ　　　　「にっしっし！

　　　　　　　　　　どう？

　　　　　　　　　　びっくりした？」

町のお兄さん　　　「じゃ、じゃあこれは……、」

フィオリナ　　　　「そう、偽物の蛇だよ！」

町のお姉さん　　　「も、もう～！」

町のお姉さん　　　「……でも、偽物でよかったああ！」

町のお兄さん　　　「……、」

町のお姉さん　　　「……！

　　　　　　　　　　わ、悪かったわね！」

町のお兄さん　　　「いいい、いや、べべ、別に……、

　　　　　　　　　　それより……、

　　　　　　　　　　その、意外と可愛いとこあるんだな……。」

町のお姉さん　　　「……！？」

メルク　　　　　　「みゅっ、２人が喧嘩せずに済んだのですよ……！

　　　　　　　　　　まさか、フィオリナさんはこれを狙って……！」

フィオリナ　　　　「まあ、それだけじゃないんだけど……。」

メルク　　　　　　「すごいのですよ～

　　　　　　　　　　素敵な悪戯なのですよ～！」

フィオリナ　　　　「ふふん、相手が本気で嫌がる前に引き、

　　　　　　　　　　そして後には誰も叱りたくならない……。

　　　　　　　　　　幸せなサプライズってやつが、あたしのモットーだぜ！」

メルク　　　　　　「おお～！

　　　　　　　　　　素敵なのですよ～！」

メルク　　　　　　「……！

　　　　　　　　　　で、でも早く片付けないと

　　　　　　　　　　紹介所のお姉さんに怒られるのですよ！」

フィオリナ　　　　「大丈夫だって！

　　　　　　　　　　今は用事で出てるし、

　　　　　　　　　　戻ってくるのはもう少ししてからだからね！」

フィオリナ　　　　「気づかれる前に片付ければ、怒られずに……、」

紹介所のお姉さん　「ね。」

メルク＆

フィオリナ　　　　「え？」

紹介所のお姉さん　「用事が早く終わって帰ってみれば……。

　　　　　　　　　　ふふふ、前に悪戯禁止って言わなかったかしら？」

メルク＆

フィオリナ　　　　「……さ、さぷら～いず……。」