「木砲の絡操師」ぎえもん

メルク「ぎえもんさんが仲間になってくれて嬉しいのですよ！　これからよろしくなのですよ～！」

ぎえもん「はい、よろしくお願いしますね。」

メルク「みゅっ、優しそうな方でよかったのです！」

メルク「そういえば、その手に抱えてるものはなんなのです？」

ぎえもん「ああっ、よくぞ聞いてくださいました、メルクさん！」

メルク「お、思った以上の食い付きっぷりなのですよ。」

ぎえもん「ふふふ、これはあたしが旅に出るために発明した、おにゅうのカラクリ！　その名も、びっくり大筒です！」

メルク「びっくりおーづつ、なのですよ？」

ぎえもん「そのとおり！　いやあ、苦労しましたよ。」

ぎえもん「カラクリを愛する者として、あたしは誰かを傷つけるような、人に嫌われるカラクリを生み出したくない。」

ぎえもん「でも、旅に出るからにはモンスターと戦うカラクリも必要……ッ！　そこで生み出したのが、このびっくり大筒くんなのです！」

メルク「ふむふむ。思えば、ぎえもんさんはカラクリ技士だと聞いていたのです。納得なのですよ～！」

ぎえもん「では、実際にこの大筒の力、御覧に入れましょう！　見ていてくださいよ～！」

ぎえもん「たまやっ！」

にゃあ～っ！

メルク「おお～っ！」

メルク「って、今、なにかおかしな声が聞こえたのですよ！？　なんなのです、にゃあ～っ！　って！」

ぎえもん「マロさんです。」

メルク「マロさん！？」

ぎえもん「猫です。」

メルク「猫！？」

メルク「ま、まさか大筒から発射されるのは弾ではなく猫だったのですよ！？　猫がモンスターと戦うのですよ！？」

ぎえもん「……。」

メルク「否定してほしいのですよ！」

ぎえもん「いやあ、すみません！　なかなか面白いあいであだと思いまして！　書き留めておきます！」

メルク「マ、マロさん……、私の不用意な発言のせいでごめんなさいなのですよ……。」

メルク「でも、違うのなら、どうして猫の鳴き声が聞こえたのですよ？」

ぎえもん「実は、この大筒……、」

ぎえもん「目覚まし時計にもなります！」

ぎえもん「毎朝、マロさんの声に模した音で空砲を撃って起こしてくれます！　これで、忙しい旅でも遅刻なしです！」

メルク「みゅわあ、便利なのです！」

メルク「って、モンスターと戦うという趣旨はどこにいったのですよ！？」

ぎえもん「もちろん、完備してますよ！　相手を傷つけず、怯ませる……、」

ぎえもん「その名も、ワビサビ弾！　ワサビ、トウガラシ、サンショウ、ショウガ、コショウを混ぜ合わせた特製弾です！」

ぎえもん「当たったものは、くしゃみ、かゆみ、いたみがとまらない！　とまらないったらとまらない！」

メルク「普通に攻撃するより、えげつないのですよ……。」

ぎえもん「ええっ！？　うちの子の何がいけないっていうんですか！？」

ぎえもん「あたしなりに、らぶあんどぴーすを目指して作ったんですが……っ。」

メルク「その割には、容赦ないブレンド内容なのですよ。」

ぎえもん「そ、そうですかあ……。」

メルク「みゅわっ、そんなに肩を落とさなくても……！　ぎえもんさんがどれだけカラクリを愛しているかはわかったのですよ！」

ぎえもん「は、はい。」

ぎえもん「えへへ、いやあ。熱く語ってしまいました。お恥ずかしい。」

メルク「ま、まあ、それだけ夢中になれるものがあるのは悪いことではないのですよ！」

メルク「（でも、ぎえもんさんにあんまりカラクリの話はふらないでおこうと思うのですよ……）」