「爽音の弦奏者」ふづき

メルク「そろそろ、ふづきさんとの待ち合わせの時間なのですよ！」

主人公「たしか三味線を弾く仕事をしてるんだっけ？　どんな人なんだろうな。」

メルク「みゅ？　なんだが紹介所がざわざわしてるのですよ。だれか有名人でも……、」

ふづき「ここかな。待ち合わせの場所っていうのは。」

メルク「みゅわー……、かっこいい人なのですよ……！」

主人公「姿勢から歩き方まで、なんだが人目を引く華やかさがあるよな……。」

メルク「って、みゅ？　あの人、三味線をもってるのですよ。」

主人公「も、もしかして……、」

ふづき「やあ！　君が私を仲間にしてくれるという癒術士殿？」

メルク・主人公「や、やっぱりー！」

メルク「どどど、どうするのですよ、主人公さん！　わわ、私、なんだが緊張してきたのですよ！」

主人公「お、俺も……！　紹介所中の人が、俺たちに注目してるから……！」

ふづき「おや、君が持っているビン……、」

メルク「みゅわっ！　わわわ、私はメルクなのですよ！」

ふづき「……、」

メルク「ひ、ひいい……、な、なにか粗相をしましたでしょうかなのですよ～……っ。」

ふづき「か、かわいい～っ！」

メルク「へ……？」

ふづき「ああっ、なんてかわいいんだ！　きっと私が王国まで来たのは、君に会うためだったに違いないよ、まいでぃあ！」

メルク「え、ええと……、」

ふづき「はあっ、あふれ出るぱっしょんがとまらない！　どうか君のために、一曲弾かせてほしい！　いいかなっ！？」

メルク「も、もちろんなのですよ……。」

ふづき「ああでも、君のようなしゃいがーるにはふたりっきりで、夜桜でも見ながらの方がいいかもしれないね。」

メルク「シャイガール……。」

ふづき「だってほら、今だってビンの中に体を隠してる。ふふ、恥ずかしがり屋さんなんだねっ。そんなところもかわいいよっ！」

メルク「これは衆人環視に耐えられなくなったからなのですよ……。」

主人公「な、なんか思ってた感じと違うな。親しみやすくてよかったけど……、」

メルク「これで普通にふづきさんと接することができるのですよ～！」

ふづき「私の名前を呼んでくれたね。ありがとう、うれしいよ。」

メルク「みゅ、みゅわーっ！　やっぱりその爽やかフェイスと流れるような物腰が見えると心撃ちぬかれるのですよーっ！」

主人公「生きろ、メルクーっ！　傷は浅いぞ！」

ふづき「ああ、君のことを放っておいてすまない。ついビンの彼女の愛らしさに目がくらんで……。改めて、私が今日から君たちの仲間になるふづきだ。よろしく頼むよ。」

主人公「あっ、よ、よろしくお願いします。」

ふづき「それじゃあ、行こうか。」

主人公「えっ、どこへ？」

ふづき「誰にも邪魔されず、君たちとゆっくり話せるところ。」

主人公「う、うわああああっ！　かっこいい～っ！　どこにでも連れてってくれ～っ！」

メルク「ふづきさんの爽やかスマイルを直視した主人公さんがやられたのですよーっ！」

ふづき「おっと、大丈夫かい？　君は、か弱い男の子なんだね。大丈夫、私が守ってあげよう。」

主人公「はい、か弱いです……っ！」

メルク「す、すごいのですよ、ふづきさん……！　あの主人公さんが貧弱ということをあんなに幸せそうに認めるなんて！」

？？？「ふふふ、ふづきさまの素敵さを実感したようね！」

主人公「君たちは！」

ふづきさま親衛隊×２「そう、私たちは！　ふづきさま親衛隊！　あなたを勧誘しに来たのよ！」

主人公「ふづきさんの親衛隊……！　うっ、は、はいりた、はいりたい……！」

ふづき「主人公くん？」

主人公「はっ、ふづきさん！　そうだ、俺はふづきさんの親衛隊じゃなくて、仲間になりたいんだ……っ！」

ふづき「どうしたんだい、具合でも……、」

主人公「くっ、その爽やかスマイルに屈したら俺にはふづきさんの仲間になる資格はない……っ！　頼む、メルクガードっ！」

メルク「えっ！」

ふづき「ああっ、君の瞳にらぶれいんぼーっ！」

主人公「ふうっ、危なかった。イケメンモードのふづきさんと真っ向勝負すれば負けていたかもしれない……。」

ふづきさま親衛隊×２「合格よ……。親衛隊はあなたをふづきさまの仲間として認めてあげるわ。ふづきさまを、よろしくね……っ！」

主人公「ああ……っ！　やったぞメルク！　俺、ふづきさんと仲間になれたんだ……！」

メルク「それはおめでとうなのですよ～。でも……、メルクガードについて後でお話があるのです。」

主人公「あっ、はい……。」