「夏浜に躍る錨」マリィナ

マリィナ「ふあ～！今日ってとってもお昼寝日和～！さーて、もうひと眠りしよ～っと！」

主人公「って、待って！これから出かけるって約束してたじゃん！モンスターを癒しに行く約束！」

マリィナ「ぐ、ぐー。」

主人公「あっ、また寝たフリして！」

マリィナ「えへへ、明日にしよ～よ～！ほら、もうお昼寝モードだし！」

主人公「お昼寝モード解除！」

マリィナ「うなあ～っ！タオルケットを取ろうとするなんてズルイよ～っ！回避っ、ころころころ～っ！」

主人公「床を転がっていく！？」

マリィナ「どやぁ！」

主人公「タオルケットがすっかり薄汚れたな……。」

マリィナ「おうふ……。」

主人公「というか、紹介所の床に直で寝るのもどうなんだ？」

マリィナ「いつでもどこでも眠れるのが、海兵としての心得だよっ！」

主人公「この状態で適用される言葉じゃないと思う。」

主人公「というか、遊んでる場合じゃない！このままだとまたいつもみたいに日が暮れて、結局、後日ということに！」

マリィナ「それの何がダメなの～？」

主人公「何もかもだよ！」

主人公「ほら、行くぞ。というか、約束した時は喜んでたのに……。勉強に飽きたから、体を動かしたいってさあ。」

マリィナ「だって～、大佐ってば海が埋まっちゃうほどに宿題だすんだもん。」

マリィナ「確かに文字をうまく書けるようになりたいって言ったけど、大佐が、よくできたな～って花丸つけてくれなきゃ、ぜんぜ～ん、やる気でないもん～。」

マリィナ「だから体動かしたいな～って思ってたけど～……、でも、今日はその気分じゃない。」

主人公「気分屋すぎる！」

マリィナ「けどまあ、しょうがないか～。大佐も約束破ったら怒るし～。まったく、大佐と一所でマジメさんなんだから～。」

主人公「その大佐さんの苦労がしのばれる……。」

主人公「けど、とにかく行く気になってくれたならよかった。それじゃあ、さっそく……、」

マリィナ「はっ、待って！」

主人公「なんだ！？」

マリィナ「きこえる……、きこえるよ！」

主人公「えっ、なにが！？」

マリィナ「これは……、タオルケットくんの声！」

主人公「えっ。」

マリィナ「ヤメテ、イカナイデー！」

マリィナ「ほら！」

主人公「今のマリィナの裏声だよな！？」

マリィナ「ソンナコトナイヨー。ボク、タオルケット。マリィナガイナイト、ボクハ、ボクハ……！」

マリィナ「ああ、タオルケットくんかわいそう！今日はずっと一緒だからね！」

主人公「あっ、こら！またタオルケットにくるまっていくな！」

マリィナ「ぐー。」

主人公「ああー……、今日も日が暮れた。」

(暗転)

メルク「というわけで、作戦を練ったと。そんな変装までして。」

主人公「今日こそ必ず、マリィナを連れ出して見せる！」

マリィナ「ふあ～。今日もお昼寝日和～。ふふん、もうひと眠り～……、」

「マリィナちゃん。」

マリィナ「えっ？」

「ボク、ボクだよ。いつもお昼寝の時は一緒だったボクさ。」

マリィナ「もしかして……、タオルケットくん？」

「ウン！マリィナちゃんならわかってくれると思ってたよ！」

メルク「主人公さん、まさかこんな幼稚な手段に出るとは。いくら天真爛漫なマリィナさんとはいえ、信じるわけ……、」

マリィナ「タオルケットくん！しゃ、しゃべれたんだ！」

メルク「えっ。」

主人公「ククク……。マリィナは素直な性格だ。必ず食いつくと思ったぜ。」

メルク「主人公さん、顔がすっかり悪役に……。」

マリィナ「わあ！タオルケットくんとお話しできてうれしい！でもどうして今日はしゃべってくれたの？」

「それはね、どうしてもお願いしたいことがあったんだ。聞いてくれるかな？」

マリィナ「うん、うん！だってタオルケットくんとはお昼寝友だちだもんね！」

「ありがとう。感涙しそうだけど、湿ったタオルになるからやめとくね。それで頼みっていうのはね。」

「ちゃんと約束を守ってほしいってことなんだ。昨日なんて、ボクが何も言ってないのに、勝手に言い訳にされて……、かなしかったなあ。」

マリィナ「あっ……、ご、ごめんね！そんなつもりじゃなかったの！ただタオルケットくんともっとお昼寝がしたくて！」

「それなら、今度はちゃんとモンスターを癒しに行ってくれる？お昼寝はその後で一緒にしようよ！」

マリィナ「タオルケットくん……。うんっ、そうする！ごめんね、タオルケットくん！」

「ううん、いいんだよ。おっと、そろそろボクは眠たくなってきたや。それじゃあ、後は……、頼んだよ……。」

マリィナ「あっ、タオルケットくん！？」

マリィナ「……なんにも言わなくなっちゃった。で、でもきっとちゃんと約束を守ったらまた話してくれるよねっ！」

マリィナ「主人公～、主人公～！モンスター、癒しに行こうよ～っ！」

主人公「よろこんで！」

メルク「……。」

(暗転)

マリィナ「タオルケットくん、今日もしゃべらないなあ～。」

マリィナ「主人公は、自分が声をあててたんだって言ってたけどタオルケットくんのことを信じてないからだよね。」

メルク「主人公さんのせいなのです。どうするのですよ。」

主人公「責任とって、タオルケットくんの声やります。」