「綿毛の槍使い」フラッフ

フラッフ「タンポポは生命力がつよいの。踏まれてペッタンコの綿毛でも、ちゃんと芽吹くの。」

フラッフ「さっきだって、ほら！岩肌の隙間からも、しっかり花をつけてた。」

フラッフ「あとちょっとしたら綿毛をつけて。風に吹かれるまま、種を散りばめて。またどこかで元気に芽をだすの。」

主人公「お、おい、フラッフ……？傷の手当てをしてるんだから、あんまり動くなって。」

フラッフ「えへへ。主人公はママくらいおおげさ。」

フラッフ「わたしはけっこう丈夫なんだよ。だってタンポポみたいにたくましい、ママの血をひいてるんだもの。」

フラッフ「いたっ。うう、ヒリヒリする。」

メルク「あの、フラッフさん。さっきからゴソゴソとなにをしているのですよ？」

フラッフ「メルク。ほらみて、綿毛をたくさんあつめたの。」

フラッフ「わたしにはママからもらった立派な翅があるけど。タンポポの綿毛につかまって空をただようのも、なんだかとってもたのしそうな予感がするの！」

主人公「ああ、それでさっきも探してたのか。だけど綿毛を集めただけで、空を飛ぶのは難しいかな。」

フラッフ「やっぱり、ムリかな？フワフワの綿毛布団にしちゃおっか？」

主人公「別にいいけど。フラッフの作った綿毛布団ならありあまってるぞ。」

「主人公はママくらいこまかい！いいよ、ぜんぶそとに撒いてくる！」

主人公「あ、おいっ。フラッフ、まだ手当の途中だぞ！？」

(場面切り替え・草原)

フラッフ「ねえ、主人公！さっきから、風がとってもつよいの！いまなら綿毛につかまって飛べるかな！」

主人公「いや、どうだろ。それより種を撒いてくるんじゃなかったのか？」

フラッフ「なら吹いて！ふ～って、この綿毛を吹いて！」

主人公「綿毛を？まあ、別にいいけど。」

「きゃ～っ！」

メルク「みゅっ！？フラッフさんが空高く舞い上がっていくのですよ～っ！」

主人公「いや、そんな肺活量ないから！というか自分の翅で飛んでるだけだろ！」

「ねえ、ほらみて主人公！綿毛といっしょにながされてるの！接着してあるから、バラバラにもならない！」

メルク「上空のほうは風が強いのですね～。本当に綿毛で空を漂流しているみたいなのですよ。」

主人公「お～い！フラッフ、降りてこいって！振り落とされたら、ただの怪我では済まないぞ！」

「わたしなら平気！だって、ママの血をひいてるんだもの！」

主人公「相変わらず聞く耳持たないな。それにしても、ずいぶん高いところまで……、」

「きゃあああ～っ！？」

主人公「フラッフ！？」

メルク「みゅわわっ！？フラッフさんが突風に吹かれて森の向こうに飛ばされていくのですよ～！？」

主人公「あ～もう言ったそばから！とにかくフラッフを追いかけよう！」

(場面切り替え・紹介所)

フラッフ「タンポポは生命力がつよいの。暗い谷底の岩場でも、しっかり花ひらいて……、」

主人公「まさかあんなところまで助けに行かされる羽目になるとは思わなかったけど。」

フラッフ「えへへ。主人公はママくらいおおげさ。」

主人公「大げさもなにも事実だろ。あと手当してる時は、大人しくしてろって。」

フラッフ「いたっ。うう、ヒリヒリする。」

メルク「(それにしても、フラッフさん。本当にタンポポのような生命力なのですよ)」