「金双の風来人」チャーリー

メルク「みゅ、主人公さん。チャーリーさんが来ているのですよ。」

主人公「あ、本当だ。どうしたんだろうな、こんなところで。」

（場面転換）

チャーリー「内職なんてつまんないな～。遊ぶ金ぐらい、もっと気楽に稼ぎたいよ。」

王国モブ女性A「だってチャーリーくん。このまえ紹介したところ、クビになったばかりでしょ。」

王国モブ女性A「客商売は向いてないみたいだから。今度はアクセサリー制作の仕事を用意してあげたのよ。」

チャーリー「アレはさあ。オレのナイフさばきを見たいって客が言うから。」

王国モブ女性A「で。つい調子に乗って、度胸試しなんか始めたのね。」

チャーリー「たしかに飲食は向いてないかもだけどさあ。とはいえ、ロッティーよりはマシな自覚があるよ。」

チャーリー「アイツは喧嘩っぱやいからな。ねえさんの紹介したとこも、どうせいまごろ辞めてるって。」

王国モブ女性A「どうかしらね。ロッティーちゃんはおてんばだけど。愛嬌もあるし、うまくやってるかもしれないわよ。」

チャーリー「ふ～ん。ま、陽気なヤツだからな。」

チャーリー「ロッティーがちゃんと稼いでくれるなら。オレは内職なんかやらなくてもいっかな。」

王国モブ女性A「あなたもちゃんと働きなさい。ロッティーちゃんだけに押しつけるのはかわいそうよ。」

チャーリー「わかってるよ、ねえさん。でも、そう言いながら今日も手伝ってくれるんだろ～？」

王国モブ女性A「まあ、ちょっとくらいなら。あなた、目を離したら仕事を放り出していくんだもの。」

チャーリー「さっすが～！　愛してるぜ、ねえさん～！」

王国モブ女性A「つい、甘やかしてしまうのよね。チャーリーくんって、いかにも弟気質というか。」

チャーリー「へへ。コレでも大家族の末っ子なんでね。」

主人公「旅に支障が出ない限りは、好きにやればいいとは言ったけど。今度はいったいなにやったんだよ、チャーリー。」

チャーリー「主人公、メルク。来てたんならはやく言えよ。」

チャーリー「ま、ちょっとね。客がオレの腕を疑うモンだからさ～。」

チャーリー「ソイツの頭のうえにリンゴを乗せて。オレのナイフで、見事ド真ん中を射抜いてやったの。」

メルク「な、なるほど。それはきっと、お客さんもびっくりするのですよ。」

チャーリー「ああ、客はすっかり腰抜かしてさ。そんでもって、オレはその日のうちにクビ。」

チャーリー「なあ、やってられないだろ～！　オレは客に傷ひとつたりともつけちゃいないってのによ。」

チャーリー「ホント、よくわかんね～の。なんなら、オレを挑発してきた客が悪いだろ。」

王国モブ女性A「ふふふふ。ダメよ、もうそんなことしちゃ。」

チャーリー「わ、わかってるって～！　ホント、ねえさんの笑顔は怖いなあ。」

チャーリー「はあ。で、オレはいまこうして内職やってんの。」

主人公「あいかわらず、というか。もしかして、金に困ってるのか？」

チャーリー「いやいや。旅先で遊ぶ金がないなんて、オシマイだろ。」

チャーリー「で、ねえさんに紹介してもらったんだよ。客商売は向いてないかもしれないけどさ。アクセサリー制作なら、問題ないだろうって。」

チャーリー「とはいえやっぱり、退屈な作業だよ。部屋の中にこもって、手先でちまちまやるのは。」

チャーリー「でも昔から、こういうのは向いてんだよなあ。オレもつまんないのはパスといきたいところだったけど。」

主人公「へえ。机に並べてあるのはぜんぶ、チャーリーが作ったのか？」

チャーリー「まあね。ソレよりも、飽きた！　今日はもうオシマイ～！」

チャーリー「またくるよ、ねえさん！　ここにあるの、ちゃんと先方に送っといてくれよな！」

王国モブ女性A「そ、そのくらい自分でやりなさい！　チャーリーくんの請け負った仕事なんだからっ。」

チャーリー「え～！　今日は外せない用事があるんだよ！　なあ、ねえさん、おねがいだから～っ！」

王国モブ女性A「そ、そう。なら仕方ないわね、あとは私がやっておくわ。」

チャーリー「へへ。さっすが、ねえさん！」

王国モブ女性A「でも、今回だけ。次からは、あなたの手でやるのよ。」

チャーリー「もちろん！　わかってるって～！」

チャーリー「あ、そういえばさ。いくつか余分に作っといたよ。ほら、コイツはねえさんのぶんだ。」

王国モブ女性A「ら。チャーリーくんが、私に？」

チャーリー「ああ。いっつも世話になってるからな。」

チャーリー「あとさ。ロッティーがきたら、コレも。」

王国モブ女性A「ふふ、わかったわ。渡しておけばいいのね。」

チャーリー「アイツ、こういうの好きなんだよね。店で買うようなモンでもないだろ。」

チャーリー「ま、そんなワケでよろしく頼むよ。オレは街に出かけてくるから、じゃあね～。」

（場面転換）

王国モブ女性A「こういう配慮もしっかりしてるから。チャーリーくんのこと、つい甘やかしてしまうのよね。」

主人公「（ただ、まあ。チャーリーくらい機転が利いてるとな）」

メルク「（紹介所のお姉さんが気を許してくれるだろうところも含めて計算ずくかもしれないのが考えものなのですよ）」