「空を繋ぐ虹龍」イリス

イリス「うーん、どーしよっかなーっ！」

アルゴー「ぐるるぅ……。」

メルク「みゅ、イリスさんにアルゴーさん。紙を広げて何をしてるのですよ？」

イリス「えへへー、おうちを考えてるの！」

メルク「おうちって、イリスさんのおうちなのです？」

イリス「うん！将来ねえ、ダーリンと結婚したらどんな家に住むのか相談してるの。」

メルク「そうなのですね～。カラフルデ可愛いおうちなのですよ！」

イリス「えへへー、でしょー！」

アルゴー「ぐるるー……。」

イリス「もう、ダーリンったら照れ屋なんだから！結婚式は村のみんなを呼んで、楽しい感じがいいなー！あっ、それからダーリンの前の相棒さんも呼ばなきゃ！」

メルク「前の相棒さんがいるのです？」

アルゴー「ぐるるぅ。」

イリス「えっとね、ダーリンが癒された後に出会った人でね。２０年くらい、一緒にあちこりを旅したりしてたんだって。」

イリス「だけどその相棒さんも年を取って、結婚もして、もうダーリンと飛び回ることはできなくなっちゃったんだよね。」

メルク「そうだったのですよ～。その後でイリスさんと出会ったのです？」

アルゴー「ぐるるぅ。」

イリス「えへへ、３年くらい前だよねー！」

メルク「思ってたより最近なのですよ！イリスさんとアルゴーさんが以心伝心なので、もっと昔からの付き合いかと思ってたのです。」

イリス「ふふーん、ダーリンとあたしの絆ゆえってやつかなっ！」

アルゴー「ぐるるー……。」

メルク「な、なんだかアルゴーさんが呆れてるような。」

メルク「そういえば、イリスさんはモンスター便のパイロットなのです。そのつながりでアルゴーさんと出会ったのです？」

イリス「ううん、逆だよ！あたしがパイロットになったのはダーリンに誘われたからなの。」

メルク「そうなのですよ？」

イリス「ダーリンとのトキメキの出会いはねえ、あたしが昔の村のことを知って、悩んでた時なんだー。」

イリス「村にいるのもなんだかなーって感じだったから、よく森で遊んでたんだけど、うっかり崖から落ちそうになっちゃって……。」

イリス「そこを助けてくれたのが、たまたま通りかかったダーリンだったんだ。」

メルク「なるほど、そこでラブが……！」

イリス「だって、ダーリンったらオトナっぽくてかっこよかったんだもん！」

イリス「だからダーリンのことがもっと知りたかったの。その時はダーリンがなにを思ってるのか全然わからなかったから。」

イリス「それで見つけるたびにダーリンを追いかけてたら、ダーリンの方からわかりやすく伝えようしてくれてねっ。ふふん、つまりあたしとダーリンはソーシソーアイなの！」

アルゴー「ぐるるぅ……。」

イリス「目が離せなかった？えへへ、ダーリンったら大胆なんだからー！」

メルク「危なっかしくて、というワードがその前に入るような気がしたのですよ……。」

イリス「そのうえ、いろいろ悩みも聞いてくれてねっ。ダーリンったらかっこいいだけじゃなくて、優しいの。」

イリス「モンスター便のパイロットになったのもね、ダーリンがあたしの悩みとか夢を聞いて、それで誘ってくれたからなんだー。」

メルク「そうだったのですよ～。みゅ、イリスさんがパイロットになって叶えたい夢って何だったのです？」

イリス「うーんとねー……。人の役に立てる仕事をしたいなーって思ってたんだ。」

メルク「そ、それは立派なのですよ……！どうしてそう思ってたのです？」

イリス「んー……、あたしの村って盗賊の村だったでしょ？それがやだなーって思ってた時もあったけど」

イリス「でも、ルド兄が頑張ってガラスを作ってるのを見たり、カイザーおじさんとか領主さまのことを聞いたり……、」

イリス「あたしがこうして元気に暮らせてるのはそうやって盗賊してたからなんだなーって思ったりして。」

イリス「だから、すっごく立派な人になって、たくさんの人の役にたつ仕事をしようって思ったんだ。」

イリス「それで村のこととか、村のガラスのこととか、好きになってくれる人が増えたらいいなって。それがあたしにできることなのかなーって。」

メルク「そうだったのですよ……。」

アルゴー「ぐるるぅ。」

イリス「ダーリンはねー、それを聞いてモンスター便のパイロットに誘ってくれたんだ！」

イリス「ちょうどダーリンもダーリンのパートナーを組むパイロットを探してたところだったの。」

イリス「モンスター便を引き受けたものの、ダーリンに乗れる人がいなかったんだって。」

メルク「イリスさんなら乗ることができたのですよ？」

イリス「えへへ、まーねっ！ルド兄たちから盗賊の身のこなしを教えてもらっててね、ダーリンがそれをモンスター便に活かしてみたらって。」

メルク「それでモンスター便のパイロットとして頑張っているのですね～……。いろいろお話が聞けて良かったのです。」

メルク「イリスさんはまっすぐで一生懸命で、アルゴーさんに負けないくらい素敵な方だということが改めて分かったのですよ！」

イリス「えっ、えへへ……、ありがとう！やったね、ダーリン！あたしたちお似合いのカップルだって！」

アルゴー「ぐるるぅ……。」

メルク「相棒としてはともかく、カップルとしては認めがたいものがあるようなのですよ……。」

メルク「でももしアルゴーさんとほんとに結婚したとしたら……、」

イリス「したとしたら？」

メルク「家の間取りはこのくらいは必要そうなのですよ。」

イリス「２枚目に突入するほど！？こんなに広い家を買えるほどお金稼げるかなあ……。」

イリス「……。」

イリス「でもそうだね。今だって、ダーリンが紹介所に入りきらなくて窓から首を入れてる状態だもんね……。」

メルク「外から見たらちょっとシュールなのですよ。」

アルゴー「ぐるるぅ……。」