【黒ウィズ】アイドルωキャッツ!! Story6
story チミチミのささやき
yチミチャンガってなに?
yへえ、料理なんだ。変わった名前だね。
お腹は星たぬきみたいにぷくっと丸くて、手足は短くて、顔はちょっとぶちゃいくでかわいいです!
リリーの元気な声に合わせて、ペオルタン芸能事務所の扉が開く。
wチミ、チミ。チミたちどうせ、暇ニャ? それならまたバイトしてほしいニャ。
ん? なんニャ、チミたち。アタイの顔に何かついているかニャ?
wバカやってないで、店に来て、お酒のボトルに水を足すバイトをしてほしいニャ。
w違うニャ。アタイはお客さんの体を守っているニャよ。嘘じゃないニャ。
story Z☆O☆B☆A
今日もペオルタン芸能事務所では、アイドルたちの暇を持て余したおしゃべりが始まっていた。
その議論は次第に広がっていく。
y私はちょっと違うかな。さば、のり、唐、ぞば、そば、がいい。
yということは、つまり、それって……!
「「「「「ぞばぞばぞばぞばぞばぞばぞばぞばぞばぞばー!」」」」」
(もう! みんな! かわいい!!)
暇を持て余したアイドルたちのおしゃべりは、基本的にはノリ以外何もなかった。
story 夜と杖
我だ。魔杖エターナル・ロアだ。我はいま――
「魔杖選手―。オレだってライツーなんだよ。
ベンノリ、オビで、バミってたら、ヘルダーNGで、バラシとかだぜえ。ジーマーでツイキーだぜ。」
ペオルタンにからまれている。
ペオルタンはめんつゆを一定量飲むと、なぜかひどく酔っぱらうことが多かった。
酔っぱらったら、どこぞで覚えた謎の言葉でまくし立てる。
そしてなぜかペオルタンはスナックくろねこに行くときは、我を持っていくことが多い。
酔ったペオルタンの話相手をさせられて、我はジーマーでツイキーだった。
「小娘たちも忙しい中で、昼食を一番楽しみにしているんだ。ここはお前が折れてやれ。」
「ジーマー、リームー。オレのニンカンのローブクもバイヤーだぜ。なんでオレが泣かなきゃいけないんだ? どっかに手のかからねえドルアイやれるアービューのチャンネーいねえかなー。」
「アタイはどうニャ。これでもまだまだメスの盛りニャよ。」
「オメエはロイクーのコーネーじゃねえか。デルモ体型の人型がマストだっての……。」
「酔っぱらいは見る目がないニャ。
それなら、魔杖はどうニャ。前に見た時はデルモ体型だったニャ。」
「我? 我がアイドルをやるのか?」
「なかなかの色男だったニャ。アタイのメスの部分がちょっと荒ぶったニャ。」
「お、いいじゃねえか。男性アイドルのワンチャン探るか~。」
魔杖選手、そこらの卜―シロのM2、ピックアッブからの人型完バケ巻きでシクヨロー。」
我は特にワンチャンを探りたいわけではなかった。
だが、巻きでこの現場を撤収したかったので、ペオルタンに話を合わせることにした。
ペオルタンが言うところの『泣き』である。
「どうだ。ワンチャンあるか?」
「悪くないと思うニャよ。どうニャ、ペオルタン?」
「ちょっとパンチがちゃいちーかなあ……衣装変えっか~。」
ペオルタンはステッキを取り出して、呪文を唱えると、―振り我に向けて振った。
いつもは呪文など唱えないから、恐らく出鱈目だろう。
「バーターバーター・ケツカッチンのテッペンマワリー~!」
「……これは、ワンチャンある格好なのか? どうだ、ペオルタン。偽猫。」
我も鏡で見て、あるいはワンチャンあるかもと思っていた。
そんなとき、店の扉が開いた。
「ピュアの人。また、杖の人持っていったでしょ。うわッ、めんつゆ臭い……。ピュアの人また飲んでるの? ピュアの人はめんつゆミーノーで、テンションカイデーのワクメーだから、マストでNGでフィックスしたでしょ。」
「かてえこというなよ、リルム先生ぇ。そうだ、ちょっとこいつ見てくれ。」
一番見られたくない奴に見られた。
「ヘンタイの人……。なにその格好?」
「これはそのわけがあってな……」
「ヘンタイだからそんな格好してるの? 自己主張の強いヘンタイがいるというのは聞いたことはある。」
「おい。違うぞ! 確かにちょっと見えなくもないけど違うぞ!」
「こいつもアイドル目指してるらしいぜぇ。どうだ~リルム先生、かっこいいと思うか?」
「……アイドル目指してるの?」
「いや、まあ……かも?」
「……私がアイドルだから?」
「あ、それは違うぞ! 断じて違うぞ! 妙なこと想像しているだろ!」
ちょっと抗弁してみたが、小娘は肝心な所はきかないルーギャーである。
「前にも言ったけど、ちょっと距離感おかしいと思う。いま杖の人いないから勘弁してあげるけど、次見かけたら、マストでバッシャーのフットだから。」
と、ぴしゃりと言って、小娘は店を出た。
なんとなく人の姿の我の株がさらに下がった気がした。
小娘の中で、人の姿の我はNG、マストで、フィックスな気がした。
悪人だと思われるのは慣れているが、ヘンタイというのは少し方向性が違うので、なんとかしたいものだ、と少し思う。
幸い、杖の我の印象は、杖でフィツクスされているので、まだ小娘と旅は続けることになりそうだ。
我の人型の印象を変える機会もあるかもしれない。
いや、ないかもしれない。
小娘はどうしようもないアホであった。
アイドルキャッツ!!
6 番外編
7 嘘猫は眠らない