【白猫】ヴィルフリート(正月)・思い出
初日の出と吸血鬼 ヴィルフリート・オルクス cv.子安武人 お笑いを探求する不死者の帝王。 厳しい目を持つ妻のため、日々ネタを探す。 | ||
2017/01/01 |
新春さるとり合戦 2017
思い出1
新年明けましておめでとうございます。
旧年中は格別のご厚情を賜り、誠にありがとうございました。本年も何卒宜しくお願い致します。
明けましておめでとうございます、ヴィルフリートさん。こちらこそよろしくお願いします♪
アタシもよろしくー♪
にしても、折り目正しい帝王ねえ?
挨拶は大切だ。位に関わらず、な。では、見ろ。
おまちなおやおやおまちなしゃんせえ、ドッコイ!
やれめでたやめでたやな~、ハァドッコイ!ドッコイ!
や~れも才蔵あらずと申せど、さてもさすがの太夫かな~、コリャコリャ♪
それシュバルツグラープくら~き森ともニュクセン似通た宵の島♪
アレ白羽にや小枝にヒメツルニチニチ、ごしゃ~ごしゃ~、咲くまで萬歳♪
祝いこんで~、参る~と、ハァドッコイ!ドッコイ!
よくわかんないけど、アンタがやったってことは、いまのは古典芸能ね?
うむ。いまのは〈まんざい〉である。
……アレレ?まんざい?アタシが知ってるのと違うかも……
まんざいっていうのは、二人でおしゃべりするヤツだと思ってたけど……
なんでやねん!とか、アンタとはもーやっとれんわ!とか……
ふむ。それも漫才である。
だが、強いて言えば、それは〈しゃべくり漫才〉だ。後年生み出された、な。
……と、いうことは。そもそものまんざいってのが、いまのだったわけ?
……懐かしいな。遥か昔、我が居城にも、先程のような演目を披露する人間が訪れたものだ。
<門付>とも呼ばれる芸だ。記憶を頼りに演じてみたが、中々のものだったであろう?
そうね、なんかスゴかったわ。だけど……笑えるカンジ?じゃあ、なかったわよ?
ふむ。
ですが、とてもおめでたい気分にはなりました♪
ふむ。キャトラよ。
なに?
これでも、笑ったのだ。昔の人間というものは、な……
家々をまわる太夫と才蔵……その楽しげな音曲は、人々に笑顔を与えた。
……キャトラよ。〈お笑い〉というのは、近年、飛躍的に進化したものなのだ。
へえ……そうなのね。
人は、変わらぬ。人は太古より、笑いを欲していた。
だが……その手段が、いまほど豊富ではなかった……
先程のような芸で、皆が笑っていたのだ……
……何か、考えさせられるとは思わんか?
そうね……変わらない人間と、近年の爆発的なお笑いの進化を考えさせられるわね……
…………
てかアンタ、長生きよね?遥か昔って言ってるけど、その頃も生きてたんじゃないの?
うむ。
うむでなくて。
温故知新である。今年は例年にも増して、古き笑いと新たな笑い、その両方を突き詰めてゆこうぞ。
……妻も目覚めたことであるしな。
えっ!?
礼を言う。汝らにも世話になった。
ちょっとちょっと!そんなら紹介してよ、アンタの奥さん!
…………
あーっ! 逃げないでよーっ!
……たぶん、照れてるのよ……♪
思い出2
ちょっとヴィルフリートぉ~?水臭いんじゃないのぉ~?
…………
奥さんさぁ、目覚めてたんならさぁ、すぐに教えてよぉ~?
アタシたちの仲じゃないのぉ~?
キャトラ……
ちょっとなれなれしいんじゃないかな……?
なにをいってるのよ、同じ学校にも通った仲じゃないの~?
それに、ずっと眠り続けてたアンタの奥さんのこと……けっこう気になってたし……
もっと早く知らせてくれれば、すぐさま祝ったわよう!
……そうか。その気持ちは、有り難く頂いておこう。
うん、あげるわ!
……で?どうなのよ?奥さんとは、その後?
そうだな……
もう、キャトラ!すいません、ヴィルフリートさん。
プライベートなことですし、話したくなければ無理にとは言いませんから……
構わん。我は帝王。語って恥じるようなことなど何もしてはおらぬ。お天道様に誓ってな。
吸血鬼なのにね。
我は太陽とも上手くやっている。
そんなことよりもキャトラよ。聞きたいのではなかったのか。
教えてくれるの!?奥さんとのその後のこと!?
うむ。
……ごくり。
……!
我ら夫婦は――――円満だ……!
うひゃー!よかったわねー!おめでとー!
おめでとうございますヴィルフリートさん!私もとっても嬉しいです!
そうか。だが……
まったくもー!らぶらぶで暮らしてんでしょー!?ノロケんじゃないわよー!
次なる命題が……
何年だっけ???にせんねん?さんぜんねん?
久しぶりだものねー!ひゅーひゅー!
…………
ぎにゃっ!?
なぜ飛ぶ。
なぜって…………飛べるから……
飛べるからとて限度があろう。
そうね。失礼したわ……よいしょっと。――で?
……妻がな。変わったのだ。
いや、変わっておらぬと言うべきか……
眠りにつく前は、笑うことなどなかったが……
封印されている間に、お笑い好きが露見した我が妻は……
目覚めた今でも……笑いに、厳しいのだ……!
思い出3
…………
<ヴィルフリートが……微動だにしない!
まるで……銅像だ……!>
…………
アラ、ヴィルフリートじゃない。そしてすぐ横に看板があるわね。なになに……
『厄払いの足しになろう。好きにするがよい』……ですって。
そしてさらに脇にあるのはハリセンにバケツに小麦粉に……
理解したわ。じゃあやりましょう!
……そうね!
えいや一!
<跳び上がったキャトラが、ヴィルフリートの顔面にハリセンを叩き込んだ!?>
それーっ!
<アイリスがバケツの水をヴィルフリートにぶっかけた!?>
…………
や一!
<キャトラが小麦粉を投げつける!>
たあっ!
<アイリスが筆で鼻先をくすぐる!>
…………
テンション上がってきたぁ!
やっちゃえー!
…………
……
…………
……思わず我を忘れちゃったわ……
てんやわんやしたね……
……うむ。
あっ、やっとしゃべった。言われた通り、二人でボコボコにしてあげたわよ。
これで良かったんですか……?
満足のいくものであった。
いったい……なんのために……?
汝らの『厄』は、我が肩代わりした。
これで今年は、必ずや実りある一年になることであろう。
は、はい。ありがとうございます……?
さらばだ。
……ふむ。
キャトラ?
スカっとしたわ!来年もやりましよコレ!
きゃ、キャトラ……
思い出4
…………
<なぜかわからないが、いつもよりも、圧がすごい……!>
ど、どうしたのよヴィルフリート……?
ヴィルフリートさん……?
……我はヴィルフリート。未練抱く魂に裁可を下す、不死者の帝王である。
そ、そうよね……
――貴様らに――
な、なによ……?
……くれてやる……!
ぬぬぬぬぬ……!
ものすごいソウルがヴィルフリートさんに……!
うぬぬぬ……!ぐぐぐぐぐ……!
なんだっていうの……!?
――ぬぅぁぁぁああああ!!!
…………
こ、これは……!
玉じゃない……!
これがほんとの、おとしだ――
ぎにゃー!みなまでもーすなー!
ふんとにもう!おとしだまくらい知ってるわ!なんなのよ不必要なリキミは!?
これぞ、笑いの本質――
――緊張と……緩和だ!
なるほど……
もう!無駄に疲れたわよ、無駄にね!
では、本物をやろう。
えっ!?くれるの!?
うむ。受け取るがいい。
ワ~イ♪やった~♪
貴様らの分もある。遠慮するな。
ありがとうございます♪……あっ♪星たぬきのポチ袋♪
さて、これでひとまず、正月の『お約束』はあらかた済ませたか。
これより――本題に入る。
ほんだい……?
思い出5
主人公。貴様、鼓は打てるか?
つづみ……?って、あのポンポン!ってやつ?
そうだ。貴様は、あらゆる楽器を弾きこなすと耳にした。
えっ!?主人公、そうなの?
だれにどう聞いたか知らないけど、尾ヒレがついてると思うわよ?
そうか。だか、貴様ならばすぐに使いこなせるであろう。
<そう言うとヴィルフリートは鼓を手渡ししてきた……>
よいか。基本のリズムはこうだ。
ポン!ポン!ポポンっ、ポン!わかったな?
ちょっとちょっと、それだけじゃあさすがにわからないわよ。
貴様ならば出来る。さあ、我が才蔵となるかよい。
さいぞう……というのは?
まんざいを演じる際に、太夫の相方を務める者のことだ。
太夫は我だ、心配はいらぬ。汝は適切なリズムで鼓さえ打てばよい。
……つまりアンタは、最初にやったあのまんざいを、もう一度やろうってのね?
いかにも。
で、その合いの手役を、主人公にお願いしようってことでしょ?
うむ。
なんで主人公なの?ちゃんとしたプロの人を雇えばいいじゃない?
……昔は『才蔵市』というものがあったそうなのだがな。現在は、見当たらぬ。
才蔵を見つけることが容易ではなくなったのだ……
なるほど……古典芸能の、悲しい衰退ってわけね……
うむ……
……主人公。力を貸してあげましょう。いつもお世話になってるし。
おお。恩に着る。
で、そのまんざいをさ、奥さんに見せてあげるんでしょ?
うむ。我が妻は、重厚なる演芸を、より好む。
もっとイマフーのお笑いでもいいと思うんだけどね?
流行の笑いを評価しないわけではない。だが、まあ、時節にも合うしな。
新年一発目は、古典まんざいで勝負である。
……わかったわ。じゃあ、行ってらっしゃいな!
必ずや奥さんを、クスりとさせてくるのよ!
無論だ……!
思い出6 (友情覚醒)
そう緊張するな。楽にするか良い。
ふむ。そういうときは、『人』という字を三度、てのひらに書いて呑むのだ。
水が無いと呑めないだと?馬鹿なことを言うでない。
<何も言ってないのだが……>
…………
<……一人の美女が目の前に現われた!
……!>
いらっしゃいませ。どうぞ、お楽に。
見てもらいたいものがある。よいか?
ええ、もちろん。
では――参る。
おまちなおやおやおまちなしゃんせぇ。ドッコイ!
<これは、あのときと同じ――>
やれめでたやめでたやな~、ハァドッコイ!ドッコイ!
<そうか、このために、一度見せてくれていたのだ……!>
や~れも才蔵は赤髪剣士、太夫~さまはヴァンパイア~♪
のアンパイア!それドッコイ!ドッコイ!
それシュバルツグラープくら~き森ともニュクセン似通た宵の鳥♪
アレ白羽にゃ小枝にヒメツルニチニチ、ごしゃ~ごしゃ~、咲くまで萬歳♪
祝いこんで~、参る~と、ハァドッコイ!ドッコイ!
<―新年のめでたい気持ちが全身を駆け巡る――!>
…………
……改めまして。新年、明けましておめでとうごさいます。
とっても晴れやかな気持ちになりました。
ありがとうございます。……あなた。……ふふっ……♪
……そうか……!
礼を言うぞ。主人公。
ねえ、あなた?
うむ。
晩餐の席を、ともにせよ。
遠慮はいらぬ。
賑やかな方が、私たちも楽しいですから♪
<こうして、帝王の居城でごちそうになった。
――今年も一年、がんばろう――>
……いい若者でしたね。
うむ。
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