オズマ・思い出

オズマの思い出とボイス

思い出1

オズマ

三本の赤いバラ――

――情熱的な愛の告白。

受け取ってくれるかい？

セラ

多少の勝算があって

するものだと思うけど。求愛って。

オズマ

未来の可能性は

決してゼロにはならない――

オズマ

――なら、どんなに分か悪くとも、

自分の信じた目に

張りたいもんだろう？

セラ

言い慣れてるわね。

オズマ

キミに成長させられたのさ。

セラちゃん。

セラ

ウソばっかり。

バラなんてもらうの

初めてだと思ったけど？

オズマ

なんてこった。

オレはいつでも心の中で、

キミに花束を差し出してたのに。

セラ

あたしに見えないんなら、

それは現実の事象じゃないわね。

オズマ

ヒュ～♪

それはセラちゃんの

悪いクセでもあるぜ？

セラ

ご指摘は結構。

自分でもわかってますから。

セラ

じゃあね。

オズマ

今度また、ゆっくり、な。

セラ

前にも言ったと思うけど、

仕事とプライベートは

切り離しているから。

…………

……

闇に溶ける黒色の飛行艇。
速度を重視した流線型のそれが、
夜の荒野に静かに停泊している。

側近

遅いですよ～。

オズマ

仕方ねえだろ～？

美女たちが中々

逃がしてくれねえんだからよ～。

側近

ハイハイ。

オズマ

おい、なんだその返事？

教育がなっちゃいねぇな。

側近

上司が上司なもんで。

オズマ

ヒュ～♪　嬉しいぜジョニー。

いっぱしの皮肉を言えるように

なってくれたな～♪

ジョニー

おかげさまで。

じゃあ、乗ってください。

すぐに出しますから。

ジョニー

……ホントは行きたく

ないんですけどねえ……

オズマ

おめえは連れてくだけなんだから、

別にいいじゃねえか？

ジョニー

だからですよ。

心配して待ってる方が

精神的にしんどいです。

オズマ

なら心配なんかやめて、

呑気にしてりゃあいいだろ～？

ジョニー

それを出来るようにするのが、

今後の課題ですよ……

二人が乗り込むと、飛行艇は
静かに地面を離れ、
月だけの浮かぶ空へ消えてゆく――

思い出2

ジョニー

次は～

＜ワスカ＞～＜ワスカ＞～

オズマ

着いた？

ジョニー

ちゃんと聞いててくださいよ。

『次は』って言ったでしょ。

オズマ

じゃあ……今いるここはどこだ？

ジョニー

＜ワスカ＞の手前です。

オズマ

その答えはズルだろ～？

正確に言えよ～。

ジョニー

じゃあ、到着までの時間稼ぎで

＜ワスカ＞の説明をしますから、

だまって聞いててくださいよ。

ジョニー

ワスカ島があるのは、

連邦領の北の端です。

ほとんど境目くらいの。

ジョニー

人口二万五千人。

他国との交流も限定的で、

実情は謎に包まれてますが――

ジョニー

――生産性などが、

人口比率から考え、異常。

奴らの関与が疑われます。

オズマ

オッケ―、十分だ。

ジョニー

あれっ？　いつの間に

パラシュート装着したんですか？

オズマ

聞きながら。そんじゃあ、

ちょっくら行ってくるわ～。

ジョニー

……反対なんですよねえ。

あなたがわざわざ

直接出向くシステム。

オズマ

だったら偉くなりなよ。
オレよりも――なっ！！

ジョニー

……無理だってわかってて

言うんだもんなあ……

…………

……

オズマ

――さ～て、と。

がんばって働くとしますか。

思い出3

オズマ

……ふ～ん……

……まぁ、町だな……

見たとこ、な～んてことのねえ……

少女

！？　あなた、ヨソ者ねっ！？

オズマ

お？

少女

堂々と通りを歩いて、
何考えてるのっ！
早くこっちへ来なさい！

オズマ

お、おぉ～～～？

…………

……

少女

……ここなら誰もいないわね……

オズマ

なんだいお嬢ちゃん？

強引なのは嫌いじゃないが、

にしても――

少女

帰って！

オズマ

ん～？

少女

ここはあんたみたいな
ニヤケ面した男が
生きられる国じゃないのよ！

少女

早く帰りなさい！
誰にもみつかる前に！
いいわね！

オズマ

おい、お嬢ちゃん……！

オズマ

…………

オズマ

……へっ……

ヤル気が出るねえ……

…………

……

人々が黙々と農作業をしている……

男

働け！　月が白くなるまで！
闇夜のうちに、出来るだけ多くの
『ワスカの葉』を収穫するのだ！

男

逃げようなどとは夢にも思うなよ！
お前たちの手足にはめられた
＜ギアスリング＞の中の＜闇＞が、
たちまち位置を知らせる！

男

なんならその場で、

……ボン！　だ！

男

それが嫌なら働け！
死ぬまでなぁ！
はははははは！

粗暴な男の声が、
機械的に作業を続ける
人々の頭上を通り過ぎる……

少年

ううっ……！

少女

！！　大丈夫！？

男

あぁ～？　ガキィ？

倒れれば容赦するとでも

思っているのか？

男

立て！！

少女

怒鳴ったってどうにも
ならないでしょうが！
少し休ませてあげなさいよ！

男

ああ？　誰に口を利いている？

男

教えてやろう……

お前のような生意気な奴が……

男

―番最初に死ぬんだよっ！！

少女

！！

男

！？　なんだ貴様！！

少女

あんたは……！？

オズマ

教えてやるぜ。

お前さんみたいな

増長した阿呆が……

オズマ

一番最初に痛い目見るってな！！

思い出4

老人

……余計なことをしてくれたな……

オズマ

……ん～？

老人

あんた、よそ者だろう。

好奇心で首を突っ込まれては困る。

オズマ

…………

老人

＜闇＞に、歯向かうだけ無駄だ……

この世の真理なのだから……

オズマ

んなことだれが決めたかねぇ？

老人

原初の昔から、

決まっていることだ……

少女

そんなのわからないじゃない！

オズマ

お嬢ちゃん？

少女

人間ってもっと自由なはずよ……！
こんな、飼い殺しの暮らしが
決められたことだなんて……！

少女

納得がいかないわ！

老人

個人の納得など

些細な問題に過ぎん。

オズマ

へぇ。じゃああんたは、

いまの暮らしで

満足してるってワケだな？

老人

……出て行け、よそ者。

吊し上げないだけ

有り難く思え。

オズマ

へ～い。

少女

あたしも！

老人

それが何を意味するか

わかっているのか？

少女

ええ！
ようやく守れるってことよ、
人間の尊厳をねっ！

老人

…………

…………

……

オズマ

……じゃあ、手足のソレ、

＜ギアスリング＞っつったか？

そのせいで、

常に監視されてるわけだ？

少女

そうよ。だから……

あたしのことも、

じきにバレるわね。

オズマ

そしたらどうなる？

少女

―度見たことがあるわ。

リングの中の闇が膨れ、

その人を飲み込んでしまうの。

オズマ

…………

少女

……あ～あ……

短い人生だったなぁ……

オズマ

にしちゃあ、見事な

啖呵だったじゃねーの。

少女

まあ、ね……

溜まってたから、さ……

少女

…………

少女

もっといろんなこと、

したかったなぁ……

少女

色んな服を着て、

おいしい物を食べて、

別の島にも行って、恋をして……

少女

……う……

……うぅ、うぅうぅぅぅ…………！

オズマ

夜明けまで――猶予がある方に、

オレは賭けてみるぜ。

少女

……？

オズマ

お嬢ちゃんにも相乗りを勧める。

今夜のオレは、絶好調だ――

思い出5

国王

き、貴様、何者だ！？

オズマ

夜更かしはよくねーぜ、オーサマ。

国王

え、衛兵っ！！

オズマ

のみなさまは、

そろって実家に帰ったそうだぜ。

オズマ

なあ、なんだっけ、あの、リング？

どうやって止めるか

教えてくんない？

国王

フン、何を言うかと思えば……

オズマ

教えてくんないの？

国王

知ったところで無意味だ！
機能は失おうとも、込められた
＜闇＞が消えるわけではない！

オズマ

な～るほど、やっぱ

そーゆーことかい。

国王

……？

貴様、どこかで見た面だと

思えば……＜白眼の狗＞か！

国王

帝国の手先め……！
我ら＜闇＞信者を狩り出す魂胆か！

オズマ

手先じゃねーって。

ま、仲が良いだけ？

ほんとかどーかはともかくとして。

国王

すんなりと事が運ぶと思うなよ……

この私も、あのお方から……

国王

力ヲ＜混ゼテ＞頂イテルノダッ！！

国王

＜闇＞ハコノ世ノ源！
悪シキ意志！　人間が
打チ勝テルモノデハナイッ！

オズマ

よくないねぇ～……

そういう決めつけはよ……！

オズマの＜ルーンマグナム＞が、
高音を響かせて
エネルギーを充填する……！

国王

ヌゥッ！？

オズマ

オレっちは知ってんだな～。

＜闇＞に勝る、人間の

だった一つの武器ってヤツを。

国王

ソンナモノ……
存在シナイィィ―――！！！

オズマ

あるある。あるって。

前向さな＜意志＞、

あるいは＜精神＞、またの名を――

＜ルーンマグナム＞から放たれる
莫大な量の光が、
悪しき存在をかさ消していく――

国王

グアァァァァ……！

オズマ

根性。

バイパー

丁度終わった……

俺はまた、タイミングを

逃したのか……

オズマ

そーでもねーぜ、ドンピシャ。

セラちゃん、頼んでたの、

持ってきてくれたかい？

セラ

花束に指示書を

入れておくってどうなの？

オズマ

ただの封筒よりシャレてるだろ？

セラ

処分に困ったわ。

オズマ

あらら……

バイパー

またあそこへ行くのは、

結構大変だったぞ。

あいつに飛行島を出してもらって。

セラ

ほら。＜吸引のルーン＞よ。

オズマ

これこれ、こいつよ。

セラ

それを使うの？

あんまり気持ち良くないわね。

オズマ

ま、そー言わないでさ。

出し惜しみするほど、

人間にゃ余裕がねえんだから――

…………

……

老人

……礼を言わなければ

ならないのだろうな……

あの男に……

バイパー

いらないそうだ。

少女

あの、あの人は、いまどこに！？

バイパー

行った。

少女

そうですか……

セラ

忘れた方がいいわよ。

間違っても憧れちゃダメ。

少女

はぁ……

バイパー

そうそう、これも伝えておこう。

バイパー

この国が、正式に連邦に

加盟するように動くと言っていた。

その方が良いだろうと。

少女

えっ……！？

あの人、何者だったんですか……？

バイパー

チョビヒゲだ。

中々見ない、良いチョビヒゲだ。

思い出6

キャトラ

……これでいいの？

オズマ

おっ……消えてやがる！

やっぱりだぜ！

いや～、ありがとな！

アイリス

あの、そのルーンに

蓄えられてたのって、

＜闇＞ですよね……？

オズマ

ま、な。

……ん？　もしかしたら、

アイリスちゃんも出来るのか？

アイリス

はい、全ては無理ですが……

オズマ

おぉ～！　それはすげえ！
いや～、いい味方を
得ちまったもんだぜ！

オズマ

なあ、主人公。

いまの光、

あと百回くらい頼んでもいいか？

キャトラ

いくらなんでもそれは無理よっ！

オズマ

ケチケチすんなよ～？

キャトラ

ケチじゃないわよっ！
それにね、オズマ！

キャトラ

ワケも話さないで、

いきなりなんなわけ！？　なんで

ルーンの光が欲しかったの！？

オズマ

そのヘンはい～じゃないの、

なんとなくでさ～。

キャトラ

良くないわ！
ちゃんと話してくれないんなら、
百回どころか、次はもうお断りよ！

オズマ

えぇ～～～？

……しょうがねぇなぁ。

じゃあ、話すけどよ……

…………

……

ジョニー

あ、おかえりなさい。どうでした？

オズマ

切り札を得たカンジだな～。

バイパー

それは良かったじゃないか。

オズマ

あれ、待ってたのかよ？

今回の仕事は、もう

全部終わっただろ？

セラ

なら、次の仕事があるかと思って

ここで待ってたのよ。

セラ

一々呼び出されるのも、

妙なやりとりをさせられるのも

もう御免だわ。

オズマ

不評だったか～……

出発前のああいう雰囲気、

オレはすげー好きなんだけどな。

ジョニー

法王様、一回国に帰ります？

あ、やべ、呼んじゃった。

オズマ

お～い、ジョニーこの野郎！

ジョニー

すんませ～ん。

オズマ

こいつらならいいけどよぉ……

あ、セラちゃん、どう？

オレのこと尊敬する？

セラ

……ふ～ん？　ってカンジ。

バイパー

俺も一旦そんなカンジだ。

オズマ

くぅ～……！

相変わらず最高だな、

おめーらは……！

オズマ

よし、ジョニー！
このノリのまま次行こーぜ！

ジョニー

次どこにします？

オズマ

テキトーにリストめくって

止まったとこでいんじゃね？

セラ

いいかげんねえ。

いつもそんな風に決めてるの？

オズマ

前向きなノリが究極の武器だぜ？
＜闇＞に対抗するにはよ！

バイパー

なるほど！　なら俺も乗っかるぜ！

セラ

あなたには向いてないわね。

オズマ

てなわけでGOだジョニー！

ジョニー

出発しまーす！

――戦士たちを乗せて、
漆黒の飛行艇が、
再び空の彼方へ消えていく――

ボイス

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