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盛華年・ストーリー・雀火耀穹(狂化白虎)

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雀火耀穹(狂化白虎)

保護

ふん、何がご加護だよ…

継承式典当日

玉京の街


手にタンフールーを持っている辣子鶏猫耳麺の手を引きながら、のんびりと街を散策していた。緊張感はまるで感じられなかった。


町人A:やっと次の神君様が決まったんだな……良かった……

町人B:神君様がいなきゃ、あの怪物たちは好き放題暴れまわるからな。

町人A:どうか神君様のご加護を。


周りの人々の話を聞き、辣子鶏は思わず鼻で笑った。


辣子鶏:ふん、何がご加護だよ……

猫耳麺:城主様……

辣子鶏:猫耳ちゃんどうした?

猫耳麺:城主様、うまく隠しているつもりかもしれませんが、玉京についてから、心の音が少し苛立っているように聴こえます。なにか気になることでもあったのでしょうか?

辣子鶏:……やっぱりお前には隠しても無駄か……道理で人参の木偶の坊はお前をそばに置くわけだな。

猫耳麺:……人参様は木偶の坊ではありませんよ……

辣子鶏:猫耳ちゃんはさ、俺がなんで機関城を建てたかわかる?

猫耳麺:ん……きっと城主様は世界を懐に入れ、あらゆる民を救うため―

辣子鶏:やめろやめろ、まだガキのくせにあの木偶の坊から建前ばっか教わりやがって。

猫耳麺:……違いますか……

辣子鶏:違うな。俺はな、心が狭いから、一つの城の者しか入れたくないんだ。

猫耳麺:……

辣子鶏:だから、この城の者だけは誰にも傷つけさせない。

猫耳麺:でも城主様は人参様の頼みを聞いて、玉京の危機を救うためにここまで来たじゃないですか。

辣子鶏:俺はあの木偶の坊の頼みで来たんじゃない……ここに来たのは、朱雀がこの光耀大陸を守ってくれる偉いやつだなんてどんなバカがそう思っているのか確かめに来たんだ。しかしよ、そいつは思ってたよりバカだった、信じられねぇぜ。

猫耳麺:ん?

辣子鶏:俺はたった一つの城を守るだけなのに、時々事務の仕事を東坡肉冰粉たちに任せたりしている。この光耀大陸を全部一人で守ろうなんてな、大丈夫なのかよって。

猫耳麺:……光耀大陸を……

辣子鶏:ああ。それに守られている人は自分たちが一体誰に守られているのかもわからず、そいつの名前すら知らないんだよ。なあ、とんだバカだと思わないか?

猫耳麺:……城主様……

辣子鶏:あぁ、面倒くせぇ。よりによって俺はあいつのことを少し気に入っちゃったんだ。猫耳ちゃん、俺と一緒にあのバカを助けてやってくれないか。

猫耳麺:――わかりました!!!


継承

これからは光耀大陸をお任せする。


ゴーン――ゴーン――

鐘の音がゴーンと玉京城中に響いていた。

玉京の民は皆、天壇の前に集まっている。数百年に一度しか見られない継承式典を見届けるために。


北京ダック:(……城主様たちは……いずこに……)


鐘が鳴らされたその時、騒がしかった天壇は静まり返った。皆静かに厳かな天壇を見つめていた。

深い色をした華麗な礼服を身にまとっている白虎神君は天壇の向こう側から同族の者に支えられ、ゆっくりと祭壇まで登っていく。

まつげまで真っ白な青年は他人の支えなしでは立つことすらできなくなっている。彼はしばらく青空を仰いでぼんやりとしていた。いつの間にか、涙がその頬を伝って零れ落ちた。


兵士:神君陛下……

白虎:……なに、あまりにも長く空を見ていなかっただけだ……


赤い礼服を身にまとっている南翎は明四喜を後ろに、ゆるりと祭壇へ登り。二人は天壇の前で熱い眼差しで自分を見つめている民を見回し、互いに視線を留めた。

二人の青年は初対面だが、目が合った瞬間にお互い笑顔を浮かべた。

それぞれの一族が権力と金銭をめぐり、どんな葛藤を抱えていようが、二人がどんな立場に立たされていようが、友であれ敵であれ。

少なくともこの瞬間、二人は同じ鼓動を鳴らしていた。


白虎:貴方が朱雀ですね。

南翎:白虎神君。

白虎:ゴホッ、ゴホッ……すまない……私はもう休ませてもらうよ……

南翎:大義の程、本当にお疲れ様でした。

白虎:これからは光耀大陸をお任せする。


二人の神君が向かい合って跪き、天壇の前に立つ民も一斉に跪き始めた。二人の声は天壇を包んで空に響き渡った。


光耀大陸玉京の君、真摯たる心を持ちて、謹んで四聖の霊に告ぐ。

今、魑魅魍魎の類、我が土地にて暴れん。

吾は万民の願いを聞き、四聖の聖なる霊力を求め、民を守らん。

此の浩々たる世に、民を真っ先に思うべし。

帝王たるもの、決心を固め、万死してもなお変わらず。

天下に平安を。


緊急事態

やりました!!聖主様!!!


白虎:天下に平安を。

南翎:天下に平安を。


祝辞が終わりに近づくにつれ、祭壇の真ん中に位置する陣の中にいる神君たちは身につけている礼服と同じ光を放ちはじめた。

しかし――


白虎:うっ――

南翎:うぁあああ――!!!!!!


融合しようとしていた白と赤の光に薄暗い色が差す。光を放っていた二人の神君たちは胸元の襟を握り、苦しそうに倒れた。


大臣:はっはっはっは――――やった!!!!やりました!!!!聖主様!!


けたたましい笑い声にその場にいるものは皆気を取られている。人々は白虎神君のそばに立つ凶悪な顔をしている老臣のほうを見た。


大臣:聖主様、わたくしは約束通り陣を覆してさしあげました!今こそ!貴方様のご降臨の時!!!!!!お約束はどうかお忘れになりませぬよう!我ら白虎一族が永久に四族の上に君臨するということを――うっ――


気が狂ったかのように老臣が空に向かって腕を伸ばした瞬間、後ろから別の手がその身体を貫いた。その時、静かだった玉京はまるで熱くほとばしる油の中に落ちたかのようになり。光耀大陸の上空を覆う巨大な天幕も徐々に消えてゆく……


町人B:きゃあああああああ――――――――!!!天幕が!!!!!!天幕が割れた!!!!


平安だった玉京城に堕神の群れが押し寄せ人々は恐怖に飲み込まれる。止むことのない叫び声やうめき声が響き渡った。


町人A:逃げろ!!!!!神君はもう死んだ!!!

町人B:神君でさえ俺たちを救えないというのか?!!!

町人C:神君!!!神君助けて――!!


幸いなことに、北京ダックは準備を怠らなかった。既に食霊たちを民衆の中に紛れ込ませている。そして凶悪な牙をむき出している堕神から身をていして人々を守った。

だが、堕神の数はあまりにも多く、食霊たちも苦戦を強いられていた。傍らで戦局を見ていた北京ダックも戦闘に加わらざるをえなくなった。

彼の目の前でチキンスープが祭壇へ登っていく。そして彼女は愛おしそうに手にした器を見つめ、寒気がするような優しい声でこう言った。


チキンスープ:聖主様……妾がやっと……貴方様のための最高のカラダを見つけました……


ガシャン――

彼女が器を割ると、中にあった黒い霧の塊が祭壇で倒れている南翎の方へと急いだ。


北京ダック:気を付けてください!!!


それを目にした北京ダックは思わず声を上げた。だが前に堕神どもが立ちはだかり、祭壇に向かう余裕はない。突然、その黒い霧は金と赤の光を帯びた障壁によって遮られた。


辣子鶏:待たせたな、英雄の登場だぜ。




英雄

待たせたな、英雄の登場だ。


辣子鶏:待たせたな、英雄の登場だぜ。


笑みを含んだ声を聞いて、心臓が止まりそうになった北京ダックは冷静さを取り戻す。空からひらひらと舞い降りる赤い服のぶっきらぼうな青年を見て、北京ダックは仕方なさそうに笑った。


北京ダック:城主様、お待ちしておりました。

八宝飯:こいつが英雄は遅れてくるもんだってうるさいからさぁ!

マオシュエワン:親分!!轟天雷は用意できてるぜ!!!

冰粉回鍋肉

回鍋肉:全ての機械に霊力を注入済みです。

トンポーロウ:はっはっは!!!この騒ぎが収まったら、お主らと一杯飲みたいもんじゃ!!


機関城の者たちと共に、大砲の砲弾が空から降ってくる。一見何の規則性もないような砲撃だが、全部きっちりと目標に落ち、堕神を撃退そして消滅させていた。


北京ダック:これは?

冰粉:これは城主様が作った兵器です。霊力が満ち溢れていれば、たとえ素人が操ったとしても堕神どもとやりあえるだけの力を得られるはずです。


一瞬で、炎のように砲弾が地面に炸裂した。が、誰一人として傷つけてはいない。颯爽と現れた地府の者たちも戦場に加わり、劣勢だった戦況は一気に転じた。

祭壇に立っているチキンスープは南翎がまとっている金色の光を見て、爪を強く噛んだ。柔らかだった表情も凶悪になり、祭壇の柱の上に立ち得意げに笑う辣子鶏を睨みつけた。


辣子鶏:聖女様――今日はめでたい日だぜ。我が機関城からのお祝いだ――

チキンスープ:貴様、何をした?!!

辣子鶏:そんなに朱雀の身体が欲しいならくれてやるよ!モフモフ鳥!出て来いよ!

モフモフ鳥:辣子鶏のチキン野郎め――――またモフモフ鳥と呼んだら本当に承知しないからな!!!


南翎の襟元が膨らみ、その中からふわふわとした黄金色の毛玉が飛び出した。ぽっちゃりとした小鳥は赤みを帯びた金色を閃かせる。その高く跳ね出ている毛すらなぜか神々しく感じてしまう。


チキンスープ:!!!!!そんな馬鹿な?!!!

辣子鶏:悪巧みなど絶対的な力の前では、全てが無に等しいのだ。

チキンスープ:なぜ、なぜだ!!!なぜ貴様らはこいつを助けた!なぜこんな者どもを!!貴様は――

辣子鶏:なぜ助けた?モフモフ――教えてやれ!助けた理由を!!

モフモフ鳥:今度モフモフ鳥と呼んだら承知しないって言っただろう!助けようが助けまいが貴様には関係ない!俺があの小僧を気に入ったから助けたんだ!それより貴様!小娘がそんなに深い執念を抱えていてはろくなことが起こらんぞ!

チキンスープ:……ありえない……朱雀はもう……でも……たとえ警戒していても……もう遅いわ……!盟友よ、貴方たちの誠意を妾に見せつけるがよい――


盟友

聖主、聖主様!


チキンスープ:……ありえない……朱雀はもう……でも……たとえ警戒していても……もう遅いわ……!盟友よ、貴方たちの誠意を妾に見せつけるがよい――


チキンスープの狂おしい笑顔を見て、急に静まった玉京に辣子鶏たちは薄っすら不安を感じた……

ドカーン――――――――

機関城の砲弾と違い、玉京の地面は祭壇を中心に裂けはじめた。轟音が混乱する人々をさらに恐怖に陥れ、悲惨な叫び声が玉京城の上空を漂う。

裂けた地面から飛び出た焔は天地を食らうかの勢いだ。やがてその焔は数えきれないほどの巨大な火の鳥と化し、羽ばたく場所は火の海と化していく。


老人:これは――朱雀じゃ!!!!!!!

老人:神君が祭天の儀を終わらせなかったから――朱雀様の怒りに触れたんじゃ――朱雀様はこの玉京を滅ぼすおつもりじゃ―――――――


堕神の襲来で逃げ回っていた民たちに会話は聞こえず、絶望の目で祭壇を見上げたが、最後の希望だった朱雀神君も今や弱りきって、地面に横たわりうずくまっていた。


辣子鶏:こ、これは!

モフモフ鳥:これは俺の力なのか?!!!!!


玉京城は大きな絶望と恐怖に包まれた。生まれてくる抑えられない負の感情がまるで実体を持ったように集まり、儚かった黒い霧にどんどん吸い込まれていった。


チキンスープ:ははははははーー聖主様!!!!!ご降臨を奉迎いたします――――――


チキンスープの熱狂的な視線を浴び、固まりつつある黒い霧はやがて人の形をなす。辣子鶏たちが火の鳥に囲まれ右往左往するうちに、地面に倒れている白虎神君の体内に融合していった。


チキンスープ:聖主様のご降臨を奉迎いたします――――――

黒服の人:聖主様のご降臨を奉迎いたします――――――

南翎:だ……だめです……


南翎は腕を伸ばすと、倒れていたはずの白虎神君はゆっくりと立ち上がった。彼は少し不思議そうに自分の身体を見た。


白虎:…………

チキンスープ:聖主、聖主様!

白虎:この身体は……

チキンスープ:妾の計略が甘もうございました。まさか朱雀神君が守られていようとは……こんな下策を取らざるをえなくなり本当に……

白虎:まあよい、使えればよい。行くぞ。

チキンスープ:はい!


チキンスープは白虎神君の身体を使った聖主に従い去ろうとしていた。北京ダックはそれを追おうとしたが、火の鳥が邪魔をして進めない。突然、その巨大な火の鳥は内部から炸裂し弾けた。


辣子鶏:おい悪徳商人、早く追えよ!

北京ダック:……城主様?

辣子鶏:あいつこそお前の狙いだって言ってただろう?

北京ダック:しかしここは……

辣子鶏:俺が何とかする。だから早く!俺に活躍の舞台を譲ってくれた礼だ!必ずやつを取っ捕まえてこいよ。

北京ダック:感謝いたします。


炎の壁に囲まれていたが、一人しか通れないほどの道が現れた。北京ダック辣子鶏に軽く会釈をし、先を急いだ。

北京ダックの背中を見送ると、辣子鶏は振り返り大きな火の鳥と、炎に紛れ暴れまわる堕神を凝視する。その眼には鋭い光が煌めき、その口からは戦意に満ちた笑みが浮かんだ。


辣子鶏:モフモフ鳥、こいつら死に急いでいるようだな、サボってる暇はねえぞ!!!



親類

その虚空でまた会おうぞ。


北京ダック:待てーー!


もう、祭壇で見た温和な白虎神君はどこにもいない。優しかった顔も今や怪しい邪気を放っている。青年の腕を伝って滴り落ちる血は、濃い黒色を帯びて地面に広がっていく。彼は振り返り、幾分笑みを含んで北京ダックを見つめた。


白虎:お前が玉京で斬首された官吏に仕えていた霊だな。お前にはさんざん邪魔されたと記憶している。よくも我が悪都まで灰に変えてくれたな。


青年の声はまだ白虎神君の穏やかさを保っている。しかしその口から出てきた言葉に、北京ダックは両目を見開いた。その瞬間、手の煙管から燃え上がる炎で敵を飲み込もうとしていたが防がれてしまう。


白虎:そう苛立つでない。吾はお前のことを気に入っている。どうだ。我が聖教に加わる気はないか。


しかし、次の瞬間、聖主の白い手のひらに、突如として火傷の跡が現れた。


北京ダック:……


さきの攻撃で北京ダックはなんとか自分の怒りを抑えた。彼は無数の月日をかけ追い掛けた悲劇の元凶を見つめ、めらめらとその瞳に炎を燃やし続ける。


白虎:お前一人では、吾をどうすることもできない。

北京ダック:試してみなければわかりませんよ……まだ完全に復活したというわけではないようですね……不完全な貴様が相手なら、自分の身を守ることぐらいはできるでしょう。

白虎:ふふふ、お前はただの食霊。ちっぽけな食霊の分際でこの世界と抗うというのか、生意気な。

チキンスープ:聖主様、妾らにおまかせを……

白虎:いいや。こいつは吾のお気に入りだ、もう少し話がしたい。お前らは下がっていろ。

チキンスープ:はい。

北京ダック:お気に召したようで何よりです、ご期待には応えかねますが。

白虎:そう結論を急ぐな。この世界の真実を知っても、今のように吾を敵視するか?お前とは馬が合いそうだ。気が変わったらいつでも歓迎しよう。

北京ダック:貴様は一体何を知っていると?

白虎:ふふふ……教えてやったら、協力してくれるかな。

北京ダック:……

白虎:お前に教えても別に構わん。お前のおかげで我が愚妹が見つかるかもしれんしな。

北京ダック(……愚妹?)

白虎:あの愚か者はいつもこの世界を救うだのと言っていた。結局人間どもにひどい目にあわされたあげく、消息を絶った。だが愚か者と言えども、兄である吾はやはり知らぬふりというわけにはいかんだろう。なあ?

北京ダック:貴様にも家族がいるのになぜ……

白虎:ん?蟻のような家族をお前は気にするのか?

北京ダック:……

白虎:虫けらだぞ?するはずなかろう?


北京ダックは黙り込んだ。突然、祭壇のほうから巨大な赤い朱雀の影が空へと飛び立ち、その明るく暖かい赤みを帯びた金の炎が翼となる。厳かに玉京の上空を漂い、ゆっくりとその翼を広げ――

暖かい金色の光は玉京城を包み込んだ。それを見て聖主の表情が険しくなった。


白虎:……やつはまだ生きておったのか……北京ダック、悪いが、吾らはもう行かねばならんようだ。またいつかゆっくりと話そう。

北京ダック:このまま指をくわえて見送るとでもお思いか?!

白虎:時間稼ぎをしていたのはお前だけではない。


聖主の話が終わったとたん、北京ダックは何かに気付いたようだが、もう両足は地面に広がる血で書かれた法陣に縛られている。


白虎:さらばだ、吾が兄弟。あの虚空でまた会おうぞ。

北京ダック:ああ――――――――――――


君臨

後悔してるか?今ならまだやめられる。


少し前

祭壇


辣子鶏:モフモフ鳥、こいつら死に急いでいるようだな、サボってる暇はねぇぞ!!!

モフモフ鳥:うるさい!!!

マオシュエワン辣子鶏!!!!ダメだ!!火の鳥がつけたこの炎、どうやっても消せねえ!やっぱみんなを機関城まで連れてってやろうぜ!一人でも救えるもんなら救いてぇ!

冰粉:だめです、大千生の霊力ですらこの炎を制御出来ません。


辣子鶏は戻ってきた仲間たちの呼びかけに答えず、珍しく真面目な顔で、祭壇に倒れている南翎のもとへ急いだ。


辣子鶏:おい、南翎、このバカ!起き上がれるか!

南翎:うっ――

辣子鶏:今この玉京を救えるのはもうお前しかいねぇんだ!でもお前はそれで死んじまうかもしれねぇ。それでも救いたいか?

南翎:す……救いたい!

マオシュエワン:先生?何の話をしているんだ?どんな方法を?

冰粉:少し黙ってください。

マオシュエワン:……

八宝飯:はぁーーはぁーーチキン野郎!!なんとかできそうか!

辣子鶏:ああ。ちょっと時間を稼いでくれ!この祭壇には絶対に誰も近づかせるな。

八宝飯:よし!マオシュエワン!手伝え!

辣子鶏東坡肉、ここは任せたぞ!

トンポーロウ:安心いたせ!

辣子鶏冰粉回鍋肉に一般人を機関城まで連れてって避難させるように伝えてくれ。

冰粉:はい!


全ての指示を終えると、辣子鶏は指を動かし、肩に乗せていた離火をガチャガチャと、刀に形を変えた。


辣子鶏:(フゥーーチャンスは一度しかない……失敗は許されない……)


辣子鶏は乾いた唇を舌先で潤した。そして刀をきつく握り締め、血に染まった法陣の横にしゃがんだ。機関城の砲台に何日間も霊力を注ぎ続け、ついさっきまで激しく戦っていた彼の手は微かに震えていた。突然、後頭部に鋭い痛みが彼を襲った。


トンポーロウ:おい若造、何をビビっているのじゃ。何かあったら吾がおるではないか。


東坡肉の言葉に、辣子鶏の緊張はほぐれ、硬くなっていた顔も徐々にもとの自信に満ちた表情に戻っていく。


辣子鶏:俺様を誰だと思っている!何かあるなどありえん!


辣子鶏は深く息を吸い、手に持っている刀を動かし、寸分の迷いもなく法陣を別のものに変えた。

法陣をかいている間数えきれないほどの火の鳥が周りを飛び回り、額のにじんだ汗が頬を伝い首まで流れ落ちる。

最後の一画を終えると、破損していた法陣が徐々に金色に輝き出した。


辣子鶏:南翎!

南翎:こ……これは……

トンポーロウ:迷っている時間などない、さあ早く。

辣子鶏:天幕が今までこの玉京城を守れたのなら、もう一度天幕を張れば必ず堕神たちを駆除できるはずだ。

南翎:しかし……天幕を張るには神君の力が必要です……私はまだ白虎神君からその力を……

モフモフ鳥:この俺様がいるんだ!白虎神君の力なぞ要らん!


南翎が法陣に入ると、その小さな黄金色の毛玉もすぐに法陣のう逆側へ跳んで行った、そこは白虎神君が立つべき場所だった。


辣子鶏:モフモフ!始めるぞ!


法陣をかき終えた力を使い果たした辣子鶏は立つこともままならない。離火はまたしても形を変え、今度は火の鳥の姿になった。離火はその金色の嘴を開き、いつものように炎を噴き出すのではなく、周りにいる火の鳥を全て吸収し始めた――


冰粉東坡肉、城主……城主たちは何を?


辣子鶏の青ざめた顔色を見ると、東坡肉は拳を強く握り締め、自分も助けに飛び込んでいきたい衝動を抑える。


トンポーロウ:神君が天幕を張り直すのに朱雀の力は大変役立つのじゃが、その力を神君に貸せるのは今やモフモフ鳥しかおらん。しかしモフモフ鳥の今の身体ではそのような大きな力には耐え切れぬゆえ、城主は自分の体を器に、モフモフ鳥が神君にどれほどの力を貸しているのかを厳密に測っておる。

冰粉:……だ……だがその火の鳥たちが……

トンポーロウ:幸いな事に、あの火の鳥はもともとモフモフ鳥の力なのじゃが、どういうわけか聖教の連中がそれを手中にしよった。古の法陣をかき換え、その力で天幕を張り直すことができる者がいようとは、奴らとて思いもよらなかっただろう――


法陣はますますその輝きを増し、周りの火の鳥も次々と消えて行った。それと共に南翎の顔色は血の気を失っていく。その時、辣子鶏が突如目を開けて言った。


辣子鶏:……南翎、後悔しているか?今ならまだやめられる。

南翎:……後悔などするはずありません。

辣子鶏:ふん。だろうな。


最後の火の鳥が離火に吸い込まれ、南翎たちの足元にある法陣は真夏の太陽のような眩い光を放った。その次の瞬間、モフモフ鳥は色を失い地面に倒れ、巨大な赤い朱雀の影が南翎の身体より空へと舞い上がっていった。

巨大な赤い鳥の影は、先程の火の鳥のように人を喰らう熱を帯びておらず、代わりに木漏れ日を感じさせるほど、暖かな温もりで玉京を覆った。朱雀は翼をゆっくりと拡げ、玉京を自分の両翼に包み込んだ。

淡く光を失いつつあった天幕が今、赤みを帯びた金の光を放ちながら張り巡らされていくのを人々が見つめている。


老人:天幕が!!!!神君だ!!!!朱雀神君が!!!!!!!!!!!!!


計画

貴様……妾ですら読めん。


北京ダック:ああ――――――――――――

明四喜北京ダック!!!


はーっという声と共に、法陣に囚われ体が裂けて血を流している北京ダックは何者かの力によって法陣から脱出した。明四喜はうろたえながら、北京ダックを自分の身にもたれさせた。


明四喜:すまない!遅くなった!無事か!

北京ダック:……は……はやく……お……追え……白虎神君が……奴らに……連れて……いかれては……いけません……


常に飄々とした話し方をする北京ダックは、はじめて他人の前でうろたえた。その粘り強い様子を見て、明四喜は彼を自分の後ろをついてくるヤンシェズに託した。


明四喜:あなたはここで待っていてください。後で南離の者が助けに来てくれるはずです。不才がやつらを追います。白虎神君は決して奴らの手に落ちてはいけません!ヤンシェズ!この人をしっかりと守るように!

ヤンシェズ:はい!


玉京

郊外


明四喜:隠れていないで出て来い。

チキンスープ:…………

明四喜:聖女様、今度の計画はいかがでしたか?

チキンスープ明四喜様ったら……いつも計略をめぐらしていて心が読めませんね。ただ、朱雀神君は……

明四喜:不才は白虎神君のカラダしか約束していないと思いますが。勝手に計画を狂わし、朱雀神君の身体まで狙い、危うく失敗しかけていたのは聖女様では?

チキンスープ:ふん……貴方が手を出すとは思わなかったですわ。

明四喜:何を仰いますか、不才は誠心誠意聖教と手を組みたいと考えているのです。聖教がなければ、不才の計画はそううまくはいかなかったであろう。

チキンスープ:あなたは一体何がしたいのです?

明四喜:不才が何をしたいかは、聖女様にとってそんなに大切なことなのですか?

チキンスープ:貴様……妾ですら読めん。

明四喜:聖主様はいかがです?

チキンスープ:聖主様はカラダを得たばかりゆえ、保養中です。

明四喜:そうですか、それで良いのです。

チキンスープ:なぜこれほど多くの人たちを巻き込んできたのか解せぬ。奴らがいなかったら、妾の計画はもっと順調に行ったのでは?

明四喜:彼らの勇姿がなかったら、食霊たちこそが救世主だと、人間どもはどうやって知るのです?

チキンスープ:なに?

白虎:うああああああ――――――

チキンスープ:聖主!!!!!


突如光が閃き、保養中の聖主が悲鳴を上げた。黒かった両目が色褪せていく。


チキンスープ:聖主ーー!!!聖主様どうかなさいましたか!?明四喜様!これは一体どういうことです?!

明四喜:やはり貴方たちは不才の指示を無視し、不才の鏡を朱雀神君の前ではなく、白虎神君の前に置いたのですね。

チキンスープ:貴様ーー!!

明四喜:騙した覚えはありませんよ。もしこの明鏡を朱雀神君の前に置いたら、聖主は確実に白虎神君のカラダを得られ、それと同時に、朱雀神君から得た信仰を逆転させることもでき、白虎神君に返ってきていたはずです。

明四喜:しかし、あなたは朱雀神君のカラダ欲しさにこの明鏡を白虎神君の前に置いた。より多くの信仰を得んがために。かえって白虎神君自身の力により聖主が蝕まれてしまったようですね。聖女様の欲ゆえ、不才を咎めても仕方ありません。

チキンスープ:……今回は妾が甘かったですわ!負けを認めましょう!どうか聖主をお助けください明四喜様!そのためにこのチキンスープをなんなりと。

明四喜:いえいえ、これは不才の責務です。


チキンスープはゆったりと落ち着いている明四喜を見て、歯噛みをする。準備万端の明四喜は袖から幻晶石でできた容器を取り出した。


チキンスープ明四喜様、あなたは一体何のために?なぜ聖教を助けながら裏切りを?

明四喜:裏切りだなんて、一時の協力にすぎません。まあでも、礼は言っておかなくては、あなたたちが全力でやってくれていなければ、不才たち食霊を人間どもはここまで頼ってはくれなかったでしょう。

チキンスープ:……

明四喜:聖女様、早く聖主を連れて帰り、適当なカラダを見つけてあげてください。これからはまた聖女様のお世話になる可能性もあるかもしれませんからね。


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