タンフールー・エピソード
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タンフールーのエピソード
すべての物事に対して好奇心を抱き、
いつも純粋無垢な眼差しで見つめてくる。
周りから愛される天然ボケの性格で、
いつも質問ばかりする。
食霊の中ではみんなに甘やかされる妹キャラ。
Ⅰ血塗られた日常
タンフールーは平凡な田舎町に住んでいる。
賑やかな通り、行き交う人々。
今日は鉄おじさんのとこへ、塩漬け肉を取りに行く約束だ。
起きて身支度をして、鉄おじさんの家へ向かって走っていく。
「タンフールーよ!ほら、食べなさい。」
朝食屋の前を通りかかると、王おじさんが肉まんを一つくれた。
「タンフールー、走っちゃダメ、転ぶわよ。」
隣の張おばさんもタンフールーに豆乳をくれた。
みんな、タンフールーにとても親切だ。
「陸爺さん、仕事中にどうして眼鏡をかけないの?」
彫刻屋の前を通りかかったら、優しい表情を浮かべたおじいちゃんがこちらに手を振ってくれた。
「寧(ねい)姉さんのハンカチは、どうしていつもオシドリの刺繍がしてあるの?」
曲がり角の刺繍屋さんから、優しいお姉さんがタンフールーに微笑みかけてきた。
みんな、タンフールーにとても優しい。
「タンフールー、どうだい一曲?」
橋を渡ると、琴弾きが聞いてくる。
「今日は水遊びは?お嬢ちゃん。」
橋の下の漁師さんも、タンフールーを見て船竿を揺する。
みんな、タンフールーの大好きな人たち。
それから何区画か歩くと、鉄おじさんの家がある横丁に出る。
「鉄……」
タンフールーが叫ぶ前に、鉄おじさんの家の扉が開いた。
いや……こじ開けられたと言うべきだろう。
それから、鉄おじさんの屈強な体がまるで鞠みたいに、強い力で叩き出された。
何かの液体が、タンフールーの顔を濡らす。
思わず手で拭うと、指先に生暖かい温度が残った。
「血……」
タンフールーは呆然とその場に立ち尽くした。
そして、恐る恐る鉄おじさんの家に入ると目を半分閉じた、辮髪(べんぱつ)の男の人が目の前に現れた。
「鉄衣書?」
男の人は穏やかだけど、どこか威圧感のある口調で言った。
「う……」
鉄おじさんが、はぁはぁと息を吐く。
口元からは血の泡が出ていた。
「はあ……はあ……」
おじさんの言葉は、最後まで続かなかった。
濃厚な霊力を含んだ霧が、鉄おじさんの体を重々しく包んでいる。
あっという間に、こと切れてしまったようだった。
死んでしまった。
Ⅱ 静かな殺人鬼
「鉄おじさん!」
タンフールーは我に返り、おじさんのもとへ駆け寄った。
しかし、そのおじさんの大きな体は、もうタンフールーの頭を撫でたり、名前を呼んだりはしてくれない。
「どうしてこんなことを?」
あまりに突然のことで、タンフールーは頭を整理する前に、本能的にそう聞いていた。
「食霊か?」
男は冷淡な表情で、タンフールーをちらりと見やった。
「お前の御侍か?」
「違う……違う。」
タンフールーは一瞬言葉を失い、けれどすぐに気を取り直して、立ち上がって武器を取った。
「なぜ鉄おじさんを殺したの!?」
「悪い奴だからさ。」
男はタンフールーとそれ以上話もしたくないのだろう。それだけ言うと、立ち去った。
「違う!鉄おじさんは悪い奴じゃない。」
タンフールーは武器を振りかざし、目の前の男に襲い掛かろうとした。
「ちゃんと理由を説明してよ」
が、そこへ走り寄る前に、横丁中に漂う霧が一斉に集まってきて、タンフールーを囲い込んだ。
男は振り返らず、ただ黙々と歩いている。
「悪い奴は……お前だ」
歯を食いしばって霧を振りほどき、タンフールーは再び武器をとって襲い掛かった。
「え?」
男はついに振り向き、横を向いた。いぶかるような表情が見えた。
何か考える間もなく、タンフールーの体はガクリと倒れた。
さっきよりもっと濃い霧が、またタンフールーを包み込む。
「悪人?俺が?」
男は首を傾げ、口元に小さな笑いを浮かべた。
「だが鉄おじさんのしたことだって、俺とその実大して変わらないんだよ。」
「嘘つき!」何も考えず、タンフールーはただ反論した。
「鉄おじさんはこんなことしないもん!」
男は小声で笑い、言い争う気すらないようだった。
男が手を挙げると、囲んでいた霧が徐々に晴れていく。
「俺はお嬢ちゃんと遊んでいる暇はないんでね。」
男はそう言うと、悠々と立ち去った。
「知りたければ俺様と来るがいい。時間があれば、話してやってもいい。」
男の奇妙な挙動に、タンフールーは一瞬呆然となった。
だけど、立ち去ろうとするその姿を見て、歯ぎしりをして、ついていくことにした。
Ⅲ わからぬ答え
(※誤字と思われる箇所を編集者の判断で変更して記載しています)
あの男を追って町から出た。山林を通り抜けて、一つの竹林に着いた。
彼はわざと速度を下げることがなく、完全にタンフールーの存在を無視するように、のんびりなのに相当の速さで道を急いでる。
まるでタンフールーに「ついてこれないならおとなしく帰れ。何も関わるな」と言ってくれたかのようだった。
鉄さんの死の理由をわからなくはさせない。
と思うと、タンフールーは更に速度を上げたけど、彼との距離が全然縮んでいなかった。
結局、タンフールーが止まった時、あの男はもう姿が見えなかった。
現在タンフールーの前にあるのは、一軒の立派な屋敷。ドアの側に、一人のローブを着た青年が、タンフールーを待つように立っている。
「さっきの人は?」
タンフールーはちょっと腹が立って、青年に尋ねた。
「あの方は今休憩中です。君に対する招待はわたくしに言いつけました。」
青年は一礼をした。
「わたくしは酸梅湯です。何か疑問がありましたら回答致します」
酸梅湯と庭に歩いて、事情を話した後、大声で質問した。
「鉄さんはいい人だった、タンフールーにもみんなにも優しかった。なんで悪いなんて言っていたの?」
「彼は邪教の信徒ですから、今までたくさんの人を惑わしました。」
酸梅湯はのんびり説明してくれた。
「惑わ…どういう意味?」
「他人を騙して悪いことをやらせたということです。」
「でもタンフールーは騙してなかった。鉄さんはずっとタンフールーを助けてくれた!」
「完全な善と悪はありませんから。」
「う…それはどういう意味?」
「人の行為は純粋な善と悪がありません。悪人にも善念を持つことがあります。でも悪人がやった悪行は善念を持つことで消えはしません。」
「だ、だから鉄さんは死んだの?いや、違う。いくらなんでも、あんたたちがそんなことを……!」
「君は鉄衣書が死なせた人たちのことを考えましたか?誰でも自分がやったことに責任を負わなければなりません。それだけです。」
「……」
タンフールーは落ち込んだ様子で庭から離れて、竹林を呆然として歩いていた。
いつもみんなに優しくてお人好しの鉄さんがなんで急に人殺しの悪魔になったのか、理解できなかった。
あの男が人を殺したのに、酸梅湯の解釈によって、間違っていないと思った自分を理解できなかった。
みんながいい人じゃないのか?
なんで傷つけ合ったのか?
Ⅳ 理解と決意
「あれれ?」
タンフールーが竹林に彷徨って、考えに集中していた時、びっくりの声に思考を断った。
「子供?人間?食霊?」
いつの間にか一人の緑髪の青年が前に来た。
「よお!チビちゃん?」
「何を言っている、竹飯?」
少し話した後、その青年の名前を知った。今は大きな石に座ってお喋りをしている。
「なんで鉄さんのようなお人好しがあんなことをやってしまったの?」
「さあな…悪念が来たら誰もしらねぇさ。」
「みんなでずっと仲良く居られない?」
「オメェに言ったろう?酸梅湯が、純粋な善と悪がいねぇって。」
竹飯はエノコログサを咥えて、小さい声でタンフールーをなだめた。
「その鉄さんは当然の報いを受けただけだ。そんなことで悲しむな。」
「タンフールーはこれからどうしよう?」
「住む場所がなくなったのか?」
「いや…みんなにどうやって会おうかなって」
タンフールーは頬杖をついて心配する。
「どういうことだ?」
「みんなは優しい。誰がいい人か悪い人か全然わからない」長い溜息を吐いて、タンフールーは文句を言い始めた。
「みんな悪い人としても、タンフールーには誰かに罰を与える考えがない。」
「なんでそれを悩める?」
「自分らしく、で十分じゃねぇ?小娘はそんなに複雑な問題に適しない。俺様のように毎日思うままに生きりゃいい。」
「…自分らしい」
竹飯の話を聞いたら、酸梅湯の話を思い出せば、何かわかる気がした。
こんなことに迷って何の意味がある?いい人がいれば悪い人もいる。でもタンフールーに関係がない。タンフールーがみんなと仲良くなって、彼らが存在しないと断言した純粋な善となればいい。みんながタンフールーのようになってくれればいいじゃない?
と考えると、タンフールーは急に立って、隣の青年に礼を言った。
「ありがとう、竹飯、何をすべきかわかった。」
「え?」
タンフールーは小走りで竹煙質屋に戻った。ドアの前の酸梅湯はまだ忙しそうだった。
「また君ですか?」
「タンフールーはあんた達と仲良くしてやる。」
「は?」
「じゃなくて…タンフールーはあんた達を止めにきた。悪い人でもいい人でも、タンフールーは誰も傷つけたくない。あんたは純粋な善がないと言ったよね。タンフールーは行動で純粋な善が存在していると教えてあげる。あんた達に誰かを傷付けることをさせない。」
「いや…わたくし達は…」
酸梅湯は何か言おうとしたところ、後ろに出た人物に止められた。
「タンフールーですね?君は今日からここで働いてもよい」
酸梅湯は声を聞いて後ろに回った。
「これはちょっと…」
「ん?」
「…なんでもありません。」
Ⅴ タンフールー
(※文章がおかしい箇所を編集者の判断で変更して記載しています)
いつも平穏な竹煙質屋は、今日新しいメンバーを迎えた。
元の雰囲気と全然合わない新しいメンバーだ。
「なんでここはこうなるの?」
明るい女の子の声が倉庫に響いた。
「…これで倒れにくくなっています。」
男の声は疲れているように聞こえた。
「なんでここに彫像を置くの?」
廊下の角でもう一度女の子の声がした。
「きれいに見えますから。」
「なんで…」
「……」
声が止まってしばらく、台所から爆発音が聞こえた。
煙がいっぱいで、火も燃えそうになっている。
酸梅湯は必死に火を消した。
その中に無実そうなタンフールーを見ている。
青年は何かを話そうとしたが、女の子の清らかな目を見て諦めた。
だが、タンフールーは諦めるつもりはなかった。
「なんで爆発するの?手順は正しかったのに……」
「……どうして北京ダック様は君を受け入れたのでしょうか」
「そうだね。なんでだろね?」
その庭は童女の疑問と青年の悲鳴に満ちていた。
一方。
鉄衣書の住所。
チャイナドレスを着たナイスバディな女性――魚香肉糸は本を持って現れた。
気軽に見えたが、彼女は真剣に部屋を観察している。
最後に、彼女は手を上げて毒蛇のような霊力を壁に投げた。
バーンと、石で作られた壁が壊れた。後ろに真っ暗闇な通路が現れた。
「見つけました…他の残党の手がかりはあるのかしら。」
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