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シュラスコ・エピソード

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作成者: 時雨
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シュラスコのエピソード

太陽のように明るく爽やかなカウボーイ。誰に対しても真摯で優しく、趣味は友達作りとハグ。性格が良く、いつも機嫌が良い、他人を笑わせるのも得意。ただ情熱的すぎてウザがられる事もしばしば。「パイン」という名の愛馬がいる、いつも誰かしらをパインに乗せて一緒に散歩に出掛ける。パインは気性が荒く、シュラスコ以外は乗せたがらない。

Ⅰ.おやじ


横になって、もっと快適な姿勢に変えようとしていた時、北から飛んできた弾丸が俺の前をかすめ、顔にかぶっていたステットソンの帽子に2つの穴を開ける。


目の前の青い空に漂う黄砂は、魚のスープが出来上がった時、鍋から湧き上がる熱気のようだ。

ただし、それは魚のスープ特有の生臭再感じで、匂いではなかった。生臭くて熱いだけ。


戦争の味だ。


地面から身を起こし、足元の砂から帽子を拾い上げた。帽子を惜しみながらも、指を帽子の穴に入れると、帽子を回すことができる。


帽子の中の砂利が地面に落ちた後、俺は帽子をかぶり、この最初の戦場である砂地から離れた。


このご時世、昼寝する場所を見つけることすらままならない。


足元に落ちてくる砲弾が炎を吐き出し、俺は小走りする。この砲弾の着地頻度を見ると、村娘たちが先日の焚き火のパーティーで踊っていたタップダンスも、戦争に啓発されて発明されたのではないかと、疑問を抱かずにはいられないほどだ。


シュラスコ、またここにいたのか!」

「うわ!よくわかったな、さすが俺の親友!」

「戦場で昼寝するのはお前だけだろう…早く戻れ、お前のおやじはもういよいよだぞ」


一瞬固まったが、ショックを受けるほどではなかった。


おやじはもう百年近く生きているし、身寄りは俺しかいない。

数年前、医者からお酒を控えるよう警告された時、彼は悪魔でも神でも、どちらでもいいから早く彼を連れて行ってくれと言い続けた。


その時、俺は干し肉をかじりながら笑って言った。こんな恐ろしいおやじは、死神も避けたいだろうと。

それを聞いた彼は、硬いクルミを砕くような勢いで俺の後頭部を平手打ちした。

「俺のワインセラーを焼いたこのクソガキをこらしめるためにも、もう何年かは死ねないぞ」


はあ、また大げさな話を……


「サンキュー、今すぐ帰る!」

伝言をしに来た友達に微笑むと、馬に乗り、俺は老人の家へと急いだ。


この貧しい土地にしては、老人の家はまあまあいい場所に建てられたものだった。

10人ほど住める小屋の前には小さな菜園がある。俺たちは草みたいな食べ物をあまり好きではないが、健康のために、一応数粒のピーマンの種を地面にまいた。


ピーマンが収穫を迎える頃、おやじはよくドアの後ろに隠れて、近くの子供たちが野菜を盗み食いし、未熟なピーマンを食べて鼻水と涙を流す姿を覗くのだ。


そして彼は笑って現れ、怒る子供たちに変な顔を作る。

「これが盗み食いの報いだ!」と。


ドアの外に立つと、彼の子供っぽくて、人をイライラさせる姿を見た気がした。


俺は思わず笑ってしまった。

「おやじ、ついに夢が叶う時が来たようだ」

「ふん、この小僧、この時を待っていたんだろう」


ほら、どう見ても終わりが近づいているようには見えない。

俺は椅子を引き寄せ、ベッドの端に座り、首をかしげながら、風にあおられた彼の顔を見た。


「どこか痛いか?」と俺は尋ねた。

「拳がかゆくて、お前を見ると殴りたいだけだ。おい、また帽子を台無しにしたのか」

「本当に目も見えているんだな……それなら殴ってみろよ、もう最後だから」

「ふん、殴るのも力の無駄だ」


彼のもう数年前のように広くて頑丈ではない肩に目をやると、俺は思わず声を落とした。


「つらいか?」

「いいや」

「それならいい……まあ、君は怖すぎるから、神も君を苦しめる勇気はないだろうな」

「クソガキ……」

「ははは」

「俺の帽子を持っていけ……パインを大事にしろ、老いる前に他人に譲るなよ」


パインは俺の愛馬、俺がおやじに召喚された時はまだ母馬のお腹の中にいたが、今では俺とおやじ二人が誇りに思えるほどの駿馬に成長した。


「ああ、安心してくれ」

「安心して高級ワインセラーを探しに行け。これからは遠慮する必要もないから、思う存分飲め」

「友達をたくさん作れ」

「そうでないと、寂しくなる」


最後に、おやじはうんざりしたように、手を振った。

そして彼は、あの鷹のような誇らしい目を閉じ、俺は彼の生前一番好きだった青い花柄のハンカチを、彼の幼くて可愛らしい笑顔の上にかけてやった。


Ⅱ.旅立ち


「ごめん、お待たせ!」

俺の声を聞いて、カウボーイたちは振り返って俺を見る。


うちの村の土地はやせていて、大規模に作物を栽培することができず、放牧で暮らすしかない。

牛の群れを遠くの町まで追いやって、野菜などの生活必需品と交換する人々はカウボーイと呼ばれ、村の中でも最も高い地位にある存在だ。


おやじもそのひとりで、去年も牛を放牧するのに一緒に行きたいと騒いでいたが、今年は俺が代わりに行くと約束してから、諦めた。


わずか四人と食霊の俺だけで結成した小さなチームを見ていると、自分がまた騙されたのかと疑わずにはいられなかった。


「初めての仕事で遅刻か。ジョージおやじがお前をこんな風に育てるとはな」


話しているカウボーイのことをなんとなく覚えている。ビルだったっけ……それともウィルか?

とにかく、こいつはひどく怒っているようで、俺を真剣な目で睨みつけ、眉間にしわを寄せていた。


「そんなカッカしないで。いつもご機嫌じゃないと、うちのおやじみたいに長生きできないぜ。わっ!こんなにたくさんの物を運ぶのか……おかしいな、村にはこんなに売れる商品があったのか?」


彼らに置き去りにされた箱のそばに立つと、隣にいるパインもこの大きな箱に興味をしめした。

村人たちはたまに手工芸品を作って、食べ物と交換することもあるけど、数は限られ通常はかご2つ程度だった。こんな大きな箱は初めてだ。

箱の外側には布が掛けられ、人の半分ほどもある高さの箱をしっかりと覆っている。

しかし、隠されるほどに人々の好奇心は増すもので、俺はつい手を伸ばし、布の一角を持ち上げ、中に何が入っているのかを覗きこむ。


「おお!大きな鳥!」


なんと、布の下には木製の檻があった。

檻の中には人間ほど大きさの巨鳥が閉じ込められており、今、突然の光によって、羽の中から頭を出した。


「え?これってなんだ?人間?鳥?鳥人?」


「鳥人」が俺の声を聞いて、こちらを見た。半分顔を覆っている髪の下に、輝く一対の目がキラキラしていた。

彼は俺が見たことのない多くのアクセサリーを身に着けており、とても神秘的に見え、俺は心から感嘆の声を上げた。


「格好よすぎるだろう!」


「バカ!」


突然駆け寄ってきて、俺の襟首を掴んだビルを見て、俺は恥ずかしく微笑んだ。

「気にしないで、ビル、君もかっこいいぞ!」

「俺はフェルだ!」


えっと、どちらの名前も間違っていたんだ。


「自分が言ってることわかってるか?こいつは堕神だ!お前は堕神を褒めるのか!」

「堕神だったのか……でも、こいつは本当にかっこいいんだよ!」

「お前!」


フェルは俺に向かって拳を振り上げたが、それが俺の鼻筋に当たる前に、他のカウボーイたちが駆け寄り、彼を引き離した。

彼らはしばらくフェルを説得すると、フェルはようやく俺に対する怒りをおさめた。


それならば、好意を見せるのが筋合いだ。

「ハグしようぜ、フェル!これからは友達だ!」


しかし、彼は俺が広げた腕に一瞥を投げるだけで、馬に跳び乗る。

「御侍が死んだばかりなのに、こんなに楽しそうに笑える奴とは友達にはなれない」


「おやじのことか?でも、それは彼の望みだったよ。望みが叶ったことはいいことだし、彼は全く苦しんでなかった……あれ、フェル、これで友達になれるよね!」


次の瞬間、弾丸が頭上を飛び過ぎ、俺は腰を後ろの檻にもたれかかり、帽子が再び被害を受けるのをかろうじて避けた。


「話しかけるな」


フェルはマントを下ろし、腰から立ち昇る煙を覆い隠した。


「はあ、危なかった……けど、本当に怒りっぽい友達だな」

「諦めろよ、お前はこの連中とは友達になれない」

「え?なんで?」


俺は振り返って、檻に寄りかかり、中に閉じ込められている堕神に問いかけた。

彼は檻の中で座り、羽根で傷だらけの脚を覆った。


「恐怖だ。人間は強者を恐れ、弱者を軽蔑し、同類と競争する。どうしようもない生物だ」


「お前はそう思うのか……それなら、お前は俺が怖くないのか?」

「俺が?なんで君を恐れる?」

「つまり怖くないってことか、ははは、それなら、君に名前はあるのか?」


彼は俺の質問に戸惑った様子で、頭を傾げた。

その頭に巻かれた羽が肩に落ちて、とても柔らかそうだった。


「ガルーダだ……どうしてそんなことを聞く?」

「俺はシュラスコというんだ。ガルーダ、友達になろうぜ!」


Ⅲ.友達


「え?ガルーダを出させない?なんでだ?」

俺は一片の牛肉を揚げ、鍵を死守しているカウボーイたちに疑問を投げかけた。


俺とフェルの関係をやわらげるために、彼らは今夜パーティーを開くというのだ。

もちろん、パーティーは断らない。ただ、眠ってばかりのガルーダも新しい友達を作って欲しかったのに、彼が檻から出られないと言われてしまった、


「彼は……堕神だぞ、もし彼が人を傷つけたら……」

「君たちは俺の友達だし、ガルーダも俺の友達だ。だから君たちもガルーダの友達だ、友達同士で傷つけ合うはずがないだろう!」


檻の外でカウボーイたちと論争したが、誰も俺の味方にならなかった。ガルーダのやつも同じだった。

「ほら、あいつはまだ寝ている。邪魔しない方がいいよ。」


「じゃあ、仕方ないな」

隅っこで丸くなっているガルーダを見て。俺はため息をつき、焼き加減のちょうど良い牛肉を食べた。

「彼が起きてからにしよう……ん!美味い!」


新鮮な牛肉を炭火で半焼きにし、口に入れると香ばしくて柔らかい、世の中でもこれ以上にない美味しさだ!


もらった牛肉を一気に食べた後、カウボーイから酒瓶を受け取り、待ちきれずに栓を開けた。

おやじの禁酒を手伝うために、俺も長い間酒を飲んでいなかった。


冷たくて甘い酒が喉から胃袋に滑り込んでくる感覚は、魔法を使う前に呪文を詠唱するときの幸せな前奏曲のようだ。俺は魔法が好きで、幸せも好きで、酒が好きなんだ!


ガルーダが十分に寝たら、そんな美味しさも味わってもらいたい!


「いい匂い……酒まである!どこで手に入れた?」

黄髪の少女が明るい声でパーティーに入り込んできた。彼女はフェルト帽子をかぶり、馬靴を履いていて、その外見からしては、彼女もカウボーイみたいだ。


パーティーは誰も拒絶しない!


「これは買ったものじゃない。村人たちが作ったものさ。さあ、試してみなよ!」

手に持っていた酒を彼女に手渡すと、彼女は遠慮せずに受け取り、そのまま飲んだ。彼女を止めようとしたカウボーイたちは手を伸ばしたまま硬直してしまった。


「どうした?」

「なんでもないよ。ただ、この酒は結構キツいんだが、お嬢ちゃん、大丈夫かい?」

「おいしい!あと10本でも平気よ!」

「ははは、かっこいい!」


彼女はコーンブレッドと名乗ったが、名前が長すぎると思って、直接コーンと呼んでもいいかと尋ねた。彼女は肉をかじりながら大笑いし、どう呼んでもいいと答えた。俺は彼女に酒を奢ったから、もう彼女はもう友人だ。


コーンは道に迷った後、肉の匂いを辿ってやってきた。彼女は大食いだけでなく、酒も強く、彼女に付き合って飲むと、カウボーイたちが全員酔いつぶれた。その後も、彼女は空の瓶を持って歌を歌える。

その歌はあまり聞き心地が良くないとは言え、彼女の友達が自作したと聞いたので、かなりすごいものらしい。


そのひどい歌は、檻の中にいるガルーダを目覚めさせる。彼が起き上がって、地面に横たわっているカウボーイとワインボトルを見て、とても面白い間抜けな表情を見せてくれた。


俺は彼をあざ笑いながら、酒瓶を手にして檻の前に歩み寄り、その鍵を砕き、彼を檻から引き出した。


「ガルーダ、俺が焼いた牛肉を早く食べてみろ、美味しいぞ!」

「待って…お前、ううっ!」

「あ?なにを言ってるんだ?おいおい、もしかして喉に詰まったのか?早く酒を飲め!」


肉を一口、酒を一口。ガルーダの青い顔にも少し血色が戻ってきた。


「お前!どうして俺を出したんだ?」

「なんでって……ああ、すっかり忘れてたけど、君は足を怪我して歩けないだろう。待ってろ、俺が抱えてあげるから、火のそばで暖まろう!」

「それじゃないって言ってるんだ!」

「はあ?」


なぜか怒り出すガルーダを見て、俺は頭をかいて困惑した。


「俺が逃げたらどうする?」

「もし逃げたいなら、俺も止めるつもりはないけど、とりあえずパーティーが終わるまでいてくれない?」

「お前……なんでだ?」


アルコールのせいで頭が少し鈍っていたので、ガルーダの問いかけがよくわからなかった。

しかし、幸いなことに、自分がどう答えるべきかはっきりわかる。


「だって、俺たちは友達だろう。」


Ⅳ.カウボーイ


久しぶりに酒を飲み、昨夜は焚き火に近すぎたせいもあり、夜の砂漠で寝ていても暑いと感じたことしか覚えてなかった。


一体いつ自分が檻に入り込んだのか、まったく覚えていない。


「これはなんのゲームだ?ガルーダはどこだ?」


「ふん、お前にとっては闇市場で売られることもゲームのひとつかもな。」


「闇市場?夜の市場ってことか?それって、噂のお祭りじゃないのか?俺も早く行って遊んでみたいな、さあ、急げ、全速前進!」

「黙れ!この馬鹿!」


フェルは急に荒々しい態度に戻り、昨夜酒を飲んでいたときの様子とは別人のようだった。


「お前が堕神を逃がした。それは牛肉よりもずっと価値があるものだ。村の損失を埋めるために、お前は彼の代わりに売られることになる。」

「2人の食霊を同時に確保することはできないから、昨日の金髪女を置いて来た。くそっ、無駄にたくさんの酒を飲ませたな」


可哀想なコーンブレッド……でも彼女はお酒が強いから、きっと実力もあるし、大丈夫だろう。


ただ、ガルーダがこうして去ってしまったことに、俺は少し落胆した。

座り込んだ俺は、ガルーダが身に着けていた短い肩掛けが置いてあることに気づく。


「昨晩、暑さを感じたのは、彼がこれを俺にかぶせてくれたからか……へへ、ガルーダは本当にいい奴だ!」


「いい奴?彼は堕神なんだぞ!」

フェルは全力で鞭を振り下ろし、荷車を引く馬が苦痛の鳴き声を上げた。


「彼らは腹を満たすためか、あるいはただ楽しむために人間を殺すんだぞ!俺の家族は堕神に殺されたんだ、そんな奴をいい奴だと言うのか!?」


「怒らないでよ、その気持ちはわかる。自分が長い間育てた牛を殺して焼き肉を作るたびに、俺も悲しくなるからさ……」


「このくそ野郎!俺の家族と牛は比べられるのか!?」


「え?でも、牛は俺の家族なんだぞ?」


「……なんなんだ、こいつは」


「なら、牛と人間の違いを教えてくれるか?見た目以外は、あんまり変わらないと思うけど。そういえばガルーダの奴だって、生きるために人を食べるし、人が生きるために牛を食べる間違ってないじゃないか!」


俺は腕組みをして、そう言いながら納得したように頷いた。


「だからみんな仲良くしよう、友達になれば問題ないさ!」


「よく言った!でも、シュラスコ、この馬はちょっと……」


声を聞いて後ろを振り返ると、コーンブレッドが馬に乗りながら、パインの手網を引いて、一緒に追いついてきた。


「やあ!コーン!パイン!え?ガルーダ!帰ってきたのか!」

俺は興奮して檻に手をかけ、彼らに挨拶した。近づいてきたコーンブレッドを見ると、彼女の後ろにはガルーダが座っていた。


「ヨーの友達はやりすぎだ!こいつを木に縛り付けて、ヨーがこいつを逃したことにして、ヨーを売って金を稼ぐつもりだったんだ!」

「は?」

「こいつが早口でよかった。危うく彼を撃ち殺してしまうところだった!」


木の柱の間から、羽に隠れているガルーダを見ると、俺は思わず嬉しい笑顔が浮かんだ。


「ガルーダ、君はわざわざ助けに来たのか?」

「自分のせいで、馬鹿が死ぬのは嫌なだけだ」

「え!?俺は強いから、絶対に死なないぞ!」

「だからお前は馬鹿だと言ってるんだよ……」


「撃て!堕神が追いかけてきた!」


フェルの言葉が終わった瞬間、一発の弾丸が俺の耳をかすめた。幸い、コーンブレッドは素早く反応し、それをかわした。

ガルーダも傷ついていないことを確認した後、俺はフェルの後ろに跳びかかり、彼のまだ煙を上げている銃口を握りしめた。


「喧嘩はいいけど、人をいじめるのはよくないぜ」

俺はフェルの銃を投げ捨て、立ち上がると同時に、素手で木の檻を粉々に砕く。


「それに、牛を怖がらせるのはだめだ」


フェルを助けて暴走する馬を止めると、まだ怯えているフェルと目が合う。俺は台車から飛び降りた。

「それは、まともなカウボーイがすることじゃないっておやじは言っていたぜ」


Ⅴ.シュラスコ


戦争の中で、生き延びるために人間は手段を選ばない。

だから、シュラスコはそれほどフェルの行動を非難するつもりはなかった。確かに、食霊は堕神よりも高値がつくし、自分を売り払えば、村人たちも長い間でお金に困らないだろう。


ただし、バカにされたことだけには、シュラスコは少し気になっていた。

そこで彼は他のカウボーイたちから追い出されたフェルに向かって、自分の御侍が生前よく言っていた言葉を叫んだ。


「これが盗み食いの報いだ!」


カウボーイたちは生き残るために戦い、荒野や草原を駆け抜け、未知の領域で土地を開拓する。彼らは熱血で勇敢で、正義感深く、恐れを知らないから、フェルの仲間を陥れるような行為には自然と軽蔑の念を抱く。


一方、シュラスコを救うために自分で戻ってきたガルーダに対しても、カウボーイたちは尊敬の念を抱いた。熟考の末、彼らは村人を傷つけることのないこの堕神を解放した。


シュラスコは感心する。彼が守る村は今後もこの情熱的で侠義心溢れる仲間たちによって守られることになるのだ。

だから彼も村に戻る理由はなく、愛馬を連れて放浪することができる。


パインの絡まったたてがみを解かしながら、横に座るガルーダに、これからどうする気かと尋ねてみる。ガルーダは考え込んだ後、シュラスコに自分を売って闇市場で旅費に換えることを提案した。


シュラスコは風船のほこりを払うような力で、ガルーダの頭を軽く叩いた。


ガルーダはもう仲間に受け入れられず、居場所もないことを、シュラスコは知らない。ただ今重傷を負ったガルーダが、コーンブレッドのような短気な食霊に出会ったら、すぐに殺されてしまうだろうということだけは知っていた。


それはだめだ。彼の親友が、ソースにつけた焼肉を味わう前に死んではいけない。


そこで彼は、カウボーイたちが常に持ち歩くロープをガルーダの首にかけたが、きつく締めることはせず、ただ目立つようにそこにかけておいた。

シュラスコは、まだ状況を理解していないガルーダを馬に乗せた。そして、パインが自分以外の人を拒まなかったことに驚いた。


「こうしよう、君は俺に捕まった堕神のふりをする、そうすれば、他の食霊は君に手を出さないだろう」

「お前……俺が暴走して、人を食べたくなったら、お前はどうする」

「それは……問題ない!」


シュラスコは、太陽のように輝き、熱い笑顔を浮かべた。


「その時は、俺の焼いた肉を食べればいいんだ。」


ガルーダは彼の情熱に応えなかった。体の傷が癒えると、シュラスコが酔ったとある夜に、こっそりと去ってしまう。


しかし、シュラスコは止めなかった。


旅の途中で堕神に偶然出会うと、彼は酒を差し出し、大きな鳥を見たことがないかとわざとらしく尋ねる。


その後、彼は旅の途中で一人の郵便配達人に出会った。配達人は自分のかばんの中に、人々の思いが詰まった手紙がとても大事なものであると語った。


シュラスコは考え込んだ後、郵便配達人のかばんの中を一通り探し回ったが、自分宛の手紙は見つからなかった。


彼は少し落胆したが、すぐに立ち直った。


相手が手紙を書いてくれないなら、自分が書けばいい!


しかし、彼はペンを咥えてしばらく悩んだが、どう書けばいいかわからない。


ついに彼は思いつき、手紙に酒を一滴垂らし、そして素早く封筒に入れた。


「伝えたいことは?」


シュラスコは配達人の疑問そうな表情を見て、再び太陽のような笑顔を浮かべた。


「全部酒で伝えるんだよ!」


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タイトル FOOD FANTASY フードファンタジー
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  • RPG(ロールプレイング)
ゲーム概要 美食擬人化RPG物語+経営シミュレーションゲーム

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