鬼憑祓う・ストーリー
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目次 (鬼憑祓う・ストーリー)
鬼憑祓う
プロローグ
光耀大陸 地府
蝉の鳴き声が鳴り響く、厳しい暑さを感じる夏の昼時に、八宝飯が宮殿に入っていくと、心地よい涼しい風が迎えてくれた。
八宝飯:ああ、やっぱり地府は涼しいな……ん?頭の上になんか違和感が…?
八宝飯はそう呟きながら頭をなでると、冷たく不気味な吐息が首筋に伝わるのを感じ、顔を上げると目の前に逆さまになっている人影がぼんやりと見えた。
腐乳:冥界の怨霊だ……
八宝飯:うわー!誰だ!
腐乳:ははは!金の亡者〜またビビってやんの
八宝飯:腐乳のガキ……またあんたか!毎回同じことして……芸のない奴だな。
腐乳:ふん!でも、あんたは毎回びっくりしてるじゃん。おもしろ〜い!
八宝飯:オイラは……もういいや、あんたのことはもう知らない。ちょっとしたお土産を持ってきてやったのに……
腐乳:えー!なになに!また墓から盗んできたお宝!?
八宝飯:誰が盗んだって!?あれは正々堂々持ち出したものだ!それに……これは市場で買ったやつだ、クソガキ、持って行け。
腐乳:これは…香り袋?なんでこんな変な虫が描かれてるんだろ?
八宝飯:これそういう名前なのか、確かに……何とか毒って呼ばれてる香り袋だったな。
リュウセイベーコン:五毒香り袋ってやつだね。
言い合いをしている間に、ランプを持ったリュウセイベーコンが暗闇からゆっくりと出てきて、腐乳の手にある香り袋をまじまじと見た。
八宝飯:そうだ!五毒香り袋ってやつだった、邪気を祓うとかって書いてあったな。ああ、リュウセイ、これはあんたにあげるよ!
リュウセイベーコン:ふふ、地府には邪気を祓うべき場所はないと思うけど……でもまあ、ありがとう。
腐乳:リュウセイ姉さん、この変な香り袋を知ってるの?袋に描いてある変な虫は何の意味があるの?
リュウセイベーコン:端午の節句になると五毒が出るって言われててね、邪気を払うために五種類の毒虫を描いた香り袋があるんだよ。
リュウセイベーコン:でもそういえば、この端午の五毒には、とある秘法が関係しているみたいで……
腐乳:秘法?なになに!
自分の腕をゆする無邪気な少女を見て、リュウセイベーコンは微笑みながら首を横に振り、少女がどれだけごねても一切口を割らなかった。
八宝飯:もうやめとけ腐乳、リュウセイもクソガキの気を引こうとするのはやめろよ。にしても……今日の地府は人けがないんだな。他の人たちはどこかに行ったのか?
リュウセイベーコン:端午の節句が近づいて、四神祭典も近づいている。冥府では仕事が増えてきて、みんな忙しなく働いているから閑散としてるんだ。
腐乳:そうそう、中でもあたしみたいな書庫管理の人は一番暇なんだよ……本当につまらない。
腐乳:忙しくて猫耳麺のバカも一緒に遊んでくれないし……このままじゃ、あたし病気になっちゃうよ!
八宝飯:クソガキめ、だから人を怖がらせてからかってくるのか……
腐乳:ふん、そうだよ!べ――っだ!
キーン──黒く重厚感のある鉄の扉が薄暗い宮殿の奥で開き、横から出てきた小さな侍童が礼儀正しく後ろの人々を案内している。
猫耳麺:……城主様、すべてお任せください。
辣子鶏:耳ちゃんもうお客様はいないから、そんなにかしこまらなくていいよ。
八宝飯:あれ?辣子鶏のポンコツじゃないか、また石碑を直すのか?
八宝飯:やめとく……この前、あんたの代わりに毛血旺※マオシュエワンと一緒に鬼谷へ石碑を修復しに行ったけど、本当に大変だったんだぞ。この仕事はプロに任せるべきだな……
辣子鶏:そうか……それは残念だな、伝説の南苗村の美しさを一人で楽しんでくるしかないか……
八宝飯:南苗村……!?ちょ、ちょっと待って、それって墓の遺跡がたくさんある古い村だろ?オ……オイラも行きたい!
腐乳:ふん、墓を掘る話をすると、すーぐ目を輝かすんだから、金の亡者め……
リュウセイベーコン:……南苗村、あそこか。アタシも一緒に行こう。
辣子鶏:よしよし、お前たちがみんな手伝いに来てくれるなら、大歓迎さ!
ストーリー1-2
翌日 辺境地
マオシュエワン:にしても……ここまでの道のりは永遠と荒れ果てていたが……あのなんとか苗村は本当にここにあるのか?
八宝飯:あんたは何もわかってないな、南苗村はかなり辺鄙なところにあるけど、行ってみたらそこは桃源郷という噂があるんだ!そこにはたくさんの宝もあるらしい……
マオシュエワン:けっ、金の亡者め……辣子鶏との賭けに負けなかったら、こんなところに来て石碑を直すなんて──
マオシュエワン:なんだ!?何かに踏まれた!
泡椒鳳爪:……ごめんなさい、そんなつもりじゃなかったんです。
マオシュエワン:……
マオシュエワン:八宝飯……鳳爪は相変わらずだな、姿を隠すのはいいけど、歩くのが静かすぎる。
八宝飯:それが鳳爪の個性だろ、あんたが歩くのが遅いから踏まれるんだよ。
辣子鶏:おいお前ら、くっちゃべってないで早く来い!もうすぐ南苗村につくぞ!
一行が伝説の南苗村に到着すると、村は静まり返っており、家屋は閉ざされ、まるで廃村のようだった。
マオシュエワン:八宝飯、これがお前が言っていた桃源郷か?本当に隔絶されているな……鳥だって一匹もいない。
八宝飯:おかしいなあ……村の人々はどこに行ったんだ?
マオシュエワン:はあ……村で水分をもらおうと思ってたんだけどな……
そうこうしている間に、近くにあった古い家屋から何かが鳴る音が聞こえ、半開きの窓の隙間から一瞬だけ黒い影が見えた。
―――
⋯⋯
・今中に人がいたような……?
・あの家……なんか様子が変だぞ。
・今中から物音がしなかったか?
―――
辣子鶏:見に行こう!
辣子鶏はボロボロな木の扉を軽くノックすると、しばらくして扉が少し開き、中から黄色い顔をした老婆が顔を出した。
老人:余所者か……?ここはあなたたちが来るべき場所ではない……
辣子鶏:ちょっとお婆さん……ドアを閉めないでください。話を聞いてください、相談したいことがあるんだ。
老人:早く出て行け……さもなければ……
老人:命を危険にさらすことになるぞ
バン──木の扉が勢いよく閉まり、叩いても反応はない。彼らは顔を見合わせ、村全体はますます静まり返った。
八宝飯:それは……いったいどういう意味なのだろうか、なんだかこの村……不気味だな。
泡椒鳳爪:そうですね……村人たちは何かを恐れているような気がします。
辣子鶏:まさか、村に盗賊が現れたのか……?それとも堕神に襲われているのか?いや、この地の状況を見る限り、どちらでもないようだ。
リュウセイベーコン:恐らく、もっと厄介なもの……
辣子鶏:まあいい、ここで時間を潰しても何もわからない。先に石碑を直して、その後にじっくり調査しよう。
八宝飯:そうだな、コンパスの指し示す方向からすると……山河陣は近くにあるな……ちょっと待て、一人いなくないか?
マオシュエワン:あれ?もう出発するのか?
八宝飯:……あんた、どこ行ってたんだ?
マオシュエワン:ああ、隣にあった井戸の水を飲んでたんだ。さっきからのどがカラカラで、口の中から火が出そうだったんだ。
八宝飯:ちっ、度胸だけはあるやつだ。なんでもかんでも口に入れて、毒がはいってたらどうするんだ?
マオシュエワン:毒なんてこわくねえよ!俺は最強の食霊だからなそんなもん怖いわけ……けほけほ──けほっ──
八宝飯:おいおい、気をつけろよ、唾液にむせるな。
マオシュエワン:コホン……はあ――はあ――
泡椒鳳爪:此奴……何かおかしい。
八宝飯:……毛血旺?
マオシュエワン:――うああああああ!!!
辣子鶏:またか……こいつ暴走したみたいだ、皆は離れて俺に任せておけ。
ストーリー1-4
辺境地 南苗村付近
暴走していた毛血旺が地面に押さえつけられ、彼の緋色の目はようやく正常になった。
八宝飯:とまれとまれ──ポンコツ!か……か、か、彼はもう正常に戻ったみたいだ!
辣子鶏:そうか……おい、毛血旺、俺がわかるか?
マオシュエワン:う……辣子鶏……なんで俺の上に乗っているんだ?ヒ───痛いいいいい!!
辣子鶏:よし、もう暴走していないみたいだな……ん?その痣はどうした?
マオシュエワン:……?
辣子鶏が毛血旺の頬から血を拭き取ると、そこにはいつの間にか青紫色の奇妙な模様があった。
辣子鶏:まあそんなに醜くはないな。
マオシュエワン:おい──辣子鶏、こんな時に見てくれを気にするのか?けほけほ……さっさと降りてくれ、重い!
辣子鶏:うーん、なかなかエキゾチックな感じがするな。
マオシュエワン:なにがエキゾチックだ!くそ……これは一体なんだ!?ぜんぜんとれねえよ!
リュウセイベーコン:……蠱毒?
マオシュエワン:……何の毒?
八宝飯:えっ、本当に毒にかかったのか!?
リュウセイベーコン:……いや単なる推測だけど。でもアタシの知る限りでは、蠱毒の術は南苗村のかなり昔に消えてしまったはず。
マオシュエワン:まあ、大丈夫だろ!これぐらいの毒なら俺みたいな食霊は命取りにはならねえよ、早くあの石碑を探しに行こう。
八宝飯:落ち込むなって。オイラもいいと思うぞその痣、ずっと見てるとなんか憂鬱になりそうだけど。
辣子鶏:ふん、俺のセンスに間違いはない!
マオシュエワン:二人とも、黙れ……!
日が暮れてくると草村の中から虫の声が聞こえてくる。一行は森の中の砂利道をたどって奥に進んでいくが、目の前の景色はどれだけ進んでも変わらないままだ。
マオシュエワン:さっきから何回も同じ所通ってないか!?おい八宝飯、あんたのコンパスはまた壊れてんのか?
八宝飯:ふざけたこと言うな!俺のコンパスはちゃんとあってるよ──こっちの方向だ……
八宝飯:えっ……あそこの茂みの中に何かあるみたいだぞ。
リュウセイベーコン:焚き火の跡……?ついさっきまでついてたみたいだけど……複人数がいたみたいだ。
辣子鶏:こんな森の奥に風景を楽しむためにわざわざやってくるか?
―――
⋯⋯
・気を抜くなよ、そんな単純な話ではないかもしれない……
・どうやら、かなり警戒して動いているようだな……
・もしここにいた人間が友好的ではなかったら……
―――
暗く深い森の奥に微かな風が吹き抜け、みんなはぞっとした。その時、冷酷な女性の声が森から響いた。
???:ここから立ち去れ!
???:お前たちは恨みを買ってしまったな!もし再びここに立ち入ったら命はないと思え!
リュウセイベーコン:ふふ……せっかく隠れていたのに……声を出してくれるなら簡単に見つけられる。
リュウセイベーコンが素早く木陰に飛び込むとざわめきと驚きの声がすぐに響き渡った。すぐにみんなが駆け寄ると、そこには数十人が固まってうずくまっていた。
女性:あ……あなたたちは南苗村の人じゃない?誰なの?
リュウセイベーコン:どうやら……ほんとにたくさんの人が潜んでいたとはな。アンタたちは誰?
マオシュエワン:落ち着け、ここにいるのは老若男女ばかりだ。一旦ナイフはしまってから質問しよう。
リュウセイベーコン:……わかった。
女性:……
女性:待って、この人……
マオシュエワン:えっ、俺のことか?何だ?
女性:その痣──蠱毒にかかってるの!?
ストーリー1-6
女性:その痣──蠱毒にかかってるの!?
マオシュエワン:蠱毒……本当にそれなのか?
女性:……これは猛毒ですよ、発病すると顔に青い紋が浮かび上がって、意識が混乱する。10日間治療しないと、魂を奪われ、歩く死体になる。100日間治療しなかったら人の血を啜り、暴走して、最後には死に至る。
―――
⋯⋯
・えっ、そんなに恐ろしいものなのか……?
・えっ!これ……そんなに……
・かなり残酷だな……
―――
リュウセイベーコン:お嬢さん、蠱毒についてどうしてそんなに詳しいんだ?
女性:私たちは……南苗村で代々蠱を飼ってきた一族ですから。
八宝飯:蠱を飼う一族……?つまり毛血旺が毒にかかったのも、あんたたちの仕業か!?
女性:違います……蠱は人を傷つけるだけでなく、治すこともできるんです。私たち南苗の蠱家は、伝承のような悪いことはしていないの……
女性:あなたが私を信じてくれるなら、解毒剤を使って治してあげる。
女性が袖から小さな箱を取り出して開けると、そこには独特な香りを放つ薬丸があった。
マオシュエワン:解毒剤があるなら試してみるのも悪くないな──なんだ八宝飯、なんで引っ張るんだ。
八宝飯:あんたは本当に何でも口に入れるな、また毒にかかって暴走したらどうするんだ!
リュウセイベーコン:……アタシは、このお嬢さんを信じてみてもいいと思う。
八宝飯:リュウセイ……ちょっとリスクが高すぎないか?
リュウセイベーコン:術を伝承する一族は、百年以上続いている……受け継がれているのは秘法だけでなく、一族の道徳でもある。
リュウセイベーコン:もしお嬢さんの言う通り、南苗の蠱家が悪いことをしていないのであれば……これは毒ではないと思う。
八宝飯:ふむ……
辣子鶏:大丈夫だ八宝飯、そんなに心配するな。毛血旺がまた暴走したら、俺がこいつを叩きのめせばいいだけだ。
女性:安心してください、もしこれが嘘だったら私たち一族の命をとってもいいわ。
マオシュエワン:ありがとうお嬢さん、それじゃあ、頼む!
女性:この薬を飲めば3日で毒はなくなるわ。この毒は強力だけど、一度かかってしまっても治ってしまえば二度とかからないの。
女性:ちなみに、その青い模様は、毒がなくなるまで消えることはないわ。
辣子鶏:うんいいね、そのくらいでちょうど見飽きるだろうし。
マオシュエワン:黙れ!見るな!
女性:あ……そうそう、ちなみにだけど南苗村の何かに触れたり、何かを食べたりしたのかしら?
マオシュエワン:確かに村から来たが……えっと、井戸の水を一口飲んだだけで、それ以外は何もしてないぞ。
女性:井戸……まさか誰かがそこに蠱毒を……
女性は振り返って後ろにいる蠱使いたちを見つめるが、みんなは怪訝そうな顔をして、そっと首を横に振った。
女性:この毒は決して私たちの一族が仕掛けたものではない……
リュウセイベーコン:お嬢さん、南苗村の家々が閉ざされていたことも……この井戸水の蠱毒のことも……南苗村には何か隠された事情があるのかな?
女性:……さっきも言ったように、蠱は人を治すこともできれば、人を殺めることもできる。でもほとんどの人はそれを知ったとたんに警戒するの。
リュウセイベーコン:……
女性:私たちの一族は元々南苗村に住んでて、蠱術を継承し続けてきているけど、それは身を守るためや病を治すための術として使ってきた。
女性:でも、村人のほとんどは私たちを警戒している。多分だけどこの警戒心が積もり積もって、そのうち崩壊する日が来ると思うわ。
女性:最近村で人々が次々と行方不明になったことで、良くない噂が飛び交い、私たち一族が蠱を利用してお金や命を狙っていると非難されてるの。それに私たちは耐え切れなくなって……自分たちの意思で村を去り、暮らせそうなところを探しているの。
リュウセイベーコン:行方不明……どうりで村の人間がほとんどいなくて、不気味な雰囲気が漂っているわけだ。アンタたちが去った後も、村の状況は変わらないみたいだけど。
女性:……あそこの人たちはもうおかしいのよ……私たちは何度も説明したのに、全然理解しようとしない……
女性:彼らは私たちの屋敷に忍び込んで、私たちの当主を殺害した。当主の唯一のご子息も行方不明になってしまったの……おそらくご子息はもう……
女性は声を詰まらせ、蠱遣いたちも悲しそうに項垂れている様子を、皆は黙って見守るしかなかった。
リュウセイベーコン:この件はそんなに簡単な話ではないかもしれない。村に残されたのも年老いたものだけで……
リュウセイベーコン:お嬢さん、当主を殺害した犯人は南苗村の人ではない可能性があるとは、考えていないのか。
女性:彼ら以外に私たちに恨みを持つ人たちがいるとは思えないわ……残念なことに当主はもう亡くなってしまっているので、調べることは難しいと思うわ。
リュウセイベーコン:いや、亡くなられた方と……話すことができるかもしれない。
ストーリー2-2
リュウセイベーコン:いや、亡くなられた方と……話すことができるかもしれない。
女性:それは……どういうこと?
リュウセイベーコン:お嬢さん、当主が生前に身に着けていたものを持ってたりするか?
女性:身に着けていたものか……ほとんど当主と一緒に埋葬してしまったけど、蠱術を記録している本ならいくつか残っているわ。
リュウセイベーコン:それなら、その書物をお借りしてもよいか?
リュウセイベーコンが手に持っていたランプを持ち上げると、それはまるで生きているかのように回転しながら、宙に浮かび上がり、書物が輝きだして奇妙な空間が広がった。
輝く書物が創り出した影には人型のような姿が浮かび上がった。それはまるで昔話を上演する人形劇のようだ。そばで毅然とした態度で立っている泡椒鳳爪は何も書かれていない絵巻を開き、静かに筆を落とした。
女性:これは生前の当主の姿?こんな秘術があるとは……リュウセイさん、あなたは一体……?
リュウセイベーコン:浮世には不思議な法術が数多くあるんだ。あたしたちが学んでいるのは一部の秘術に過ぎないけれど。
八宝飯:心配するな、このランプは決して怪しいものではないぞ、リュウセイが得意とする秘術は……
リュウセイベーコン:黙りなさい、八宝飯。アンタのしゃべり声は、記録の邪魔になる。怒られてもしらないぞ。
八宝飯:わかったよ……そう言えば出発する前、高麗人参様が急に鳳爪をチームに入れたんだ。彼が必要になることを予知してたんだな……
辣子鶏:あいつはいつも何を考えているかわからないからな。たぶん何かを思いついたんだろう……
辣子鶏:ちょっと見てくれ、ほら!ランプの影に奇妙な黒服の人が現れた。
その言葉で、みんなが一斉に視線を向けると、ランプの影の中にいる当主はベッドで静かに眠っていた。微かな月光に照らされ、ベッドの傍に黒服の人が忍び寄るのがぼんやりと見えた。
冷たい光が月明かりの中で一瞬輝いた次の瞬間、ナイフが当主の胸に突き刺さった。驚いた当主はうめき声を上げながらもがき、最後の力を振り絞り黒服の人の羽織を引き剥がした。
その時当主は極めて恐ろしいものを目にしたようで、恐怖に目を見開き、そのまま命を落としてしまった……
黒服の人は振り返り、床に落ちた羽織を拾い上げる。彼の顔には青白い月光が注がれその姿があらわになると、後ろで見ていた蠱遣いたちは信じられないように驚きの声を上げた。
女性:若殿!?こ……これはありえない!
マオシュエワン:若殿?もしかしてこの黒服の人のことか……この人が失踪した当主の息子なのか?
女性:ありえない……若殿はどうして当主を殺したのか……リュウセイさん、ランプの映し出した影に間違いがあるのでは?
リュウセイベーコン:残念ながら……このランプが映し出すのは死者の強い感情が込められた光景であり、これは全部真実だよ。
女性:そんな……も、もしかして、前に見かけたあの黒服の人たちと関係があるのかしら?
―――
⋯⋯
・黒服の人?一体誰なんだ?
・あの黒服の人たちは一体なにをしてたんだ?
・黒服の人……その人に会ったことはあるのか?
―――
女性:私も時々若殿が黒服の人たちと密会しているのを見かけていたわ……彼らはおそらく南苗村の人ではないと思う。
女性:もしかして……若殿はその黒服の人たちに脅迫されて、あるいは洗脳されていたとか……いや、これは一体どういうことだ……
辣子鶏:何かがおかしい。聖教の連中が陰でこそこそ嗅ぎまわっているのか……
八宝飯:聖教はなんでどこにでもいるんだ……やっぱり、石碑を修復するのはプロに任せておけばよかったのに……
辣子鶏:今回は俺がいるから、恐れることはないだろ!とりあえずまずは、この問題を解決しなければならない。
女性:聖教の目的が何であるかはわからないけど……これは私たち南苗蠱族の命に関わるもの、どうかお力添えをお願い出来ますでしょうか……
泡椒鳳爪:……安心してください。冤罪や誤審があれば、地府も放っておくわけにはいきません。
女性:地……地府?
リュウセイベーコン:ふふ……お嬢さん、驚かないで。この地府はあの地府とは異なるもので、ある意味あれは困った人を助ける場所だ。
八宝飯:そうだ!地府のやることは罪を罰すること、罪を犯した人々を追い詰めることだ……
八宝飯:しかし今回は……どこから手をつければいいだろうか……困ったな。
辣子鶏:俺にアイデアがあるぞ。犯人があの若殿であろうが聖教の人であろうが……とりあえず、彼をとっつかまえて尋問するんだ!
ストーリー2-4
辣子鶏:俺にアイデアがあるぞ。犯人があの若殿であろうが聖教の人であろうが……とりあえず、彼をとっつかまえて尋問するんだ!
マオシュエワン:珍しくアイデアを考え出したと思ったら……ポンコツだな。具体的にどうやっておびき寄せるんだ?
辣子鶏:ふふ、彼は村中に蠱毒をばらまいただけではなく、他にも何かを企んでいるはずだ。もしばらまかれた蠱毒を全て排除することが出来れば、影に潜んでいる者たちも顔を出さずにはいられないだろう。
女性:確かに……この方が言っていることは理にかなっているわ……蠱の陣を破壊するのは、私たちが村で直接解蠱の儀式を行えばいい。
リュウセイベーコン:賛成できない。もしも本当に聖教がかかわっているなら、アンタたちは奴らの餌になるだけ。アタシに解蠱の方法を教えて、アタシが行く。
泡椒鳳爪:素知らぬふりをして儀式を行えば成功するかもしれませんね。我は少し経験があるので、代わりに行きますよ。
八宝飯:そういえばそうだった、鳳爪は変装していたな、忘れるところだった。他に何か手伝う必要があれば、オイラもできるよ!
辣子鶏:いや、やっぱり俺がやるよ聖教の連中くらいなら俺一人で十分さ
マオシュエワン:あんたはやめとけ……もしあんたも蠱毒にかかって暴走するようなことがあれば、俺たち数人ではあんたを抑えることはできないぞ。
辣子鶏:お?お前……ようやく俺に勝てないって認めたのか〜!
マオシュエワン:ふん、そんなこと言ってないけどな!ただ考えればわかるだろ、誰が暴走したって良い状況とは言えないからな無茶をするのはやめておこう。
―――
⋯⋯
・言い合っている時間がもったいない、俺が行くぞ。
・この解蠱の儀式、俺に行かせてくれ。
・言わせてもらうが、これに関しては俺が一番適任だ。
―――
女性:賢明な判断だと思います、正直なことを言いますと……毛血旺さんだけは、もう蠱毒の影響を受けないので最適な人材だと思います。
マオシュエワン:まさにそのとおりだよ──お嬢さん、それじゃあ、儀式の手順を教えてもらえる?
翌日夕方 南苗村
夕焼けに厚い雲が重く垂れ込み、数匹のカラスが頭上を旋回している。村の井戸のそばに、南苗の伝統的な服装をまとった若者が立っていた。
彼は身を回転させ、口から不気味で聞き馴染みのない呪文をゆっくりと吐き出し、頬から幻想的な青紫色の模様が幽かな光を放っていた。
夜風が静かに吹き、そこまで離れていないところから待ち伏せしていた人々は井戸のそばで行われている出来事をじっと見つめていた。
辣子鶏:毛血旺……意外南苗の衣装が似合うな……
八宝飯:まあでも、本当に似合っているな。これが、あの……エキゾチックって感じか?
リュウセイベーコン:こら、衣装ばかり見ていないで、餌に引っ掛かったみたいだ──
黒いカラスたちが悲しげに鳴き、木の陰から黒い影が一瞬で目の前を駆け抜けた。すでに気づいていた様子だった毛血旺はまだ目を閉じたまま詠唱しているふりをしている。
黒服の人:ふん、南苗の蠱家の人間ではなかったようだ……ここの毒陣を解蠱しようとするとは、生きるのを諦めたのか?
マオシュエワン:まあそう結論を急ぐなよ……生きることを諦めたかって……?そんなことあるわけねえだろ!
黒服の人:偉そうな口を叩くな!野郎ども!──やれ!
黒服の号令とともに、木の陰に潜んでいた黒服の手下たちが一斉に動き出し、待ち伏せしていたみんなも姿を現して迎撃した。
マオシュエワン:辣子鶏、あんたたちはその雑魚どもを頼む!こいつは俺に任せておけ、こいつの手には毒蠱がある!
辣子鶏:ああ、了解だ──仕方ないからおいしい所はお前にやる、しくじるなよ。
マオシュエワン:ふん、その目でしっかり見ていろ!
数分の激闘の末、手下たちは次々と敗北し、黒服の人も毛血旺によってしっかりと地面に押さえつけられた。
マオシュエワン:おとなしくしろ!まだなにかしようとするなら、腕を折るぞ
黒服の人:……
女性:これは一体……犯人を捕まえたのか?……若……殿?
急いで駆けつけた南苗蠱族は、荒れ果てた光景を目にして躊躇いがちに立ち止まり、地に押さえつけられた黒服の人を見つめた。
黒服の人:ふん……なにが若殿だ……俺はもうお前たちの一族ではない
女性:本当に若殿なの……!?どうして恩を仇で返すようなこと……なんで当主を殺した?
黒服の人:恩?仇?ははっ、この人生で一番後悔していることは、あの老いぼれの息子になって、南苗の蠱遣いになったことだ!
黒服の人:本来なら……実験はもうすぐ成功するはずだった!なぜ、お前たちは邪魔をするんだ……
ストーリー2-6
黒服の人:本来なら……実験はもうすぐ成功するはずだった!なぜ、お前たちは邪魔をするんだ……
辣子鶏:実験……?
黒服の人:ふん……もういい、これが俺の運命なんだ…………
―――
⋯⋯
・おい……!?一体何をするつもりだ!?
・おい、無駄な小細工をするな!
・おい!おとなしくしろ!
―――
言葉を言い終える前に、黒服の人は地面に倒れ、羽織が滑り落ち彼の顔には不気味な青紋が広がり、鮮血がじわじわと滲み出ていた。
マオシュエワン:くそっ、こいつは……死んだのか?
女性:蠱毒だ……彼は自分にも蠱毒を仕込んでいたみたいですね……
リュウセイベーコン:構わない、死んでしまってもこちらは真相を知る術はある
ランプがゆっくりと宙に浮き、倒れている黒服の人を薄暗い光が包みこみ、しばらくすると空中に二つの影が描かれた。
チキンスープ:どうだ、よく考えたか……
黒服の人:ああ……聖教のために働けば、俺との約束は守られるんだろうな?
チキンスープ:ふふ……もちろんだ。蠱毒を使って村人を誘導することくらい、貴方にとっては簡単なことだろ。
黒服の人:それは難しくない……だが、彼らを拠点に誘導した後、俺は何をすればいいんだ?
チキンスープ:100人ほど集めれば実験を開始できる……その時になったら貴方にも説明しよう。
黒服の人:……
チキンスープ:なぜまだ躊躇うのだ?貴方は南苗村の人々を一番嫌っていたではないか?これは彼らにとって当然の報いなんだ。
チキンスープ:これが成功すれば、あなたは聖教の中でも最高に栄誉ある地位を得ることができる……その馬鹿げた蠱族に一生いては、永遠に手に入れることのできないものだよ。
黒服の人:俺は……聖教や聖女に仕えたい。
チキンスープ:ふふ、いいだろ……ただしその前に、聖教に忠誠心を示す必要がある。
黒服の人:……どうすればいいんだ。
チキンスープ:うーん、そうだな……あの邪魔な父親とやらを殺してきたらどうだ?部下が手こずっているらしいし。
黒服の人:……
チキンスープ:なんだ、口では蠱族を憎んでいるとあれほど言っておきながら、結局は情けをかけてしまうのか?……心の弱い人間は聖教には向かないよ。
黒服の人:……いいえ、聖女の命令に従います。
チキンスープ:ふふ、よかった。念のためその蠱毒を……貴方自身にも施す必要があるな、解毒剤は全て引き渡してもらうが。
黒服の人:聖女……それはなぜだ、俺を信頼してないのか?
チキンスープ:それが聖教のやり方。ふふ……徐々に慣れるさ。
黒服の人:……わかりました。
灯りの中の光景が次第にぼやけ、やがて薄暗くなった夏風に溶け込み、みんなは長い間無言で立ち尽くしていた。
辣子鶏:チキンスープ……やっぱりまたあの女が何かを企んでいるな。
八宝飯:彼らが言っていた実験ってなんだ?聖教はまた何か企んでいるのか?
辣子鶏:どうせ彼らの主のためだろう……それかあるいは……山河陣のため。
辣子鶏:聖教はいつまでこんなことをしているんだ。帰ったらあいつにこのことを話さなければならないな、もう彼らを放っておくわけにはいかないぞ。
マオシュエワン:その前にまずは、あの拠点から村人を救出しよう、行方不明の村人たちはみんなそこに閉じ込められている……
そう言い終えると、近くの家屋からはざわめきが起こり、窓辺からこっそり覗いていた村人たちが次々と扉を開けて出てきた。
村人:法師様、村の蠱毒は解除されたのですか……本当に感謝します!
マオシュエワン:ええと……俺は法師様でもないし、解蠱術も蠱遣いの人たちが教えてくれたから、感謝するなら彼らに……
村人:法師様、そして蠱遣いたち、あなたたちは南苗村の救世主です!どうぞお礼をさせてください!
マオシュエワン:え、ま……待ってくれ!おい──!なんでそこで見物しているんだ、助けてくれ!
毛血旺の叫び声は、押し寄せてきた村人たちにかき消され、他のみんなはその光景を見て笑い合った。
辣子鶏:人気者の毛血旺のことは放っておいて、俺たちは先に出発しよう!
マオシュエワン√宝箱
端午の節句 機関城
夏の昼は長く、太陽が照りつく暑さの中蝉の鳴き声が響き渡った。機関城には風に揺れる菖蒲の葉がたくさん飾られ、淡い香りがほのかに漂っていた。
木陰の下で、金華ハムが退屈そうに腕枕をしていると、目の前に突然笑顔の人物が現れた。
八宝飯:おい、金華ハム!なんでこんなとこで居眠りしているんだ?
金華ハム:お前か……
八宝飯:他に誰がいるんだ?なんでそんなにがっかりした顔をしているんだ?
金華ハム:いや別に……ところで、毛血旺のバカは?この前お前たちと石碑の修理に行ったはずだが、なんでまだ帰ってきてないんだ?
八宝飯:ああ、毛血旺のやつは……今頃南苗村で美味しいものを食べているんじゃないか。
金華ハム:何……?何が起こったのか心配していたのに!?
八宝飯:なるほど……あいつのことが気になってたから、どこか上の空だったんだな。
金華ハム:別にそんなことは……ただ最近、誰も俺と喧嘩してくれないからな暇で仕方ねえ。さっき飯食ってるって言ってたけど、あいつは南苗村で何をしているんだ?
八宝飯:毛血旺はそこで解蠱の儀式を行い、救世主として一躍人気者になって。村人たちに法師として崇められて……
八宝飯:村人たちはしばらくは毛血旺を帰すつもりはなさそうだったからな。毛血旺も喜んで飲んでいたからな、置いて帰って来たんだ。
金華ハム:法師……!?どういうことだ……石碑を修理に行ったんじゃないのか?どうしてそんな嘘ついてるんだ?
八宝飯:話せば長い。とにかく、毛血旺は一躍大人気になったんだ。
金華ハム:……?
八宝飯:今度から毛血旺と喧嘩するときは注意するんだぞ。もしもあいつが南苗村で本当に蠱毒の術を教わってきたら、あんたは死ぬかもしれない。
金華ハム:蠱毒の術?それは一体何なんだ?
八宝飯:その秘術はとても興味深かったよ……術が軽い場合は顔に吹き出物を生じさせたり、精神を狂わせたりするだけだが、重い場合は術者の言うことだけを聞くだけの屍にされてしまうんだ。
金華ハム:……屍?
二人が会話をしていると、近くから奇妙な服装の人物が急いで近づいてきた。
マオシュエワン:八宝飯、ハム、お前たちもいたのか。ふぅ……木陰の下が涼しいな、この服は暑くてたまらん。
八宝飯:はは、やっぱり涼しさと格好良さを兼ね揃えるのは難しいんだな。
マオシュエワン:村人たちは銀のネックレスをもっと俺の首にかけたがってた、逃げ足が早くてよかったぜ……
マオシュエワン:ハム、どうしたんだ?こんな暑い日なのに顔が青白いぞ?
金華ハム:い、いや──大丈夫、そういえば用事があるんだった、部屋の花に水やりをしてやらないと、悪いけど先に行くな。
マオシュエワン:え?水やり!?
金華ハムの背中を見送りながら、毛血旺は困惑しながら頭を掻いた。
マオシュエワン:変な奴……何日か会ってない間に変わっちまったな……花や草を育てるようになったのか……
八宝飯:空気が乾燥しているから花に水でもやって、一休みでもするんじゃないか?……オイラも先に行くよ、ポンコツからあいつと一緒に菖蒲の葉を地府に贈ってくれって頼んできたんだ。
その一方
かすれた蝉の鳴き声が絶え間なく響き、暑さが帳の中にまで溢れてくる。しばらくすると、カップが割れる鋭い音が聞こえた。
チキンスープ:……使えないやつだな、また失敗しているのか。
チキンスープ:神恩軍……そしてパラータの方も、すでに動きがある……これ以上時間をかけるわけにはいかない……
チキンスープ:ふっ、機関城……地府、いつものあいつらか……
チキンスープ:聖主を敵にまわした事を後悔させてやる……
リュウセイベーコン√宝箱
端午の節句 地府
猛暑の真っ最中でありながら、地府は比較的涼しい場所だった。幽かについている蝋燭の下で、幼い侍童がカゴの中の菖蒲の葉を入念に高く吊り上げていた。
腐乳:耳ちゃん耳ちゃん、何をしているの?この葉っぱはなにか楽しいことに使えるの?違うとこに遊びに行こうよ!
猫耳麺:腐乳姉さんちょっとまってね……この菖蒲の葉を全部吊り終わったらね……
腐乳:へ〜、これ菖蒲の葉っていうんだ……?匂いはいいけど……ぷへっ、ぷへっ!苦い!
リュウセイベーコン:ふふ、本当に食いしん坊だな。お、耳ちゃんは菖蒲の葉を吊るしてくれているのか……ああそうか、今日は端午の日だったんだな
猫耳麺:遡回司さま……うん!これらは城主様から高麗人参様への贈り物で、吊るすように指示されました。
腐乳:この葉っぱは何の役に立つの?
八宝飯:ガキ、知らないのか?この菖蒲の葉の効果は大きいんだよ!
人参の部屋からゆっくりと出てきた数人は、椅子を引いて座った。人参への報告で喉が渇いた様子で、目の前のお茶を飲み始めた。
八宝飯:はあ、一旦喉を潤してから話そう……えへん、この菖蒲の葉は邪気を祓い、災いを避ける霊草だと言われているんだ。悪いものじゃないよ。
八宝飯:車数台分の菖蒲の葉をポンコツがどこからか摘んできたから、機関鳥に積んで半日もかけて機関城に運んできたんだ。
豆汁:ぷっ、邪気を祓い、災いを避ける……?この世に地府以上に邪気のある場所なんてある?こんな小さな葉っぱが本当にそんな力を持ってるとは思えないけどなあ
八宝飯:うーん……確かに効果を実感してみないとわからないけど……まあでも、ポンコツのしたことだからな。
八宝飯:ポンコツはその葉っぱを摘むために顔が真っ黒に日焼けしたらしい。高麗人参様もそれを聞いて心を痛めたので、おそらくポンコツのことを思って吊るしたんだろう。
猫耳麺:うん……そうです。でも、城主様は高麗人参様にこの葉っぱを入れたお風呂に入ってと提案して、高麗人参様に追い出されたみたいです……
八宝飯:なんだか……最近のポンコツはどうしたんだ、変なことばかりやるな。
猫耳麺:そうなんです、城主様……ずっとこんな感じで、……不思議ですよね。
豆汁:これをお風呂に入れるのか、じゃあそれを黒ちゃんの油鍋に入れてみたらどう?もしかしたら、あの揚げ堕神の臭いを消す効果があるかもしれないよ。
油条:……俺の鍋に変なものを勝手に入れるのはやめてくれ。
豆汁:わたしは本気だよ、忘川の水も入れたかったのに!
油条:……
泡椒鳳爪:端午の節句では家屋に菖蒲を吊るすのは、最初は毒虫を追い払うためだったけど、時代が進むにつれ邪気を避ける意味合いに変わったと聞いたことがある。
八宝飯:そうだ!蠱毒は地味な存在に見えるかもしれないが、蠱毒を甘く見てはいけないぞ!
八宝飯:そう言えば、ポンコツは南苗村のことでトラウマになったかもしれないな……もしかしたらポンコツは地府のことを心配しているのかもな。
豆汁:朝から南苗村とか蠱毒とかずっと話していたけど、リュウセイ、蠱毒術はあなたのような屍を操る玄術と同じくらい神秘的なの?
リュウセイベーコン:ふふ、どっちも秘法であるからな、あんまり明言はできんな。
豆汁:まあいいや、リュウセイはいつもそうだもんね!次にまた面白そうな仕事があったらわたしも一緒に行く!
豆汁:黒ちゃんも一緒に行くんだよ〜
油条:……?
豆汁:ふふ〜恥ずかしくて一緒に行きたいって言えないんだもんね、約束しといてあげる。
長い夏の昼に蝉の鳴き声が響き渡った。静かだった地府は今、和気あいあいとした声が溢れだし、少し活気づいていた。風に揺れた菖蒲の葉から微かな香りがして、うなずいているようだった。
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