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欲念の倒影・ストーリー

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欲念の投影

プロローグ


幽冥図書館

地下室


ベイクドアップル:ここにおいてあったはずなのにな……あの古い鉱石顔料……


 少女は分厚いリストを抱えながら、ずらりと並ぶ物たちの中から材料を探す。静かの中、かすかな物音が急に彼女の耳に届いた。


ベイクドアップル:あれ?なんの音……?


 ベイクドアップルは不思議そうに周りを見渡すが、異常は見当たらなかった。


ベイクドアップル:変だな、アタシの聞き間違いなのかしら……


 ベイクドアップルはぶつぶつつぶやきながら注意力をモノ探しに戻すが、振り向いたその時、隅っこに一つの白い影がちらついたーー


ベイクドアップル:?!


 少女が反応する前に、次の瞬間、突如、足首がまるで何かにつかまれたかのような感覚が伝わってきたーー


ベイクドアップル:いーーーーやーーーー!!おばけだあああーーー!!


 甲高い悲鳴が壁を貫き、ベイクドアップルは足元のものを振り払い、散落する材料に気にかける余裕もなく、そのまま部屋をダッシュで出ていった。


***


ベイクドアップル:助けてーー!!きゃっ……痛っ!アタシの果梗!

パンナコッタ:……


 思いがけずある人物にぶつかったベイクドアップルは無意識に頭上の果梗を守ろうとした。目を上げると、そこに立っていたのはパンナコッタだった。


ベイクドアップル:アンタ……!アタシの今の様子、見てなかったよね?あっ、じゃなかった!変なもんが追いかけてる!助けて!

パンナコッタ:へんな、もの……?


 その瞬間、白い影がすぐ後ろに追いついた。パンナコッタは眉をひそめ、素早く近寄って、一瞬でその未知の白い影にナイフを突きつけた。


パンナコッタ:麻袋だ……

ベイクドアップル:へっ?ただの麻袋なの……?おほん!アタシはこんなのでビビってないわよ、アタシは……

???:……%#@やめろ!!

ベイクドアップル:え?子供の声!?

パンナコッタ:……?

???:ここから……出して……!

ベイクドアップル:麻袋の中から聞こえるわね……!なんか聞いたことある声だわ……


 袋には毛糸やナイロン紐がごちゃごちゃして絡まっていたため、パンナコッタは袋を直接破った。そしたら、もふもふの白い頭が出てきたーー


ブレスチキンスープ:………………

パンナコッタ:なんか……見覚え、ある……

ベイクドアップル:ブレスじゃないか?!いやいや違う……ブレスはそんなにちっこくないわ、もしやアンタ……

ベイクドアップル:ブレスの隠し子か???!!!!!!

ブレスチキンスープ:…………………………(╬ ̄皿 ̄)


ストーリー1-2


ブレスチキンスープ:よくその頭で天才と呼べるなあ?何が隠し子だ、バカバカしい。


 目の前にいる子供はブレスと同じ顔をしているが、非常に幼く、話し方も荒っぽいが、声は可愛らしい。ベイクドアップルパンナコッタもポカーンとした。


ベイクドアップル:ア、アンタ、一体誰なのよ?!

ブレスチキンスープ:……まだ分からねぇのか、俺がブレスだ。いいからさっさと俺を袋から出せ、息苦しったらありゃしねえ……

リースリング:みんなここで何をしているの?

リースリング:……これは……


 通りすがりのリースリングがこの状況を見ても思わず眉をしかめた。


ブレスチキンスープ:……俺だってなりたくてこんなになったんじゃねえし、そんな顔しなくたっていいだろう。

ベイクドアップル:ちょっと待って、とりあえずアンタがブレスかどうか、確かめさせて!

ブレスチキンスープ:はぁ?

ベイクドアップル:えーっと……「炎魔法の基本」第一章の魔法召喚公式は何?

ブレスチキンスープ:…………知るか。あんな役に立たないもんを、覚えてどうすんだ!

ベイクドアップル:うそっ、本物のブレスだ!

ブレスチキンスープ:……これで検証するのかよ?!

パンナコッタ:……

リースリング:……ブレス、一体どういうこと?

ブレスチキンスープ:チッ、俺も知らん。目が醒めたら麻袋に入れられて、こんな姿になってた。

ブレスチキンスープ:何度も試したが、元には戻れぬわ、力も使えぬわで、一日待ってたらやっと人が来た。つうかガキ!痛かったぞ今の蹴り……

ベイクドアップル:アハハハ……判断ミス判断ミス。あれがアンタだって知らなかったもん。

ブレスチキンスープ:……まあいい。元に戻る方法を見つけるのが先だ。

ベイクドアップル:またイベリアを怒らせて、魔法にやられたんじゃないの?

ブレスチキンスープ:……そんなバカな!

パンナコッタ:ブレスに、気づかれない状況で……こんな事ができるの……只者じゃない……

リースリング:それに……君がブレスなら、今日私が水晶玉で見たブレスは、誰?

ブレスチキンスープ:?!

リースリング:……今日、一緒に短い会議に出てた。その時はまだ王宮にいた。

ブレスチキンスープ:そんなはずあるか?!俺になりきる野郎がいたなんて!それにここ数日、俺は書斎にこもってたんだぞ!

ベイクドアップル:ええ?なにかの新しいイタズラだったりして?もしくは実はアンタは分身の魔法とかを研究してたんじゃない?素直になりましょうや、忙しい王様の仕事をサボって遊びに行きたいのは恥ずかしいことじゃないよ〜

ブレスチキンスープ:……ガキ、そのむちゃくちゃな脳みそを働かせるな。

ベイクドアップル:だ、だったらなんでブレスが二人もいるっていうのよ!ブレスはたしかにずっと王宮にいたってみんな知ってるんだよ。

ブレスチキンスープ:その言い方じゃ、俺の話は信用してねぇんだな。

リースリングベイクドアップルの言う通りだよ。最近は新法令の推進について討議していたから、国王の欠席はありえないよ。

ブレスチキンスープ:お前まで……いやちょっと待て、新法令とは何だ?

ベイクドアップル:コホン、アタシは知ってるよ。代理国王の廃止のことだ……


―――

はぁっ!?廃止?!!

・俺がやめたら、こんなごちゃごちゃ、誰が片付けられるっていうんだ?

・あのニセモン、一体何がしたいんだ?わけわからん。

・サヴォイアに亡国させたいのか?!

―――


ベイクドアップル:焦るなって、まだ終わってないってば!代理国王の称号を廃止して、彼を真の国王にし、あらゆる権力をすべて国王の手に戻すっていうね。

ブレスチキンスープ:なっ……お前たち、認めたのか?!

リースリング:実は彼自身の決断で、私たちの介入も禁じられている。

ブレスチキンスープ:……俺はそこまで横暴じゃねえぞ?だが、お前らに信じてもらえるかはどうでもいい。やつが俺になりきってサヴォイアを統べる権力を手に入れようとすんなら、俺はなんとしてもやつを止める。

リースリング:よく思えば、確かにおかしい……もとのブレスは国事会議への参加には積極的じゃなかったはず。

ブレスチキンスープ:それ、褒めてんのか?バカにしてんのか?……まあとにかく、俺はあんな強権専制な法令はしねぇ!

リースリング:ええ、そうね。しかし、今はあなたから手がかりを探すしかないね。こうなる前に、なにかに触れたりしてなかった?

ブレスチキンスープ:ここ数日はずっと書斎に閉じこもってるから、一番触れてんのぁ……めちゃくちゃな魔法書たちだ。

ベイクドアップル:魔法書は知恵の結晶だ、めちゃくちゃなものじゃない!って……アンタ、本なんか読むの?

ブレスチキンスープ:……今それ重要?おかしいといえば、ある本は確かにおかしい。表紙に目があってな、結構リアルなんだ。

ブレスチキンスープ:当時は気にしてなくて、ちょっとめくったらどっか捨てちまった。今考えてみると、俺が起きた時に感じた強烈な違和感はその本をめくった時の感じとちょっと似てたな。

ベイクドアップル:ーーそうか!わかった!

ブレスチキンスープ:?何がわかったんだ?

ベイクドアップル:えへん!こういう時は、この天才様のお出ましだね〜


ストーリー1-4


ベイクドアップル:魔法史の記録によれば、特殊な魔法の力は異なる書物に封印されることがあるって。違う力だもん、違う影響を生むのは当たり前。

ベイクドアップル:たとえば……よくない力だと、封印を抜け出し、直接本の所有者、もしくはさらに多くの人々に影響を与えるとか!

ブレスチキンスープ:つまり、俺の不注意であの本の封印に触れて、そこの変な魔法が俺をこんなふうにしたってか?

ベイクドアップル:かもね。そしたらアンタがなぜ子供になったのかも説明できる。でもさ……アタシがこんだけ本を読んでてもこんな状況にはならなかったのに、アンタ、運悪すぎ。

ブレスチキンスープ:……

リースリング:だけど、彼が魔法の影響を受けたほうなら、ニセブレスは?

ブレスチキンスープ:……結局お前はまだ俺を疑ってんだな!

リースリング:あくまで可能性の話だ。

ブレスチキンスープ:くっ、お前……。

パンナコッタ:ボクは信じる。


 一言も発しなかった少年が突然小声で話した。その言葉でブレスは感動した。


―――

ブレスは⋯⋯

・そんな人じゃない。

・彼はこんな横暴なこと、しない。

・彼は強い、けど、無理強いはしない。

―――


パンナコッタ:書斎にいた。ボクが先日、出かけた時に、会った。あのときはまだ……子供じゃない。

ブレスチキンスープ:お前、普段はしゃべらないくせして、肝心な時は頼りになるじゃねえか。

ブレスチキンスープ:りんご頭、お前さっき、多くの人々を影響する力があるって言ったな。もし、お前たちも影響されてんなら?

ベイクドアップル:誰がりんご頭よ!いやでも……、つまりはアタシたちの中にも影響を受けた人がいるって?ということは……原因があの「未知の力」、あるいは王宮にいる「ブレス」だ!

リースリングパンナコッタはここ数日いなかったから、影響される確率も低くなり、だから私たちと違う考え方が生まれる、のか……

ベイクドアップル:そうだ!そうなんだよ!もし本当にアタシたちの推測通りだったら、アタシたち、やばいじゃん!

ブレスチキンスープ:フン、だからやつを一刻も早く始末するんだって言ったろ。時間がない、さっさと王宮へ向かうぞ!

リースリング:……軽率すぎる。

ブレスチキンスープ:……いい方法がこれ以外にもあったのかよ?

リースリング:その力がどこから来たのかを調べてから動くのも遅くないはず。

ベイクドアップル:えええー、魔法の力を調査するのぉ?任せて!それはこの天才様の得意分野だから〜


しばらくして

図書室


ベイクドアップル:じゃじゃーん!見つけたよ!伝説の「呪いの書」!名の通り、呪いの力を封印した魔法の本だね。

ベイクドアップル:ブレスが手にしてたのはきっとあの「欲望の眼」という呪いの本だよ。記録によると、その力は所有者のとある欲望を歪ませ、拡大し、それによって相手をコントロールするんだ。ただ……

ベイクドアップル:ブレスの自我が強すぎたせいで、欲望の眼は一部しかコントロールできず、残りの部分は……こうして子供の姿になったわけ。

ブレスチキンスープ:俺を完全にコントロールできなかったからこんなとこに閉じ込めてたのか……

ベイクドアップル:だね。でもさ……ブレスの欲望ってなに?すんごい知りたいんだけど。若返り?

ブレスチキンスープ:……俺の欲望はデタラメしか言えねぇガキを拳で殴りつけることだよ。

ベイクドアップル:ゴホン……まあとにかく、アレがアンタを閉じ込めたってことはつまりアンタが怖いってこと。だから、呪いの力がアンタを完全に呑み込む前に倒せば、元に戻れるわ!

ブレスチキンスープ:フン、なら簡単だ。今すぐあのニセモンのとこに落とし前をつけにいく!

リースリング:私も同行する。何はともあれ、あんな力は放っておく訳にはいかない。

パンナコッタ:ボクも行く。アナタ、今力ないから……危ない。

ベイクドアップル:え?じゃあ、この天才様のサポートも欠かせないわね!えへへ、どうだブレス、アタシたちの優しさに感動した?

ブレスチキンスープ:チッ、誰が感動すんだ……てか、話ばっかしてたけど、イベリアのやつは?

リースリング:王宮にいると思うよ。出ていく前に今日は戻らないって言ってた。

ブレスチキンスープ:……まさかあいつ、もうアレに完全にコントロールされてんじゃねえよな。探すぞ。

リースリング:最近、王宮では感謝祭の準備をしているから、イベリアは例の「ブレス」と一緒にいるかもしれない。

ベイクドアップル:でも……ほかの魔術師から聞いたんだけど、例の「ブレス」、感謝祭でたくさんの魔術師と兵士を募集して、隣国を攻める軍隊を拡大するとかなんとか言っているそうだよ……

ブレスチキンスープ:いい気になりやがって……捕まえたらぜってー燃やしてやる。


ストーリー1-6


当日

サヴォイア王宮外


 厳格な王宮は、何とも不気味な雰囲気に包まれている。見渡すと、トランプのような服を着た兵士たちが城を完全に包囲している。


リースリング:おかしいな兵士がいっぱいだね?

ブレスチキンスープ:アレの仕業だろう。

ポーカー兵士:何するんだ!王宮は部外者は立ち入り禁止だ!

ベイクドアップル:ええっ!?も、もう見つかったの……!

ポーカー兵士:侵入者だ!侵入者だ!


 動きに気づいた周りのポーカー兵士たちは長槍を高く掲げ、次から次へと彼らを取り囲んでいく。


―――

誰が侵入者だ⋯⋯

・俺たちは……イベリア大魔術師を訪ねに来たんだ。

・俺たちは……王宮を参観に来たんだ。

・俺たちは……「国王陛下」を謁見に来たんだ。

―――


ポーカー兵士:陛下の招待状がない者は立ち入り禁止だ。

ブレスチキンスープ:招待状?俺たちはただ……

ポーカー兵士:陛下の招待状がない者は立ち入り禁止だ!

ブレスチキンスープ:…………人の話が通じないようだな。

パンナコッタ:ボク、囮になる。

リースリング:入ってもいないのにすでにこんな大きな騒ぎを起こして、すぐ敵にバレるよ。

ベイクドアップル:じゃあ、どうするぅ?これだけの兵士が邪魔してっちゃ、入れやしないよぉ。

ブレスチキンスープ:フン、誰が入れないって?


***


数分後

王宮の花園


ベイクドアップル:へえ〜、こんな秘密通路があったんだ!

ブレスチキンスープ:あたりめえだ、お前の知らないこと、いっぱいあんだよ。

ベイクドアップル:でもこんな場所を知ってるなんて……もしかしてアンタ、よくこうして抜け出して遊びに行ったりするの?そうだ!アンタの欲望は代理国王をやめて、毎日遊びに行くことだね!

ブレスチキンスープ:…………

パンナコッタ:人がいる。


***


 一行が足を止め、少し離れた場所には見慣れた二人の姿が廊亭の中に立っていて、その後ろに人間の兵士たちが続いているのが見えた。


ハモン・イベリコ:……

ブレスチキンスープ(偽物):……


 ブレスそっくりの人は黒ずくめの服を身に纏い、邪悪な目をしている。そばにいるイベリアは優しい顔をして、二人は何かを話している様子。


ブレスチキンスープ:イベリアだ……!とあれは、例のニセモン?!

ベイクドアップル:うわあ、マジでブレスそっくりだ!でもその格好、いつものかぼちゃパンツより全然よかったね〜

ブレスチキンスープ:あん?やつの方がカッコ悪りぃだろうが!


 ブレスが嫌そうに言っていると、その次の瞬間、一筋の赤い光が光り、「ブレス」の大きくて尖った帽子に血のような色をした瞳が開いた。


ブレスチキンスープ:あの目……フン、やっぱりやつがあの目ん玉の本だ。

ベイクドアップル:目ん玉の本じゃなくて、「欲望の眼」っていうの!

ブレスチキンスープ:……一緒だろうが。


 二人が話している間、その瞳は突然真紅の光を輝き、一瞬の間、黒い霧が広がった。光が暗くなると、「ブレス」の姿はもう見当たらない。


ブレスチキンスープ:消えた?よし、やつがいないうちに、イベリアを捕獲してくぞ!

リースリング:待って、おかしい。


 リースリングが言い終わると、黒い霧が兵士たちへ向かっていき、蚕のように彼らを包み込み、同時に、イベリアが杖を手にし、呪文を唱った。


異化の兵士:ぐあああっ!

リースリング:……ポーカー兵士になっていく。

ブレスチキンスープ:マジかよ……


 黒い霧が広々とした廊亭に広がる。優しかったイベリアの青い炎が黒に覆われ、不気味な色を映し出した。


ベイクドアップル:まずい!呪いの力がイベリアを影響した!兵士たちを殺してしまうよ!

ブレスチキンスープ:イベリアにこんなことをさせるなんて……許さん!!


ストーリー2-2


 イベリアは、黒く変わる自分の炎を見て、微かに眉をひそめた。


ハモン・イベリコ:(例の力がまた強くなった……急がねば……)

ブレスチキンスープ:イベリア!


 清らかな声が耳に響き、イベリアが反応する前に、手の動きが刃物によって妨げられた。


パンナコッタ:……ごめん。そうしないと、今のブレスが、ケガ、してしまう。

ハモン・イベリコ:あなたたち、どうして……!

リースリング:イベリア、この人たちに何をした?

ハモン・イベリコ:私……しまった!

異化の兵士:ぐああああーー!!


 止まっている隙に、黒い霧がどんどん濃くなり、イベリアは周りの人の問い詰めに答える暇もなく、彼は全力で青い炎を放ち、水のように穏やかな力が広がり、苦しみで喚く兵士らも徐々に落ち着いた。


ハモン・イベリコ:ふう……間に合ってよかった……

ベイクドアップル:え?イベリアが操られていない……

ブレスチキンスープ:これは一体どういうことだ?!

ハモン・イベリコ:知りたいことはわかっています。しかしここでは話しにくいので、場所を変えましょう。


***


しばらくして

王宮のとある場所


リースリング:つまり、君は自分の力であの変な魔法を浄化してるってことか?

ハモン・イベリコ:ええ……正確に言うと、あの人たちの苦しみをできるだけ和らいであげているだけです。見ての通り、兵士たちの異化を阻止することはできません、

ブレスチキンスープ:ってこたぁお前、あの野郎に洗脳されてねぇよな?!

ハモン・イベリコ:洗脳?もちろんされてませんよ。ニセ「ブレス」のそばにいたのは調査のためです。


―――

ホントか⋯⋯?

・お前さっき、あのニセモンの近くにいたからな……

・あのニセモンめ、小賢しい……

・万が一、お前もアレに影響されたら……

―――


ハモン・イベリコ:本当です。もう安心でしょう?私の服から手を離してもらえます?

ブレスチキンスープ:コホン……この格好が話しづらいから……


 ブレスは急いでイベリアのローブを強く掴んでいた手を離し、そわそわしながら、服についたしわをぽんぽんと叩いて伸ばした。イベリアはただ笑みを浮かべて彼を見つめていた。今のブレスが子供の姿をしているからか、何かしら甘やかすような笑顔だった。


ベイクドアップル:でもさすがイベリア様!欲望の眼にコントロールされてないなんて、すごいよ!

ハモン・イベリコ:欲望の眼……そうなんですか、その力は欲望の眼だったんですね……彼の違和感に気づいたのはほんの数日前です。見た目はブレスと瓜二つですが、絶対私の知っているブレスではないと、確信は持っていましたから……

ハモン・イベリコ:何も気づかなかったように装い、近づいて調べようとしていましたが、王宮全体が彼の監視下にあって、あなたたちとも連絡が取れず、本当に申し訳ない。

ブレスチキンスープ:あのニセモンのせいだろ、お前のせいじゃねぇし……謝んな!あいつ、俺を麻袋に入れたしな……

ハモン・イベリコ:……いや、あれやったの、私です。

ブレスチキンスープ:???

ハモン・イベリコ:アレの違和感に気づいた翌日、あなたが子供の姿になって書斎に倒れたのを見て、万が一のときのために、とりあえず隠しとこうと思ってました。

ハモン・イベリコ:でも縛ったりはしてませんよ、袋の開け口も完全に閉じていません……ブレスが暴れたから閉じ込められたのでは?

パンナコッタ:麻袋についてた縄、の縛り方……確かに人為的に、見えない。

ブレスチキンスープ:……お前なら、まあ、いいよ……でもあの野郎は許せねえ!

ハモン・イベリコ:あの人は……いつもある本を持ち歩いていました。大量の魔法エネルギーが集まっていて、欲望の眼はそこに封じられているはず……かなり手強い力なので、慎重に行きましょう。

ブレスチキンスープ:これだけの人数がいるんだ、本ごとき、怖いもんか!

ハモン・イベリコ:念のため、やはり……

ブレスチキンスープ(偽物):おやおや、俺のことでずいぶん困ってるんじゃないか?


ストーリー2-4


ブレスチキンスープ(偽物):おやおや、俺のことでずいぶん困ってるんじゃないか?

ブレスチキンスープ:?!

ハモン・イベリコ:……!


 突然の声に一行は驚いた。あの派手な姿がいつの間にか目の前に現れた。彼はブレスらの驚きや怒りをまったく気にしていない様子。


ベイクドアップル:うわああポーカーにされるのイヤだ!

リースリング:大丈夫。そんなこと、起こらせないわ。

ブレスチキンスープ:フン、自ら来て、気がきくやつだな。

ブレスチキンスープ(偽物):俺を本から出してくれたお前に、感謝しないといけないからね〜

ブレスチキンスープ:うるせえ。王宮をこんなにされて、もう帰るべき場所に帰れ。

ブレスチキンスープ(偽物):フフフ、なんだ、今の王宮が好きじゃないのか?

ブレスチキンスープ(偽物):いいではないか?力ですべてを操る。これこそが国王がすべきことだろう。みんなを傀儡にしたら、お前が嫌いな、エラそうにしてた貴族たちがもうお前に反論することなく、思い通りにできるぞ、楽しいだろう〜

ブレスチキンスープ:……独りよがりな野郎だな。皇室の老いぼれが嫌いなのは確かだ。だが、あいつらの服従はいらん。それに、あいつらが俺のことをどう思うか、俺に対してどんな異議があるかが、俺のやり方や気持ちになんの関係がある。

ブレスチキンスープ:ましてや俺がいくら落ちぶれようと、本に心配される筋合いはねぇよ。

ブレスチキンスープ(偽物):ヘッヘッヘ、構わないよ〜、お前がどう思っても。どうせすぐに、この体が俺のものになるんだ〜

ハモン・イベリコ:……まずい、みんな、危ないっ!


 青い炎が襲ってくる黒い霧を阻み、リースリングはすばやく「ちび」二人を自分の後ろに庇い、迷うことなく銃を取り出した。


リースリング:ふたりとも離れてて、安全な場所を探して。

ベイクドアップル:うん、分かった!ブレス、なにぼーっとしてんの?早く逃げないと!

ブレスチキンスープ:……くっそー、力が使えんなら……!


 ドカーン!光が銃声とともに炸裂した。辺りが一瞬にして煙に包まれた。二人が避けきれず、ブレスは無意識にベイクドアップルを庇おうとした次の瞬間、体が急に宙に浮いた――


ハモン・イベリコ:ブレス!大丈夫ですか?

ブレスチキンスープ:おまっ……ちくしょう!下ろせ!

ベイクドアップル:ブレス、血、血が出てるよ!


―――

平気だ、この程度じゃ死ねねぇ。

・擦り傷だ。

・お前ら、自分の身の安全だけ気にしてろ!

・イベリア!魔法を無駄使いせず!治療しろ!

―――


ハモン・イベリコ:……心配されたくないならアップルを連れて安全な場所を探して隠しておいてなさい。


 イベリアが言い終わると、歯を食いしばって、二人を下ろし、また戦いに赴いた。黒い霧に苛まれる青い炎を見て、ブレスは黙々と手を握りしめた。


ブレスチキンスープ:くっそ、こんなんじゃ全然力になれねぇ……りんご頭、お前を先に安全な場所に連れてく……こんなことをあいつらに押し付けちゃいけねぇ。

ブレスチキンスープ(偽物):フフフ、焦らなくていいよ。お前ら全員、逃げられないよーー


 「ブレス」の手に持っていた本が素早くめくられ、一瞬にして、無数のポーカー兵士が黒い霧から押し寄せてきて、イベリアたちを包囲した。同時に、嘲笑のような笑い声が響いた。


ブレスチキンスープ(偽物):ヘッヘッヘ、あんなくだらないところにずっと閉じ込められて、やっと存分に遊べるぞ〜

リースリング:どこに行く……しまった!彼の狙いはブレスだ!

ハモン・イベリコ:!!


 次の瞬間、ローブをまとった姿が三人の目の前で突如消え、そして直後、遠くから少女の悲鳴が聞こえてきた。


ベイクドアップル:キャーーー!ブレスーー!


ストーリー2-6


ブレスチキンスープ:…………

ブレスチキンスープ:……俺?!戻った?!


 突如の馴染みさに目を覚ました青年は思わず震えた。周りを見回すと、自分が広大な試練場にいることに気づいた。


ブレスチキンスープ:どういうことだ……俺は庭にいたはずじゃ……

ブレスチキンスープ(偽物):フフフ、ようやく目が醒めたか〜

ブレスチキンスープ:てめえ、やっぱりお前の仕業か!イベリアたちはどうした?!

ブレスチキンスープ(偽物):焦るなって。ここがどういう場所か、覚えているか?

ブレスチキンスープ:素直に答えるわけねぇだろう。

ブレスチキンスープ(偽物):荒っぽいやつだね。最後にちゃんとお話がしたかったのに。

ブレスチキンスープ:そんな暇ない。やるならやれ。


 ブレスは足を上げ、ためらいなくいつものように拳を振り上げようとしたが、湧き出た黒い霧に四肢を強く縛られた。


ブレスチキンスープ(偽物):フフフ、お前の体は俺のとこにあることを忘れないでね。今のお前は単なる意識だ。

ブレスチキンスープ:……てめえ、一体何が狙いだ?

ブレスチキンスープ(偽物):もちろん、お前の願いを実現してやることだよ。お前は使えない魔法と無能な貴族たちが大嫌いなんだろう?だったら徹底的に消えてもらうんだ。正しいことをして、サヴォイアの真の王になる。

ブレスチキンスープ:……人の意志を消し、王宮の秩序をかき乱すのが、お前の言う「正しいこと」か?

ブレスチキンスープ(偽物):フン。その制度とやらのほうが余計だ。必要なのは、絶対的服従だけだ。

ブレスチキンスープ:……!!


 軽蔑な言葉が終わると、ブレスを包み込む黒い霧がますます濃くなり、何かが彼を少しずつ呑み込んでいるかのようだ。


ブレスチキンスープ(偽物):そうだ、今の質問、お前が答えたくないなら、優しい俺が代わりに答えてあげよう〜ここは……魔法学院の試練場だ。お前が一番嫌いで、運命を受けざるを得ない場所だ。

ブレスチキンスープ(偽物):ーー当時、フェラメルに国王の座を継いでほしいと言われた時、本当は嫌だったんだろう?結局、お前は他人の意志で生きてんじゃねえか、愚かだな。

ブレスチキンスープ:キサマ…………!!

ブレスチキンスープ:…………うっ…………!!!


 ブレスは言い返そうとしたが、骨の髄が齧られ、皮肉が剥がれるような激痛で、彼は声を発することすらままならなかった。


ブレスチキンスープ(偽物):この様子じゃ俺の意見に同意してんだな〜ハハハ、だったら俺が手伝ってやろう!魔法学院を燃やして、言うことの聞けない奴ら、あとお前の仲間たちを全部……片付ける!そうすれば、俺は全員をコントロールできる、アハハハーー!


 狂気の笑い声の中、灼熱な炎が降り注ぎ、火の海が広がっていく。かつての思い出が蘇る。ブレスはまるで三大魔術師大戦の時に、逃げ惑う人々と崩れる建物を再び見ているようで、心臓が一瞬震えた。

 しかし、彼はその時既に心の中で誓った。彼に知遇の恩があるフェラメルに、そしてこの地のすべての命にーー二度と、この地に血と傷跡を付けさせないと。

 確固たる信念に導かれているかのように、ブレスは再び両拳を握りしめ、全力で黒い霧の拘束から抜け出そうとした。同時に、馴染み深く、絶え間ない力が彼に応答している。


***


ブレスチキンスープ:……そろそろ黙ってもらうか。

ブレスチキンスープ(偽物):キサマ……!まだ力が残ってんのか?!ありえない……!!

ブレスチキンスープ:フン。ニセモン、お前は最初から間違ってんだ。俺がこの座についたのは、守りたいものを守るためだったんだ。ほかのことなんぞ、どうでもいいし、てめぇのような汚らわしくて愚かなやつに指図される筋合いはねぇ。

ブレスチキンスープ(偽物):…………ぐああああああーー!!!

ブレスチキンスープ:見たか?魔法の力も、呪いも、俺は止められない……俺はとっくに頂点に立ってんだ。そもそも全てを支配したいとも思っていないし、老いぼれたちの非難を気にすることもない。

ブレスチキンスープ(偽物):て、てめえ……っ!

ブレスチキンスープ(偽物):そんな……バカな!!!!

ブレスチキンスープ:じゃあな、バカモノ。


***


 …………


ベイクドアップル:うわあ!アアアアンタ、本物のブレス?それともニセモノの方?

ブレスチキンスープ:……どっちだと思うんだ、りんご頭?

ベイクドアップル:この嫌な呼び名……本物の方だ!やっと目覚めたのか!!アンタさっき、パタンと倒れてびくとも動かないから、びっくりしたよぉ。

ブレスチキンスープ:……俺、まだ死んでねぇから、泣くな。

リースリング:無事で良かった。

パンナコッタ:うん……みんな、心配、してた。

ハモン・イベリコ:よかったですね。みんなが注入した力が役に立ったみたいです。

ブレスチキンスープ:さっきの力、お前らだったのか……そうだ、あのニセモンとほかのやつらは?

ベイクドアップル:アレが急に黒い霧になってアンタの体から出てきちゃって、また本に潜り込もうとする時にイベリア様に封印されて、そしたら兵士たちにかかった魔法もすぐに消えたわ。

ハモン・イベリコ:あなたが倒したせいか、アレからはもう魔法の気配は感じないけど、やはり慎重に取り扱ったほうがいいと思いますよ。

ハモン・イベリコ:そういえば、古代遺跡から運ばれた魔法書をなぜあなたのところにあるんですか?確か私の書斎にあったはずなんですが……

ブレスチキンスープ:……いや、ほら、つまんねえから、書斎を通り過ぎた時、ついでに何冊かを持ってったんだ……

ハモン・イベリコ:ブレス……あなたはいつ魔法書に興味を持ったのです?最近王宮に流れている噂が原因ですか?

ブレスチキンスープ:へ?あのじじいたちの言う事なんて誰が気にするか!お、俺は暇だから読んでみようと思っただけだ。

ベイクドアップル:ツンデレのアンタの言うことは信用にならないわ。イベリア様、どんな噂だったの?

ハモン・イベリコ:代理国王は魔法ができない食霊なのにサヴォイアをきちんと治めているから、サヴォイアにはもう魔法や魔術師はいらないかもしれないって。

ベイクドアップル:あっ?あの貴族たち……まさか魔術師を皆殺しにしたいんじゃ!

リースリング:そこまではしないと思うけど……前のような大魔術師同士の争いで引き起こした災難がまた起こらないかを毎日心配するより、魔法をサヴォイアから徹底的に追い出す方が確実でしょう。

ベイクドアップルリースリング様!あの人たちを認めてどうする!魔法は、魔法は役に立つものなのよ!

ハモン・イベリコ:ええ、だから……ブレスは魔法書を研究して、貴族大臣たちに魔法の価値を証明しようとしているんじゃないでしょうか。

ベイクドアップル:え?そうなんだ……へへへ、ブレス、アンタにもそういう一面があるんだね〜

ブレスチキンスープ:クソガキ、その笑い方やめろ!チッ……あの連中、魔術師の力に嫉妬してるくせに、コントロールできないからって、みんな殺しちゃえっていう発想に我慢ならないだけだ……


―――

⋯⋯

・サヴォイアは魔法のおかげで今日まで来たんだ、好き勝手言われてたまるか。

・どっちもサヴォイアのためなら、競い合う必要はあるのか?!

・魔法といい、人の力といい、そもそも矛盾なんかしてねぇんだ。

―――


ブレスチキンスープ:俺もイベリアも自分の方法でサヴォイアを守ってんだ。クソジジイたちの出る幕じゃねぇ。


 イベリアは多くを言わなかったが、その透き通った青い瞳を通して、ブレスは自分と同じような堅い信念を見た。彼は思わず口角を上げ、安堵した爽快な笑い声を上げた。


ブレスチキンスープ:ずっとあれこれやって、まともに食事も取れなかったし、行くぞ、今日は俺の奢りだ!


ハモン・イベリコ√宝箱


感謝祭当日

宴会ホール


ハモン・イベリコリースリング、今回は本当にありがとうございました。

リースリング:いいえ、大したことはしてなかったので。幽冥図書館の館長の責任は、幽冥の書を守ることだけではない。それに……

リースリング:そもそも、強い魂は簡単には破られない。


 リースリングは言葉を緩め、口角はほのかに上にあがった。イベリアもまた、無自覚と賑やかな方へ目を向ける。青年は訪れる熱心な人々に囲まれ、顔にはめったに見られない戸惑った表情が浮かんでいた。


ハモン・イベリコ:ええ、私も信じていました。

ブレスチキンスープ:ーーおい、お前ら、なにここに隠れてんだ!

リースリング:……そっち、騒がしいので。

ハモン・イベリコ:私は気分転換に。

ブレスチキンスープ:チッ、何だそれ。こんな隅っこに何が面白い。お祭りならもっと飲んでおかねえと!

ブレスチキンスープ:てか、あのガキ二人、どっか行った?パンナコッタならまだしも、アップルもいねえのはめずらしいなあ。

パンナコッタ:……ここにいる。


 柔らかな声とともに、困った表情をした少年が現れた。彼の手にはすでに酔っ払っているベイクドアップルを介護している。


ベイクドアップル:ヒクっ……アタシはサヴォイアのぉ……一番賢い、天才美少女……ヒク!

ブレスチキンスープ:……どんだけ飲んでんだ、お前……

パンナコッタ:リンゴジュースを、飲んだだけだ……

ベイクドアップル:あれぇ……?ブレスだ!ヒクッ……大きくなったね……!

ブレスチキンスープ:…………

ベイクドアップル:えへへ……もぉぉ怖そうな顔して……やっぱり子供の時の方が……かわいい!ねえ……ほっぺ、つねらせて……!

ブレスチキンスープ:ちょっ……!てめえ、マジで来やがった……!

ハモン・イベリコ:(むにゅ)

ブレスチキンスープ:…………

リースリング:…………

パンナコッタ:…………気持ち、よかった?

ハモン・イベリコ:うん、肉が足りないですね。やはり子供の時の方が気持ちいいと思います……

ブレスチキンスープ:て、てめえ……

ベイクドアップル:ああーーヤダヤダ!イベリアもやったし!私もやりたい!やるもん!

ブレスチキンスープ:クソガキ……登んな!下りろ!パンナコッタ!なにお前までやろうとしてんだ!リースリング!このガキどもをなんとかしろ!

リースリング:すまないけど、私も同じく、他人を無理に屈服させるのは好きではないので。

ブレスチキンスープ:キサマ……!

ハモン・イベリコ:ふふ、今年の感謝祭は楽しいですね〜


ブレスチキンスープ√宝箱


感謝祭

王宮広場


 陽気な角笛のメロディーが雲の上で跳ね、晴風が甘い酒の芳醇な香りを隅々に運ぶ。


民衆甲:今年の祭りは賑やかだね、王宮の門が全部開いてるよ。

民衆乙:誰も公平に参加できる王宮の祭典って公告に書いてあったからな。

民衆甲:ははっ、せっかくだし、王宮の美食を思う存分楽しまないと!でも広場の方で人がいっぱい集まってるね?

民衆乙:知らないの?今日の祭典、国王陛下もいらっしゃるから、みんな見に行ってるんだよ!


***


住民A:陛下!新法令のおかげで、栽培園収穫で得られた収入はすべて農民の手に渡りました。こちらは我々の作った新作のワインです、ぜひご賞味ください!

住民B:国王陛下、北の水路を修繕していただいたおかげで、日照りや冠水の心配もなくなりました!

ブレスチキンスープ:いや……それ、俺一人がやったわけじゃねえから。

住民C:これはうちの養殖場で育った一番いいコブタです!最高のものを陛下に献上すると幸運が訪れるって聞いてますよ!

住民D:ほら!国王陛下、ちゃんとお若いしかっこいいじゃん!王宮から伝えてきた白い髪のジジイの画像と全然違うじゃねえか!

ブレスチキンスープ:…………


***


半日後

宴会ホール


ベイクドアップル:ぷはははは!ブレスが出かけたら、クリスマスツリーになって帰ってきた!

ブレスチキンスープ:……こんなことになるって知ってたら絶対出かけたりしなかった。結局、数量限定のビールも買えなかったしよ。

ベイクドアップル:今日は感謝祭だからね、みんなが熱くなるのもわかるよ~アンタ、そんな顔してないでもっと笑いなさいよ~

ブレスチキンスープ:そんな顔ってどんな顔だよ……!あれは……っ、もういい、言ってもお前にはわからん。

ベイクドアップル:フフフ、分からなくないもん!見てたよ~人混みを抜け出した時、尻尾が天を衝くほど上がってんじゃん、嬉しいくせにぃ~

ブレスチキンスープ:……

ベイクドアップル:そういえば、欲望の眼は一体アンタのどんな欲望を大きくしたんだ?世界征服したそうな人にも見えないし……

ブレスチキンスープ:……アレの考え方なんか知るか……

ベイクドアップル:じゃあ、アンタが呪いの本を開けた時、何を考えてるの?

ブレスチキンスープ:あっ?たしかあの時……


***


ブレスチキンスープ:……くっそ、この本もダメか……めんどくせー。俺はあんなバカな提案を認めるわけないが……なにかの風のうわさがイベリアの耳に入ったら、ヤツがまた頭を抱えるだろう……

ブレスチキンスープ:大魔術師の選抜だけで十分忙しいのに、皇室にまた何かあったらあいつ、腹背に敵じゃねぇか……

ブレスチキンスープ:クソじじいたちめ!脳みそは使わないわ、嫌がらせはするわ……大人しく俺の言う事を聞いてりゃいいだろうが!


***


ブレスチキンスープ:……

ベイクドアップル:ブレス?ちょっと、なにぼーっとしてんのよ?

ブレスチキンスープ:っ……子供の事に大人は口出しすんな……あっじゃなかった、大人の事情に子供は黙ってろ!

ベイクドアップル:プハッ……ほらやっぱり、子供になりたかったんでしょー!毎日遊べるし……イベリア様に抱っこしてもらえるしね!

ブレスチキンスープ:このっクソガキが……!

ベイクドアップル:わわわーー、助けて~国王様が子供をイジメてるよぉー!

ハモン・イベリコ:ブレス、さっき店を通り過ぎた時、あなたがずっと念じてた数量限定のビールを買ってきましたよ……ッ!


 ベイクドアップルの後ろに現れたイベリアがいきなりぶつかられ、グラスに入っていたオレンジ色の液体が精確に彼の真っ白なローブにこぼれた。

 こういうアクシデントはベイクドアップルにとって当然初めてではないので、彼女は非常に慣れた様子で知らないふりをし、一度も振り返らずにその場から逃げ出した。


ハモン・イベリコ:…………

ブレスチキンスープ:…………

ブレスチキンスープ:それはどういう表情だ?ぶつかったの、りんご頭で、俺じゃねえし……

ハモン・イベリコ:ふふ、そうですね……国王陛下はビールより、子供と戯れる方がお気に入りのようです。このお酒は私一人でいただくしかありませんね。

ブレスチキンスープ:バカ言え。ひとり酒はつまんねえだろうが、それにお前、そんなに飲めねえだろう。

ハモン・イベリコ:じゃあ、私の服……

ブレスチキンスープ:……俺が責任持って洗濯に出してもらえばいいだろう!ったく、魔法なら一瞬で解決できんのに……

ハモン・イベリコ:ふふ、まあまあ、冗談ですよ。ふたりでお酒を飲むのも久しぶりだったみたいですね……

ブレスチキンスープ:フェラメルたちの件以来だ……あんなこと、今日は言わないでおこう!さあ、今夜は酔っ払うまで飲むぞ!



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タイトル FOOD FANTASY フードファンタジー
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ゲーム概要 美食擬人化RPG物語+経営シミュレーションゲーム

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