シチリアカンノーロ・エピソード
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目次 (シチリアカンノーロ・エピソード)
シチリアカンノーロのエピソード
彼女の前では、あらゆる美しいもの色が褪せる。シチリアカンノーロもその事を承知の上で、自らの魅力を惜しげもなく振りまき、周囲の称賛を心地よく浴びている。ゆえに「見かけ倒し」と見らされが、これこそが真の姿を隠すための「奥の手」。
Ⅰ.巫術
「魔術?こんな荒唐のもの、私シチリア様を煩わせるとはね」
シタールはまず頷いて同意を示すと、続けて言った。
「先例がございますゆえ、御主様は本件を重大視なさっております。故にシチリア様、至急ご出発の準備をお願い致します」
「シチリア様、移動用に改良した新作ドレスをお仕立ていたしました。ご覧くださいませ」
反論しようとした私の言葉を遮るように、アンヤァが近づいてきた。些か不機嫌だった気分も、彼女が持つドレスを見た途端に吹き飛んだ。
「では着替えさせてちょうだい、アンヤァ。ご苦労ね~」
当主の指令は嫌だが、美しいドレスに罪はない。
それに…
行かなければ、「魔女」の容疑が私に降りかかるのだから。
クレメンス家現当主はかつて、自身の猜疑心だけで半年に及ぶ魔女狩りを敢行した。今回確たる証拠があると聞けば、あの臆病者が見過ごすはずもない。
シタールとアンヤァが焦って促すのも、その点を慮ってのことだろう。良い子達だわ。
鏡に映った新装の姿に満足し、思わず二人の頬を摘んだ。
「ではお家でゆっくり休んで、シチリア様の凱旋に備えるのよ」
「え?待ちなさ…」
ちょうど外出ようとしたところ、余光でシタールのエプロンが一部ほつれているのが目に入り、とても気になりました。
「これは許せない。でも心配いらないわ、シチリア様が帰りに新しい服を買ってあげるから」
シタールは礼儀正しくお辞儀したが、相変わらずの無表情。アンヤァは期待に胸を膨らませている様子。
…変わらないものね。
「では行ってきます~」
門外にはシタールが手配した馬車が待つ。車内外に飾られた花束とリボン、甘い香りが漂う――
クレメンス家特有の腐臭を隠すのに丁度良かった。
クレメンス家は皇都ミドガル建設に貢献した功績から、代々王室と密接な関係を保っている。
さらにグルイラオで数々の有力組織へ資金援助を行い、友好関係を築いてきた結果、その財力、権力、地位は言うまでもない。
金銭の匂いは嫌いじゃない。宝石も美酒も華服も、香水でさえ陶酔させる香りを放つ。だがクレメンス家には銅臭以上のもの――
血の匂いが染み付いている。
幸い近年のクレメンス家は膨張しすぎて、私のような末端成員は当主の召喚時のみ本家へ赴けば良い。でなければ…
気付けば目的地に到着していた。外部の馬車は屋敷内への進入を禁じられているため、門前で降りる。
「シチリア、久し振りだね」
「マンドワ…?」
まさか下車早々に彼と出会うとは。本家で見かけるのは当然だが、なぜ正門に?
まさか待ち伏せでは…
「随分待たされたよ」
私の疑問を看破したように、マンドワが笑みを浮かべた。
「何用かしら?」
「今回の魔術調査任務、僕たちが同組らしい」
「ええ…」
最悪だわ。この男の外套は毛羽立ちが酷く、毎回私のドレスに付着してアンヤァにクリーニングを強いる。
しかも本家次期当主の▫霊だ。
「では早速始めて早く終わらせましょう。魔術の痕跡はどこで発見されたの?」
「焦るなよ。実は魔術使用者の特定…既に確信があるんだ」
不意に動作を止め、狐のような笑顔を見つめる。
胸騒ぎが募る。
「誰ですの?」
「シチリア…」
「えっ?」
「ふふ、証拠固めが完了するまで君には内緒だ。今はまだ…守ってあげたいからね」
Ⅱ.魔女
「シチリア様、お待ちください…」
「近寄らないで!」
思わず叫んでしまった。表情も恐ろしかったのか、普段冷静なシタールですら硬直していた。
だが今は彼女を落ち着かせる余裕などない。
書房へ駆け込み、密室のスイッチが隠されているはずの本棚の前に立つ。隠し装置を回す必要などなく、掌から放たれた桃紫色の光が本棚裏の世界を開いた。
魔法書と薬草を釜に放り込み、指先から火種を灯して全てを燃やし尽くす。燃え盛る炎を前に拳を握り締め、震えるほどに怒りが込み上げる。
「あの野郎…マンドワ…」
「いつ私の正体を見抜いていたんだ?」
確かに本家では端役扱いされ、傲慢な愚か者と見做す者も少なくない。
しかし私の正体は、クレメンス家の大規模な魔女狩りを唯一生き延びた魔女なのだ。
「シチリア」
御侍様の声が柔らかな霧に包まれ、優しく過去へと引き戻される…
…
「本当にあの男と結婚するつもり?クレメンス家の人間よ?」
「シチリア」
御侍様は櫛を持った私の手を握り、そっと自分の前に引き寄せた。
「心配してくれるのは分かるわ。でも私は無防備で騙されやすい乙女じゃないのよ~」
悪戯っぽく瞬きしながら、貧相な筋肉を見せつけるように腕を曲げてみせる。
「ホール家最強の魔女だもの!」
「でも魔女は雨を呼び、人を救い、予言はできても、誰かを傷つけるには時間も手間もかかる!」
「誰が私を傷つけるというの?それにシチリアが傍にいてくれるでしょう?」
子供のように私の手を振りながら笑う。
「チャールズを愛する気持ちが分からないでしょ?いつか分かるわ。愛する人がどれほど大切か…他の全てを捨ててでも傍に行きたくなるほどに」
椅子から立ち上がり、私を踊りに誘う。
「でも彼も同じ気持ちですか?」
「もちろん!私たちは深く愛し合っているの!」
「御侍様、シチリア様、お時間です」
シタールが私たちを遮った。入口にはアンヤァと並んで立っている。
「行きましょう、シチリア。チャールズを待たせちゃだめよ」
幸福に満ちた毅然とした顔を見た瞬間、もう何を言っても無駄だと悟った。私は静かに馬車に乗り込んだ。
チャールズ個人に反感はない。彼はクレメンス家の中枢に属さぬ人物だ。御侍様の安全を脅かす要素など存在しない──そう自分に言い聞かせた。
無益な反対を止め、シタールやアンヤァと共に、私は御侍様の婚礼、妊娠、出産を目の当たりにした。生まれながらに化け物のような姿をしたあの子の成長を、三人で見守り続けた。
そして…
クレメンス現当主が魔女に殺される──
そんな噂が家中を駆け巡った。
「ホール家の魔女は私だけなのに?なぜ今更?」
「なぜのんきにしていられるのです?」
御侍様を呆然と見つめる。
「この噂は明らかに御侍様を狙ったものでは?」
「他に知る者はあなただけよ」
「ホール家はかつて名門でした。調べれば痕跡は残っています」
「なぜ私を標的に?」
「ここはクレメンス家です!」
ふと御侍様の瞳の輝きが薄れるのを見て気付いた。私は気が付く──
御侍様が甘いのではない。最悪の事態が現実となる可能性を承知の上で、ただ如何ともし難いのだと。
「御侍様…」
「シチリア、教えたことは覚えている?」
「はい…」
「絶対に忘れないでね」
笑顔の裏で震える手を握り締める。
彼女は淡々とほほえんだまま、穏やかに語りかけた。
「魔女は恐れられる存在だけど、あなたが言うように雨を呼び人を救える。ただ人を傷つけるには時間がかかる…」
「だからこそこの存在を汚名で消させたくない。シチリア…」
「あなたが私の後の最後の魔女になって」
私は2つの深呼吸をしてやっと彼女を見ることができた。
彼女の瞳には涙が滲みながらも、
必死に微笑みを保っている。
最初からクレメンス家に嫁がず、チャールズと出会わなければよい…
「チャールズとの出会いを後悔していないわ」
涙が頬を伝う。
「たとえ結末が悲しくても、彼との日々は私の宝物…これを失う方が辛い」
「シシリー、お前が同じような贈り物を受け取るまでは、決して魔女の身分を露わにするんじゃない。絶対に、決して死ぬんじゃないで」
私は御侍様に問う勇気もなかった──この結末を予見していたのか、それでもなお道を選んだのかと。
彼女の勇敢さに憧れながら、その勇敢さに震えていた。
その後半年、必死に耐え続けたが、遂にクレメンス家は御侍様の魔女の身分を見抜いた。
銃声が響いた日、クレメンスの私兵が邸宅に突入した。
御侍様は銃口を向けられても私を睨み「抵抗するな」と命じた。
チャールズは無知を主張したが、当主は魔女の血が子孫に継承されることを恐れ、彼と十歳にも満たない息子を共に殺害。
その光景に御侍様は理性を失い、家族に反撃を試みるが、▫霊たちに押さえつけられる。シタールとアンヤァが血の海に消え、最後に御侍様の体温が私の掌から消えた。
彼女のそばに近づき、胸を貫いた銃弾を握りしめた。
熱い。なのに、どうして御侍様の身体はこんなに冷たいのか…
「シチリアカンノーロ、調査の結果ホール家は▫霊が魔女身分を引き継ぐ伝統なし。貴様の能力は家族に役立つと認め、死罪を免除する。」
邸宅を離れる時、
あの日の血なまぐさいが私を離れなくなった。
Ⅲ.魔女狩り
「シチリア様?お怪我は…」
書房を出るとアンヤァの心配顔が目に入り、私は表情を整えて笑みを浮かべた。
「大丈夫よ、ただ御前たちへのプレゼントを忘れたのが残念で」
「え?それがお怒りの理由ですか?」
「そうじゃないわ、本家で嫌なことがあっただけ。もう済んだ話よ。晩餐の支度は?」
「お食事の時間でございますわ!」
アンヤァが裾を翻して食堂へ駆け出す。
腕を掐ねながら御侍の遺志を思い返す。
今のシタールとアンヤァを守るためなら──たとえ彼女達が既に…
クレメンス家との熾烈な戦いが待ち受けている。
翌日、魔術使用者の調査で再び本家へ。
マンドワが門前で待ち構えていた。
「新たな手掛かりは?」
「君がいない間に進展するわけないだろう?」
「…」
「ふふ、シチリアと共に調べるのが楽しいからね」
嫌な男だ…
外套の毛羽がドレスに付着するのを払い、狐のような顔も見ずに先を急ぐ。
「今日の予定は尋問?それとも捜索?」
「検査だ」
「は?」
「当主様が魔女の使った魔導書を入手された。魔女が触れれば反応するとのことで、これで使用者を特定する」
「…」
「顔色が悪いぞ、シチリア?」
「君の外套の毛にアレルギー反応が出ただけよ」
「それは失礼した」
マンドワの顔に反省の色は微塵もない。
無駄口を省くため彼を先導させ、沈黙のまま進む。
宴會場には見知らぬ▫霊が溢れていた。クレメンス家が新たに召喚したのだろう…
私の▫霊としての価値は、最早消えかかっているのかも知れない。
「揃ったようだ…諸君は家族の誇りであり、汚れなき存在であるが、人数増加に伴い穢れが混入する危険も…」
「故に本日は魔女の末裔を選別する。潔白ならば各位の地位は更に磐石となるだろう」
白髪の老執事が代弁していた。▫霊の能力検査を毎年担当する人物だ。当主の重視が窺える。
「では名を呼ばれた者から、この魔導書に触れていただく」
前方を見やると、分厚い革装丁の本が無造作に置かれている。特に特徴のない外見だ。
ホール家の古書は貧困地を巡った傷跡でボロボロだったと、御侍は語っていた。
しかしこの魔導書は新品同然。黒革が不自然に光沢を放っている…
黒魔術の影響か?
思考を巡らせるうちに検査は中盤へ。魔導書は微動だにせず、私の焦りを嘲笑うようだ…
「シチリアカンノーロ。前へ」
遂に私の番だ。
深く息を吸い込み、ゆっくりと魔導書へ近付く。
老執事を見据える。
「ただ触れるだけで良い?」
「然り」
掌が革表紙に触れた瞬間──
「合格」
安堵の息を漏らし、瞼を瞬かせて元の位置に戻る。
「凄いね、どうやったんだ?」
マンドワの囁きに心臓が暴れ出す。
「何の話?」
「君の御侍は魔女だったよね?」
「周知の事実よ」
「なら君は…」
「光った!魔導書が反応した!」
完璧なタイミングだ。
前方では人々が騒然とするも、すぐに鎮静化していく。
老執事が魔導書を指差す先には──
その魔導書は、何の変化もない。
Ⅳ.人心操縦
その後、魔導書に触れた者全てに老執事は騒ぎ立てた。「光った!魔導書が反応した!」
だが他の者には微動だにせず、狂人と化した老執事の姿しか見えなかった。
これで魔女は私の後に触れた▫霊全員──宴會場の三分の一に及ぶ者たちか、
さもなくば百年近く家門に仕えた老執事のどちらかとなった。
「そもそも魔導書が反応するなどという話が嘘かもしれませんわ」
「可能性は三つ。当主様がどれを選ぶかでしょう」
宴會場に重い沈黙が流れる。
予想外の展開に▫霊たちは監視下に置かれ、「判決」を待つ身となった。
不安を紛らわせるように集まる者たちの瞳に、自らの命運への怯えが滲んでいた。
だが当主が三分の一もの▫霊を処分するなど不可能だ。
魔女狩りは延命のためなら、その数の▫霊を失うのは即ち自殺行為と言っていい。
あの老執事は…当主の信頼度を賭けるしかない。
だって、他の対策もない。
人心操縦の力は一度に一人にしか及ばない。
魔導書の真偽が分からぬ中、私は老執事の幻覚を操り「全員に反応あり」と錯覚させた。
当主は魔女の存在と魔導書の反応を信じ切っている。何も掴めなければ諦めないでしょう。
ならば魔導書を疑い、自らの判断力さえ疑わせればいい。
魔女狩りの獲物になりたくないなら、解決法は先回りして猟人になることではなく、
この愚かな魔女狩りを徹底的に破壊することだ。
「第四の可能性がある」
マンドワが不意に口を挟んだ。
「異変はシチリアが触れた後に起きた。つまり君が魔女だ」
周囲の▫霊が一斉に距離を取る。
落ち着け、シチリア。我々は皆、今や容疑者です。彼は審判じゃない、落ち着け。
「変化するのは書だと宣言したはず。もし魔女にそんな力があるなら、予言通り当主を殺せたはずよ」
「人心を操る能力があれば、他人を変異させられるのでは?」
マンドワは突然口を押さえて芝居がかった驚きを見せる。
「忘れてた、私も人心操縦の能力者だった」
「家族で最もありふれた能力よ。珍しく間抜けなこと言うわね」
「皆疲れたようだ。早く決断が下るといいが…」
危機は去った。
私は何事もなかったかのように振る舞い、高鳴る心臓と乱れた呼吸を落ち着かせようと努めた。マンドワと視線が交差する。
あいつは一体…
「言っただろう。君を守りたいと」
「は?一体何を言っている…」
「今日の検査は君への試練でもあった」
耳元で謎めいた言葉を囁き続ける。
「君の能力は期待通りだが…優しすぎて決断を鈍らせる」
「覚悟を固める手伝いをしようか?」
苛立ちながら彼を突き放す。
「能力を使うなら、この場で正気を失わせるわよ」
「シチリアならやらないと分かってる」
しつこく近付いてくる。
「中途半端だから危険に晒される。今は嫌疑を晴らしてやったのに」
「次は当主を殺して復讐を手伝おうか?偉大なる魔女様?」
Ⅴ.シチリアカンノーロ
クレメンス家と縁がなければ、シチリアカンノーロは御侍と共に世界を駆け巡っていただろう。
彼女達は魔女として、砂漠に驟雨を降らせ、陰鬱な谷に陽光を呼び戻す、古びた魔導書を救済の軌跡で埋め尽くしながら。
クレメンス家のせいで、シチリアの美しさと誇りは牢獄の装飾と化した。
豪奢な屋敷で警戒と謀略に明け暮れる日々。
魔女の身分がクレメンス家で鼠同然に扱われる現実に、彼女は深い嫌悪を抱いていた。
しかし選択肢など最初からなかった。
シタールとアンヤァを守るため──彼女たちが既に亡き身であっても、記憶の中で輝き続ける勇気と優しさがシチリアを縛りつける。
故に彼女たちこそが、生きる資格を持つ。
そして御侍は…
御侍を貫いた銃弾を握り締める。最も大切な人を殺されたものは、今や彼女の最強の武器となった。
マンドワ側で密かに何が行われているのかは不明ですが、いずれにせよクレメンス家は天地がひっくりかえる変化になる。
後継者の急死で当主が病床に臥せり、▫霊たちが妙に遠方へ派遣される隙に、マンドワはシチリアを無防備な病室へ導いた。
クレメンス当主は魔女の手で最期を迎える。
「だから後継者決定前に仕留めろ、シチリア」
マンドワの声は鬼魅のように、シチリアは彼に惑わされることはないことを知っていたが、それでも断固として右手を挙げた。
これが因果応報だ。
御侍の苦痛を千倍に濃縮するかの如く、銃弾が当主の心臓を貫く。遅く、そして確実に。
銃弾の血痕が再び温もりを帯び、御侍の幻影が眼前に浮かぶ。
だが彼女は戻らない。
こんな穢れた形での復活など、御侍が望むはずがない。
言葉にできない、耐え難い虚無と喪失感がシチリアを蝕む。
パチパチパチ。
不協和音のような拍手が響く
マンドワの笑みが、吐き気を催させる。
「おめでとう、偉大なる魔女様。願いが叶ったね」
「『偉大』だなんて。そもそもその予言の魔女とは一体誰?」
「すべては当主の疑心であると解釈することもできる。」
シチリアは疑念を抱きつつも、これ以上悩んでいても仕方がないと考えた。
「では貴様は?」
シチリアの眼光が刃のように研ぎ澄まされる。
「なぜ手を貸した?」
「君の誇り高き姿が、美しかったからね」
シチリアは一瞬戸惑い、振り返って立ち去ろうとした。
マンドワが慌てて追いかける。
「今後どうするつもり?」
「ない」
「それはちょうどいいですね。美食家協会へ同行しよう」
「変な名前だ…何をする所?」
「心配無用、私が守るよシチリア」
足が自然に止まる。
彼女は、この言葉には聞き覚えがあった。マンドワは彼女に何度も言っていたし、昔チャールズも御侍に何度も言っていたのだ。
全て嘘だ。永遠の守護など存在しない。
分かっている。だが──
頬の熱を隠すため、速足で廊下を進む。
「どうだい?同行するか?」
「共闘したが、信用はしていない。いざとなれば貴様を犠牲にするわ」
「どうぞご自由に」
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