【HoK Wiki】ヒーローデータ:蒙恬(モウテン)
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【掲載日:2026年1月22日(木)】
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Honor of Kingsに登場する蒙恬(モウテン)についてのデータを載せています。

目次 (蒙恬)
ヒーローデータ
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|---|
蒙恬(モウテン)
入手方法
| ステラ | 13888 |
|---|---|
| バウチャー | 588 |
プロフィール
| 種族 | 身長 |
|---|---|
| 人類 | 190cm |
| 系統 | 本拠地 |
| 武道 | 玄雍城 |
| 所属 | 身分 |
| 玄雍 | 玄雍の護国大将軍 |
| 好きなもの | 嫌いなもの |
| - | - |
| 特技 | 日本語CV |
| - | (未実装) |
| ストーリー | |
| 蒙恬は玄雍(げんよう)の大将軍であり、名将の家系に生まれた。民の苦難に心を痛め、玄雍を再興することを生涯の志としていた。しかし、旧玄雍の体制は混乱を極め、その志は果たせずにいた。やがて「血族の災い」が発生し、君主がみずから政を執るようになったとき、蒙恬はついに規律と秩序を推し進め、軍陣の力を最大限に発揮できるようになった。彼は規律と秩序を信奉し、ただそれだけが国を守り、民を安んずる唯一の道であると信じている。 | |
バックストーリー(翻訳済み)
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| 簡略バージョン |
|---|
| 蒙恬は玄雍の大将軍であり、名将の家系に生まれた。 民の苦難に心を痛め、玄雍を再興することを生涯の志としていた。 しかし、旧玄雍の体制は混乱を極め、その志は果たせずにいた。 やがて「血族の災い」が発生し、君主がみずから政を執るようになったとき、蒙恬はついに規律と秩序を推し進め、軍陣の力を最大限に発揮できるようになった。 彼は規律と秩序を信奉し、ただそれだけが国を守り、民を安んずる唯一の道であると信じている。 |
| 詳細バージョン① |
| かつての玄雍は物資に乏しく、戦乱が絶えず、民の暮らしは極めて困窮していた。 名将の家系に生まれた蒙恬は、民の苦しみに深く心を痛め、いつの日か国を立て直し、人々を苦難から救い出すことを志していた。 彼は幼少のころから武道に励み、兵法を読み漁り、己の志を一刻も早く果たそうと努めた。 その軍略の才は群を抜き、若くしてすでに一流の将軍として名を馳せるようになった。 だが旧玄雍の体制は混乱を極め、蒙恬の指揮の才も存分に発揮することができず、将兵は各々の力で戦うばかりで、国の乱れは収まらなかった。蒙恬の人生の志は、なおも遠い理想にすぎなかった。 やがて「血族の災い」が勃発した。蒙恬は民を守るために毅然として軍を率い、最前線へと赴いた。 だが旧体制のもとでは、統制なき軍勢が敵を防ぐ力など持たず、玄雍は次々と敗北を重ね、滅亡の淵に立たされた。 そのとき蒙恬は、初めて悟った──玄雍には、鉄のごとき規律と秩序が必要だと。 幸いにもこのとき、嬴政が稷下(しょくか/しょっか)での修学を終えて帰国し、ミーユエが政を執ることとなった。 君主が親政を開始し、新たな律法と体制が整うと、蒙恬はついに自らの信じる「規律と秩序」を推し進めることができるようになった。 彼は誰にでも扱える矛と盾を設計し、どんな民でも手に取ればすぐ戦えるようにした。 彼は最も厳格で実効性ある軍律を定め、将兵の連携を促した。 さらに、自ら考案した独自の軍陣──「広厦(こうか)」を創り上げた。 戦場が一触即発の緊張に包まれる中、蒙恬はついにその軍陣の力を完全に発揮し、血族を撃破。玄雍を滅亡の淵から救い出した。 この勝利と守護の責務が、彼の信念をより強固なものにした。 蒙恬は確信する──民を護れるのは、規律と秩序だけだと。 のちに血族は再び侵攻を始め、他国を蹂躙し、多くの難民が玄雍へと押し寄せた。 かつて見た同じ悲しみに心を揺さぶられ、蒙恬は彼らを庇護する道を選んだ。 血族の災禍は玄雍のみならず、天下全体を蝕むもの。 蒙恬は決意する──血族の根を断ち、天下の民を再び苦しみから解き放つと。 そして今、彼は南荒(なんこう)へと向かっている。 そこには、また新たな脅威が芽吹き始めているのだ。 ※グローバルサーバーでは「嬴政(エイセイ)」が「カルラ」として実装されている関係上、一部ヒーローのバックストーリーや相関図などに齟齬が生じている場合がある。本Wikiでは、中国サーバーの情報を基に、独自の解釈を加えた上で掲載しているため、その点にご留意いただきたい。 |
| 詳細バージョン②「長き夜を独り歩む」 |
| 長き夜は果てなく、ただ独り歩むのみ──前路は茫漠として、あらゆる者が迷いの中にあった。 三月。 血族の災いが勃発。玄雍東部の辺境都市が急を告げる。周辺の城々は報を受け、急ぎ援軍を発したが、到着したときにはすでに玄雍の城は失われていた。援軍はそのまま血族と交戦し、全軍壊滅。 四月。 援軍派出により守備を失った三つの都市が相次いで陥落、ただ緊急の軍報だけがかろうじて伝えられた。 六月。 玄雍は軍報を受けたが、朝廷では主将の任命をめぐって百官が争い、軍議は遅延し、さらにいくつもの城が失われた。 七月。 北方の前線を巡察していた蒙恬は北境の兵を集結させ、急ぎ東境へ援護に向かった。血族の戦力が未知である以上、彼は「固城守勢」──すなわち、城を固めて守り抜く方針を取り、その判断が功を奏して敵の進軍を鈍らせた。 九月。 ようやく百官の利権争いが終結し、主将が任命された。蒙恬には朝廷より軍令が下り、無条件に主将の指揮に従うよう命じられた。 翌年二月。 主将は周囲の兵力を集めて血族と正面衝突を図る。蒙恬は必死に諫めたが聞き入れられず、蒙(もう)家軍も玄雍大軍に組み込まれることとなった。 四月。 蒙恬の強い進言により、周囲の民は事前に避難させられ、血族が来るその瞬間を待っていた。 やがて戦火は広がり、玄雍の大軍は血族の包囲網に完全に呑み込まれた。蒙恬は悟る──この戦はまたしても玄雍の敗北だと。数か月の間に、玄雍は十近い都市を失い、無数の民が捕らえられ、無数の将兵が命を落とした。 主将の命令で、残存する玄雍軍は撤退を開始。夕陽の下、砂塵が馬蹄に巻き上げられ、視界を覆う。ぼやける景色の中、蒙恬は無数の叫びを聞いたような気がした。振り返れば、また一つの城が落ちてゆく。彼の胸には言いようのない重みがのしかかる。 幾千の軍が失われ、幾万の命が潰えたこの痛みの中で、蒙恬は明確に理解した。玄雍は今こそ「破して立つ」──壊さねば立てぬ時にある。現状を覆すには、徹底した変革が必要だと。 夜。孤月高く、蒙恬は一人、城壁の上に立っていた。彼は静かに、そして長く、前方の闇を見つめ続ける。そこは、かつての故城が陥落した方角であった。 思い返すは往年の光景──玄雍の辺境を駆け抜け、蒙家軍を率いて争いを鎮めた日々。あの頃、彼らの尽力により国境は安定し、民も安寧を得た。将兵は民の笑顔に胸を熱くし、玄雍には久しくなかった希望が満ちていた。蒙恬は信じていた──すべてが良くなっていくのだと。混乱の玄雍にも、ようやく安寧の時が訪れるのだと。 しかし、突如として降りかかった血族の災いが、その希望を無残にも打ち砕いた。すべては泡沫のように消え去り、あの幸福は、もはや遠い過去の幻に過ぎない。 民は捕らえられ、将兵は倒れ、玄雍の領土は無限に削られ、今や残る城は十にも満たない。 今日、彼は主将に直訴した──軍に規律と秩序を導入し、将兵の連携を高めて血族を打ち破る策を実行すべきだと。だが主将は蒙恬が権勢を奪うのではないかと疑い、提案を拒んだ。 二人の会談は不快な終わりを迎え、蒙恬はただ、自らの手が届く範囲で玄雍を守るしかなかった。 長夜漫漫。蒙恬はただ一人歩み続ける。前路は果てしない闇。 だがたとえこの夜がどれほど長くとも、どれほど深くとも、蒙恬は止まらない──光明に至るその時まで、ただまっすぐに。 |
| 詳細バージョン③「東の方、白みゆく」 |
| 「報告──!」 宮中より急使が駆け込み、新たな勅命を携えてきたとき、蒙恬は悟った──己が待ち続けた転機が、ついに訪れたのだと。 君主・嬴政が親政を開始し、新たな律法と体制が施行された。蒙恬は新たな主将に任ぜられ、全面的な指揮権を与えられた。 朝堂の百官も嬴政の威令のもとに動き、国を挙げて蒙恬の軍政改革を支援する。 蒙恬はまず、蒙家軍を基盤として玄雍軍全体に「規律と秩序」を徹底させることから始めた。 「令あれば行い、禁あれば止まる、怠ることなかれ」 「鼓の音を聞けば進み、金の音を聞けば退け──」 整然と並ぶ兵の列の前、蒙恬は厳粛に立ち、鋭い眼差しで将兵を見渡した。彼は玄雍史上最も厳密な訓練を始めたのである。 起床の刻限、演練の時、食事の順序、休息の合図──すべてに規則を設けた。 鼓の数で命を伝え、旗の動きで指令を示す。彼はさらに軍陣を整備し、「方円の陣」を守りの基礎とし、「雁行の陣」を攻撃の主軸とした。 そこに幾つもの変化陣を組み合わせ、全軍が一体として戦う術を完成させた。 蒙恬の築いた軍律と軍陣は、一つひとつが将兵の連携を強め、やがて玄雍軍は「個の戦」から「群の戦」へと生まれ変わっていった。 だがその間にも、血族の攻勢は止むことがなかった。蒙恬は兵力を温存するため、戦略的撤退を繰り返した。 季節は巡り、再び冬の訪れを迎える。今や玄雍に残る城は、わずか二つ。 空から雪が舞い降り、白銀の中で、蒙恬はいつも通り兵を率いて訓練を指揮していた。雪は肩を覆い、鎧に積もる。だが誰一人として目を逸らさない。彼らは無言のうちに、その身をもって誓っていた──玄雍を護るためならば、命など惜しまぬと。 それは玄雍建国以来、最も厳しい冬であり、また最も心が一つになった冬でもあった。老若男女、兵も民も、皆が己の力を尽くし、国を守ろうとしていた。蒙恬は知っている──来る春、この城に決戦が訪れることを。 その戦いに敗れれば、玄雍は完全に滅びるのだ。 やがて春が来て、天地に再び命が芽吹くころ。 城門の前には、黒々とした血族の大軍が押し寄せていた。蒙恬は城壁の頂に立ち、無言のまま眼下を見下ろす。双方の沈黙を破り、血族の軍が突撃を開始した。 蒙恬は冷静に号令を下し、守備兵たちは石を落とし、弓を放ち、火油を投げ、互いの連携によって敵を押し返した。 兵たちは歯を食いしばり、ただ一心に門を守った。玄雍の兵に宿るのは恐れではない。燃える意志と、背に負う民の命だった。 どれほどの犠牲を払おうとも、この門だけは決して開かぬと、誰もが信じていた。 やがて太陽は西に傾き、血族はなおも城を落とせず、戦略を転じて多方面からの突入を試みる。 しかしその動きを、蒙恬はすでに読んでいた。彼は号令を下し、事前に潜ませていた伏兵が一斉に飛び出す。自らも軍を率い、城門を開いて逆襲を開始した。 彼が求めるのは、一時の守りではない──完全なる「勝利」だ。 血族は個々の力では強いが、連携を欠く。その弱点を突くため、蒙恬はあえて正面突破を仕掛けた。 鼓が鳴り響き、旗が翻り、雄叫びが戦場を震わせた。蒙恬率いる玄雍軍は、長く鍛えた陣形を整え、怒涛のごとく血族軍へ突進する。 広大な大地に、雄々しき雁の影が舞う。規律と秩序の力が、この地に脈打つ。蒙恬とその将兵は、一条の長槍のごとく、止まることなく血族軍の核心へと突き刺さった。 「突撃せよ!」──黄砂が空を覆い、重甲がきらめく。雄々しき心が炎のように燃え上がる。すべての兵が覚悟を決め、死を恐れず突き進む。蒙恬は馬を駆り、先陣に立つ。その姿は烈火のごとく、声は雷のように響いた。彼の視線の先には、闇を破る光明があった。 秩序と規律を信じる将軍・蒙恬。彼こそがこの戦を制し、玄雍を救う者となる。長き夜を独り歩んだ者のもとに、いま多くの者が集う。 星火はついに連なり、東方、白み始める──。 ※グローバルサーバーでは「嬴政(エイセイ)」が「カルラ」として実装されている関係上、一部ヒーローのバックストーリーや相関図などに齟齬が生じている場合がある。本Wikiでは、中国サーバーの情報を基に、独自の解釈を加えた上で掲載しているため、その点にご留意いただきたい。 |
| 詳細バージョン④「劣子、追いがたし」 |
| ・その1 朝議の夜が明け、蒙恬が皇宮から将軍府へと戻ったのは、すでに翌朝のことであった。破暁の光が屋根の露を貫き、将軍府の門扉を黄金に照らす。扁額に刻まれた「護国大将軍」の文字が、朝日を受けて眩しく輝いた。 この時、まだ下僕たちは持ち場についておらず、前を歩く蒙恬が自らの手で将軍府の大門を押し開けた。 だがその先に広がっていたのは、見慣れた清楚な庭ではなかった。そこにあったのは、荒れ果てた乱雑の光景であった。 落葉と折れ枝が地を覆い、盆栽や植木は傾き、瓦礫のように散乱している。 随行していた親衛の一人が慌てて召使いを呼びに行こうとしたが、蒙恬は無言で手を上げて制止した。表情を変えぬまま、静かに屋敷の奥──蒙牙の部屋へと向かう。 親衛は察した。蒙大将軍の屋敷で、ここまで好き勝手に暴れられる者など、一人しかいない──あの短気で反抗的な若殿・蒙牙をおいて他にいようはずもない。 やがて彼らが辿り着いた部屋の中は、さらに酷い有様であった。壁際に立てかけられていた書棚は真っ二つに折れ、兵書や紙片、筆が冷たい風に舞っている。部屋の隅には、爆ぜたような焦げ跡が黒々と残り、あたりには火薬の匂いが漂っていた。 ただ一つ、整然と畳まれた布団だけが、そこにあった。だが、肝心の主の姿はどこにも見えない。 蒙恬は部屋の片隅に転がる、一冊の破れた書物を手に取った。それは「蒙氏家規」──代々蒙家に伝わる家訓書だった。 ページは裂かれ、墨は滲み、読み取れるのはわずか数行。 その表情に微かな怒気が走る。やがて、低く、しかし揺るぎのない声が響いた。 「──探せ」 鋭い眼差しが破れた家訓に落ちる。次の瞬間、蒙恬の命が下る。 「蒙牙を、必ず見つけ出せ」 ・その2 将軍府の後庭では、管家が慌ただしく召使いたちを指揮し、蒙牙の部屋の片づけに追われていた。 一方その頃、前庭の回廊には、蒙恬が一人静かに佇んでいた。足元には、無数の紙が並べられている。それらはすべて、蒙牙の部屋から回収されたものだった。破れ、焦げ、文字の欠けた紙の断片を拾い集め、蒙恬はその上に筆を取った。 「将たる者は、命を受けて家を忘れ、敵に臨んで身を忘る──」 筆が走るたび、墨が地を這い、文字が回廊を埋めていく。彼が書くのはすべて兵書の一節。 一炷香の間に、広い庭の四隅が彼の筆跡で覆われた。 「国を護り、民を佑くるは、将たる者の大いなる任なり──」 その一節に至ったところで、筆が止まる。蒙恬の手が微かに震え、記憶がふと蘇った。彼は思い出していた──初めてこの言葉を蒙牙に語った日のことを。 血族の乱がようやく平定され、五年ぶりに帰還を果たしたあの日。職務の報告を終えるや否や、蒙恬は馬を走らせ、将軍府へと戻った。 すでに知らせを受けていた召使いが、幼い蒙牙を連れ、門の前で父の帰りを待っていた。遠くからでもわかるほど、小さな影が石獅子の傍らで何度も背伸びし、父の姿を探していた。 その目には、期待の光が満ちていた。年月を経た今も、その光景は蒙恬の胸に深く焼きついている。 久方ぶりの再会を埋め合わせようと、蒙恬は帰宅するとすぐに多くのおもちゃを作り、息子と共に遊んだ。 蒙牙は心から喜び、そして誇りに思った。皆が語る「玄雍を救った英雄」──その英雄が、自分の父なのだ。自らの手でおもちゃを作り、共に遊んでくれる父を、彼は心から尊敬していた。 だが、その幸せは長くは続かなかった。数日も経たぬうちに前線から再び軍報が届き、蒙恬は出征の準備を始めた。 「どうして、もう行くの?」 幼い蒙牙の瞳には涙が溜まり、問う声が震えた。 蒙恬はその問いに、ただ静かに答えた。 「『国を護り、民を佑くるは、将たる者の大いなる任なり』──国と民のためにも、行かねばならないのだ」 その言葉を思い出すたび、胸の奥が締めつけられる。回廊の外から吹き込む風が、紙片を揺らす。その音に現を抜かれていた蒙恬を、親衛の声が呼び戻した。 「将軍、若様の行き先をすべて捜索いたしましたが、いずれの場所にもおりません……。ただ、馬房から報告が──後院の戦馬が一頭、姿を消したとのこと。恐らくは……若様が出城したものと思われます」 「行き先は?」 「北へ向かったとの目撃情報が」 「追え」 蒙恬は筆を置き、視線を北へ向けた。その顔に迷いはない。衣の裾を翻し、回廊を抜けて駆け出す。烈しい決意を宿したまま、蒙恬は馬を駆り、嵐のように玄雍を後にした。 ・その3 玄雍の民が見たのは、一頭の堂々たる軍馬が将軍府から飛び出す光景であった。 誰もが思った──また何か緊急の軍報が入ったのだろうと。だが、馬上の人物を見て驚いた。そこにいたのは、ほかならぬ「護国大将軍」こと、蒙恬本人であったのだから。 玄雍には久しく大戦がない。人々の脳裏をよぎるのは不安よりもむしろ誇りであった。英雄・蒙恬が馬を駆るということは、玄雍のため、また新たな敵を討つためなのだと。 血族の災いを終わらせたこの大将軍こそ、国を護る象徴。民は信じていた──蒙恬さえいれば、玄雍を脅かす者など存在しない。 蒙恬は北門を抜け、自ら築き整備した官道を疾走した。伝令が持ち帰った情報では、蒙牙は確かに北へ向かったらしい。だが北地は広く、行き先までは掴めない。蒙恬は親衛を幾隊にも分け、道々で情報を集めるよう命じた。 その道中、彼の脳裏には、これまでの父子の年月が幾度も蘇った。いったい、いつからすれ違い始めたのだろうか。 最初の頃の蒙牙は、課題をきちんとこなし、帰宅すれば嬉しそうに自らの勉学の成果を父に見せた。 ある日、提出物に混じって、彼が手ずから作った小さな機械のおもちゃが添えられていた。蒙恬はその時、厳しく諭した。 「──くだらんおもちゃごときに心を奪われるな」 だが翌年、蒙牙はさらに精巧なおもちゃを持ってきた。勉学よりも、創造の楽しみに没頭していた。蒙恬は息子の才を認めつつも、迷わぬようにと、さらに厳しく指導した。 その甲斐あって、蒙牙の兵法と武技は確実に上達したが、彼は機械術への情熱を失わなかった。むしろ、深くのめり込んでいった。 その頃、玄雍は安定を取り戻し、蒙恬も久方ぶりに戦地を離れ、家に留まることができた。彼は思った──模範を示してこそ、息子も真の将軍になれるのだと。 だが、その努力は裏目に出た。父子の距離は次第に開き、やがて初めて蒙牙が父に反抗する日が来た。結局、最後には蒙牙が折れたが、その瞳の奥には不満の炎が残っていた。 馬を走らせながら、蒙恬は自問する。あのとき、もう少しだけ穏やかに導けたのではないかと。だが、戦場を知る者として、彼には迷いは許されなかった。戦に出る将軍にとって、生と死は紙一重。息子を叱咤したのも、彼に「生き抜く術」を授けたかったからだ。 そしていずれは──玄雍そのものを託すために。 だが、現実は違った。将軍府に残された少年は、誰からも縛られぬまま育ち、自由に、奔放に、そして反抗的に成長していった。蒙恬が不在の歳月が、蒙牙を変えたのだ。今や彼は、己が信ずる道を突き進む若き暴風。 その果てが、父を捨てての「家出」であるとは……。蒙恬の胸に、怒りと寂寥が入り混じる。 やがて、遠く稷下へと続く街道にたどり着いたとき、伝令が報せを持って戻ってきた。 「将軍、稷下の学生たちの口から、若様の名を確認いたしました!」 蒙恬は静かに頷き、馬から降りる。親衛にはここで待機を命じ、自らは一人、稷下の門へと歩みを進めた。 その背に吹く風は冷たく、しかし心は不思議なほど穏やかであった。父として、将軍として、これが最後の「戦」になるかもしれぬと、彼は悟っていた。 ・その4 稷下の学府、その中央にある諸院の執務楼。孔子と墨子が並んで座し、目の前には蒙恬の姿があった。二人の学長は彼の訪問を歓迎しつつも、事情を問うまでもなく理解していた──稷下を騒がせている新入生の問題児が、玄雍の大将軍の息子であることを。 「子を連れ帰るつもりか?」 孔子が尋ねる。 「その判断は、あなたに委ねよう」 墨子が続けた。彼らは干渉する意思を持たず、ただ蒙恬の決断を待った。 しかし、蒙恬は意外な言葉を口にした。 「……連れ帰らぬ」 墨子は目を見開いた。稷下まで追ってきた父が、息子を前にして手を離すなど、誰が予想できただろう。だが孔子は、わずかに微笑んだ──まるで、初めから答えを知っていたかのように。 蒙恬は静かに語る。 「本来であれば、蒙牙の性をもう少し矯め、然るのちにここへ送るつもりであった。だが、己の足でここに来たというのなら、それもまた天命だろう」 「稷下学院は天下第一の学府。己の才を磨く場として、これ以上の場所はない」 孔子は頷き、墨子は口を開いた。 「承知した。ただし──蒙牙の学費は、他の学生の数倍とする」 「……なぜだ?」 蒙恬の眉がわずかに動く。 墨子は溜息混じりに答えた。 「たった半日で、彼はすでに数か所の施設を破壊した。あの性格からして、これから先も修繕費はかかるだろう。これは賠償としての学費だ」 蒙恬は短く息を吐き、ふと遠い記憶を思い出した──将軍府の中で、手製の機関銃を振り回し、庭を焦がしたあの少年の姿を。 そして小さく頷き、低く言った。 「……わかった。いくら壊そうと、すべて弁償しよう」 その言葉に、孔子は豪快に笑い出した。 「やはり、親子だな!」 そして筆を取り、即座に蒙牙の籍を「稷下学院機械部」へと記した。墨子も笑みを浮かべる。 「ならば、我らの手でしっかり鍛えよう。あの子の才は確かだ。道を誤らぬように導くのが我らの役目」 去り際、蒙恬は二人に深く一礼した。 「お願いがある。今日のこと──特に、学費の件は、蒙牙には知らせないでほしい」 孔子が眉を上げる。 「理由を聞こうか?」 「あの子には、己の才を誇れる場が必要だ。学費が免除されたと思えば、それが彼の自信になる……。せめて、そのくらいの夢は見せてやりたい」 孔子は深く頷き、筆を置いた。 「よかろう。だが、いずれ彼自身の手でそれを知る日が来る。その時、おぬしの教えが試されることになるだろう」 蒙恬は静かに笑った。 「それでよい。あの子が自ら掴むならば、何も言うまい」 言葉少なに別れの礼を交わすと、蒙恬は背を向けた。稷下の庭を吹き抜ける春風が、彼の鎧の裾を軽く揺らす。陽光の中、その姿はかつての戦場の将軍ではなく、一人の父としての背だった。 そしてその背には、確かな安堵と誇りが宿っていた。 ・余章 出立の刻。蒙恬は稷下の門前で馬を引き、しばし振り返った。春の陽は柔らかく、学府の高楼が金色に染まっている。そこに息子がいる──そう思うだけで、胸の奥が少しだけ軽くなった。 脳裏に浮かぶのは、幼き日の蒙牙の姿。 「これは没収だ」 そう言って彼の手から機械のおもちゃを取り上げたあの日、あの子は唇をかみしめ、涙をこらえていた。小さな拳を握りしめて、悔しそうに睨んできたその目を、彼は決して忘れなかった。 「……お前の才は、叱っても消えぬ」 誰に聞かせるでもなく、呟いたその声は風に溶けた。蒙恬は軽く手綱を引き、馬の首を南へと向ける。稷下の学堂の塔が、次第に遠ざかる。 朝陽の光が、甲冑の肩で閃いた。彼は最後に一度だけ振り返り、息子のいる方角へと深く頭を垂れる。 「国を護り、民を佑くるは、将たる者の大いなる任なり──」 それは彼の信念であり、また、息子に託した願いでもあった。いつの日か、あの少年が己の才を以て玄雍を支える日が来ることを願いながら。 風が草を渡り、砂を舞い上げる。 蒙恬は馬に拍車をかけ、烈風のごとく駆け出した。稷下の門前に残ったのは、朝露と、彼の去り際に揺れる旗の影だけだった。 その背は、まっすぐに南へと消えていった──光へと続く道を、迷いなき将軍の歩む道を。 |
他のヒーローとの関係
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| ヒーロー名 | 解説 |
|---|---|
![]() 蒙牙 | ・息子 気性が激しく、反骨心に満ちた息子。 常識に縛られず、己の信じる道を突き進もうとするその姿は、父の理念と何度も衝突を生んだ。 |
![]() 嬴政 | ・主君 幼少のころから見守ってきた王家の若君。 王としての胆力と責任感を備え、何よりも、歴代の君主にはなかった「民への深き慈しみ」を持っている。 ※グローバルサーバーでは「嬴政(エイセイ)」が「カルラ」として実装されている関係上、一部ヒーローのバックストーリーや相関図などに齟齬が生じている場合がある。本Wikiでは、中国サーバーの情報を基に、独自の解釈を加えた上で掲載しているため、その点にご留意いただきたい。 |
![]() 白起 | ・戦友 血族への偏見を覆した人物。 血族の災いにおける彼の行動と犠牲は、蒙恬の胸に深い敬意を刻んだ。 |
![]() 鏡 | ・戦友 将来有望な、陰曲(いんきょく)の若き俊英。 その自律と冷静さに、蒙恬はかつての自分を重ね、深い敬意と期待を抱いている。 |
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