「燈灯を潤す者」デイヴィッド_include

主人公 「あ、デイヴィッドさん！お久しぶりです。」

デイヴィッド「ああ、久しぶりだな。あの時は、いろいろと力を貸してくれて助かった。

　　　　　　もし何か困ったことがあれば、今度は私に協力させてほしい。」

主人公 「それはありがたいですけど……、デイヴィッドさんは仕事が忙しいんじゃ……、」

デイヴィッド「心配は無用だ。それに……、あれから少し、仕事の量を減らしたんだ。」

主人公 「それって……、」

デイヴィッド「もちろん、私は責任のある立場だし、家族に不自由な思いもさせたくないから、仕事には励むが……、以前のような働き方はやめたんだ。

　　　　　　……鉱山の町で、エッタたちと囲んだ食事。あの時、久しく感じていなかった食事の楽しさを思い出した。

　　　　　　……私は、いつのまにか、妻や息子と食卓を囲むこともろくにしてこなかったんだ。

　　　　　　ティモシーが幼かった頃は、食事の席でその日のできごとを話したり、聞いたりすることに喜びを感じていたというのに。

　　　　　　……だから、できるだけともに食事ができる時間に帰ることにしている。

　　　　　　ルクレティアが見にいった観劇の内容でも、ティモシーが憧れる学校の先輩のことでも、話すのはどんな些細なことでもいい。

　　　　　　私はそんな些細なことさえ、知らずにいたんだ。

　　　　　　いつのまにか、それが些細なことだと、思っていたんだ。」

主人公　「……なら、これから話すことはたくさんありますね。

　　　　きっと、会話の尽きない食卓になりますよ。」

デイヴィッド「そうだな。……とはいえ、ティモシーはなかなか素直には話してくれないがね。」

主人公 「素直になれないだけですよ、きっと。

　　　　ルクレティアさんに贈る指輪に使う石を探すのも手伝ってくれたって聞きましたし。」

デイヴィッド「ああ。私が新しい指輪をどうしようかと困っていると、協力を申し出てくれてね。

　　　　　　赤い光に似た石を探して、オーダーメイドで作ればいいと助言してくれたのもあいつだ。」

主人公 「そうだったんですか……。やっぱりティモシーなりに、デイヴィッドさんを応援してるんですよ。」

デイヴィッド「ああ、もう、わかっている。こんな私だが……、あの子は短気とはいえ優しい子だからな。

　　　　　　ティモシーにエッタ、そして鉱山のモンスターたちのおかげで、彼女にふさわしい石を見つけることができた。」

主人公 「それで指輪を作ったのは、トーリスさんなんですよね。」

デイヴィッド「鉱山の町を出ての初の依頼が、機械関係ではなく指輪と作ることとは……、と、少し不満そうだったがな。」

主人公 「ですよね……。機械いじりが専門かと思ってたので、ちょっと意外でした。」

デイヴィッド「どうやらピーターが分野を問わず、さまざまな職人のもとへ連れ回しているらしい。

　　　　　　あいつは面白いことが好きだからな。彼をただの修理屋で終わらせるつもりはないんだろう。

　　　　　　とはいえ、彼も機械に応用できるからと、連れ回されることを楽しんでいるようだから、よかったが……。」

主人公 「楽しんでるのが、トーリスさんらしいっちゃらしいな……。」

デイヴィッド「……まあ、在り方はどうあれ、あいつは夢を追う者には真摯だからな。彼のことも悪いようにはしないだろう。

　　　　　　それに……、彼がこれからどんな道を歩むのかはわからんがいつか彼が折れそうになった時、ピーターのその在り方が、彼を救うかもしれん。」

主人公「……やっぱり、鉱山の町をでてやっていくことはいろいろな苦難もありますよね。考え方だって違うでしょうし……。」

デイヴィッド「そうだな。だからこそ……、今度は私が彼やエッタの力になってやれればいいと思っている。

　　　　　　同じ目線には立てないだろうが……、それでも、別の世界に住んでいる者とだって寄り添うことはできるのだろうからな。」