「白雪に咲く華」フロリリア_include

ぎゃああああっ！

メルク・主人公「……！？」

主人公「何があったんですか！？」

パン屋のおやじ「氷室を開けたら、お、女の子が寝てて！」

フロリリア「……。」

主人公「つ、冷たい……。」

メルク・主人公・パン屋のおやじ「……。」

ふああ～。

メルク・主人公・パン屋のおやじ「へ？」

フロリリア「んん～、あれっ。お、おはようございます？」

メルク・主人公・パン屋のおやじ「……い。」

フロリリア「い？」

メルク・主人公・パン屋のおやじ「生きてる～っ！」

フロリリア「え、ええっ！？わたし、生きてなかったんですか！？」

主人公「だ、大丈夫なのか？」

フロリリア「大丈夫って？」

主人公「いや、あんなに冷たかったのに……。」

フロリリア「……？」

紹介所のお姉さん「あら、フロリリアちゃん？」

メルク「紹介所に登録している方なのです？」

紹介所のお姉さん「そうなの。主人公くんたちに紹介しようと思ってたのよ。」

主人公「そうだったんですか！？じゃあ、次の仲間になるかもしれない子なのか。」

パン屋のおやじ「まったく、氷室の中で寝こけてるなんて人騒がせなお嬢ちゃんだ！」

フロリリア「ご、ごめんなさい。ご迷惑をかけちゃいましたよね。暑くって涼めるところを探していたら、つい……。」

パン屋のおやじ「かわいいから許そう。」

主人公「ちょっと。」

パン屋のおやじ「てへっ。」

主人公「許されない！」

主人公「それにしても、確かに今日は暖かい日だけど、氷室に入るほど暑いなんて、雪の国の人ってそんなに暑がりだったんだなあ……。」

紹介所のお姉さん「違うわよ、フロリリアちゃんは雪肌族の子なの。」

メルク「ゆきはだぞく……、なのですよ？」

紹介所のお姉さん「雪の国でも珍しい一族で、谷間にある小さな村にひっそり住んでるそうよ。みんな色白で、生まれつき寒さにとっても強いの。」

主人公「それで雪の国出身なのに、こんなに薄着なのか。」

紹介所のお姉さん「雪肌族の人たちは人一倍寒さに強い代わり、人一倍、暑さに弱いそうなの。汗をかく機能がないからだって聞いたわ。」

主人公「そんな人たちもいるんだなあ。」

フロリリア「汗？あ、あの、わたし、なにか変でしょうか？今まで村の外に出たことがなくて……。」

メルク「大丈夫なのですよ！変わってはいても、変ではないのです！」

主人公「まあ、その変わりっぷりにさっきは冷や汗をかかされたけどな。」

フロリリア「ひやーせ？」

主人公「冷や汗？」

フロリリア「ひ、冷やしましょうか？」

主人公「冷やせじゃなくて、冷や汗！ほら、ここに水滴がついてるだろ？これが冷や汗……、」

フロリリア「わ、わたし、そこまであなたを傷つけていたなんて……！」

主人公「えっ。」

フロリリア「これ……、涙ですよね。王国の人たちは目じゃなくて、肌から涙が出るんですね。」

主人公「違う、違う！これが汗！」

フロリリア「なるほど。王国の人たちは涙のことを汗と呼ぶんですね。」

フロリリア「はっ！もしや冷や汗というのは、激情を冷ますための涙のこと？王国の言葉ってなんて抒情的なんでしょう……！」

主人公「違う、違うから！どんどん謎の方向につっぱしっていってる！止まろう、１回、止まろう！」

フロリリア「は、はい。すみません……。わたし、あなたをまた傷つけてしまったでしょうか……？」

主人公「いやこれはツッコミ疲れの汗というか……。と、とりあえず汗については後でちゃんと教えるから。」

フロリリア「す、すみません。」

メルク「謝らなくていいのですよ～！主人公さんだって、ツッコミがいのある相手できっと内心は喜んでるのです！」

フロリリア「つっこみ……。」

主人公「そうそう、俺は３度の飯よりツッコミが好きな男……、」

主人公「って、なんでやねんっ！」

メルク「これがツッコミなのです！」

フロリリア「なるほど……！勉強になります！」

主人公「ツッコミより先に教えることがあるだろ！」

メルク「これもツッコミなのです。」

主人公「だからあ！」

主人公「もういいよ！どうもありがとうございました～。」

フロリリア「……、」

主人公「メルクのせいですべった。」

メルク「どうして私のせいなのですよ！」

フロリリア「ふふ、ふふふっ！おふたりって面白い方々なんですね。」

フロリリア「わたし、安心しちゃいました。おふたりとなら楽しく旅ができそう……！」

主人公・メルク「……。」

メルク「それはよかったのです、主人公さんがスベったかいがあるのです。フロリリアさん、これからよろしくなのですよ～。」

フロリリア「はい！よろしくお願いしますね！」

フロリリア「ふふふ、ふふふ、ふふふん～♪」

メルク「みゅ、ご機嫌なのですね～！」

フロリリア「はい！わたし、同い年くらいのお友だちって初めてで……。」

フロリリア「これからよろしくお願いしますね！えへへ、素敵な言葉だから、もう１回言いたくなっちゃいました。」