「弄隷な傀儡士」リュナリュナ

リュナリュナ「この僕に、お前の旅を手伝えって？」

主人公　　　「そんな上から目線で言ってないですよ！」

リュナリュナ「僕は自分で歩いたりなんかしないぞ。

　　　もちろんお前が運んでくれるんだろうな？」

主人公　　　「ええ～……。

　　　せっかく足があるんだから、

　　　　　　　歩いたらいいじゃないですか……。」

リュナリュナ「僕の体をどう使おうが僕の勝手だろう。

　　　　　　　とにかく僕は歩きたくないんだ。」

リュナリュナ「そんなことをして、

　　　　　　　この僕の美しい体に傷が付いたらどうするんだ？

　　　　　　　このどんな芸術品にも勝る肉体美に。」

主人公　　　「肉体美って……。

　　　　　　　俺と同じくらいひょろひょ……。」

リュナリュナ「お前の貧相な体と一緒にするな。

　　　　　　　そうかそうか、そんなに僕を運ぶのが嫌だというのか。」

主人公　　　「嫌っていうか……、

　　　　　　　そもそも俺、そんな力な……、」

主人公　　　「うわっ！？

　　　　　　　か、体が勝手に……！」

リュナリュナ「さっき

　　　　　　　僕の体をどう使おうが僕の勝手だと言ったが、

　　　　　　　お前の体をどう使うかも僕の勝手だ。」

主人公　　　「は、はあ！？

　　　　　　　ちょ、もしかしてこれ、リュナリュナが……、」

リュナリュナ「僕は人形遣いだぞ？

　　　　　　　知らないで勧誘していたのか？」

主人公　　　「人間まで動かせるなんて聞いてないから！」

リュナリュナ「まあ、人間を動かすのは疲れるから、

　　　　　　　めったにやらないだけだ。」

リュナリュナ「さーて、おとなしく僕を運べ？

　　　　　　　僕は嫌がることを

　　　　　　　無理やりさせるのが大好きなんだ。」

主人公　　　「せ、性格わるっ！？」

主人公　　　「って、待って待って！

　　　　　　　なんでお姫様抱っこ！？

　　　　　　　俺の腕が耐えられない！　折れる！」

リュナリュナ「僕は姫よりも美しく、可愛らしいぞ。

　　　　　　　ま、安心しろ。

　　　　　　　僕が術をかけている間は僕を落としたりしないから。」

主人公　　　「俺の腕の心配してるの！」

リュナリュナ「ふむ、なかなかいい気分だ。

　　　　　　　やはり、嫌がる相手を操るのは楽しいなあ。」

リュナリュナ「……っと！」

主人公　　　「わっ！？」

主人公　　　「……お、重い……！

　　　　　　　術を解くなら言ってくださいよ……！

　　　　　　　ほんとに落とすかと思った……。」

リュナリュナ「……。

　　　　　　　いや、久々すぎて

　　　　　　　うっかり失敗して、術を切ってしまった。」

リュナリュナ「僕を落とさないとは感心感心。

　　　　　　　僕の下僕になる心構えができたということだな。」

主人公　　　「できてない！」

リュナリュナ「よいしょっと。

　　　　　　　さてと。

　　　　　　　お前の下僕魂に免じて、旅を手伝ってやろう。」

主人公　　　「……あ、ありがとう……。」

主人公　　　「って、歩いてるけど！？

　　　　　　　さっきまで歩きたくないとかなんとか言ってただろ！」

リュナリュナ「ずっと足を使わないと、

　　　　　　　筋肉が衰えてしまうだろう。」

リュナリュナ「僕のこの美しさを維持するには、

　　　　　　　適度なウォーキングも必要なのだぞ。」

リュナリュナ「さて、からかいがいのある下僕もできたし、

　　　　　　　旅が楽しみだな～。」

主人公　　　「ぜ、前途多難だ……！」