「貴顕なる徹心」ラインハート

ラインハート「ラインハート・ランベルトだ。この俺の旅を手伝えることを、光栄に思うといい。」

　　　　　　「いずれ多くの人々を救い、未来を明るくする糧となる、素晴らしき研究の旅なのだからな。」

主人公　　　「あ、ああ……。よ、よろしく頼むな。」

　　　　　　「……でも、なんだか少し意外な感じもするな。」

ラインハート「何がだ？」

主人公　　　「ラインハートって、ずっと研究室とかで実験を重ねてるんだろ？」

　　　　　　「それなのに、戦闘も難なくこなせるし、運動神経もいいし、旅にだってあっさり出ちゃうし……、

　　　　　　　俺のイメージしてた研究者とはちょっと違うというか。」

ラインハート「当たり前だろう。そもそも、なんだそのイメージは。

　　　　　　　お前、研究するということを何も知らないだろう。」

主人公　　　「う、うん。完全に想像だった……。」

ラインハート「ふん、研究者だからといって、室内に籠りきりで

　　　　　　　朝から晩まで食事も忘れて、研究に没頭し続けるといった

　　　　　　　愚かなイメージは早々に捨て去ることだな。」

　　　　　　「それに、ランベルト家の長男たるこの俺を

　　　　　　　そんな型押しのイメージに当てはめるなど、不本意極まりない。」

主人公　　　「な、なんかごめん……。」

ラインハート「まあ、お前の貧相なイメージ通りの研究者もいることは否定しないがな。

　　　　　　　実際、俺も研究室に籠ることも多い。」

　　　　　　「だが、それは俺が思うに二流の研究者だ。」

主人公　　　「二流？」

ラインハート「そうだ。一流の研究者というものは、自分の体調管理も怠らない。」

　　　　　　「なぜなら！素晴らしいひらめき、ミスのない実験というものは、

　　　　　　　健康な体でこそ、可能であるからだ！」

　　　　　　「研究に夢中になりすぎて、食事を忘れたり、睡眠をおろそかにしたり、運動不足になったり……、」

　　　　　　「その結果、たいした研究成果も出せず、実験でミスを増やすなど言語道断だ！」

主人公　　　「たしかに……。一理あるな。」

ラインハート「ゆえに、俺は毎日、５時間以上は睡眠を取るようにしているし、

　　　　　　　食事は栄養面を最大に考慮して摂（と）る。」

　　　　　　「さらに、毎週、研究から離れた休日を少なくとも１日、いや、半日は設けて、

　　　　　　　スポーツなどに興じて、体を動かしている。」

主人公　　　「お、おお……、徹底してるんだな……。」

ラインハート「ランベルト家の長男たるもの、これくらい当然だ。お前も、よくよく覚えておくようにな。」

主人公　　　「わ、わかった……。」

　　　　　　「（プライド高いけど、ラインハートはラインハートなりに

　　　　　　　家の名前にふさわしくあろうと頑張ってるんだよな……）」

　　　　　　「（うーん、顔も頭も運動神経もよくて、性格もプライド高いだけで、別に悪くなくて……）」

町の少女　　「あっ、ラインハートさん！これ、差し入れのチョコレートです！研究頑張ってください！」

主人公　　　「（案の定、女の子にもすごくモテる……）」

　　　　　　「（……うーん、俺とは生きる世界が違ってそうな人だな）」

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ラインハート「きーてるのか！」

主人公　　　「アッ、ハイ。」

ラインハート「共同研究で、実験のときに彼女のみせたあのかがやいたひとみ……、

　　　　　　　あれがおれのこころをうばったんだ……。」

　　　　　　「だが、いまはゆりうすにむけられて……。

　　　　　　　くっ、ゆりうすのやつより先に彼女にあえていれば……！」

主人公　　　「そうだな、もしかしたらその子と付き合えてたかもしれないな。

　　　　　　　もうこの慰め、１０回目だけど……。」

ラインハート「しかし、おれとつきあってるあいつがゆりうすといるときいじょうに

　　　　　　　しあわせにしている姿がおもいつかないんだ。」

　　　　　　「ゆりうすはきにくわないが、気のいいおとこだし、

　　　　　　　おれも、彼女のことがなければ、それなりに仲良くしていたかもしれん。」

主人公　　　「うんうん。ラインハートは相手のためを思って身をひいたんだよな。」

　　　　　　「きっと、相手の子もわかってるし、ラインハートのおかげで幸せになれるよ。」

ラインハート「だが、ほんとうはおれがしあわせにしたかったんだー！」

主人公　　　「うんうん……。」

ラインハート「きーてるのか！あの共同研究で、彼女がたのしそうに実験をする姿……、」

主人公　　　「また、ループ入ったか……。」

メルク　　　「でも、主人公さん、差し入れのウイスキーボンボンに酔っぱらったラインハートさんの愚痴を」

　　　　　　「もうかれこれ３時間聞いているわりには、なんだか、そこまで嫌そうではないのですよ。」

主人公　　　「えっ？」

　　　　　　「……まあ、同じ世界に生きる者としてのよしみがあるからな！」

メルク　　　「イイ笑顔してるのですよ……。」