「藍夜の愛彩星」スタラッテ

スタラッテ「......。」

主人公「スタラッテさんを仲間に誘いに来たけど......、何をあんなに見つめているんだろう.....。

スタラッテ「おや、主人公くん。もしかして、僕を仲間に誘いに来たんですか？

主人公「え、どうしてわかったんですか？」

スタラッテ「簡単なことですよ。それは、僕が......。」

主人公「スタラッテさんが......？」

スタラッテ「優秀だから！」

主人公「あっ、はい。」

スタラッテ「僕が今後のことを見越して辺境調査隊や癒術士を積極的に支援していることを知っていたんでしょう？」

主人公「そ、そうです。それで、スタラッテさんなら手伝ってくれるかと思って......。」

スタラッテ「よい判断です。」

スタラッテ「僕は先見の明があるだけではなく、回復魔法の使い手としても、なかなかのものですからね。君の選択を、僕が保証しましょう。」

主人公「は、はい、ありがとうございます？そういえば、さっきから気になってたんですけど、さっき、何を見つめて......、」

主人公「か、鏡ですか。」

スタラッテ「ええ、そうです。うーん、それにしてもナイスですね。」

主人公「な、ナイスというとスタラッテさんの顔が......？えっと、いつも鏡を見てるんですか？」

スタラッテ「まあ、毎日は見ていますね。マナーというのもありますが、立場的にも、いつも身だしなみを整えておかなくてはいけませんからね。」

主人公「そ、そうですよね。てっきり自分の顔に見とれてるのかと思いましたよ！」

スタラッテ「ははは、毎日、見ている顔ですよ。かっこいいとは思いますけど、時を忘れて見とれたりはしませんよ。」

主人公「あ、かっこいいとは思ってるんですね。」

スタラッテ「えっ、かっこよくないですか？」

主人公「いや、かっこいいですけど。」

スタラッテ「ですよね。我ながら、ここまでの美男子はそうそういないと思うんですよ。」

主人公「は、はあ......。」

スタラッテ「しかし、顔にも家柄にも才能にも恵まれてしまったゆえにいろいろと困ることもありましてね。」

主人公「そうなんですか？たとえば、どんなことです？」

スタラッテ「恋人ができないんですよ。」

主人公「あ、そ、そっちの方面なんですね。でも、スタラッテさん、モテてるような......、」

スタラッテ「そりゃ、モテますよ。これだけ揃ってて、さらに性格まで悪くないんですから。これでモテなきゃ、嘘です。」

主人公「スタラッテさんの辞書には、謙虚という文字はないのか......。」

スタラッテ「ははは、よく言われます。僕は事実を言ってるだけなんですけど。でも、本当に困ってるんですよ。」

スタラッテ「僕は、恋愛や友情だけは損得勘定で動かしたくないと思ってるんです。そのせいで、恋人ができなくて......、」

主人公「え、ど、どういうことですか？損得勘定で好きになれないのなら、別に障害なんてないんじゃ......、」

スタラッテ「僕にとってはありませんが、相手にとってはそうではないんです。」

スタラッテ「たとえば、僕が家柄も容姿も能力も客観的に見れば釣り合わない相手に片思いしたとします。ちなみに、この例では高嶺の花なのは僕です。」

主人公「なるほど......、何気にすごいひどいこと言ってますが、相手が、スタラッテさん気後れをして告白しても断るってことですね。」

スタラッテ「いえ、告白しません。」

主人公「そりゃ、恋人できないよ！」

スタラッテ「相手のことを思えば、できるはずがありません。なぜなら、仮に僕と付き合ってくださったとして、周囲から、僕に釣り合わないと思われ続けるんですよ。」

スタラッテ「僕が彼女に合わせて、何もかも捨てればいいかもしれませんが、それはそれで、彼女に罪悪感を抱かせてしまうでしょう。」

スタラッテ「僕は、ものごとの価値は、人間ごとに異なると思っています。それが心という不思議さであって、僕の好むところでもあります。」

スタラッテ「しかし、そうは思わない人もたくさんいます。また、大勢の人たちによって共有されている価値もあります。」

スタラッテ「僕は、僕の好きになった人にそうしたことで苦労をさせたくないのです。それならばいっそ、僕以外の愛する人と結ばれて、幸せになってほしいと......。」

主人公「先見の明がありすぎて、こじらせてますね......。」

スタラッテ「僕が劣っている場合は相手に恥をかかせてしまいますし......。なかなか僕と完璧に釣り合う女性を好きになれなくて、困っているんです。」

主人公「スタラッテさんが恋人ができないのって、この重すぎる思いやりのせいでは......。」