「碧髪の冒険者」カルム

''主人公「探し人……？」

カルム「あ～、いや、探してるっているのとはちょっと違うんだけど。」

カルム「でも、今どのあたりにいるのかくらいは、まあ、なんとなく知っておきたいというか……。」

メルク「つまり、探してるのですよ？」

カルム「ぜんっぜん探してない！」

主人公「だけど、居場所は知りたい？」

カルム「ざ、ざっくりとだけ……。」

主人公「その人、空の国の剣士なんだよな？紹介所のお姉さんなら知ってるかもしれないぞ。」

カルム「……。」

メルク「(あまり気乗りしていないようなのですよ)」

主人公「(どうしたんだろう……)」

主人公「ええっと、事情がよくわからないんだけど……。」

カルム「……約束、なんだ。」

主人公「約束？」

カルム「うん。」

カルム「空の国で会ったそいつは、俺と同じで強者に憧れてた。」

カルム「お互いに未熟だったけど、傷を舐め合っても仕方ないし、それなら冒険に出て修行しようって誘ったんだ。」

カルム「そうして地上に戻り、俺たちは別れ際に１つ約束をした。」

メルク「別れたのです……？一緒に冒険すればよかったのではないのですよ？」

カルム「いや、だって、まあライバル同士だし……。」

メルク「な、なるほど、そういうものなのですね……。」

カルム「で、約束したんだ。お互いに成長した姿で再開を果たし、どちらがより強くなったか、手合わせしようって。」

カルム「だけど、この約束には深刻な問題があった。そもそもいつどこで会うか、決め忘れてたんだ。」

メルク「深刻すぎる問題なのです……。」

カルム「俺はふと不安に思った……。このままあいつと再会を果たすことなく、老いぼれてこの世を去っていくんじゃないかって。」

主人公「まあ、それは悲しいな……。」

カルム「主人公ならわかるだろ。それだけはなんとしてでも避けたい。」

メルク「ということは、やはり探し人なのですよ？居場所を聞いて会いに行けばいいのでは……。」

カルム「ちっがああ～う！」

メルク「みゅっ！？」

カルム「ダメ！　そんなのゼッタイにダメ！自分から会いに行ったらぜんぶダイナシだ！第一、どんな顔して会いに行けばいいんだよ！」

メルク「(普通の顔をして行けばいいのでは……)」

主人公「(まあ、そうなんだけど、たぶん、そういう問題じゃないんだろうな)」

カルム「俺とあいつは、そうじゃないんだ。燃え盛る炎に包まれた荒野だったり、嵐の吹きすさぶ断崖絶壁だったり……、」

カルム「ともかく、劇的な再会じゃないとな。俺から会いに行くなんて、そんな情けないのはナシ！」

主人公「つまり、正確な居場所は知りたくないけど、だいたいどのあたりにいるのか把握しておきたいんだな。それでばったり会えたら、念願の手合わせができると。」

カルム「そう！いかにも危なげな地域を旅してると、なおいい感じだ。」

主人公「そういうことならやっぱり、紹介所のお姉さんに聞くのが早いと思うけど。」

カルム「あのお姉さんは顔が広いからな。一応、お前らだから話したんだ……。できることなら、この件は慎重に進めていきたい。」

主人公「でも、俺たちだけじゃ……。」

カルム「いいか、もしソールの情報を集めてるなんてことが、あいつの耳にでも入ってしまったら、俺は……。」

紹介所のお姉さん「あら？あなたたち、ソールくんを探しているの？彼ならついさっきまでここにいて、今は確か……、」

「わあああ！　やめろおおおお！」

主人公＆メルク「……。」

メルク「男心は複雑なのですよ。」

主人公「……っていうか、すごいニアミスだな。」