「堕天の綴り手」るか

メルク「メーフの扉が今開く！ この世に混沌をあふれさせる！」

メルク「正義よ、我が名を聞いて怯えよ！ 我こそがルシフェル？ ……なのですよ！」

主人公「急にどうしたんだ、メルク。」

メルク「そこのテーブルに置いてあった詩のフレーズなのですよ！ 思わず声に出したくなる言葉ばかりなのです。」

メルク「これを書いた人は天才に違いないのです！ ぜひ１度お目にかかってみたいのですよ～！」

主人公「ふうん、たしかに読みやすい詩だな。どうしてこんなところに、そんなものが置いてあったんだ？」

メルク「どうやらこの詩には続きがあるようなのです。書いた人が１枚だけ落としていってしまった……ということなのかもしれないのですよ。」

主人公「うーん、じゃあ持ち主は困ってるかもしれないな……。」

るか「（こ、こ、こ……、）」

るか「（困った～！ あのふたりに詩を拾われちゃうなんて！）」

るか「（あぁ、ぼくの馬鹿！ 渾身の出来だった詩を落とすなんてありえないよ～！ 気づいてすぐに探したけど、間に合わなかったし……、）」

るか「（どうしよう。返してって言ってみようかな？）」

るか「（そ、そんなの絶対無理！ ぼくの趣味が作詩だってバレたら恥ずかしくて死んじゃう！ せっかく今日まで秘密にしてきたのに～！）」

るか「（うう、こうなったら、ふたりが詩を置いて移動してくれることを祈るしか……、）」

主人公「持ち主を探したほうがいいかもしれないな。ちょっと近くを回ってみるか。」

メルク「賛成なのですよ！ あっ、詩も本人の物かどうか確認するために持っていくのですよ。」

るか「（考えうる限り最悪の展開になっちゃった！）」

るか「（まずいよ～。このままじゃ詩を持っていかれるうえに、本人確認のためにいろんな人に見られちゃう！ そ、それだけは阻止しないと！）」

るか「そ、その企み待った～！」

主人公「うわっ！ るかじゃないか。急にどうしたんだ？」

メルク「た、企みとはなんのことなのですよ？」

るか「え、えっと……、」

るか「（ど、どうしよう！ 思わず飛び出しちゃったけど、どう話せばいいのかわからないよ！）」

るか「あのぉ、そのぉ……。」

主人公「……あっ、もしかしてこの詩はるかが書いたのか？」

るか「ふぇっ！？ そ、そうだけど！」

るか「（し、しまった～！ 思わず答えちゃったよ！ こんなこと言っちゃったら……、）」

メルク「おぉ、るかさんがこの詩を書いた人だったのですね！ ぜひお話を伺いたいのですよ！」

るか「ほら、こうなる～！ ぼ、ぼくは詩を返してほしいだけなのに～！」

主人公「お、落ち着けよ。言われなくても詩は返すから。」

るか「あ、ありが、とう……？ そ、それじゃあ、ぼくはこれで失礼するね！」

メルク「待ってほしいのですよ。まだその詩についてのお話ができていないのです！」

るか「うっ、うやむやにしようとしたのに……。はぁ、わかった。もう逃げても無駄だし、どんな批判も受け入れる……、」

メルク「この詩、思わず声に出したくなる素敵なリズムなのです！ るかさんが趣味で書いたものなのですよ？」

るか「ほぇ？ え、えっと、趣味というか、バンドで使う新曲の歌詞だけど……。」

主人公「へぇ、るかってバンドをやってたのか。水臭いな、言ってくれればよかったのに。」

メルク「この歌詞にメロディが付くのですね。完成が楽しみなのですよ！」

主人公「そうだな。完成したら聞かせてくれないか？」

るか「え、えっと、それは多分大丈夫だと、思うけど……、」

るか「（ふたりとも、批判どころかぼくの詩を褒めてくれた。ちょっと意外……）」

るか「（えへへ、嬉しいな。今までバンドの仲間にしか見せてこなかったから、それ以外の人に評価してもらうのって、なんだか新鮮……♪）」

るか「（こんなことなら、もっと早くに見てもらえばよかったかも……なんてね）」