「繚乱たる焔華」みさご

＜紹介所＞

みさご「こ、こいつァ！」

メルク「みゅ？ 誰からの手紙だったのですよ？」

みさご「あっ、覗くなィ！」

メルク「こ、これは……！」

主人公「どうしたんだ、２人とも？」

みさご「ななな、なんでもねぇやィ！」

メルク「何でもないことないのですよ！ みさごさん、本当は家出してきてたのですよ！？ この文面、お姉さんから怒りの手紙なのです！」

主人公「家出！？」

＜時間経過＞

みさご「というわけで、オヤジがいつまでもアタシの夢を認めてくンねぇから先生ンとこに書置きを置いて出てきたのサァ。」

みさご「それにしても、かざ姉はいったいどうやってアタシの居場所を嗅ぎつけたんだ……？」

メルク「もう、そんな推理をしてる場合じゃないのです！ 問題はお姉さんをはじめとした家族の方がものすごく心配してるということなのですよ！」

みさご「ちぇっ、そんなこと言われたってアタシを認めねぇオヤジが悪いんだィ。それにこのワビサビ玉があれば、心配いらず……、」

メルク「みさごさん。」

みさご「な、なんでィ……。」

主人公「まあ、ちょうどさっき、和の国までの護衛依頼を持ち掛けられたとこだったし俺たちと一緒に家に帰ってみるか？」

「なっ、そんなのまっぴらゴメンだィ！ アタシはもっと世界を回って花火の勉強をしたいんだ！ 主人公たちのすっとこどっこい！」

主人公「あっ、みさご！」

メルク「みゅわっ！ なにか投げていったのですよ！」

主人公「ワビサビ玉だ！ 破裂する前に受け止めろー！」

＜山の中＞

メルク「この山に入っていったとの目撃情報なのですが……、見つからないのですよ～。」

主人公「日が暮れる前に見つけないと……。たしかこの山って、みさごが行きたがってたところだよな。それってどうしてだったんだっけ？」

メルク「ええと、花火の材料がどうこうとか……、」

「こんちくしょうめィ！」

主人公「この声！」

メルク「みさごさんなのですよ！」

＜場面転換＞

みさご「せっかくこいつを見つけたってぇのにこんなところで諦めるわけにゃァいかねぇやィ！」

ノーズホーン「グルルルゥ……！」

みさご「くっ、ワビサビ玉ももう尽きちまったし……！」

メルク「みさごさん！」

主人公「たまやっ！」

ノーズホーン「グルルルゥッ！？ グルッ、クシュッ、クシュンッ！」

メルク「おお、さすがはワビサビ玉……！ ブレンドされたコショウやトウガラシがえげつない威力を引き立てているのです！」

主人公「みさご、逃げるぞ！ 早くこっちに！」

みさご「主人公、メルク……！ ア、アタシは……、」

みさご「うわっ！？」

メルク「みさごさん！？」

主人公「まずい、足場が崩れて……！」

「ぎええええっ！」

主人公「みさごー！」

<山の中・雨>

みさご「イチチ……。」

みさご「ちぇっ、木が緩衝材になって助かったと思えばしばらくして雨が降ってくるたァ、ツイてるのかツイてねぇのかわかんねぇや。」

みさご「けど、こいつだけは守り切った。へへ、こいつはどんな火の花を咲かせンだろう。オヤジの手にかかればきっとキレーな花が……、」

主人公「山に入った理由は和の国じゃ貴重な種類の花火の材料を取りに行くためだったのか。」

メルク「そんなにボロボロになっても花火のことばかりなんてみさごさんらしいのですよ。」

みさご「主人公にメルク……！」

みさご「その、巻き込んじまって面目ねぇサァ。アタシは……、」

メルク「雨がひどくなる前に見つけられてよかったのですよ。」

主人公「とりあえず紹介所に戻ってひねった足を手当てしてもらおうぜ。ほら、背負って行ってやるから。」

みさご「……。」

みさご「面目ねぇ。」

主人公「フフフ、いい筋トレになるな。これで俺も明日にはムキムキに……、」

メルク「なってるのは筋肉痛なのですよ。」

主人公「筋肉は１日にしてならずか……。」

みさご「……。」

みさご「グスッ……。」

メルク「みさごさん……。」

みさご「こ、これは鼻水だィ！ 花火への情熱とメルクたちへの感謝があふれちまって！」

主人公「感謝が鼻水に変換されるのか……。」

みさご「そ、そうなんでィ……っ、グスッ。うう、グスッ、ひっく……。」

メルク「次は私たちにも声をかけてほしいのですよ。みさごさんの夢を応援すると約束したのです！ 手伝えることがあるなら、手伝いたいのですよ！」

みさご「め、めるく……。」

メルク「みさごさんが許してくれるなら、おうちまでついて行って、一緒に家出を謝って、夢を認めてもらえるよう説得するくらいなのです！」

みさご「……、」

みさご「……ぐすっ、へへ、そいつは心強ぇや。メルクたちがいるなら、百人力だィ！」