「篇章者の忠順」ルフレイエ

主人公「ルフレイエさん、仲間になってくれてありがとうございます！」

ルフレイエ「いえ。困っている方がいたらお助けするよう、我が主から申しつけられておりますので。」

主人公「そうだったんですか。それは助かります……！」

ルフレイエ「……。」

主人公「……。」

主人公「あの……、」

ルフレイエ「……はい。」

主人公「ルフレイエさーん。」

ルフレイエ「……なんでしょう。」

主人公「あの！ルフレイエさん！」

ルフレイエ「はい。聞こえております。」

主人公「えっとその、話す時は俺の方を見て欲しいっていうか……。」

ルフレイエ「……、ずいぶんと主人公様は積極的なお方なのですね。」

主人公「違う！違います！」

主人公「そういう意味じゃなくて、本から顔をあげて欲しいっていうか……！」

ルフレイエ「これは失礼いたしました。地上に訪れているためか、つい気が緩んでしまったようです。」

主人公「気が緩んだら本を読んじゃうんですか！？」

ルフレイエ「実は私、幼少期から本ばかり読んでおり……。」

ルフレイエ「主の前以外で本を手放すと落ち着かないのです……。」

主人公「な、なるほど、そうだったんですか。でも、どうしてその主さんの前では本を読んでなくても大丈夫なんですか？」

ルフレイエ「それはやはり、私が心からお仕えしたいと思える素晴らしいお方だからでしょう。」

ルフレイエ「万物に対して造詣が深く、幅広いことに興味を持たれており、大変麗しく……。」

主人公「(い、いつになくルフレイエさんがよくしゃべる……！)」

ルフレイエ「ああ、申し訳ありません。主のこととなるとつい熱く語ってしまうのです……。」

ルフレイエ「お許しくださいませ主人公。」

主人公「い、いえ！よっぽどその主さんのことが好きなんですね。」

ルフレイエ「……。」

主人公「ルフレイエさん？」

ルフレイエ「正直な話、私は困っているのです。」

主人公「困ってる？」

ルフレイエ「はい。私が仕える主はまだ１３歳……。それに対して、私はもういい『大人』です。」

ルフレイエ「少し距離を置いて接しなければと思うのですが……。」

ルフレイエ「主と同い年であったらどんなによかったかと思う時もあります。」

ルフレイエ「きっと私が察せないことでも、歳が近ければ気づいてさしあげられると思うのです。」

ルフレイエ「まあこれは全部、私のわがままなのでしょうが……。」

主人公「ルフレイエさん……。」

主人公「……俺は、その気持ちだけで充分だと思いますけど。」

ルフレイエ「え？」

主人公「なんていうか、詳しいことはわかりませんけど……。」

主人公「俺だったら、自分のことを大事にしてくれてる人がいるってだけで嬉しいです。」

ルフレイエ「そんなに簡単なものでしょうか。」

主人公「その、ルフレイエさんみたいに愛情深い人が側にいてくれたら、辛くても前に進もうって気持ちになれると思うんです。」

主人公「だからルフレイエさんがそうやって支えようとしてくれてるだけで充分かなって……。」

ルフレイエ「……主人公様は少しだけ、私の主に似ていますね。」

主人公「え？」

ルフレイエ「人が欲しい言葉を、１番良いタイミングで言ってくださるところが、少し似ています。」

主人公「そ、そんな大それたこと言ってないですよ！

ルフレイエ「そうでしょうか。」

ルフレイエ「私には、本の知識しかないんです。」

ルフレイエ「幼い頃から、『知らない』ということが怖かったのです。」

ルフレイエ「それは、主にお仕えするようになってからより顕著になりました。」

主人公「……、どうしてですか？」

ルフレイエ「私の無知で、主に万が一のことがあったらどうしようかと不安になったからです。」

主人公「……、」

ルフレイエ「でも、それは杞憂だったようですね。」

ルフレイエ「私は、自分に自信がなかったようです。主人公様のおかげでそれに気がつけました。」

ルフレイエ「ありがとうございます、主人公様。」

主人公「お礼だなんで、そんな……。俺、思ったことを言っただけです。」

主人公「ほ、ほら！そろそろ時間ですし、旅に出ましょうか！」

ルフレイエ「ええ、そうですね。」

ルフレイエ「(……でも、やはり私は主と同い年が良かったと思うのです)」

ルフレイエ「(臣下ではなく、１度でいいから『友達』として主と話してみたかったのです)」

ルフレイエ「……、やはり私はわがままですね。フレッド様。」