「荒野の英雄」ジャンゴ

村のお兄さん「なんだとー！」

パン屋のおやじ「このー！」

メルク「みゅみゅ！喧嘩なのですよ！」

主人公「うわっ、取っ組み合いになってる！ど、どうしたら……、」

ジャンゴ「どうした！」

主人公「ジャンゴさん、ナイスタイミングです！実はそこですごい喧嘩があって……、」

ジャンゴ「なにっ！？そりゃあ、大事じゃねえか！」

主人公「そうねんですよ！けど俺じゃあ止められなくて……、お願いします、ジャンゴさん！」

「よぉし、任された！おらぁ、ストップストップ！その喧嘩、待ったー！」

主人公「ふぅ、よかった。これでひと安心だな。」

メルク「みゅみゅみゅ！そ、そうでもないみたいなのですよ！」

主人公「えっ？」

ジャンゴ「待てつってんだろ、オラァ！」

村のお兄さん「ぶほっ！？ま、待つ間もなく殴られた！」

パン屋のおやじ「だ、誰だ、お前は！俺たちの問題なんだから首を突っ込まないでくれ！」

ジャンゴ「うるせー！喧嘩に首を突っ込まなくて何が男だ。ほら、かかってこい！」

ジャンゴ「周りも、見てるだけじゃつまんねえだろ！よーし、その気持ちはよくわかる！我こそはってやつは参加有りとする！」

パン屋のおやじ＆村のお兄さん「えぇー！？」

主人公「収めるどころか拡大させてる！？」

メルク「村を丸ごと巻き込んだ喧嘩になってしまったのですよー！」

主人公「わ、忘れてた。ジャンゴさんが無類の大騒ぎ好きってこと……！」

ジャンゴ「ガーハッハッハッハ！かかってこい！　１番強いのは誰か決めようぜー！」

(場面切り替え・紹介所)

ジャンゴ「ふぅ……いい汗かいたぜ。やっぱりたまには体を動かさないとな！」

主人公「こっちは冷や汗が止まりませんでしたよ。まさか、あんな大乱闘になるなんて……、」

主人公「まぁ、喧嘩の原因だったふたりも、最終的には清々しく和解してたし、結果的にはオッケー……なのか？」

ジャンゴ「あー……悪かった。喧嘩っていうと、ああいう止め方しか知らなくてよ。」

主人公「い、いえ、大丈夫です。終わってみればみんな笑顔でしたし、ああいう止め方もあるんだなぁと思っただけです。」

主人公「ただ、なんというかその……、エルダーさんと親子なんだなぁって改めて実感しました。」

メルク「ブリットさんやアロロアさんと仲良しな理由も、なんとなくわかった気がするのです……。」

主人公「あぁ。ふたりとも規模を拡大させてから解決しそうだよな。無差別攻撃とか、無意味に怒らせたりとかで。」

ジャンゴ「オイオイオイ、そりゃあ聞き捨てならねぇぞ！なんであの、理不尽３連星と並べられなきゃならねえんだ！」

ジャンゴ「俺はあいつらに比べたらチョーまともだろ！？少なくとも出合い頭に腹パンしたり、ナイフ投げたり、煽ったりしねぇもん！」

主人公「いや、割としてましたよ。」

メルク「こちらの認識としては、自由人四天王ぐらいのくくりだったのです。」

ジャンゴ「なぁー！？」

ジャンゴ「そ、そうだったのか……。道理であいつらといると落ちつくというか、しっくりくると思ったぜ。」

主人公「自覚症状あるじゃないですか……。」

ジャンゴ「だ、だが、どうする！？ただでさえ職業が賞金首なうえに自由人四天王の一角となりゃあ……、」

ジャンゴ「ヤツィに悪影響しか与えられねぇじゃん！どうする、保護者失格だ！親父の元に送り返したほうがまだヤツィのためか！？」

メルク「言いにくいのですが、エルダーさんも自由人四天王の一角なのですよ。」

ジャンゴ「隙のない布陣っ！」

ジャンゴ「というか、そもそも駄目だ！親父の元じゃあマッチョになる未来しかねえ！やだよ、あの可愛いヤツィがストロング化するなんて！」

主人公「いや、さすがに女の子が、あそこまでにはならないと思いますし、ヤツィ自身が望まないんじゃ……？」

ジャンゴ「お前は見てねぇから言えるんだ。旅に出るときに武器を選ばせたら、迷いなく鈍器を選択したヤツィを……、」

主人公「鈍器……！？」

ジャンゴ「間違いなくアイツの中に親父由来の筋肉信仰が根付き始めている。」

ジャンゴ「このまま親父の元に置いてみろ。５年もすれば『自然神は健全な肉体に宿る』が信条の、立派な筋肉信仰者になるぞ。」

メルク「そ、それはちょっと見たくないのですよ……。」

ジャンゴ「だろ？だから、親父の元に送り返すのは無しだ。まぁ、言い出しっぺは俺だけども。」

ジャンゴ「しかし、そうなると他に誰がいる？ヨルルタが１番適任だろうが、アイツは自分の村のことがあるしな……。」

主人公「あれ、ヨルルタさんと仲良くなってたんですか？」

ジャンゴ「ああ、巫師としての系統も似てるしな。色々教えてもらったら仲良くなったよ。」

ジャンゴ「そんでまぁ、困ったことがあれば言ってくださいとは言われたが、さすがにこんな大仕事を頼むのはなぁ……？」

ジャンゴ「なぁ、どうすればいいと思う？このままじゃ、ヤツィが自由人四天王の後継者……、いいや！　ヤツィを加えて奔放五人衆とかになっちまう！」

主人公「(それはちょっと見てみたい気もする……)」

主人公「でも、そもそもの話、ヤツィが１番尊敬しているのはジャンゴさんですよね？それなら、いくら悩んでも同じなんじゃ……、」

メルク「そうなのですよ。ジャンゴさんがいくら言っても、きっとヤツィさんは付いてくると思うのです。」

ジャンゴ「……あっ！」

主人公「気づいてなかったんですね……。」

主人公「たぶんですけど、ジャンゴさんがジャンゴさんらしくしているのが、ヤツィにとって１番いいことなんじゃないですか？」

メルク「私もそう思うのですよ！」

ジャンゴ「お、お前らぁ……！」

ジャンゴ「まったく……駄目だな、俺は。ヤツィが憧れてくれてるってことを知ってるのに、また自分を貶めるところだった。」

ジャンゴ「だが、もう同じ過ちは繰り返さん！オレはもう連中に並べられることを恥じねぇ！それがヤツィの憧れた俺の姿なんだからな！」

主人公「その意気です、ジャンゴさん！」

ジャンゴ「よし、それじゃあ俺らしく、お酒飲んでくるね！」

主人公「はい！……って、え？」

ジャンゴ「さっきの連中と仲良くなっちまってさ。後で飲もうって約束してたんだよ。」

「というわけで、またなんかあったら呼んでくれよなー。」

主人公「ええっ、もう出発しますよ！？ちょっと、ジャンゴさん！　ジャンゴさーん！？」

メルク「みゅう～……。やっぱり少しは改善してもらったほうが、いいのかもしれないのですよ。」