「改花する偏愛」オキサリッタ

オキサリッタ「ビバ!　植物!」

オキサリッタ「あぁ、素晴らしい花だわ!　こんな素敵な花を飾るだなんて、ここの主は100点よ!　もう結婚したい!」

オキサリッタ「ふふ、だけど残念でした！何を隠そうアタシは植物と結婚するの！あなたとは結婚できないわ！　いやん、思わせぶり!」

オキサリッタ「ああ、それにしてもこの花は本当に素敵ね。結婚したい……。アタシも花になって100年単位で人の営みを見守りたい。」

オキサリッタ「嘘、それは嘘よ！　ごめんね嘘つきで！序盤の1週間ぐらいで飽きる自信があるわ！意外と飽き性なのよ、あたし！　ええ、マジで！」

オキサリッタ「えへへ、でもね？あなたへの気持ちは何年たっても尽きないよ？オキちゃん、植物先輩のこと大好きだから……。」

オキサリッタ「キャー！　言っちゃった、言っちゃった！先輩、アタシの気持ち受け取ってください的な！そんな乙女の純情をぶちまけちゃった！」

オキサリッタ「これはもう、植物先輩の嫁になるほかないわね。不束者ですけどどうぞよろしく！ここをアタシとあなたの原初の森にしましょう！」

オキサリッタ「って、話戻ってるわ！　ループよ、ループ！結婚のくだりはもうやりきりました、売り切れです！残念でした、またどうぞー！」

オキサリッタ「えへん、えへん！今日はね、あなたに提案をしにきたのよ！きっと悪い話じゃないと思うわ！」

オキサリッタ「ええっと、実はぁ、あなたに出会ってから、オキちゃんずっと思ってたんだけどぉ……、」

オキサリッタ「あなた、ダサいわ！」

オキサリッタ「ハッハー！　どうよぶりっ子からの罵声！ショックで立ち直れないこと間違いなしだわ！」

オキサリッタ「か、勘違いしないでよね！人間の男に比べたら年輪数億層分はマシなんだから！自信持ちなさいよ、もう！」

オキサリッタ「ただぁ、ちょっとオキちゃん好みじゃないっていうかぁ……、つまりそのぉ。何が言いたいかって言うとぉ……、」

オキサリッタ「改造させて☆」

オキサリッタ「大丈夫、大丈夫！アタシ、改造には慣れてるから！改造=アタシみたいな部分あるし！」

オキサリッタ「うへへ、ほんとに大丈夫だよぉ？ただ、この脈打ってる肥料を混ぜるだけだからぁ。怖くない、怖くないわよー……、」

主人公「そこまでです、オキサリッタさん！これ以上、紹介所の植物は改造させません！俺はこの前の触手植物強襲事件を忘れてませんよ！」

オキサリッタ「げぇっ、主人公ちゃん！ぐぬぬ、バレないようにこっそり出てきたのに！仲間のよしみで見逃してよ！」

主人公「仲間だから放っておけないんですよ！『仲間ならちゃんと手綱を握ってて』って、紹介所のお姉さんにも怒られたんですから！」

主人公「さぁ、その肥料を渡してください！もう2度と巨大触手植物は生みださせません！」

オキサリッタ「ちーがーいーまーすー！今回は爆発するんですー！」

主人公「どっちでも一緒ですよ！どうしてそう危険性を高める形に改造するんですか！」

オキサリッタ「ちょっと、別に好きで危険性を高めてるわけじゃないわよ！アタシの好み通りに改造したらたまたま危険になるだけ！」

オキサリッタ「つまりこれは不可抗力！　無罪！」

主人公「有罪！」

オキサリッタ「意義あり！」

主人公「却下します！」

主人公「ほら、もう観念してください。あんまり聞きわけがないと、道中で植物収穫するの禁止にしますよ。」

オキサリッタ「……ククク。甘いなぁ、主人公ちゃんは。」

主人公「な、何ですか、急に笑い出して。いいから、肥料をこっちに……、」

主人公「はっ!?　オキサリッタさんの手の中に肥料がない！ま、まさか……！」

オキサリッタ「あーはっはっはっは！アタシ相手に説得は愚策だったわね！アタシが人の話を聞いてるわけないでしょ、バーカ！」

オキサリッタ「そう、オキちゃん印の肥料はすでに混ぜ込んだ！この花はアタシ好みの超絶イケメン花として、生まれ変わるのよー！」

主人公「な、なんてことを……！また巨大植物が紹介所を襲うというのか！み、みんな逃げろー！」

オキサリッタ「もう遅い！さぁ、植物の素晴らしさを身をもって味わいなさい！」

主人公「うわぁあああああ！」

オキサリッタ「……。」

オキサリッタ「ぷっ！あはははははは！ごめんごめん！　ちょっとやりすぎちゃった！」

主人公「へっ……？」

オキサリッタ「ほら見て。あの肥料は植物に爆発性を与えるものじゃないわ。」

主人公「うわ……綺麗だ。さっきより何倍も綺麗です。」

主人公「もしかして、オキサリッタさんの肥料のおかげで……？」

オキサリッタ「ふふふ、この子は病気だったのよ。それのせいで、本来の美しさの半分も発揮できていなかった……。」

オキサリッタ「アタシはそれが我慢ならなかった。みんなにこの子の本当の魅力を知ってもらいたかったの。だから、ちょっとだけ手助けさせてもらったわ。」

主人公「まさか、オキサリッタさんがそんなまともな理由で改造を……、」

オキサリッタ「はい、この花は主人公ちゃんにあげるわ。」

主人公「えっ、いいんですか？」

オキサリッタ「ええ、元からそのつもりだったもの。」

オキサリッタ「アタシね、本当は申し訳ない気持ちでいっぱいだったの。いつもアタシの実験のせいで、ひどい目にあわせているし……、」

オキサリッタ「それ以外でも、アタシの我儘や身勝手な行動で迷惑をかけているわ。」

オキサリッタ「その罪が花で許されるものかはわからない……。だけど、今はこれがアタシの精一杯の謝罪なの。受け取って、もらえるかしら……？」

主人公「……もちろんですよ、オキサリッタさん。すごく嬉しいです。」

オキサリッタ「よかった！受け取ってもらえなかったらどうしようかと思ってたの！」

オキサリッタ「受け取ってもらえたってことは……これからもよろしくって言ってもいいのかしら？」

主人公「はい！これからも仲間として、仲良くしましょう！」

オキサリッタ「ええ！こちらこそよろしくね！」

主人公「それにしても、本当に綺麗ですね、この花……。心なしか匂いもよくなったような気がします！」

オキサリッタ「ふふ、そうでしょう？良かったら、もっと顔を近づけて嗅いでみて？きっともっとびっくりすると思うから！」

主人公「えっ、本当ですか？何だろう、匂いが変わるとかかな？」

オキサリッタ「ふふふ、その子はね、人間の顔が近づくと……、」

オキサリッタ「噛むわ。」

主人公「いったあああああああ!?」

オキサリッタ「あーはっはっはは！引っかかったわね、主人公ちゃん！アタシがそんな人畜無害な植物を作るわけないじゃない！」

オキサリッタ「病気を治すのはあくまで副作用！あの肥料の本当の効果は、植物の凶暴化よー！」

主人公「だ、騙したんですね！いたたたたたたたっ！」

オキサリッタ「ああ、いいわ！　本当にいいわ！花なのに牙があるとか、最高にアタシ好み！これで歩き出したらもう言うことなしだわ！」

オキサリッタ「はっ！？今のはものすごいナイスアイディアだったわ！早速開発に取り掛からないと！」

オキサリッタ「ありがとう、主人公ちゃん！あなたのやられっぷりを見たおかげで、素敵なアイディアを思いつけたわ！」

オキサリッタ「大好き！　愛してる！　植物の次くらいにね!　1番になりたかったら光合成を習得して！そしたら1番にしてあげるから！　きゃっ、言っちゃった！」

「それじゃあ、また後でねー！ふんふんふーん、いい仲間に巡り合えて、アタシは本当に幸せ者だわー！」

主人公「ほ、放置は勘弁してくださいよ！あいたたたたたたー！」