「深頼の砲撃手」リヴェーラ

村の少年「緑の髪に、小型の大砲かぁ。」

村の少年「ううん、ごめん。見てないや。主人公とメルクは、そのリヴェーラって人を探してるの？」

メルク「みゅ～。紹介所で待っていてくれると聞いていたのですが、いざ紹介所に来てみたところ、リヴェーラさんの姿はなかったのですよ。」

メルク「その代わりに……。」

主人公「この、めちゃくちゃ意味ありげな宝箱が置いてあった。」

村の少年「うわっ、すっごい大きな宝箱だなぁ。ねえねえ。もしかして、リヴェーラってどのかの国のお金持ち？」

メルク「みゅ～。紹介所のお姉さんからは、リヴェーラさんは常夏の国から来た方で、海賊団で砲撃手を務めている、と聞いているのです。」

村の少年「なるほど、海賊団の……、えっ！？　ってことは、リヴェーラって海賊！？」

村の少年「ま、まずいよ、主人公、メルク！これ、きっとリヴェーラが手に入れたお宝だよね？下手に触ったら……、」

村の少年「『アタイのお宝に指１本でも触れたらただじゃおかねえ！　覚悟しな！』って、リヴェーラが髪振り乱して大砲を構えて襲ってくるよ！」

主人公「会ったこともない人に対して失礼すぎないか？」

村の少年「でも、こんなに大きな宝箱だよ？きっと中には、山のような財宝が入ってるんだ……。」

村の少年「……。」

村の少年「ち、ちょっと中を見るだけならセーフかな。」

主人公「『アタイのお宝に指１本でも触れたら、ただじゃおかねえ！』じゃなかったのかよ。」

村の少年「ハッ！　き、聞こえる！『早く開けて、早く開けて！』って声が！これは宝箱に棲むモンスター、タカラバコスの声だ！」

メルク「そんなモンスター、聞いたこともないのですよ。」

「……。」

村の少年「えっ？何か、箱から声がしたような。ま、まさか本当にタカラバコスが……、」

リヴェーラ「ドーン！」

村の少年「ほぎゃあああああ！？」

リヴェーラ「イエーイ！　ガロデ海賊団砲撃手、リヴェーラ！テンションマジガチアゲぽよでエクストリーム参上！超絶エモい反応、ゴチでーす！」

主人公「すごい！　全然違った！　色々な意味で全然違った！タカラバコスじゃなくて、リヴェーラさんだった！」

メルク「そこから更に、色々な意味で私たちの予想を裏切ってきたのですよー！？」

リヴェーラ「ってか、さっきから聞いてりゃひどすぎじゃない？風評被害にもほどがあるんですけどー！さすがのアタシも、マジでガチで激おこなんですけどー！」

村の少年「ごごごご、ごめんなさい！　ごめんなさい！ぼくが色々勘違いしてました！今のやりとりで理解しましたあ！」

リヴェーラ「おっ、もう理解できちゃった感じ？分かっちゃったならオールオッケー！超速理解でマジ助かるわー。」

主人公「よ、よかった……。ただじゃおかねえタイプの人ではなさそうだ。」

リヴェーラ「主人公、これからめちゃよろしく！そんじゃ、待たせちゃった詫びにこいつでも。そらっ！」

主人公「うわっ！　た、宝箱から山のようなコインが！？」

主人公「あれ？　これ、本物のコインじゃないな。この甘い香りは……チョコレートか？」

村の少年「ほ、本当だ！コイン型のチョコレート……、これ全部、お菓子の国のチョコレートだ！？」

村の少年「もぐもぐもぐもぐ。お、おいしい！」

村の少年「すごいや、リヴェーラ！だってだって、山のようなチョコレートなんて……、山のようなコインより、ずっとずっとお宝だあ！」

リヴェーラ「どうどう？　マジ甘くてガチ美味しいっしょ？船長は甘いモンは苦手って言うけど、これ、アタシはめちゃ酒に合うと思うんだよねー。」

リヴェーラ「この前難破した船を助けたら、お礼にってもらってさー。船のみんなで分けたんだけど、余っちゃって。折角だから持ってきた、的な！」

主人公「ありがとうございます。でも、いいんですか？リヴェーラさんたちがもらったものなのに。」

リヴェーラ「別に気にしないでいいって。酒には合うと思うけど、食べきれない分はいらないしー。そんなモン、邪魔になっちゃうだけだからさー。」

主人公「邪魔……？でも、あって困るようなものじゃないと思うんですけど……。」

リヴェーラ「そうでもないって。アタシたちの船ってそんなに大きくないから、余計なモンは載せてらんないっつーか。」

リヴェーラ「そもそもお宝とか、結局のところどうでもいいんだよねー。ほら。お宝は仲間じゃないっしょ？」

主人公「え？」

リヴェーラ「だからー、お宝は仲間じゃないじゃん。」

リヴェーラ「アタシ、何だかんだ言って、１番大切なのは仲間だからさー。同じ船に乗って、同じ船を動かす、仲間。」

リヴェーラ「お宝は櫂(かい)を漕がないし、一緒に酒飲んでバカ騒ぎもできないし。信じたり、信じ合えたりもしないじゃん？」

リヴェーラ「シケの時の船底でお荷物になって、船の重りになるくらいなら、食べられる分だけ食べて、あとはサヨナラっしょ。」

リヴェーラ「陸(おか)の連中は忘れがちだけど、人間なんて、マジでちっぽけな生き物だからさー。」

リヴェーラ「そこんとこを忘れてチョーシ乗ってるやつは、海に大事なモンを持ってかれて、すっごく後悔することになるんだよねー。」

リヴェーラ「海ってのは超絶広いっしょ？だから、後からどれだけ捜しても全然見つかんない、ってこともザラなんだよねー。的な？」

主人公「……。」

リヴェーラ「ね。主人公ってさ、癒術を使うのに仲間が必要なんしょ？」

主人公「あっ。は、はい。そうですけど……。」

リヴェーラ「自分の仲間は大切にしなよ。まあ、アンタはいい目してるから、心配なんかいらないっぽいけど。」

リヴェーラ「船長ほどじゃないけど、アタシの目利きも結構当たるはずだし！」

主人公「……、はい。ありがとうございます、リヴェーラさん。」

主人公''「今の言葉、ちゃんと覚えておきます。その船長さんに、リヴェーラさんの目利きは間違ってなかったって言ってもらえるように。」

リヴェーラ「うん、いいこと言うじゃん。将来きっといい男になるね、主人公！」

リヴェーラ「んじゃ、なるはやで移動開始……。あれ？この箱、アタシが持ってきた時より重くなって……。」

村の少年「バーン！」

主人公＆メルク「ほぎゃあああああ！？」

メルク「さ、さっきから全く気配を感じないと思ったら！まさか、空っぽになった宝箱に隠れていたなんて……！」

村の少年「ふははははは！見たか、ぼくのかくれんぼスキル！さっき驚かされた仕返しだ！」

村の少年「どうだ、リヴェーラ……あれ？固まってる。」

リヴェーラ「……ほ。」

村の少年「ほ？」

リヴェーラ「ほぎゃああああああ！！」

メルク＆主人公＆村の少年「ええええええええ！？」

リヴェーラ「ううっ、ぐすっ……。ぐすっ……。ひっく……。し、心臓が止まるかと、思っ……。」

リヴェーラ「うっ、ううん。今のナシ。べべ、別に気にしなくていいし。エモかったし。タカラバコス度、マジパなかったしぃ……。」

村の少年「……。……ごめんね、リヴェーラ。」

リヴェーラ「ううううう、アタシ、そういうのマジでダメなんだってば～！わ～ん、船長～！　みんな～！」

主人公「……リヴェーラさん、船の上でもこうだったのかな。」

メルク「きっと船の上では、信じ合える海賊団のみなさんがリヴェーラさんをフォローしてくれていたはずなのですよ……。」