「光輝なる姫君」ミシェーラ

メルク「みゅ～、とってもかわいいお姫様なのです！」

ミシェーラ「あら、本当？ありがとう、メルク。」

メルク「このあとはどうなるのです？」

ミシェーラ「お姫様の住むお城はゴーストに支配されてしまうの。」

メルク「そ、それは大変なのです！誰か助けてくれる人はいないのですよ？」

ミシェーラ「それが、ゴーストは姿を消してみんなを惑わすのよ。」

ミシェーラ「だから最強の戦士が助けに向かっても誰もゴーストを見つけ出せない。」

メルク「みゅ～！お姫様がピンチなのですよ～！」

ミシェーラ「でもね、お姫様には……。」

ミシェーラ「……！」

主人公「ただいま、メルク、ミシェーラ。」

メルク「主人公さん、おかえりなさいなのです～！」

ミシェーラ「……、おかえり、主人公。」

主人公「ん？どうしたんだ、ミシェーラ。なんだか様子が変だけど……。」

主人公「何かあるなら言ってくれよ？俺たち仲間なんだし……。」

ミシェーラ「……違うの、私ってばまたやっちゃったなって思って。」

主人公「……？」

ミシェーラ「私、何でか主人公とお兄ちゃんを間違えちゃうの。ここにお兄ちゃんはいないってわかってるのに。」

メルク「そんなに似ているのですよ？」

ミシェーラ「うーん、雰囲気かな。」

主人公「雰囲気……？」

ミシェーラ「……どうしよっかね。」

ミシェーラ「あ、そうだ！」

ミシェーラ「ねえ、主人公。手を貸してくれない？」

主人公「手を？」

ミシェーラ「左でも右でもお好きな方を。」

主人公「じゃ、じゃあ右手で。」

ミシェーラ「……。」

主人公「えっと、ミシェーラ……？」

ミシェーラ「うん、やっぱりそうだわ。」

メルク「何かわかったのですよ？」

ミシェーラ「ねえ、主人公。あなたって優しい手をしてるのね。」

主人公「えっ、どうしたんだ、突然。」

ミシェーラ「触れたらよくわかったわ。」

ミシェーラ「主人公の手はお兄ちゃんの手にそっくりなのよ。」

ミシェーラ「だから雰囲気も似ているのね。」

主人公「……なんか、その、キョウシュクです。」

メルク「主人公さん、照れて普段使わないよな言葉を言ってるのですよ～。」

主人公「わ、笑うなよ、メルク！」

主人公「そ、そういえば俺がここに戻ってくるまでの間、メルクと何を話してたんだ？」

メルク「無理やり話題を変えたのですよ……。」

ミシェーラ「メルクと一緒に、このスケッチブックの話をしていたの。」

主人公「へえ……！ずいぶん年季が入ってるな。」

主人公「ん？この亀みたいな不思議な生き物は何なんだ？」

ミシェーラ「ああ、それが私のお兄ちゃん。」

主人公＆メルク「……！？」

主人公「えっと、お兄さんには甲羅があるのか……？」

メルク「這うように歩くのですよ……？」

ミシェーラ「……？」

ミシェーラ「ああ、なるほど！２人とも勘違いしてるのね！」

ミシェーラ「この絵は子どもの頃の私が描いたの。お兄ちゃんは主人公と同じ人間よ。」

主人公「そ、そうなのか……。」

メルク「なんだか安心したのですよ……。」

ミシェーラ「説明不足でごめんなさい。」

ミシェーラ「……、でも、あながち間違いでもないのよね。」

メルク「みゅ？一体どういうことなのです？」

ミシェーラ「幼い頃ね、私はお兄ちゃんを亀に例えたの。」

主人公「えっ。亀って動きが鈍いイメージがあるんだけど……。」

ミシェーラ「そう思うわよね。でも……。」

ミシェーラ「亀って、その構造上後ろに下がることができないんですって。」

メルク「前に進むことしかできないのですよ？」

ミシェーラ「そうなの。」

ミシェーラ「それを聞いた時、私は真っ先にお兄ちゃんを思い浮かべたわ。」

ミシェーラ「お兄ちゃんは、どんなにつらいことがあっても、絶対に逃げない。」

ミシェーラ「途方に暮れて立ち尽くしても、また必ず歩き出すの。」

主人公「……かっこいいな、ミシェーラのお兄さん。」

メルク「物語の主人公って感じがするのですよ～！」

主人公「う～ん……。」

メルク「主人公さん、難しい顔をしてどうしたのですよ？」

主人公「頭の中でミシェーラの言うお兄さん像と俺を照らし合わせてたんだけど……。」

主人公「似てないと思うぞ……！？」

ミシェーラ「あら、そうかしら？」

主人公「いた、だってなあ……。」

メルク「みゅふふ。私、ミシェーラさんのお兄さんに、いつか会ってみたいのですよ～！」

メルク「性格と同じように外見も主人公さんに似てるのか気になってきたのです！」

ミシェーラ「ええ、ぜひ。なんとなくだけど、お兄ちゃんと主人公は似た者同士、仲良くなれる気がしてるわ。」

メルク「私もそんな気がするのですよ！」

主人公「お、俺を置いてけぼりにしてわかりあわないでくれ……。」

ミシェーラ「……、いつか。」

主人公「え？」

ミシェーラ「いつかきっと、わかってもらえる日が来ると思うわ。」

主人公「……。」

ミシェーラ「ねえ、メルク。さっきの話の続き、してもいい？」

ミシェーラ「そしたら、お兄ちゃんと主人公が似てるってことを少しは分かってもらえると思うから。」

メルク「もちろんお願いしたいのです！私、話の続きが気になっていたのですよ～！」

主人公「話ってそのスケッチブックの？」

ミシェーラ「そう。昔、絵を描きながら物語を作ったの。お姫様とゴーストと騎士のお話よ。」

ミシェーラ「ぜひ主人公にも聞いてもらいたいわ。」

主人公「ああ、もちろん。ミシェーラのお兄さんと俺の共通点をもっと知りたいしな。」

ミシェーラ「ありがとう。」

ミシェーラ「……それじゃあ始めましょうか。」

ミシェーラ「お姫様とゴーストと……。」

ミシェーラ「お姫様を守る、亀の騎士(トータスナイト)の物語を。」