「夢菓の綿飴姫」フロフィア

フロフィア「ふわふわ。ふわふわ。ふわふわふわわわ。」

フロフィア「えへへ、うまくできた。にいさまに見せたらほめてくれるかな。」

紹介所のお姉さん「あら、猫がいるわ。主人公くん、ほら、あそこよ。」

主人公「いや、あの独創的な形は……。」

フロフィア「むぅ。フロフィアはモンスターをつくったの。」

主人公「やっぱりフロフィアがわたあめ細工を作って動かしてたのか。」

フロフィア「フロフィアのつくったほわほわ、にいさまなら、たくさんほめてくれるのに。」

紹介所のお姉さん「ご、ごめんね、フロフィアちゃん！猫に似てるモンスターみたいだなっていいたかったのよ。」

主人公「た、確かに見えますね！このわたあめ細工すごく変わって……、いや、可愛いな。」

フロフィア「むぅ。もっとにいさまみたいに言って。」

主人公「えっと……、」

フロフィア「『美しい』ってほめて。はやく。」

主人公「こ……、このわたあめ細工は美しい！」

フロフィア「……ふごーかくです。」

主人公「俺、けっこう頑張ったと思うんだけどな！？」

(暗転)

フロフィア「ふわふわ。ふわふわ。ふわふわふわわわ。」

フロフィア「はい、完成～。」

主人公「今度は何を作ってるんだ、フロフィア。」

フロフィア「主人公の顔だよ。」

主人公「俺の顔か。……俺ってこんな顔してたっけ？」

フロフィア「そっくりでしょ。」

主人公「あ、ああ。この口の部分なんてそっくり……、」

フロフィア「むぅ。そこは目だよ。」

主人公「えっ。」

フロフィア「じゃあ違うのを作るよ。ふわふわの形を変えると……、はい、メルクちゃん～。」

主人公「おお！この瓶の部分、よくできてるな。」

フロフィア「むぅ。」

主人公「違うのか？」

フロフィア「それはメルクちゃんの髪だよ。」

主人公「やっぱりセンスが独特すぎる……。」

フロフィア「にいさまなら『フロフィアは美しいものを作るね』って言ってくれるのに。」

主人公「フロフィアのお兄さんって俺より歳上なのか？話を聞くかぎり、ずいぶんしっかりしてるみたいだけど。」

フロフィア「１２歳だよ。」

主人公「歳下だったのか……。」

フロフィア「にいさまはキャンディ・ワールドの次の王さまだもん。しっかりしてなくちゃだめでしょ？」

主人公「ごもっともです……。」

フロフィア「でも、ね。にいさまのおそばには、フロフィアがいないとだめな気がするの。」

主人公「どうしてだ？」

フロフィア「にいさま、一生懸命になりすぎちゃうところがあるから。フロフィアがそばにいて支えてあげなくちゃいけないの。」

主人公「フロフィアはお兄さん想いだな。それに、すごくしっかりしてるよ。」

フロフィア「フロフィア、にいさまの妹なんだから、とーぜんでしょ？」

見知らぬ女の子「うう、ぐすっ。」

フロフィア「あれ？あの子、泣いてるけど……、主人公の知り合い？」

主人公「いや、違うぞ。」

主人公「どうしたんだ？」

見知らぬ女の子「旅の途中でお兄ちゃんとはぐれちゃったの。うわあああん。」

フロフィア「泣かないで。」

「俺、周りの人にお兄さんをみかけてないか聞いてみるよ！」

フロフィア「よしよし。きっと、おにいさんすぐ見つかるよ。」

見知らぬ女の子「うう、でもっ。ぐすん。」

フロフィア「うーん。あ、そうだ。」

フロフィア「ふわふわ。ふわふわ。ふわふわふわわわ。」

見知らぬ女の子「わあ……！わたがしで出来たちょうちょだ……！」

フロフィア「フロフィア、わたあめ細工で１番得意なのはちょうちょなの。そしてこのちょうちょは、ふわりふわりと空をとびます。」

見知らぬ女の子「すごいすごい！まるで生きてるみたい！」

フロフィア「他にもこんなのがつくれるよ。」

見知らぬ女の子「これは何？」

フロフィア「これはね、フロフィアの考えたモンスター。」

見知らぬ女の子「なんだか不思議な形。でもとっても可愛いね。」

フロフィア「これも、うごかせます。」

見知らぬ女の子「あはは、くすぐったい！」

フロフィア「泣きやんだね。」

見知らぬ女の子「え？」

フロフィア「笑顔になった。よかった。」

見知らぬ女の子「……。」

主人公「おーい、お兄さんを連れてきたぞ！」

女の子のお兄さん「よかった、ここにいたのか……！」

見知らぬ女の子「お兄ちゃん……！」

女の子のお兄さん「急にいなくなったから心配したぞ。」

見知らぬ女の子「ごめんなさい……。」

女の子のお兄さん「……いや、俺も旅の途中なのにうっかりしてたよ。寂しい想いをさせてごめんな。」

主人公「会えてよかったですね。」

女の子のお兄さん「ああ、助かったよ。」

見知らぬ女の子「あの。」

フロフィア「なあに。」

見知らぬ女の子「ありがとう。いろんなものを作って、元気づけてくれて。」

フロフィア「……どういたしまして。」

女の子のお兄さん「それじゃあ。」

見知らぬ女の子「本当にありがとうね。さようなら。」

フロフィア「……うん。さようなら。」

(暗転)

フロフィア「ふわふわ。ふわふわ。ふわふわふわわわ。」

主人公「フロフィア。また何か作ってるのか。」

フロフィア「そう。」

主人公「……フロフィア、大丈夫か？」

フロフィア「なにが。」

主人公「なんだかとても、寂しそうだから。」

フロフィア「ちょっとだけ……、うらやましかった。」

主人公「え？」

フロフィア「さっきの子。おにいさんに会えた時、嬉しそうで。フロフィア、にいさまのことを思い出してた。」

主人公「そっか。」

フロフィア「でも、フロフィアは泣かないよ、キャンディ・ワールドの女王だもん。」

主人公「強いんだな、フロフィアは。でも、あんまり無理はするなよ。寂しかったら、寂しいってちゃんと言ってくれ。」

フロフィア「うん。ありがとう、主人公。」

フロフィア「ねえ、なぞなぞだよ。これ、なーんだ。」

主人公「えっと……、ああ、わかった。」

主人公「さっきの女の子とお兄さん、だろ。」

フロフィア「えへへ、ごーかくです。」

フロフィア「ふわふわ。あの子とおにいさんはふわふわ。しあわせの色してた。」

フロフィア「でもね、答えはもうひとつあるの。」

主人公「そうなのか？」

フロフィア「このふわふわは、フロフィアとにいさまでもあるの。」

フロフィア「さっきの女の子とおにいさんとおんなじふわふわ。しあわせな色をしてるキャンディ・ワールドの王子と王女の形だよ。」