「溌剌の闇風船」ノンノ

>>2

ノンノ「よいしょっと。」

主人公「え？　俺の膝の上に座るのか？」

ノンノ「そー。ノンノ、主人公のひざのうえにすわりたい！　なんだかあんしんできそうだから！　だめ？」

主人公「いや、別に構わないさ。」

主人公「じゃあ読むぞ。『むかしむかし。あるところに……、』」

ノンノ「すぅ……。」

主人公「あれ！？　ノンノ！？」

ノンノ「すぅ……、すぅ……。」

主人公「本当にすぐ寝るんだな……。」

主人公「……。」

主人公「起こしたらかわいそうだし、しばらく、このままでいるか。」

>>2

ノンノ「だけどいいの。つぎ、おきてればいいだけだもん！」

ノンノ「主人公！　えほんよんで！　ノンノ、このままだと、ひまでひまでうずうずむしがでてくるー！」

主人公「わ、わかった。紹介所のお姉さんに聞いてみるよ。」

　－－－

主人公「ノンノ、お姉さんに聞いて、絵本借りてきたぞ。」

ノンノ「やったー！」

主人公「でもこの絵本、初めて見るな……？　タイトルは『５人の家族の冒険物語』……？」

主人公「なんだか面白そうなタイトルだな。」

ノンノ「主人公、はやくよんでー！」

主人公「ああ。」

>>2

ノンノ「はっ。」

主人公「な、なんだ？」

ノンノ「これは、ごくひじこーなんだった！　エルねぇにいわれてたのに！　ノンノ、うっかりしてた。たいへんたいへん。」

ノンノ「主人公、このことはほかのひとたちにはないしょね！」

主人公「わ、わかった。」

ノンノ「そうだ、主人公。たかいたかいのかわりに、えほんよんで！」

主人公「絵本？」

ノンノ「そう。いつもよるは、ルスにぃとクートといっしょにねてるんだけど……、」

ノンノ「ルスにぃは、そのときに、えほんをよんでくれるの。」

ノンノ「でも、ノンノはすぐねちゃうから、えほんのさいごをしらないことが、おおいけど。」

>>2

ノンノ「でも、ほんとうの『かぞく』じゃなくても、ノンノ、それでいいっておもってる。」

ノンノ「だって、ルスにぃもルクねぇもエルねぇも、とってもやさしくて、ノンノ、だいすきだから！」

ノンノ「もちろん、クートのこともすきだよ。ちょっとよわむしだけど。」

ノンノ「みんな、ノンノにとって、だいじな『かぞく』だから。」

主人公「そっか。ノンノにとって、みんなは宝物みたいな存在なんだな。」

ノンノ「うん！」

ノンノ「でも……。」

ノンノ「ルクねぇもエルねぇも、ルスにぃのことがすきなんだけど……。ルクねぇのすきとエルねぇのすきは、ちがうきがするの。」

主人公「ん？　そうなのか？」

>>2

主人公「ところで、ノンノが言ってるルス兄さんって……、ノンノのお兄さんなのか？」

ノンノ「そーだよ。ノンノ、５にんきょーだいのすえっこなの。」

ノンノ「ルスにぃ、ルクねぇ、エルねぇ、あとふたごのおにーちゃんのクートがいるよ。」

主人公「へえ……！　ノンノの家は大家族なんだな。」

ノンノ「そう！　みんな、なかよしだし、たのしいよ。でも……、」

主人公「でも？」

ノンノ「ノンノ、ほんとうのかぞくは、クートだけなの。ルスにぃとルクねぇとエルねぇは、ほんとうのきょうだいじゃないの。」

ノンノ「ノンノのいえ、こじいんだから。ルスにぃたちとは、そこでであっただけなの。」

主人公「そうだったのか……。」

>>2

ノンノ「そっかあ。でも、ルスにぃだったら、もっとたかくノンノをもちあげてくれるのに～！」

ノンノ「あと、たかいたかいしたまま、ぐるぐる～ってまわってくれる！」

主人公「ごめん、ノンノ。それは俺にはできない……。」

主人公「うう、どうせ、俺は二の腕もふにふにだよ……。」

ノンノ「はっ。」

主人公「こ、今度はどうした？」

ノンノ「まえに、ルスにぃ、いってた。ひととひとをくらべちゃいけないって。」

ノンノ「主人公がたかいたかいできなくても、ノンノ、主人公はやさしいからすきだよ。」

主人公「ありがとう。そう言ってもらえると嬉しいよ。」

>>2

主人公「……。」

主人公「た、たかいたかぁーいっ！」

ノンノ「ひくいよ。」

主人公「えっ。」

ノンノ「もういちど！」

主人公「わ、わかった！」

主人公「……。」

主人公「たかい、たかぁああい！」

ノンノ「いまいち。」

主人公「う、腕が、腕がギシっていったー！」

ノンノ「えっ、主人公だいじょーぶ？　ノンノ、おもかった？」

主人公「いや、俺の腕の強度の問題だから気にしないでくれ……。」

>>2

主人公「えっと、ところで、ノンノは俺に何か用があったのか？」

ノンノ「そうだった！　ノンノ、主人公とあそびたい～！　ルスにぃたちがいないから、つまんない～！」

主人公「わかった、俺と遊ぼうか。何をするんだ？」

ノンノ「たかいたかい！」

主人公「た、高い高い！？」

ノンノ「ん！」

主人公「そんな準備万端！　って顔で腕を伸ばされても……、」

ノンノ「はっ。主人公、もしかして……、」

主人公「なんだ？」

ノンノ「けっこー、ひんじゃくなの？」

主人公「そこまでじゃない！　はず！」

ノンノ「じゃあ、たかいたかいして！　ルスにぃみたいに！」

主人公「わ、わかった。」

>>2

ノンノ「主人公～！」

主人公「どうした、ノンノ。」

ノンノ「ふるぱわー！　だーっしゅ！」

主人公「うぐっ！？」

ノンノ「あれ？　主人公のおなか、ふにふにしてる！　ルスにぃのふっきんとちがう～！」

主人公「わ、悪かったな……。そのルス兄……さん？　と違って俺の腹筋はふにふにだよ……。」

ノンノ「主人公がどうしてがっかりしてるの？　ごめんね？　あとふるぱわー！　いたかった？　それもごめんね？」

ノンノ「ノンノが、ぜんめんてきにわるかった！　ノンノ、おりこーだから、ちゃんとあやまれる！」

主人公「お、おお、偉いな……。俺は大丈夫だから。」

ノンノ「よかった！」

ユニストです