「破壊の暴君」ミリム

＜紹介所＞

ミリム「あーん……。」

ミリム「んん～！ これもうまい！ メルク！ これはなんなのだ？」

メルク「魔法の国名物のキノコチップスなのです。王国から見て南西にある国なのですよー。」

ミリム「世界中の食べ物が集まるとは……！ 改めて、王国というのはいい所なのだ！」

メルク「みゅふふ、気に入ってもらえたのです？」

ミリム「もちろんなのだ！ み～んな気に入ったのだ！」

ミリム「これで、ワタシに喧嘩を売ってくるヤツがいれば、何も言うことはないのだがな！」

メルク「ミリム様に喧嘩を売れる人は、メフテルハーネにはなかなかいないと思うのですよ……。」

メルク「みゅ、そうなのです！ もし力を持て余しているのなら、主人公さんのお手伝いを……、」

ミリム「お断りなのだ！ あいつの仕事はつまらん！」

ミリム「力をセーブしないといけないし！ 癒されたモンスターは大人しくなってしまうし！ あいつは何が楽しみでやっているのだ！？」

メルク「た、楽しみとかではないと思うのですが……。」

ミリム「そもそも、魔王のワタシを、雑用に使えると思っている時点で不敬だからな！ お前に食べ物の知識がなければ、すぐにでも……！」

主人公「いやぁあああああ！」

メルク「主人公さん！？」

ミリム「なんなのだ、騒々しい。少しはワタシを見習って、落ち着きというものを……、」

ミリム「って、どうしてそんなにフラフラなのだ？」

メルク「もしかして、モンスターを癒すのに失敗したのです！？」

主人公「うう……ち、違う。癒すことはできたんだけど……、」

主人公「なんでか、モンスター同士で喧嘩が始まって……。ま、巻き込まれる前に、逃げてきた……。」

ミリム「ほほう……？」

主人公「メルク……。今回は来なくて正解だっ、た……。」

「ガクッ！」

メルク「主人公さぁーん！」

ミリム「主人公。寝る前に教えるのだ。」

メルク「無慈悲過ぎなのですよ！」

ミリム「そのモンスター共はどこにいるのだ？」

主人公「ど、どこって……。森を越えた先の川に……、」

ミリム「わかったのだ！ では、行ってくる！」

主人公「い、行くって、もしかしてそこに！？」

ミリム「そこ以外にどこがあるのだ！ ごはんを用意して待っているがいい！」

メルク「ひ、一人じゃ危ないので……、」

「わははは！ 行ってくるのだぁ！」

メルク「ミリム様ぁー！」

＜川原＞

ノーズホーン「グルルル！」

シックル「シュルル！」

ラビューン「キュイイ！」

シックル＆ラビューン＆ノーズホーン「ガルアァアアアア！」

「とりゃあああ！」

シックル＆ラビューン＆ノーズホーン「……！？」

ミリム「ふぅー、間に合ったのだ。」

ノーズホーン「ぐるるる……。」

ミリム「ああ、ワタシか？ ワタシは魔王、ミリム・ナーヴァだ！ よろしくな！」

シックル「しゅ、しゅるる……？」

ミリム「警戒しなくてもいいのだ！ ワタシはお前達を邪魔するつもりはない！ いや、むしろ……、」

ミリム「ワタシも混ぜるのだ！」

シックル＆ラビューン＆ノーズホーン「……。」

シックル＆ラビューン＆ノーズホーン「がるるる……？」

ミリム「ワタシにはお見通しなのだ。お前達は、癒されようが、癒されまいが関係なく、強いヤツとは戦わずにはいられないタチなのだろう？」

ノーズホーン「……！」

ミリム「わかるっ！ わかるのだ！ この世界にもお前達のような者がいて嬉しいのだ！ おかげで、ワタシの消化不良も解消できそうなのだ！」

ミリム「さぁ！ ワタシとも存分に遊ぼうー！」

ノーズホーン「ぐ、ぐるる……。」

ラビューン「きゅい……。」

ミリム「どうした？ なぜ、かかってこないのだ？ お前達にとっては『魔王』の肩書も、恐れを抱くものではないだろう！」

ミリム「も、もしかして、ワタシとは遊べないというのか！？ 仲間外れはいやなのだー！ ワタシとも遊ぶのだー！」

シックル「……。」

ミリム「ぐすっ……。なんだ、その目は……？」

ミリム「……もしかして、ワタシを見た目で侮っているのか？ 勝負するまでもなく、相手にはならないと？」

ノーズホーン「ぐるる……。」

ミリム「……。」

ミリム「なめるなぁ！」

シックル＆ラビューン＆ノーズホーン「……！？」

ミリム「勘違いしているようだから教えてやろう。ワタシはお前達に挑みにきたわけではない。」

ミリム「あくまで、挑むのはお前達なのだ。」

シックル＆ラビューン＆ノーズホーン「……！」

シックル＆ラビューン＆ノーズホーン「……。」

ミリム「おおっ、いい目なのだ！ その目に免じて、さっきの無礼は忘れてやろう！」

ミリム「では……、どうする？」

シックル＆ラビューン＆ノーズホーン「……。」

シックル＆ラビューン＆ノーズホーン「グルルルル！」

ミリム「そうこなくては！ うんと遊んでやるぞ、お前達ー！」

<川原・夕暮れ>

ラビューン「キュ……、」

「キュイ……！」

ミリム「わはははは！ 最後の一撃はかなり良かったのだ！ おぬし、『名持ち（ネームド）』であれば、魔王も狙える器かもしれないぞ！」

ミリム「さぁ、次は誰なのだ！」

ノーズホーン「ぐるるる……。」

シックル「しゅるぅ……。」

ミリム「なんだ、もうおしまいなのか。ワタシはまだ全力は出していないのだぞ！」

シックル＆ラビューン＆ノーズホーン「ぐるる！？」

ミリム「とはいえ、ワタシもそろそろお腹が空いてきたしな……。うん、今日はこの辺で終わりにしておこう！」

ミリム「思っていた以上に楽しめたぞ。感謝するのだ、おぬし達！」

シックル＆ラビューン＆ノーズホーン「ぐ、ぐるる。」

ミリム「あ、そうだ。これをやろう。」

ラビューン「きゅい……？」

ミリム「ワタシの親友（マブダチ）が作っている、フルポーションなのだ。」

ミリム「これで傷を癒して、またワタシと遊ぼう！」

ラビューン「……！」

ミリム「お前達のことを気に入ったのだ！ いつでも相手をしてやるから、必ず来るのだ！ 約束だからな？ 破ったらひどいぞ！」

「ではなー！」

シックル＆ラビューン＆ノーズホーン「……。」

＜紹介所＞

ミリム「あーん。」

ミリム「んん～、メフテルハーネの食べ物はやはりうまい！ さてと、次はスリルフードとやらを……、」

主人公「ミリム様ー！」

ミリム「なんだ、騒々しい。」

メルク「た、大変なのですよ！ モンスター達が集まってきていて……！」

シックル＆ラビューン＆ノーズホーン「ぐるるるる！」

メルク「みゅ、みゅわ～！？」

ミリム「おお、もう遊びに来たのか！ いいぞ、腹ごしらえもすんだし早速……！」

シックル＆ラビューン＆ノーズホーン「……。」

シックル＆ラビューン＆ノーズホーン「ぐるぅ〜！」

主人公「へっ？ モンスター達がミリム様の足元で……、」

メルク「頭を下げているのですよ……？」

ミリム「なんだ。お前達、ワタシの部下になりたいのか？」

ノーズホーン「ぐるる！」

メルク「みゅっ！？」

ミリム「よくあることなのだ。喧嘩の決着がついたあとは、特にな。」

メルク「そ、そうなのですね……。」

主人公「それで……ど、どうするんですか？」

ミリム「別にいいけど？」

主人公「かるっ！」

シックル＆ラビューン＆ノーズホーン「ぐるる！」

ミリム「今更、部下が１０、２０程度増えたところで、大した違いにもならないのだ。」

ミリム「付いて来たいというのなら、好きにすればいい。ただし、ワタシの遊びには付き合ってもらうぞ？」

シックル＆ラビューン＆ノーズホーン「ぐるるる！」

ミリム「わはははは！ それでこそ、ワタシの部下なのだ！」

ミリム「そうと決まれば、早速遊びに行くぞ！ ワタシの座を奪うぐらいの気持ちでかかってくるのだー！」

シックル&ラビューン&ノーズホーン「ぐるるー！」

メルク「……自分のしたいことをしているだけで、相手の心を掴んでしまうとは……、」

主人公「すごいんだな……『魔王』って。」