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【百鬼異聞録】「永劫入道」ストーリーまとめ【イベントストーリー】

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目次 (永劫入道ストーリー)

▶「永劫入道」イベント詳細

前編

三つ目
『もうどれぐらい航行したのだろう……』
一条
『時間は数週間、距離は分からないね。』
三つ目
『はぁ……あの目的地を示す赤い糸は果てが見えないのだが。』
三つ目
『本当に辿り着けるのだろうか……』
一条
『試してみないと分からないじゃない。』
一条
『どうせ蜃気楼は「楼」の割りには食材も物資も自給自足できるしね。』
一条
『長い冒険と思って、気長に進もう。』
一条
『それとも、怖くなった?』
三つ目
『僕は蜃気楼一番の武士だ!僕が怖がるものなんてある訳がない!』
三つ目
『怖いどころか、何かあったら僕が絶対みんなを守るからな!』
さっきまで胸を張った猫が言い終わった途端、足元の蜃気楼が激しく揺れた。
三つ目
『ヒィっ!?何かにぶつかった?』
三つ目
『待って、こんな場所で衝突なんてあるか?』
答えたのはしばらくの静寂、そして……
ドカーン!
巨大な衝撃を受け、普段はゆっくり流れる温泉も揺れで波を起こし、商店街の泡池から溢れた。
宴会が水に流され、客たちもみんな地面を転がった。
弱々しい体格の妖怪たちは危うく甲板から落とされ、見はてない虚無に落ちるところだった。
蜃気楼の船でも、この並外れた衝撃に激しく揺れ、三界六道の狭間を彷徨いそうになった。
この前の強化工事がなかったら、今頃船はバラバラになったっておかしくない!
縁結神
『うあ――何事なのじゃ――』
中庭広場で、縁結神は柵をきつく抱きしめて、かろうじてバランスを維持している。
藤姫
『ここは……とても不安定です!』
壁にべったりくっつき、一歩も動けない藤姫が途絶え途絶えで答えた。
藤姫
『周囲の感覚は複雑で目まぐるしい。まるで複数の夢が重なったみたい……』
縁結神
『あ――以前、赤い糸はどこかしらに止まって、ぐるぐる回るって……』
縁結神
『うあ――また始まった!!』
藤姫
『縁ちゃん!』
少女が前に出て、仲間の手を自分のほうへ引っ張ったおかげで、縁結神はどうにか柱にぶつからずに済んだ。
しかし船体の激しい揺れの中で、二人の少女は抱き合ったまま広場の向こうへと転がった。
藤姫
『うぅ……頭がくらくらします……縁ちゃんは大丈夫かしら?』
縁結神
『藤姫は?』
藤姫
『私は大丈夫です。それより、何か言いかけていませんでした?』
縁結神
『えっと、そうだね……』
縁結神
『この前、赤い糸の進路を阻んだのが、もしかしたらここかもしれん。』
縁結神
『それが本当なら、目的地まであとちょっとってことになるのじゃ!』
縁結神
『この尋常じゃない揺れは、ここが各界へ繋がる道が交差する場所だからかもしれん。』
藤姫
『それだったら、私が感じたことも説明がつきますね。』
藤姫
『でも……』
藤姫が周りを見渡した。
船はまだ揺れている。まるで台風の中のひとひらの葉。
目的地はすぐそこなのかもしれないが、パニックになった妖怪たちは危険を脱するための方法をすぐに見つかりそうにもない。
目の前の危機は、船体がこれ以上の揺れには耐えられないことだ。
早く解決策を見つけないと、すぐに壊れてしまう。
???(荒川の主)
『フン、静かでゆっくり休める場所かと思ったらこれだ。』
???(荒川の主)
『こんなに騒がしいとは。』
落ち着いた声が遠くない場所から聞こえてきた。
その者は、魚が周りを泳ぎ、肩を揺らしてゆっくり歩いて来た。
パニックになった妖怪たちとは正反対で、余裕ありそうにしていた。
荒川の主
『この程度の波、巨魚を降伏させた時の海とは程遠いぞ。』
荒川の主
『まぁいい、ここで会うのも何かの縁だ。我が助けてやろう!』
話し終えると、波が彼の足元で渦を巻いた。
彼は手に金色の刀を掲げ、刀を中心に眩しい光が堅い障壁に変わり、蜃気楼を中に包んだ。
荒川の主
『この場所は怪しい、長居するな。』
荒川の主の刀は舵のように、彼本人は案内人となって、蜃気楼の行く先を左右できるかのように指揮をとった。
船体が大分安定したのを見て、縁結神も再び集中し、赤い糸で方向を探った。
縁結神
『うぅ……ダメだ。ここだと本来の目的地はもう占えないのじゃ。』
荒川の主
『構わん。我が汝らをしばらく休める場所へ連れて行こう。休息を取ってからでも遅くない。』
藤姫
『それなら……』
藤姫も目を瞑り、縁結神と両手の指を絡めた。
藤色と緋色が映り合い、赤い糸がすぐさまある方向を指し示した。
荒川の主
『よかろう。』
船が方向を変え、再び帆が上がった。嘯く乱流の中で、蜃気楼はゆっくり、しかし穏やかに時空の狭間を目指していた。
乱流に流された暴気楼がやがて止まった場所はとある凪いだ海辺だった。
果たしてこの場所はこの世なのか、あの世なのかも分からず、安全かどうかも知る由もなかった。
しかし蜃気楼はすぐにでも修繕が必要のため、妖怪たちもそこまで気にする余裕はなかった。
それに、ここの妖怪はもともとみんなすごいことができるし、何かあった時でもきっと解決策を見つけられるのに違いない。
楽観的な妖怪たちは、早速この場所で散策しようとしていた。
一番最初に異様に気づいたのは、冷静沈着で冒険に出る兄弟の心配をする一条だった。
一条
『遠くに何か紫の霧みたいのがあるじゃないか?』
彼は高いところに立ち、彼方を指差した。
縁結神
『うむ?どれどれ……』
遠くには紫の霧だけでなく、簡素な衣を身に纏った四人がいた。その四人は親しい仲ではなさそうだが、知り合いのように見える。
人間?
妖怪たちの注意はすぐさま惹かれた。
なぜこんな場所に人間がいる?
少ししたら、妖怪は人間たちの周りを鉄壁のように囲んだ。
三つ目
『あなたたちは……どこから来たのでしょう?』
数人の中の狩衣の少女が真っ先に口を開いた。
彼女の声は泉のように綺麗だが、話している言葉は全く通じなかった。
妖怪たちが反応しないのを見て、彼女は別の喋り方に変えた。しかし残念ながら、今度も知っている単語が一切入っていなかったみたいだ。
状況に戸惑ったように、彼女は腰に手を当て、綺麗な顔の眉間にもシワを寄せていた。
三つ目
『縁結神さんはなにかいい案はないでしょうか?』
縁結神
『我は縁を通じさせることはできるが、言葉が通じないのはさすがに管轄外じゃ。』
縁結神
『っていうか……今までこんなことなかったから……』
霧がさらに広がり、どこから来たのか分からない四人の表情はさっきよりも厳しくなった。
妖怪たちも本能的にただならぬ気配を感じた。
妖怪のひとり一人が肌で感じる。霧の蔓延とともに、この空間は今言いようがない変化が起きていることを。
???(土御門胡桃)
『言葉も通じないし、どうするの……』
???(無塵)
『この数だと、四人の力を全部合わせても、相手できそうにないな。』
???(無塵)
『それにここは怪しい。下手に動かないほうがいいだろう。』
???(滄海)
『このへんてこな場所じゃ、力を思うままに出せない。おかしいぜ。』
???(紅夜)
『モルス島と似ているけど、違う場所みたいね。』
???(紅夜)
『どこか幻境に似ているかも。周りのものもどれが本当か区別がつかないし、探りようもないわね。』
???(紅夜)
『あの時モルス島の異変を察知してすぐ駆け付けて来たのが無謀だったのかもしれないわ。』
???(土御門胡桃)
『待って……なんか妖怪たちが急に静かになったと思わないの?』
???(土御門胡桃)
『しかもみんなこっちを見ているの……』
彼女の言う通り、さっきまで騒いでいた妖怪たちがいつの間にか静かになって、四人をじっと見つめていた。
???(土御門胡桃)
『ん?』
五丸
『通じた!!』
山兎
『何語なのかよくわからないけど、意味が分かった!!』
山兎
『あなたたちは誰?ここで何をしているの?どうして急に言葉が通じたの?』
孟婆
『さっき言った……モルス島……?あなたたちはそこから来たの?』
孟婆
『あの霧が何なのか知っているの?』
蛍草
『あの……本当に人間さんですか?人間さんがどうしてここに……』
三つ目
『その格好知っています!あなたは陰陽師ですよね!?』
騒がしい妖怪たちが一斉に押しかけてきて、言葉は通じたものの、質問がかぶって聞き取れないため、依然交流できないままである。
縁結神
『やめ――』
縁結神
『質問は一人ずつ――』
ようやく落ち着いた妖怪たちは輪を作り、四人の人間を真ん中に囲んだ。
よく見ると、さっき一番騒いでいた妖怪たちはみんな縁結神のげんこつを食らった。
藤姫
『つまり……元の場所の異変を調べていた時に、ここに来たということですか?』
土御門胡桃
『そうなの。』
土御門胡桃
『しかもここは変なの、みんな力の一部しか出せないの。』
土御門胡桃
『力が消えたっていうより、制限されたような気がするの……』
青行燈
『そういえば……』
青行燈
『蜃気楼には掟がある。争いごとは百聞かるたで解決し、暴力厳禁だと。』
青行燈
『それの影響なのかな?』
土御門胡桃
『ああ!なるほどなの……』
無塵
『これで、なぜ急に言葉が通じたのかも説明がつくな。』
無塵
『きっきの陰気は二つの時空の連結をより強固のものにしたかったのだな。』
無塵
『そして両方の掟や禁則もだんだん通じ合うようになった。』
藤姫
『ということで、そちらは蜃気楼の「争いごとは百聞かるた」の掟に従い……』
藤姫
『……私たちも「陰気狂襲中に唯一の勝者を出す」という掟に従うのですね?』
無塵
『当然!』
紅夜
『これで問題は解決できるの?』
無塵
『俺の占いによると、それが最善策だ!』
無塵
『実際上手く行かなかったとしても、また別の方法を探せばいい。何もしないよりはマシってな。』
紅夜
『……よかろう。』
三つ目
『おう!難しそうだが、勝負するなら、この蜃気楼一番の武士兼百聞かるたの達人は負けませんからね!』
滄海
『はははは、気前がいいな!気に入ったぜ。』
滄海
『酒がないのが残念だぜ。』
滄海
『たまに飲みながら対局するのも悪くないな。』
化け狸
『酒?誰か酒の話した?』
化け狸
『今すぐお店で一番いい酒を持ってくるよ!』
縁結神
『……で、どんな状況でも蜃気楼のみんなはそれをお祭りに変えるってわけ?』
藤姫
『いいじゃありませんか。』
藤姫
『縁ちゃんも参戦します?』
縁結神
『そこまで言うなら、やるしかないじゃん!』
百聞かるたを熱心に教える妖怪たちが四人の周りに集まった。
火取魔、化け狸や酒呑童子は滄海と飲み始めていた。
桜雪姫と花鳥風月は紅夜の側でルールや注意事項を軽い声で説明している。
土御門胡桃は源九郎狐と五丸に囲まれた。
会話はさっぱりだが、胡桃さんは妖怪受けがいいことに大変喜んでいる様子だった。
無塵は机の前に正座し、書妖と対局を始めた。四餅と一条が観戦し、棋聖は時々意見を出した。
蜃気楼のものでも、モルス島のものでもない雰囲気が陰気よりも早い速度で広がった。
人間と妖怪、彼方と此方の境界線が百聞かるたと楽しそうな談笑の中で曖昧になっていた。
船が止まり、百聞の始まり、異界もまた一興。

後編

最後の勝者が現れたことによって、周りを包む紫の躍動が消えた。
三つ目
『これで……終わり?』
土御門胡桃
『うーん……確かに異様な感覚は消えたの。』
胡桃はそっと目を瞑り、心で何かを感じている。
しばらくして、彼女は目を開き、細い指で手印を結び、ふんわり光る光の蝶が彼女の指先に止まった。
少女は微笑んで、手を振ると、光の傘が近くに現れた。
妖怪たちはこのお嬢様の意図を理解するよりも先に、胡桃は一瞬にして光の傘の側に移動した。
土御門胡桃
『おっ、やったの!』
奇妙な制限がなくなり、また陰陽術を使えるようになった胡桃は満足そうに頷いた。
土御門胡桃
『これで一件落着なの!』
五丸
『うわ!何だこれ!』
問題を解決したことより、白いもふもふの子猫は胡桃の陰陽術のほうに強く興味を示し、飛び跳ねて胡桃に近づいた。
土御門胡桃
『土御門家の陰陽術よ、興味あるの?』
土御門胡桃
『じゃあ……胡桃の式神になってみるの?』
五丸
『えっ……?』
妹が胡桃と遊んでいる間、三つ目もじっとしていなかった。
これでも博識な猫給仕なんだから、不思議で華麗な術には興味あるが、それでも「落ち着いて」いるフリをしていた。
彼は無極帝国の作法をまねて滄海に一礼した。
三つ目
『では、季……さんも力の制限が解かれたのですか?』
滄海は右手で大剣を握り、くるっと回って構えた。
滄海
『子猫よ、この前「蜃気楼一番の武士」と名乗っていたよな?ちょうどいい機会だ、手合わせ願おうか?』
それはなによりもうれしい言葉だった。三つ目の目はキラキラ光り、ノリノリで頷いた。
少し離れたところに、紅夜は自分の武具を整理していた。
刃が光り、剣はすでに彼女の手にあった。蛇が赤舌を出すよりも早く、前を真っすぐ指していた。
彼女は満足そうに頷いた。剣を軽く振り回し、鞘に戻した。
無塵
『四相帰位、乾坤定めた。さては一件落着したようだな!この度の試練で俺も多くを学んだ!』
無塵は相変わらず妖怪には難しすぎることを言っていた。
化け狸
『別れを告げるのはまだ早いです!さあさあ、問題は解決したし、みんなわしの居酒屋で思い存分飲みましょう!』
化け狸
『お酒もそうだが、蜃気楼は料理も絶品ですから!』
磁器蛙
『その通りケロ!俺の居酒屋で百聞かるたでもやってくれゲロ。』
桃の精
『お時間がありましたら、商店街もぜひ寄ってみてくださいね。』
桃の精
『前は陰気狂襲の対局で忙しかったから仕方なかったのですが、蜃気楼の商店街と温泉を見逃したらもったいないですよ。』
妖怪たちの情熱に負けて、四人は結局蜃気楼に登った。
出会いあれば別れあり、終わらない宴はない。けど出会った喜びは忘れられない。
灯りともす百聞館で、見聞の数々が一枚また一枚、青行燈が手に持つカードへ変わった。
奇譚百景色が異世界の色彩を帯びて、蜃気楼に刻む。
-遙か彼方-
???
『もうすぐだよね。』
???
『苦労したし、少し予想外のこともあったが……』
???
『もうすぐだ。』
清々しくて穏やかな声が囁く。まるで重たい荷物をようやく下ろしたかのように、深いため息をついた。
???
『運命を司る因果は、再び回りだす……』

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ゲーム情報
タイトル 百鬼異聞録~妖怪カードバトル〜
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    • iOS
    • リリース日:2020年11月10日
    • Android
    • リリース日:2020年11月10日
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  • カテゴリー
  • カジュアル
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