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【白猫】混沌インフィニティX Story 前編

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最終更新者:にゃん


目次


Story1 謎のソースを覆う影

Story2 闇に囁くメイド

Story3 ソースの偉大なる種族

Story4 美食教典儀

Story5 タコヤキ断章

Story6 二度づけの怪


登場人物


ネモ
ノア
ハービー
ルル

story1 謎のソースを覆う影



<潜水艦アルゴノート号のクルーたちは、難破船の救助に向かった。

船にはソースが山と積まれている。>

<インフィニティX>ッチュ! タコヤキイッパイ、ツクレルッチュネ♪

ひ、ひいー!! タコー!!

チュー?

何があった……?

艦長ッ!!

タコさんのような……クラゲさんなのです。

ああ……そうだ、な……

ドロ~リ~!!


…………

……


<バビロンの街の一等地。そこに、竣工したばかりのエルダーカンパニー社本社ビルがあった。>


「僕が完成させたよ。」


<それはそうとしてその一室。>


…………

……


旦那様。本日のスケジュールをお伝えします。

うん……

十時より新聞社の取材。十二時よりマーケティング戦略会議。十四時に役員面談。

十五時に有識者会議へのご出席。十八時に工場の視察。

夜はベルナルド公爵をお招きしてディナーとなっております。

ははは……

どうされましたか?

なんか僕……社長さんみたいだね。

ハービー様は、エルダーカンパ二-社の社長です。

僕が社長? 夢みたいだ。

旦那様、ネクタイをお忘れです。

<ルルは、ハービーのネクタイを締めた。>


…………

……


<>♪♪♪


【中堅記者】

社長、時代の先を読むにはどうしたらいいとお考えですか?

ええっと……どうしたら……いいんでしょうね……?

僕はただ……ルルのいうとおり、ソースを作っただけで……

つまり……鋭敏なセンスというわけですか?

そ、そうか……な?

<>♪♪

【ベテラン記者】

社長、起業の秘訣は一体なんですか?

わからないよ……!? でも、売れたんだ……どうしてなんだ?

つまり……時代の先を読む鋭敏なセンス、というわけですね?

と、いうわけ……かな?

【新人記者】

インフィニティXは、何からヒントを得たんですか?

何からって……何から……何から……?

僕は……僕はいったい……何を作ったんだ……!?

<>♪

さあ、旦那様……ソースをつくりましょう――



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story2 闇に囁くメイド



アルゴノートⅡ!!

『照準、セット』

沈め!!

ドロドロ~!!

ぜんぜん効いてないのです。

このソースの匂い……あいつはまさか……

コイツ、<インフィニティX>ノ カタマリッチュ!!

……嘘だろ?


…………

……


ソースが……ソースが……

お注射しましょう!

船乗りさん、お大事になのです。

何なんだあのソースは!

タコヤキタベテ、オチツクッチュ!

そのソースはインフィニティXだろ! 食えるか!!

ドウシテッチュー!!

インフィニティ!!

な、なんだこいつらは……

両手にインフィニティXの瓶を持っているのです。

我らはソースを崇拝するもの。ペケペケペケ団!!

ノーマヨネーズ! ノーケチャップ! イエスソース!!

<巨大なキャベツが転がってきた!?>

ヒャハハハハ! オコノミヤキ! オコノミヤキ!!!!

ソース!! ソース!! ソース!!

ナンナンダッチュ!!

なんでもいい。俺の正気が失われる前に、全員吹き飛ばす。

ネモ、落ち着くのです。

撃たせろ。がまんならん。

ネモは子供なのです。

わかった、冷静になろう。あくまで現実的な視点で、この状況を分析する。

それがいいのです。

やっぱり撃つ。

だめなのです。


……

…………


終わったのです。お好み焼き、美味しかったのです。

ヤマホドタコヤキ、ツクッタッチュー。ジュウジツッチュ……!!

撃ちたい……

みんなでソースを使ったら、おさまったのです。

どこのどいつだ……こんなソースを作った奴は!!


<エルダーカンパニー社、社長。ハーバード・W!!

わずか三年で大富豪になった、天才企業者である!!>


こいつか!!

<ネモは読んでいた雑誌を叩きつけた!>

何を考えてる? 何を企んでる? お前の計画は何だ!!

ノアが、しらべてくるのです。

……何をいってるんだ、お前は。



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story3 ソースの偉大なる種族


ノアなのです。お屋敷で働きたいのです。

採用です。

いっしょうけんめい。働くのです。



ノア副長、潜入二、成功ッチュ!

<ノアは、タコパスたちに副長と呼ばれているのである。>

”……あっさり成功だと……?”

成功……ッチュネ……

”……仕方ない。監視チーム、ノアを援護”

マカセルッチュ~。


…………

……


……うう~。はやく終わらないかなぁ……

【副社長】【専務】

ここは、A案でいくべきですな。

いやいやここはB案ですよ。

社長!

社長!

ご決断を!

は、はいいい!!

【部長】

ここは、間をとってC案でいきましょう!

じゃあ、それで……

A案!

B案!

助けて!!


…………

……


とっても広いお屋敷なのです。

あなたには、お屋敷のおそうじを、お願いします。

わかったのです。がんばるのです。

まず、廊下をモップでふいてください。

はいなのです。

なかなかのモップさばきですね。

おそうじは、好きなのです。

ノアさんは、仕事がていねいですね。

けんそんなのです。

でも、すこし……マイペースさんですね。

もっと、てきぱきするのです。

まずはお仕事に慣れてください。

わかったのです。まずはお仕事に、慣れる。なのです。メモしておくのです。

メモをとるのは大事ですね。

メモをとるのは大事。メモをしておくのです。


…………

……


ようやくお昼だ……なんか買ってこよう……

社長! ランチミーティングです!

今後の戦略を話し合いましょう!

は、はい!!

私のプレゼンをご覧ください!

いやいや私のプレゼンを!

ランチを食べさせて!!



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story4 美食教典儀



<ここは、エルダーカンパニー社のソース工場。インフィニティXは、ここで作られている。>


……は、ハラヘった~。

新商品のサンプルです。

ハッ!? あ……そうだ、工場の視察だったっけ……

社長、しっかりしてください。

は、はい……

こちら、ニガミ草のスープです。

ウゲッ……素材の味を活かしてるね……

続いて、ハナマガリの実のスープです。

ハナマガリの実!?

続いて、ニガミ草とハナマガリの実のブレンドです。

混ぜたの!?


……

…………


まかないです。ノアさん。

ありがとうなのです。

シーフードパスタです。

インフィニティXの匂いなのです。

万能調味料ですから。

いただきますなのです。はむはむ……

ノアさんは、どこのご出身なのですか?

虹の海から来たのです。

とても良いところと聞いてます。

とてもとても……良いところ、なのですよ……


……

…………


ふう……ようやく一日が……終わった……!

旦那様、お帰りなさいませ。

お帰りなさいませ。なのです。

ただいま……あれ? 彼女は……?

新人メイドの、ノアなのです。

し、新人……!? どうして……?

メイドの募集をしていたのは、ご存じだったかと。

あ、そう……なんだ……

ノアさんは、逸材です……

……そうみたいだね。


……

…………


旦那様。お疲れのようですね。

い、いや、たいしたことは……

バカンスを楽しまれては? 虹の海など、いかがでしょう。

そんなお金は……あ、僕は大富豪だったっけ。

さようでございます。

……みんな、君のおかけだ、ルル……

インフィニティXを作ったのは、ハービー様です。

思い出すなあ。あの時君はソースの……

ソースの鍋の中から……

旦那様?


……

…………


<多忙な一日を終え、ハービーは一人部屋で考えた……>

あれから三年か……いろんなことがあったな……

ルルと二人で作ったインフィニティX……

なぜかそれが、世界中でヒットした。おかげで僕は億万長者。

……ちょっと待てよ?

――おかしい。どう考えてもおかしい。

僕が億万長者で、メイドさんにかしづかれて、旦那様とか呼ばれてる!?

ないないない!!あり得ない……あり得ないよ……!!



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story5 タコヤキ断章



おそうじおそうじ、なのです。

それにしても……ルルさんも旦那様も、お仕事が大好きなのです。

ノアもみならって、おそうじなのです。

……ちがったのです。ノアたちはソースのことを調べにきたのです。

あそこの部屋が、怪しいのです。覗いてみるのです。

ちらり……

<ルルがタイプライターを叩いている……?>

ばりばりばり。

<みるみるうちに書類が完成していく……!>

ルルさん、すごいのです。バリバリお仕事をしてるのです。

ノアもお仕事を……ゆらりとがんばるのです。

ゆらゆら……


そうだったのです。潜入調査なのです。

次はあの部屋を調査なのです。

<ルルがナイフで奇怪な物体を切り分けている……?>

ざくざくざく。

ルルさん、お料理をしているのです。

ルルさんはお料理が得意なのです。

ノアもお料理のレパートリーを増やしたいのです。

……ネモに、ノアのつくったごはんを食べてほしいのです。

なんだか、楽しくなってきたのです。

ゆらゆら~。そうだったのです。調査をするのです。


<ルルが……試験管を手にしている。>

どろどろどろ。

イア! イア! パスター! イアイア! ヤキソゥヴァ! イアイア! ダーンゴ!!

ヨーグルトソース!! シャブシャブニクロース! ナマチョコホイップ!!

ルルさんが、何かつくってるのです。

この匂い……インフィニティXなのです。

あのソースは、こうやってつくっているのですね。

イア! イア! マザーソース!!

時空連続体の甘味をもう少し足しましょう。隠し味には虚数物質を……

作り方は普通なのです。


特に変わったことは、なかったのです……

もっと頑張って、潜入調査、なのです。



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story6 二度づけの怪



<ネモとクルーたちは、バビロンの街に潜伏していた。>

イマノ トコロ、ウゴキハ ナイッチュ。

引き続き監視を続行。あいつに賭けるしかない。

デモ、ドウシテ副長ドノヲ潜入サセタッチュ?

あのハービーというやつ、まともじゃない。

だがノアは、相手がどんなに狂っていても、冷静さを保てる。

俺は無理だ。というか……すでにキレかけている。

タコヤキタベテ、オチツクッチュ!

……いらん!

お好み焼きいかーすかー! インフィニティXが、たっぷりかかってるよ!

焼きそばはどうだい? もちろんインフィニティXでどろどろだよ!

こ、こいつら……

兄さん、串カツはどうだい? 揚げたてのカツに、インフィニティX! 最高だね!

どこもかしこも!


…………

……


社長!! どちらに行かれたんですか!! 社長!!

これから会議だというのに、何処に行ったんだ?

手分けして探させましょう。


……ははは……僕が社長なんて、そんなこと、あるわけがない。

いつもいっしょにいてくれた、ルル……

一緒にソースを売りこんだり、工場に泊まりこんだり……

生まれた時からモテなかった僕に、甲斐甲斐しく尽くしてくれる万能なメイド……

そんな子がいるわけがない僕はおかしくなったんだ!


…………

……


クソッ……ハービーめ!! 俺から盗んだノウハウで、成功しやがって……!

<数年前、ハービーを追い詰めたこの男……栄転はしたものの、事実上の左遷状態である。>

ヘーい、串カツおまちー。こちらのソースをお使いくださーい。

<ソースの入った容器がある……>

またインフィニティXか!

それ以外、なんかあるんすか?

ハービーめ!

あっ、お客さん、ソースの二度づけは~。禁止っすよ♪

フン、わかってる。

なんとかこのソースの製法が解明できればな……はむっ。

クソッ! 串カツに合うぞ! ……ソース、足りんな……むう……

<店員の目を盗み……部長は串カツをソースに漬けた!?>

――

な、なんだ!?


…………

……


フィッシュ&チップスか……おやじ、一つくれ。

まいど~。インフィニティX、かけほうだいだよ!

ビネガーと塩でいい。

艦長、タコヤキモ タベナイト、栄養ガカタヨルッチュヨ!

いらん!!

こ、こいつは……!!

<ソースの怪物はフィッシュ&チップスにソースをかけた!>

あ。


デッカクナッタッチュー!!

魔物じゃああ!!


なるほど……お前ら、俺をキレさせたいのか。

全員海に沈めてやる!!



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