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徳州扒鶏・憶絵物語

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最終更新者:皮蛋納豆丼

悠々たる旅・壱

列車に乗り遅れても悩むことはない。

それは私たちが出会うための必然のことわり

◆主人公【女性】の場合◆

(逆の場合の差分は募集中)


徳州扒鶏

「若、もう少し急がないと。列車の出発まであと2分26秒ですよ!」


「ちょ、ちょっと待って……豆乳がこぼれちゃう!」


徳州扒鶏

「すみません、若。飲んでいる時間はなさそうです。」

「目視で駅の入口まであと628メートル。それに改札も通らないと。」

「若、失礼。」


徳州扒鶏は少年がまだ手をつけていない豆乳を道端の人力車の車夫に渡し、少女の手を引いて大股で走った。


「うぅ――」


「な……なぜだ!やっぱり……ふぅ……やっぱり行っちゃった!」


二人は全力で走り、プラットホームにたどり着いたものの、汽笛を鳴らす列車が遠ざかっていくのを、ただ見つめていた。


「ごめん……私の足が遅かったせいだ……」


徳州扒鶏

「いえ、あの豆乳屋で突然仔猫が飛び出してきて机の上に飛び乗り、豆乳3杯とあわ粥2杯をこぼしてしまうことを想定できなかったオレのせいです。」


「しかたない。切符を買いなおそう。次の列車はいつだろう。」


徳州扒鶏

「ええ、オレに任せて、若は先に休んでてください。」


「大丈夫。どうせ間に合わなかったんだから、今はゆっくりしてもかまわないよ。」


徳州扒鶏

「せっかく若と一緒に休日に外出できて、それに民国の雰囲気に合わせて特別に、

 この服も作って下さった。本当に色々と準備していただいたのに……」



『悠々たる旅路は長く月台は客の心を留める』

風雨傾斜天色陰沈

列車が通るとレールがきしむ

だがあなたが同行してくれるなら

私は風雨も怖くない

【徳州扒鶏・悠々たる旅】


「そんなこと言わないでよ。私もずっときみと一緒に蒸気機関車で旅がしたかったから!」

「それに、今日はきみのせっかくの休日。警察服以外の格好をするのは当然だよ!」


徳州扒鶏

「とても気に入っています。ありがとうございます、若。」


徳州扒鶏は少女を連れて切符売り場へ行った。プラットホームの外の空は風雲が広がり、周囲の空気は鬱積した水の塊のようで、重々しく感じる。


徳州扒鶏

「……」


「なんですか?蝶ネクタイ……しめすぎたかな?」


徳州扒鶏

「雨が降りそうだからでしょう。ちょっと暑苦しく感じます。若も気をつけて下さい。」


「私は大丈夫だけど、きみは気分が悪そう……ネクタイを締め直してあげる。」


少女は徳州扒鶏の目の前へ行き、彼の首を支えながら軽く下に下げ、少しきつかった蝶ネクタイを締め直した。


「ん?いつも持ってる蓮の葉袋は?」


徳州扒鶏

「上着の内ポケットに入れています。若が準備して下さった服は飾りまで全部そろっていますから、袋は外してポケットにしまっておきました。」


「よ~し、できた!」


徳州扒鶏

「若、ありがとうございます。確かにさっきよりだいぶ楽になりました。」

「でもなぜか……さっきより呼吸が苦しくなったような……」


「~♪~♪」


徳州扒鶏

「時刻表はここです。よし、一緒にみましょう。」


次の列車を選び、徳州扒鶏は慣れた様子で切符の販売員と話している。


徳州扒鶏

「つまり、今日はどの列車も吹き抜けの車両しか残っていないと?」


「切符が無いの?」


徳州扒鶏

「津浦鉄道は南北を往来する重要な交通機関で、普通なら切符は十分にあるはずです。」

「ですがここ数日南北の旅行客が急に増え、いくつかの吹き抜けの車両の切符が残っている以外、ほかの車両の切符は完売したそうです。」

「雨の中、若を吹き抜けの車両に乗せるわけにはいきません。」


「でも……そしたら列車の旅の切符が買えないんじゃ……」


徳州扒鶏

「すべてオレのせいです。オレがいながらこんな問題が起きるなんて。」


「気にしないで。今は私と同じ休暇中でしょ?今の私たちは旅仲間だよ。」

「完璧に計画された旅は余裕があっていいけど、たまには「今からここに行こう」

 っていう「予想外の旅」もいいもんだよ!」


徳州扒鶏

「ええ、若の仰る通りです。」


私たちが切符の問題に頭を悩ませていると、別の切符の販売員が私たちの苦境を解決するある方法を提案してくれた。


「この列車の終点はちょうど徳州なのに、どうして切符が1枚も売れていないんですか?」


徳州扒鶏

「これはもうすぐ運休する列車で、蒸気タンクが古くなり、ほかの列車に比べて速度がかなり遅いんです。なので急いでいる人はこの列車をあまり選びません。」

「それに、この列車はもうすぐ廃車ですので、これがこの鉄道で行く最後の旅になるかもしれませんね。」

「さっき切符の販売員から聞いたんですが、海外ではすでに列車のエンジンとして蒸気機関は使っていないそうです。」

「そのうち、ここのすべての列車がディーゼル機関車に代わり、またこの蒸気機関車に乗りたいと思っても難しくなるのかもしれませんね。」


「わぁ……この列車の最後の旅路を見届けられるのって、光栄なことだと思うわ。」


徳州扒鶏

「列車の最後の雄姿を見届けられるのは、確かに光栄なことですね。」


「これこそが、「予想外の旅」がもたらす喜びってやつじゃないかな!」





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悠々たる旅・弐

ゆるやかに、ゆっくりと、列車は進んでいく。たっぷりと時間をかけ、美しい夢を醸造するのだ。

◆主人公【女性】の場合◆

(逆の場合の差分は募集中)


一日中降りそうで降らなかった雨が、列車に乗る前になってようやく振り出した。

雨粒が地面に落ち、はじけて夏の歌を奏でた。


蒸気をあげた列車がシュッシュッとプラットホームに入ると、徳州扒鶏はかばんを持ち、少女を引き上げ、一緒に列車の旅へ出発した。


「本当に私たちだけだ……まるで貸切みたい!」


徳州扒鶏

「この列車の切符を買ったのはオレたち2人だけだから、自由に座っていいと販売員が言っていましたよ。」

「でも、途中で誰かがこの列車の切符を買うかもしれないから、やっぱり指定された座席に座った方がいいと思う。」

「雨の日の列車は揺れが大きく、座席から滑り落ちてしまうかもしれません。私たちの座席は同じ側です。安全面を考慮して、若は窓側の位置に座ってください。」


「うん、そうするよ!」


徳州扒鶏

「でも……もし危険なことがあれば、通路側の方が内側よりも安全だ。」

「若、ちょっと待ってください。もう一度2つの位置の安定率を見直させてください……」


「徳州、その必要は……」


徳州扒鶏

「うむ。見直した結果、やはり通路側の座席の方が安全です。さあ、若、列車が動き出します。座りましょう!」


列車が汽笛を鳴らし、車輪がレールに乗り、全ての音がこの旅の始まりを告げた。


「徳州?」


徳州扒鶏

「……」


「徳州~」


徳州扒鶏

「ええ、若。あなたの仰る通りです。」


「うんうん。さっき――「徳州に帰ったら、郭さんと一緒に踊って見せてくれる?」って言ったんだよ。」


徳州扒鶏

「そんなことできません……!ごめん。」


「徳州、列車に乗ってからずっとそわそわしてるよね。もしかして私と一緒なのが嫌……」


徳州扒鶏

「違います!若、オレは列車が好きで、旅行が好きで、それに……貴方と一緒にいるのも好きです。」

「でも雨の日の外出には多くの危険が潜んでいます……なのですぐには気を抜けないんです。」


「うん……徳州、今まで列車に乗って旅行に出かけた時もそんなことを考えていたの?」


徳州扒鶏

「列車には職員がきちんと配備されていますが、時々列車で出かけたり、彼らのちょっとした問題を解決したりします。」

「ほとんどの場合、車掌が全車両の乗客のためにきちんと働いています。」


「そうなんだ……じゃあ徳州がゆっくりできるように、今日は私が徳州の一日車掌になるね!」


徳州扒鶏

「若が?」


「うん。どんな問題で困っている乗客でもいいから演じてみて!」

「今日だけだよ。この村を逃したらもうこのお店はないよ!」


徳州扒鶏

「わかりました。若が遊びたい……そうしたいのなら。」


「コホン。じゃあ始めるよ。」

「ビールに水、ヒマワリの種、落花生、八宝粥――」


徳州扒鶏

「足をどけて?」


「そこのお客さん、それは私の台詞でしょ?」


徳州扒鶏

「オレは若に合わせようと思っただけですよ。」


「じゃあお客様、さっき眉間にしわを寄せていたようですが、何かお困りですか?

 私達の豆乳号に何か不行き届きがありましたか?」


徳州扒鶏

「うん……豆乳号、いい名前だ。北方の朝食でよく見かけますね。」


「徳州、私は真剣に言ってるんだよ!」


徳州扒鶏

「かしこまりました、若。」


「~♪~♪」


徳州扒鶏

「あぁ……わかりました、車掌さん。」

「切符の販売員から聞いたんですが、この列車の蒸気機関の牽引速度は約60km/hだそうです。だとすると雨天などの悪天候では、全工程を完走するのにどのくらい時間がかかるでしょうか?」


「そ、それはけ……計算してみる……」

「雨……風速……時速……これは……えっと……」


徳州扒鶏

「……」


「ちょっと待って。徳州、わざと私をからかってるの?」


徳州扒鶏

「いいえ、若。これは即答問題で、蓮地に蓮の葉が何枚あるかというのと同程度の問題ですよ。」


「徳州も根にもつし、冗談を言うような人だったんだね……!」


徳州扒鶏

「いえ、若。オレはただ貴方に言われた言葉は一字一句覚えているだけです。」


「そっか。私にはお客様の悩みを解決できないみたいだね……」


徳州扒鶏

「そんな、若のおかげで……あ、いや、車掌さんのおかげでずいぶん気が楽になりました。」


「お客さんって……本当にそんな難しい質問をしてくるの?」


徳州扒鶏

「みんなが列車に乗るのは目的地へ向かうためです。なので誰であろうと、一番気がかりなのはいつ目的地に到着できるかということです。」

「列車は時々一時停止することがあり、今のように悪天候に見舞われると、乗客は定刻通りに到着できないかもしれないと心配します。」

「オレたちがすべきことは、乗客を安心させ、定刻通り無事に目的地へ送り届けることです。」


「車掌や乗務員になるには、徳州みたいに立派じゃなきゃいけないみたいだね。」


徳州扒鶏

「若は十分ご立派ですよ。」


徳州扒鶏がポンと隣の座席を叩き、微笑みながら目の前の人を見ている。


徳州扒鶏

「目的地までもうしばらくかかります。若、少し休んでください。」

「この服、良い生地だね……寄りかかったらすごく気持ちよさそう。」


窓の外は相変わらずの荒れ模様。少し揺れる車両は互いに身を寄せ合う2人を乗せ、ゆっくりと夢の世界へ入っていった。




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悠々たる旅・参

あなたは私を雷雨の暗闇から連れ出してくれた。あなたがそばにいれば、私の心は永遠に安らかでいられる。

◆主人公【女性】の場合◆

(逆の場合の差分は募集中)



徳州扒鶏

「気をつけてください、若!」


すると耳をつんざくブレーキ音が鳴れ響き、少女は身体が激しく前へ押されたように感じ、驚いて目を覚ました瞬間、額が温かい両手の上にぴたりとくっついていた。


「徳州?」


徳州扒鶏

「ふぅ……間に合ってよかった。額から机までの距離はわずか5cm。さっき若が前へ傾いた速度からすると、こめかみをぶつけて切れていたでしょう。」


「ありがとう!でもなんで列車が止まったんだろう?もうすぐ駅に着くのかな?」


徳州扒鶏

「確かにもうすぐです。それに速度が遅い列車が急行列車に道を譲るために止まることもあります。」


「急行列車が通るの?」


徳州扒鶏

「通常ならこの時間はありえない……天気のせいなのか?」


徳州扒鶏が少女を支える手にだんだん力がこもり、手をポンと叩かれてやっと気まずくなって手を放した。


「それなら、何が起きたのか聞いてこようかな!」


徳州扒鶏

「雨はまだ止んでいません。私が行きましょう。」


「今日は私が徳州の一日車掌って言ったでしょ?私が行って当然だよ!」


徳州扒鶏

「それじゃあ……車掌さんに任せます。」

「雨傘、それから靴の雨除け、雨合羽も着てください。」


「徳州、かばんにそんなに沢山の物を入れてたの?」


徳州扒鶏

「若と一緒の外出ですから、もちろん抜かりがあってはいけません。万全でなければ。」


「さすが。」


徳州扒鶏

「列車の運行が再開する時には、笛を吹いて知らせるので、時間に注意してくださいね。」


「安心して!」


徳州扒鶏は入口に寄りかかり、少女が傘をさして遠ざかって行く姿を見て、ふと雨の日もそう悪くないと思った。


「徳州――!ごめんね!だいぶ待たせちゃった!」


徳州扒鶏

「いえ、大したことありません。」


「でも若、靴が濡れていますよ。」


徳州扒鶏

「10分20秒。長くはありません。」


列車の汽笛が鳴り響き、徳州扒鶏は少女を列車の扉の辺りの階段へ引っ張った。


「さっき聞いてきたんだけど、一時停止したのはずっと雨に濡れていたから、車両の連結部分に問題が起きていないか心配で検査したかったんだって~。それからもうすぐ徳州に到着するよ!」


徳州扒鶏

「車掌さん、ありがとうございます。これで安心です。」


「へへ!」


少女が階段の最後の段に上がろうとしたその時、走り出して加速した列車が揺れ、足元の雨水のせいでそのまま後ろへ倒れてしまった――


徳州扒鶏

「若――!!!」


徳州扒鶏はなりふり構わず少女の手を引っ張り、彼女を列車まで引っ張り上げた。慣性の法則と列車の揺れのせいで、2人は思い通り地面に倒れた。


しかし、徳州扒鶏は相手を懐に抱いて守り、何が何でも手をほどこうとしなかった。胸元で激しく脈打つ心臓が、さっきの状況がいかに危険だったかを物語っていた。


「徳州、徳州……もう大丈夫……」


徳州扒鶏

「うっ……!」


懐の中の人物は立ち上がろうとしたが、徳州扒鶏はまるでおぼれた人が流木にしがみつくように、どうしても放そうとせず、全身がうっすら震えていた。


「大丈夫、行かないから……ごめん……私がちゃんと立っていなかったから……」


徳州扒鶏

「オレのせいです……」


「どうして?私を守ってくれたでしょ?」


徳州扒鶏

「オレが行くべきでした。」

「貴方が転ぶ様子を見て頭の中が真っ白になって、冷静になるだとか、よく考えて行動するだとか……全部吹き飛んでしまいました。」

「ただ貴方を守りたいと思った。」

「さっき貴方をつかめていなかったら……お……オレは一生自分を恨んでいたでしょう。」


「つかんでくれた!私をちゃんと守ってくれたんだね!きみは……私を守ってくれる英雄だよ!」


徳州扒鶏は少女の肩に額を乗せ、ほっと一息ついた。


徳州扒鶏

「ああ……よかった……」


「転んだ瞬間、無意識に怖いと感じたけど、実はずっと徳州が必ず助けてくれるって思ってたんだ……そして本当に私を引き戻してくれた!」

「今のきみは、どんな「予定外の出来事」も完璧に解決できる人になったんだよ。」


徳州扒鶏

「オレが……解決できるようになった?」


「そうさ!これからはもうこんなふうに雨の日を怖がらなくてもいいんだよ。こんな雨の日でも私を救うことに成功したんだから!」


徳州扒鶏

「若は何か不思議な魔法でも使えるんですか?いつも人を勇気づけて、あふれる力をくれる。」

「オレが雷雨を怖がる理由を若に話すのは、若がオレに勇気をくれたからです。」

「さっき起きた事故で一番怖かったのは若であるはずなのに、若がオレを慰めてくれて、雷雨の暗い記憶を克服させてくれました。」

「だから、貴方こそ……オレにとっての英雄です。」


「そ……そんな風に言われると照れるよ。」

「さあ起きて!もうすぐ到着だよ!でも、駅に入る前にまた停車するかな。」


徳州扒鶏

「ん?どういうことですか?」


「車掌命令だよ!」


これまで雨が降り続いていたが、減速して徳州駅に入ると雨足が弱まった。列車が駅に入るまであと数百メートルまで来ると、少女は徳州に入口に立っておくように言いつけ、自分一人で列車を降りた。


徳州扒鶏

「何をなさるつもりかわかりませんが、若がそうしろと仰るなら……」


少女が次第に遠ざかり、一瞬にしてプラットホームを往来する人の群れの中に消えた。


徳州扒鶏は少しやきもきした。時には誰かに助けられなくても、任務を完璧にこなせる若の実力も知っている。しかし……それでも彼は常に若のそばにいて、永遠に離れたくないと思っていた。


また列車の汽笛が鳴った。この列車はもうすぐ旅を終え、帰るべき場所に帰る。

まるで旅行者が自分の旅を終えるように。


「徳州!ここだよ!」


徳州扒鶏

「!!!」


列車がゆっくりと駅に入り、プラットホームで少女が自分に手を振り続けている。それはまるで長い間故郷を離れた旅人を帰るべき場所で出迎えているようだった。


「おかえり――!!!」


徳州扒鶏

「若……!」

「ただいま!」


列車は最後の旅を終えると、まもなく近くの公園に送られ、公園の主役になる。


徳州は作業員たちが列車の最後の清掃を行う様子を何も言わずしばらく静かに見ていた。


「徳州、どうしてじーっとぼんやり見てるの?なんだか名残惜しそうだね。」


徳州扒鶏

「ええ……名残惜しいのは列車じゃなくて……貴方と一緒の旅ですよ。」





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