コニー
Illustrator:夢ノ内
名前 | コニー |
---|---|
年齢 | 8歳 |
職業 | パン屋『明石家』の若きエース職人 |
趣味 | パン研究 |
- 2019年4月11日追加
- AMAZON ep.IVマップ2完走で入手。<終了済>
- 入手方法:2021/1/21~3/3開催の「「穏やかな日々……愛しのあなたへ」ガチャ」<終了済>
- 入手方法:2021/11/4~12/8開催の「「お風呂上がりの一発でわからせる!」ガチャ」<終了済>
- 対応楽曲は「Servant of Love」。
パンタパンタの幼馴染であり、サファリ市で彼と双璧をなすパン職人。
コニー【 通常 / タカサキ春のパン祭り 】
スキル
RANK | スキル |
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1 | ミュージックパレード |
5 | |
10 | |
15 |
include:共通スキル
- ミュージックパレード [GUARD]
- 鉄壁ガード系列の亜種。ランダム性のある終了時ボーナスを持つ。
防御系としては若干不安定か。当たりはずれを問わずゲージ4本が限度。 - 筐体内の入手方法(2021/8/5時点):
- 筐体内では入手できない。
プレイ環境 | 最大 | |
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開始時期 | ガチャ | |
PARADISE× (2021/8/5~) | 無し | × |
あり | ||
PARADISE (~2021/8/4) | 無し | |
あり | +7 | |
CRYSTAL | 無し | +3 |
あり | +7 | |
AMAZON+以前 |
GRADE | 効果 | |
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▼以降はCARD MAKERで入手するキャラが必要 (2021/8/5以降では未登場) | ||
共通 | ゲーム終了時に確率でボーナス 【50%】 +15000/【50%】 +5000 | |
初期値 | 一定回数ダメージを無効化(20回) | |
+1 | 〃(30回) | |
+2 | 〃(40回) | |
+3 | 〃(50回) | |
+4 | 〃(60回) | |
+5 | 〃(70回) | |
+6 | 〃(80回) | |
+7 | 〃(90回) | |
理論値下限:65000(4本+5000/20k) 理論値上限:75000(4本+15000/20k) |
ランクテーブル
1 | 2 | 3 | 4 | 5 | |
スキル | Ep.1 | Ep.2 | Ep.3 | スキル | |
6 | 7 | 8 | 9 | 10 | |
Ep.4 | Ep.5 | Ep.6 | Ep.7 | スキル | |
11 | 12 | 13 | 14 | 15 | |
Ep.8 | Ep.9 | Ep.10 | Ep.11 | スキル | |
16 | 17 | 18 | 19 | 20 | |
21 | 22 | 23 | 24 | 25 | |
スキル | |||||
~50 | |||||
スキル | |||||
~100 | |||||
スキル |
STORY
ここはしゃべる動物と人間が仲良く生活している不思議な世界『グンマ県』。
このグンマ県のサファリ市でも、大勢の動物たちが毎日楽しく暮らしています。
サファリ市の中でも有名なパン屋といえば何といってもパンダのパンタが経営する
『West&East』とレッサーパンダのコニーが経営する
『Imperial Bread』でしょう!
パンタとコニーは幼なじみで、今では良きライバルですが、実はコニーがグンマ県に帰ってきたのはごく最近のことなのです。
これはパン屋のパンタと幼馴染のコニーが、奇跡的な再開を果たす前日譚です。
コニーが栄光あるImperial Breadを作り上げるまでの過去と、彼の激動の人生のお話です。
ヒョウゴ県の一大パン製造メーカーである、『明石家』。
そこではレッサーパンダの青年、コニーが働いていました。
コニーのパン職人としての腕前はヒョウゴ県一であり、彼は若くして『明石家』のエースを任されていました。
「Prince Bread54号完成だ!」
かまどからパンを取り出し、コニーは高らかに叫びます。すると、周囲で仕事をしていた職人たちが手を止め、一斉にコニーのもとに集まりました。
「おお、コニーの新作か!」
「ぜひオレに試食させてくれ!」
「いやいや、私にさせてくれ! 頼むよコニー!」
職人たちはコニーのパンが大好きであり、コニーが試作を作る度に、試食を願い出ていたのです。
コニーは集まる職人たちに対し、得意げに笑い、天板に乗せられたふっくらとしたパンを全ての職人に手渡しました。
「ちゃんと人数分ある! さぁ、食べてくれ」
自信満々にそう語るコニー。職人たちはみな一斉にパンを頬張ります。
「「「メェ~~~!! メェ~~~!!」」」
コニーのパンを飲み込んだ職人たちは身悶えすると、皆一斉に恍惚とした表情で思わず山羊のマネをし始めてしまいました。異様な光景がしばらく続いた後、職人たちが我に帰ります。
「う、うメェ! うメぇ~すぎる! これは山羊乳を使ってるのか!?」
「ああ、その通りだ。独特なクセがある山羊乳だが、上手く使えば病みつきになる味わいが演出できる。以前、海外のパンを食べる機会があってな。そこで学んだ知識を活かしてみたんだ」
「さ、さすがはコニーだぜ!」
褒め称えながらパンの味を楽しむ職人たちに対し、コニーは首を横に振ります。
「まだだ。まだ俺のPrince Breadは究極のパンに程遠い……! もっと、もっと修行を積まなければ!」
メラメラと向上心を燃やすコニーに、職人たちは感心します。
コニーは究極のパンを完成させるために、尋常ならざる努力を積んでいました。
職人たちから見て、コニーはすでに素材、テクニック、全てに精通しているように見えていましたが彼はこの程度は満足していなかったのです。
「流石はエース……!! 俺たちも見習わなきゃな!」
「おう!」
エースであるコニーの熱にあてられた職人たちはやる気を出し、負けじと美味しいパンを作り始めます。
こうして、『明石家』のパンの品質は、日に日に向上していくのでした。
多くの者に認められる職人、コニー。
彼は自信家で向上心が強く、大きな目標を持つ職人ですが、最初からそうだったわけではありません。
コニーは幼い頃、グンマ県のタカサキ市という場所でパン屋を経営する家族と共に幸せに暮らしていました。
店主である父は腕のいいパン職人であり、町の人々からとても愛されていました。そしてコニーもまた、そんな父を尊敬していたのです。
ですがある日――。
「どうして、誰もパンを買わなくなった……?」
がらがらの店内を見渡し、愕然とした様子でコニーの父は呟きました。
なんと突然、パン屋に来店する客が減ってしまったのです。調べてみるとすぐに原因が判明しました。
店の近くで、イタリアの職人が作ったパスタ屋、『ジェリコ』が店を開いてたのです。
パンを主な食事としていたタカサキ市の住民にとって、パスタは斬新かつ、興味深い食べ物でした。
爆発的にパスタブームが発生し、とうとう誰もパンを買わなくなってしまったのです。
そのあおりをパン屋はもろに受け、次々とタカサキ市のパン屋は店を畳んでいきました。
そしてそれはコニーの父の店も例外ではありませんでした。
「シンマチのパン屋はラスク屋に転向したらしいが、俺にはそんな器用な真似はできない……。もう、お終いだ……」
「父ちゃん……」
結局、コニーの父は店を畳んでしまいます。
その後、コニーの父は家族と共に、逃げるように実家があるヒョウゴ県へと移住しました。
「ヒョウゴでなら、まだ戦える」
そう、希望を口にしていたコニーの父ですが、不幸が重なってしまいます。
タカサキ市での事件のショックが原因で、コニーの父は体調を崩してしまったのです。
家で唯一の稼ぎ頭であったコニーの父が倒れてしまい、家族は窮地に追い込まれました。
しかし、この出来事は不幸の序章に過ぎなかったのです。
「酒だぁ! 酒持ってこい酒ぇ!」
「そ、そんなお金は、もうないですよ……」
「ああ!? なんとかしやがれ! こののろまが!」
「きゃあ!!」
「やめてよ! お父ちゃん!! お母ちゃんに酷いことしないでっ!」
貧しい暮らしを余儀なくされていく中、貧困と病魔がコニーの父の精神を蝕みました。酒に溺れ、日常的に暴力を振るうようになった父に、コニーと母は涙する日々を送るしかありませんでした。
一家の暮らしは再生が不可能なほど、滅茶苦茶になってしまったのです。
さらに、コニーの不幸は続きます。
「なんや、コイツ。えらい上品な言葉使うんやのう」
「ケッ、けんたいげやなぁ! 貧乏人が調子こくなや! しばくぞダボが!」
「や、やめてよ……調子になんか乗ってないよ……」
……カンサイ独特の方言を喋ることができない、家が貧しい、いつも暗い……こういったくだらないことが原因でコニーはクラスメイトからいじめを受けていたのです。
コニーは、家にも学校にも居場所がありませんでした。心の拠り所が存在しなかったコニーはどん底にまで追い詰められてしまいます。
そんな地獄のような日々が続く、ある日のこと。
コニーは鬱屈とした気持ちの中、いつものように新聞配達で学費と生活費を稼いでいました。
ろくな食事をしていないため、ヨロヨロと自転車を漕いでいると、一人のヒグマの男が焼き立てのパンを差し出してくれました。
「食え。小僧」
訝しげに男を見るコニーでしたが盛大に腹がなってしまいます。
「毒なんて入っちゃいない。さっさと食え」
「あ、ありがとうございます……。いただきます……もぐっ」
男のパンを口に含んだ瞬間、コニーの顔は星のように輝きました。
「う~~~ま~~~い~~~ぞ~~~っ!?」
コニーの顔を見た男もニヤリと笑います。
「そうだろう。菓子パンはいいぞ。美味いパンは人生を豊かにしてくれる!」
男の言葉通りでした。コニーはおいしいパンを口にした瞬間、広がる暖かい景色、暖炉の前にいるような錯覚を覚えたのです。コニーはもうずっとこの味を忘れていました。
(そう、そうだよ! パンは人を幸せにしてくれるんだ……! 少なくとも、今の僕はすごく、幸せだ……!)
恍惚な笑みを浮かべるコニーを見て、男は満足そうに頷き、名前も告げずに去って行きました。
しばらくして我に返ったコニーは、男に名前を聞くのを忘れていたことを思い出しますが、彼が名のあるパン職人であることを確信していました。
「俺、目指すよ……! おじさんみたいな立派なパン職人に……!」
そう、強くコニーは決心するのでした。
『パン職人になる』
そう強く決意したコニーに、もう怖いものはありませんでした。
心を強く持ち始めたコニーは、許されぬいじめとも理不尽な家庭内暴力とも戦い、見事に勝利したのです。
結局は、彼らは
『弱い者いじめをしていた心が弱い者』だったのでした。
「俺は、強い! あんな奴らに足を引っ張られる必要なんてないんだ! 真っすぐ、夢を目指そう!!」
自信をつけたコニーは、勉学に励み、奨学金を手に入れて、優秀な成績で学校を卒業しました。様々な高校から推薦が来ましたが、コニーはそれを全て断りました。
なぜならば彼の胸の中では、パン職人の夢がずっと燃え続けていたからです。
コニーは立派なパン職人を目指すため、ヒョウゴ県で有名であった『明石屋』の門を叩きました。
『明石屋』に入るためには、厳しい試験を突破する必要があったのですが、幼い頃まともだった父親から、パン作りの基本を学んでいたコニーにとって、それは難しいものではありませんでした。
すんなりと『明石屋』に入ることができたコニーは、メキメキと頭角を現し始めました。
若手パン職人の期待の星とも謳われるほどの実力をつけたコニーは、ついに『明石屋』一のパン職人のもとでの修行を許されました。その名も『ブンゾウ』といい、世界に名を轟かせるパン職人の第一人者でした。
しかしブンゾウの姿を実際に知るものは極めて少なかったのです。
「『明石屋』一のパン職人……。いったい、どんな人なんだ……」
緊張した様子でコニーは『明石屋』一のパン職人がいるパン工房へと訪れました。
「……よく来たな」
聞き覚えのある声に、コニーは驚愕しました。
「あ、あなたは……! あの時パンをくれたおじさん!!」
なんと、ブンゾウこそがコニーにパン職人の道を歩ませるきっかけになった男。幼い日のコニーにパンを恵んでくれたヒグマの男だったのでした!
「まさかここまで成長するとは……。だが、俺の修行は甘くないぞ!」
「望むところだ!」
こうして、ブンゾウのもとでコニーは激しい修行を積み始めました。
ブンゾウの修行は非常に厳しく辛いものでした。ですが、それ以上に得るものが多いとコニーは感じていました。
特にブンゾウの欧州仕込みのそのパン哲学は、コニーの人生を大きく変えたのです。
「こんな考え方があったのか……」
「まだまだ、パンは深い。俺すらも未だ、パンのことを理解できていない」
「師匠すらも……!?」
「ああ、だからこそ探求し続けるのだ。コニー、お前もパンを極め続けろ」
「はいっ!!」
厳しい修行に耐える中、着実にコニーは技術を身に着けていきました。
常人ならば逃げ出すような修行も、これまでに凄惨な過去を歩んできたコニーにとって、耐えられないものではありませんでした。
しばらくすると、並み居る職人では敵わない程、コニーは腕前をあげていきました。
ブンゾウの修業によって鍛えられた、コニーの審美眼はパンに適した素材を正確に選び抜きます。そして、鍛え上げた腕前で、丁寧にコニーはパンを作り上げていきました。
こうして完成したコニーのパンは精細な技術の結晶でした。
コニーのパンは飛ぶように売れ始め、
『明石屋にコニーあり』と人々が謳う程までになったのです。
「へえ……意外とやるじゃねえか」
コニーのパンを食べたブンゾウは、にやりと笑いながら、そう口にしました。
こうして明石屋で成功をつかんだコニーは、自分の稼ぎをもって今まで支えて来てくれた母に恩返しをして、体調を崩した父を病院に入れ、和解することができたのでした。
そしてコニーは次なる目標に向かって決意を新たにします。
「いよいよ過去と向き合う……いや、乗り越える時が来た……!」
実力を認められたコニーはある日、師匠であるブンゾウに相談を持ち掛けました。
「師匠。俺、タカサキで自分の店を持ちたい」
「タカサキ、だと……? 本気なのか?」
渋るような口調で尋ねるブンゾウに、コニーは強く頷きました。
「皆にまた、パンの味を思い出してほしいんだ。パスタにも負けない程、パンは素晴らしいって……」
「コニー……。本当に、それだけが目的か?」
「え……?」
ブンゾウは、コニーの真意を見抜いていました。
「小僧の人生を狂わせたのは確かに、パスタ屋、『ジェリコ』だ。今のお前の実力でなら、『ジェリコ』から客を奪い返せるかもしれない。だがな、小僧。復讐はパンの味を濁らせる。虚しいばかりだぞ……!! 忘れるんだ! 昔のことは!」
「どうして俺の過去を……。いや、そんなことはどうでもいい! 頼む、独立を認めてくれ! 俺のパンが世界に羽ばたくためにも、これは絶対に必要な工程なんだ!!」
懇願するコニーに対し、ブンゾウは深く悩んだ様子を見せました。
「……西日本フードコンテストのパン部門。そこで優勝すれば、考えてやる」
「西日本フードコンテストのパン部門……」
「西日本の覇者になれない男が、小麦大国として全国でもパン激戦区になっているグンマ県で天下を取れるはずもないだろう。覚悟が本物だというのならば、結果を出せ」
「試練ってことか……。わかったよ、師匠! やってやるよ!」
そう、啖呵を切ったコニーは師匠のもとを去り、パン研究に勤しみました。そんなコニーを陰ながらブンゾウは見守っています。
(……コニー。お前のパンは、お前の父の作るものによく似ている。アイツも天下一のパンへとあと一歩まで迫ったが……世界のパスタに負けてしまった……。だがお前なら、あるいは……!!)
実はブンゾウは、かつてコニーの父と親友かつ、パン職人のライバルでもあった男だったのです。そのため、コニーの過去を全て知っていたのでした。
複雑な想いが交差する中、コニーの西日本フードコンテストへのチャレンジが始まります!
師匠から出された条件には一理あるとコニーは納得していました。
ですが、いくら『復讐が虚しい』と言われても、コニーの心には響かなかったのです。
「……俺たち家族を辛い目に合わせたあのタカサキに店を出し、グンマ最高のパン屋になる! パスタ屋なんてくだらないものに負けない、最高のパンを作って、客を取り戻す……!! それこそが俺の生きる目的なんだ! タカサキを制して初めて俺の新たなレッサーパンダ生活が始まる!」
だが、その目的を果たすためにはまず、フードコンテストで優勝しなければなりません。
評判も良く、それなりに自信があったコニーですが、それでも今の実力では、優勝は難しいと考えていました。
「なんだ? 俺のパンになにが足りない……? 究極のパンを作るためにはいったい何が必要なんだ……?」
考えに考え、コニーは一つの結論に辿り着きます。
最高級のテクニックと最高級の素材。この2つが調和したものこそが究極のパン、Imperial Breadなのだとコニーは悟ったのでした。
答えを導き出したコニーは早速、最高級の食材を集める旅に出ました。
そして、長い旅を経て、コニーは最高級の食材を手にすることに成功したのでした。
「これならば、Imperial Breadを作れる! 誰にも負けないパンを作れる!!」
そう、コニーは確信したのでした。
そして時は流れ、ついに西日本フードコンテストが開催される日がやってきました。
「コニー負けるなよー!!」
「最高のパンを作ってくれー!!」
「応援してるぞーーー!」
『明石屋』の職人たちからの声援を受け、コニーは力強く頷きました。
「当たり前だ。俺はこんなところで終わるような男じゃない。修行の成果、見せてやるぜ!」
力強く宣言するコニーでしたが、軽薄な笑い声が聞こえてきました。
「カッカッカ、ずいぶんと威勢のいいお坊ちゃんですこと」
「……お前が一回戦の相手か」
「せや。ワイは『カワタ』や。『明石屋』の世間知らずに一発、世界っちゅうの教えたるわ」
「ほう……それは楽しみだな」
安い挑発にコニーは決して乗りません。
ただ、純粋に相手がどんなパンを作るのか、興味がありました。
(俺のパンが負けるとは思わないが……。世界のパンと豪語するその腕前、吸収できるところは全て吸収してやる!)
こうして、コニーとカワタの闘いが始まりました。お題は菓子パンに決まり、二人は調理を開始します。
「見てみぃ! これがワイの324層クロワッサン! 黄金色でまるで三日月さんみたいやろぉ! お月見してってええんやで、審査員の皆さぁん! なんつって、カッカッカ!」
カワタはチョコクロワッサンを制作し、審査員と観客が歓声をあげます。そのクオリティには、観戦していたブンゾウですら驚くほどでした。
(324層なんて中々できたもんじゃない……。このクリームパンで、本当に勝てるか……? 基礎の基礎、それしかない、愚直なこのパンで……)
クリームパンを調整しながら、僅かにコニーは心を揺らがせました。ですが、今からアレンジを加えても逆効果だということは、コニーは理解していました。
その時、コニーの頭にブンゾウの言葉がよぎります。
「……いいか。型破りの前にまずは型を完璧に押さえろ。基本を大事にすれば、結果は必ず出る。クリームパンの基本は、窯全体の温度を200度まできっちり上げる。これだけだ」
(ああ……、ちゃんとわかってるさ。師匠。俺は、基礎をしっかりと固めたこのパンで戦う!)
こうして焼きあがった、クリームパンは、カワタの作るパンの輝きに負けない程、美しい光を放っていました。
「な、なんやそのパン……! ま、まるで満月……!」
驚愕するカワタの言葉に、審査員たちも同意し始めます。
「ふむ。お月見するなら、コニーさんのパンの方がいいみたいですね」
「味も素晴らしい! ふんわりとしたパンの触感にとろけるような甘いクリーム……これぞ菓子パンといった味ですな!」
試合の結果、スコアは33-4でコニーの大勝で終わりました。
「なんやて! そないに審査員おらんかったやろ!」
「結果は結果だ。お前の世界のパン、参考になったぜ」
その後もコニーは順調に、コンテストを勝ち抜くのでした。
そして迎える決勝戦。相手はなんとブンゾウと並ぶ腕を持つ、世界のパン屋『キンカジュー』の職人『ニシノ』です。
彼はパンを捏ねる時、手を星々の輝きのように光らせることから『星の手の持ち主』と呼ばれていました。
明らかな格上の登場に、流石のコニーも緊張した様子を見せます。
「『星の手の持ち主』か……。ずいぶんしんどい試練じゃないか……」
だが、そんなコニーにニシノは微笑みかけました。
「あんまり緊張する必要ないんじゃよ! お互いに精一杯頑張ればいいんじゃ!」
「敵に励まされるとはな……! 余裕ってわけか?」
「そんなんじゃないんじゃよ。ただ、あのブンゾウの弟子って聞いて、どんなパンを作るのか楽しみなだけじゃ!」
「なるほど……俺もアンタの作るパンが、楽しみでしょうがないぜ。よろしくな」
「おう!」
ニシノのおかげもあり、緊張をすっかりほぐしたコニーは、全力でパン作りに挑みます。
決勝戦のお題はスペシャリテ……。
パン職人が最も美味しいと思うパンを作り、審査員を納得させたものが勝つ、シンプルかつもっとも実力が出るお題でした。
「さぁ、見ておくんじゃよ! これがワシの人生……いや、パン生じゃ!!」
力強く叫んだニシノは勢いよく、オーブンから天板を取り出しました。
そこには大よそパンとは思えない、奇天烈な青い球体が置かれていました。
「な、なんだこれは……」
審査員たちは困惑した様子を見せますが、次の瞬間、よだれを垂らしながら、パンにかぶりつきました。
「私はここに移住する! ここで暮らしていく! もう地球なんかにはいられないっ! この星で暮らすんだぁ!」
訳の分からない言葉を口にしながら、パンに齧りつく審査員たちを見て、ブンゾウはたじろぎました。
「あれは、パン生なんかじゃない……! 惑星……いや、パン星……! まさに『星の手の持ち主』の名に相応しい究極のパン……!!」
審査員たちの正気を奪う程のパンの登場に、会場はどよめきました。
しかし、すっかり緊張がほぐれていたコニーは逆に闘志を燃やしていたのです。
(流石だぜ、ニシノ……! だが、俺はおまえのパンを超える!!)
「Prince Bread100号……! いや、今をもって、王は即位する!! これこそが、究極のパンッ!! 星すら支配する『Imperial Bread』だ!」
コニーは叫び、焼き上げたパンを天高く掲げました。すると、我を忘れていた審査員たち、観客たち、そしてブンゾウすらもその姿に、無意識に傅きました。
「はっ、わ、私たちはいったい何を……! 身体が、勝手に跪いてしまう……!」
「た、食べるなんて畏れ多い……! だけど、味が気になってしょうがない……!」
よだれを垂らす審査員たちの口に、にやりと笑いながらコニーはパンを入れました。
「うぅぅぅっ! 宇宙、キタァァァ!!」
「まさに、この味は星を支配する皇帝……宇宙の味だ……! これに勝てるパンはない!」
審査員から大絶賛を受け、コニーは見事、コンテストに優勝したのでした。
こうして、コニーはコンテストで栄誉ある賞を貰うことができました。
「コニー……! お前は、自慢の息子だ……!」
聞き覚えのある声を耳にし、コニーは慌てて観客席に振り向きます。
「と、父ちゃん……! それに、母ちゃんまで……! 見ててくれたんだな……」
涙する父親と母親に、コニーも涙してしまいます。そんなコニーに、師匠は頷きます。
「小僧……いや、コニー。お前はもう、どこへでもきっと戦える。独立を認めよう」
「本当か……!? やった、やったぁ! 俺はタカサキに店を構える! そして絶対成功して、過去の俺にグッバイしてやるっ!」
大喜びするコニーに対し、ブンゾウは一つパンを差し出しました。それはブンゾウと出会った時に、もらったパンでした。
「師匠……これは?」
「餞別だ。食え」
「はむ……ああ、美味い……! さすが師匠だ……美味すぎる」
「そうか……俺のパンを美味いと思うなら、コニーよ。いつかその理由も考えてみるといい」
「……? 師匠……それはいったい?」
「いつかお前ならきっと分かる」
最後に投げかけられた師匠の言葉はイマイチよく分かりませんでしたが、こうしてコニーは大手を振って独立への道を歩むこととなったのです。
そして、旅立ちの日。ついにコニーはタカサキ市へ舞い戻るのでした。
「俺と親父を追いやったタカサキよ! パスタよ、『ジェリコ』よ!! 俺のパンの味に驚くがいい! そして愚民のように傅け! 俺は、お前たちの舌を制して、日本一のパン屋……! パン皇帝になる男だっ!」
高らかにコニーは決意を宣言します。今ならば、彼は誰にも負ける気がしませんでした。それこそ、パンで全てを制する自信があったのです。
「……とはいえ、油断は禁物だな。グンマ県で有名なパン屋をリサーチしよう。いったいどんなパン屋があるのだろうか……」
コニーはそう口にしながら、タカサキ市を歩いていきました。
……こうして、コニーの物語はパンタの物語へと続くのでした。
チュウニズム大戦
レーベル | 難易度 | スコア | |
---|---|---|---|
スキル名/効果/備考 | |||
♠アニマ | ADVANCED | 0 / 210 / 420 | |
テクニカルブレイク(前回難易度ミス) | |||
次のプレイヤーは、前回と同難易度の COMBO/CHAINはMISSとなる。 |
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チュウニズムな名無し
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チュウニズムな名無し
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チュウニズムな名無し
82019年04月18日 15:57 ID:o8s1a6v5群馬県高崎市は市内のパスタ屋を集めたキングオブパスタってイベントをやってるし老舗のパスタ屋は「シャンゴ」って名前だし
新町のラスク屋はハラダだし
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チュウニズムな名無し
72019年04月16日 09:07 ID:shr0gzv9ストーリー見ていい奴やんけと思ったけど内容も登場人物もほぼ焼きたてジャぱん!!だった
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チュウニズムな名無し
62019年04月15日 21:26 ID:gnebjl50なんでや阪神以下略
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チュウニズムな名無し
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チュウニズムな名無し
42019年04月14日 12:21 ID:p4bhx32gどうして33-4ネタが分かる人が多いのか
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チュウニズムな名無し
32019年04月13日 13:29 ID:c6x8lpss33-4
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チュウニズムな名無し
22019年04月11日 23:45 ID:le7uhv6xな阪関無
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チュウニズムな名無し
12019年04月11日 21:56 ID:naju3obxEPI8のラストで盛大に笑った