ワンダーランドの頌歌・ストーリー
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目次 (ワンダーランドの頌歌・ストーリー)
ローストターキー/不思議の国の思い
アリスは、とある王国で暮らしていた。そしてハートの国王は、その国の王様だった。
親切で心優しいアリスはよく人の手伝いをする子で、皆から一番優しい子だと言われていた。
しかし王国は、ハートの国王のせいで混乱が起きてしまった。
以前はとても優しくて、いつも皆を守っていた王様。
しかし、いつからだろうか……
国王の統治はだんだんと乱暴になり、首をちょん切ってしまえと言うようになったのだ!
最初こそは民だけに向けられていた矛先。
しかし最後には、ほんの少しのミスをした大臣にもそれは向けられるようになっていった。
人々はハートの国王を恐れるようになり、彼が優しい国王だった頃のことを覚えている人は一人もいなくなった。
ある日、アリスはとある話を耳にした。ハートの国王が舞踏会を開くらしく、それには国中の人々が参加しなければならないらしい。しかも、参加しなかった者と遅刻した者の首をちょん切られるのだとか。
アリスは優しかった頃のハートの国王をよく覚えていた。王様が乱暴になってしまったのには、きっと訳があるはず。アリスは国王を止めたいと、そう思った。
急いで舞踏会に向かう途中、アリスは自分が何かを忘れているような感じがした。
そのとき、ニヤニヤと微笑んでいる猫がアリスの前に現れた。
その猫は、チェシャ猫と言うらしい。アリスは懐かしい感じがしたが、会うのはきっと初めてだった。
チェシャ猫はアリスを連れて、ハートの国王の舞踏会へと行った。
ポーンの兵がぶんぶんとメイスを振っているそばで、自分とそっくりなハートの国王の姿がアリスの目に入った。
ハートの国王がアリスのほうに顔を向けるや怒鳴りだしたため、アリスも思わず怒りを覚える。
周りが混乱しはじめる中、アリスはふっと何かを思い出した。
アリスは自分とそっくりな人物に会ったけれども、相手は金の王冠をかぶっている。
彼は広々とした椅子に座り、公文書を読んでいる。目の前には煌びやかなロビーが広がっており、トランプ兵がその両脇に整然と立っている。アリスはロビーの真ん中を進んでいくが、誰も彼の姿が見えていないようだ。
しばらくすると、とあるポーンの兵が彼のことをハートの国王と呼んだ。
ハートのトランプはひっくり返り、黒いダイヤに変わった。逆さまになったお城はシロップの中でぐるぐると回り、落ちてきた星は赤いキャンディーに変わっていく。アリスは、相変わらずロビーに立っていた。
王冠を被った国王はチェシャ猫と話し合いをしていたが、途中から口喧嘩に発展した。
チェシャ猫は怒ってその場を離れた。
アリスはチェシャ猫と一緒にお城を離れ、チェシャ猫はそのまま魔女の庭に行った。
そして、チェシャ猫は魔女から国王の優しさを甦らせる薬をもらった。自分が王国から追い出されるのと引き換えに。
チェシャ猫は急いで離れたため、魔女の話が聞こえていなかった。
薬を使った者と使われた者の記憶は消えてしまうのだ。
チェシャ猫は夜中のうちにお城に戻り、眠っているハートの国王に薬を飲ませた。
ハートはタップダンスをしており、スペードはダイヤと一緒にぐるぐると回っている。
すべてを見ていたアリスは、体から優しい力が湧き出るような感覚を覚えた。
チェシャ猫は彼を連れてお城を離れた。
アリスはびっくりして目を覚ますと、自分が舞踏会にいることに気付いた。ポーンの兵は相変わらずメイスを振っている。
しかしハートの国王はもう叫んでおらず、何か考えごとをしているようだった。
アリスも落ち着きを取り戻し、そして目の前にいる人物がいったい誰なのか気が付いた。
アリスの記憶が戻った。
チェシャ猫に謝りたい。それに、皆にも懺悔したい。
彼はただ……皆を守りたくて……
人々が自分を信じてくれなくなったあとも、彼の親友であるチェシャ猫は自分のことを信じてくれていた。ハートの国王はいい王様だと、そう信じてくれていたのだ。
最後には、ポーンの兵はメイスを収め、音楽隊が楽しい曲を奏で、シェフがおいしい料理をふるまい、シルクハットを被った紳士が少女に手を差し伸べた。
人々の歓声の中、盛大な舞踏会が始まった。
フォアグラソテー/ダークウイング
花が咲いている城には、十二人のお姫様が暮らしている。
一番若いお姫様はバターのように艶やかな肌とサファイアのような瞳を持ち、彼女が月光の下で踊るさまは、まるで白鳥のようだ。
人々は、彼女の美貌に感嘆していた。
ある日、隣国の王子様が自分の気持ちを示すために、王国へと訪ねてきた。
国王と皇后は大層喜び、王子様を招待するために宴を開くつもりだ。
しかし、もう十一人のお姫様はそう考えていないようだった。
嫉妬という毒が、彼女のたちの心に生まれていたのだ。
宴の当日、十一人の姉たちは庭を散歩している一番若いお姫様を見つけた。
すると彼女たちは呪いをかけ、一番若いお姫様を黒鳥へと変えたのだ。
十一人の姉たちは叫び声を上げ、国王や皇后、王子様たち、大臣、果ては召使いまでが急いで駆けつけてきた。
……人々は驚いた。まさか若いお姫様が、黒い白鳥――黒鳥だったとは。
国王と皇后も、まさか自分たちの娘が醜い黒鳥だとは思ってもみなかった。
彼らにとって、黒い動物は醜い生き物だ。
若いお姫様は逃げ出し、野原を越えて、森へとたどり着いた。
森ではいい匂いが漂っており、お姫様はそのまま草の上に腰かけ、うっかり居眠りしてしまった。
夢の中で、彼女は金色の城を見ていた。すると、城から美しい天女がやってきた。
お姫様は、夜になると人間の姿に戻れること。そして、洞窟の隣にある墓でイラクサを採って服を作らなければならないこと。そのイラクサで作った服を着ることで、呪いが解けることを……天女は、彼女に教えた。
その特別なイラクサの服は、糸車を使って作らなければならない。しかし糸車は、すでに他の国王によって全部破壊されたあと。残った一つの糸車は、人狼のところにあった。
目を覚ますと、辺りはすっかり暗くなっていた。
お姫様は小道を通り、お墓にたどり着いた。
墓の隣では魔女たちが話し合っており、とある箱を持った人物がそばを通り過ぎていく。
しかし彼女は気にせずイラクサを採集し、糸を作った。
イラクサは尖っているため、お姫様の手には傷が一つ、また一つと増えていく。
猟師に狙われるのを避けるため、お姫様はとある険しい洞窟の中で暮らしていた。
ある日、お姫様は森で人狼の匂いを嗅ぎつけた。急いで森の中央へと向かうと、王子様が気絶しているのが目に入った。どうやら、夢を見ているようだ。
お姫様は周りを確認してみたが、人狼はすでにいなくなってしまったようだ。
彼を助けるべきだろうか。お姫様はそう考えた。もしかしたら、人狼のことを知っているかもしれない……。
お姫様は、寝込んでいる王子様を自分の洞窟に連れて帰った。そして、あの墓場にいた、箱を持った人物に会うべきなのかもしれないと、彼女は直感的に感じた。
お姫様は早速墓場へと足を運ぶと、例の人物は自分のことをミラージュと名乗り、人を起こす薬を持っていると告げた。しかしその薬をもらうためには、呪いがかかっているお姫様の羽と交換しなければならない。
お姫様は、ミラージュの条件に快く応じた。黒い羽を抜くと、血がぽたりと地面に落ちた。
そうして、麗しの王子様は目を覚ました。
彼はお姫様に恩返しをするため、宮殿の中で忘れ去られていた糸車を見つけてきた。
ホコリだらけだった糸車はくるくると回る。まるで、呪いを歌っているかのようだ。
お姫様はようやくイラクサで作った服を身にまとい、呪いを解いたのだった。
プレッツェル/静かな休み
とあるお城には、ハンサムな王子様が住んでいた。
ある日のこと、人狼の被害を受けたという知らせがお城に届いた。
その知らせを受けた王子様は、民を守るため狼を退治しに行くことを決めた。
王国一番の猟師でもあった王様は、狩りに向かう王子様に貴重な情報を教えた。――お城には、特製の猟銃がある。けれども人狼を倒すには、黒い白鳥の呪いの羽から作った弾丸が必要だと。
王子様はその猟銃を手に持ち、森へと入っていった。湖に着くと、王冠を被った黒い白鳥が目に入った。
とても美しい黒鳥だな。王子様はそう思った。その黒鳥を傷つけたくないという思いから、気絶させれば十分だと、彼はそう考えた。
しかし王子様が銃を撃つと、黒鳥は素早く飛び去ってしまった。
王子様はその黒鳥を追うも、黒鳥は谷へと姿を消した。
数日後、王子様は人狼に遭遇し、その人狼を追いかけていくうちに森の真ん中へとたどり着いた。
すると人狼は糸車の針を取り出し、なんと王子様を刺してしまう。
王子様の指は傷つき、そのまま気絶してしまった。
しかしその呼吸が落ち着いていて、まるで眠っているかのようだ。
人狼は策謀を巡らした末に、思わず笑みを零した。
何日かが過ぎ、王子様はぼんやりと目を覚ました。
どういうわけか自分は洞窟の中におり、そばにはイラクサで作られた糸がたんまりと置かれてあり、あの王冠を被った黒い白鳥もすぐ横にいるではないか。
すると夕日が沈み、黒い白鳥の羽ははらはらと落ち、白いスカートが現れた。気づけば目の前には、柔らかくもダイヤのように眩い金髪の女性がいた。
まさか黒い白鳥が、お姫様になるとは。
お姫様は自らの羽でミラージュと薬を交換し、王子様の呪いを解いたということを話した。
王子様はとても感謝したが、自分には呪いの羽が必要だった。
そのため、王子様はお姫様に黒い羽を求める代わりに、お姫様の願いをすべて叶えると約束した。
お姫様は糸車を持ってくるのを条件に、こくりと頷いた。
王子様は黒い白鳥をお城の屋根裏に連れて行った。そこには、廃棄された糸車がぽつんと一つあった。
黒鳥は王子様の助けを借りてイラクサの糸で服を作り、無事お姫様の姿に戻った。
そうして、王子様は呪いの羽で作った弾丸を持ち、人狼を狩るための旅に出たのだった。
シュールストレミング/チャーミングソング
とある王国には美しいガーデンがあり、そこでは四季折々の花が咲いている。
ガーデンからはよく不思議な歌声が響き、人々はそのガーデンを海の魔女の魔法のガーデンだと呼んでいた。
実のところ、ガーデンの持ち主は深海からやってきた海妖である。彼女は魔力のこもったバラを一輪持っていた。
自分の王子様を探すために、海の魔女はバラに願いをかけた。陸の上で暮らせるようにと。そうして彼女は、ガーデンを作ったのだった。
ある日、十一人のお姫様が魔女のガーデンにやって来た。
彼女たちは魔女に人を醜い鳥に変える呪いを求めた。
魔女はお姫様たちの願いを叶えたが、その代わりに、自分が出かけているとき、お姫様にガーデンの世話をするようにと約束させた。
ある日、魔女はガーデンから離れた。そして戻ってくるや、あのバラがなくなっているではないか。
魔女はかんかんに怒り、約束を守らなかったお姫様たちを探し回った。
結果、魔女は逃げた十一人のお姫様たちを呪い、彼女たちをすずめに変えたのだった。
またある日のこと、赤いマントを羽織った人狼がガーデンにやって来た。
人狼は魔女から人を眠らせる呪いを教えてもらったが、その代わりに、魔女が待っている王子様を連れて来るようにと約束させられた。
その王子様は美しい金髪とハンサムな顔を持ち、長剣を構えているという。とある男の人を目にしたとき、自分が待ちわびた王子様だと感じたと、魔女はそう言ったのだった。
そうして人狼は、魔女が言っていた王子様に出会った。王子様は人狼に言われるがまま、魔女のガーデンへ足を運んだ。
しかし王子様は魔女に会いに来たのではなく、友人を助けるために来たのだという。
私が待っていた王子様は薬を求めるために来たが、それでも構わない。来てくれるだけで十分だと、魔女はそう思っていた。
彼女はようやく願いを叶え、王子様とキスをした。
その後、王子様はガーデンから去っていった。
けれども魔女は、それでも嬉しそうにしながら、今日もまたガーデンで王子様を待っている……
カッサータ/狐さんは誰を待っている?
王子様の傍らには、いつも親友の赤い狐がいる。
狐は自分が王子様を守ったり導いたりしなくてはと口にしていた。
彼らはとあるお城に住んでおり、狐はときおり怖い獣になってしまう。
しかし、それは狐が呪いにかかっているためで、王子様は怖がっていなかった。
だって、狐は人を食べないから。
ある日、王子様がこっそりとお城にある魔法の瓶を盗み、美しくも枯れてしまいそうなバラを隠したことに狐は気付いた。
賢い狐は、すぐに分かった。そのバラは願いごとを三回叶えることができ、願いごとをするたびにバラは弱くなるということを。
しかしバラは、狐にこう告げた。――心から自分を大切に思っている者の血を使わないと、願いごとはかけられない、と。
もし王子様が願いごとを叶えたいならば、自分の血を差し出してもいいと、狐はそう思っていた。
しかし彼は、王子様がどんな願いごとを抱えているのか分からなかった。空を飛べる翼がほしいのだろうか、それとも栗のケーキをいっぱい詰められるポケットがほしいのだろうか……
しかしどんな願いごとであろうと、自分が必ず彼のために叶えると狐は言った。
弱っていたバラは魔法の瓶と、そして狐と王子様に世話をされていくうちに、だんだんと元気になっていった。
彼女は優しくて、純粋で、世界に対して好奇心を持っていた。
彼らは少しずつ仲の良い友達となっていった。
ある日、王子様は旅に出る際に、バラをお城の奥にある部屋に置いた。
しかし、不幸なことが起きてしまう。
数日後、バラが消えてしまったのだ。窓の端には狐が採取したばかりの露が残っていた。
狐はバラを必死に探したが、お城のどこにもいなかった。狐はとても落ち込み、自分を友達として失格だと思った。
それから帰ってきた王子様は、決して狐を責めなかった。
狐は自分の過ちを改めるために、王子様に向かって絶対にバラを連れて帰ると告げた。
狐は魔法の瓶に自分の印がついていることを思い出し、それを手がかりにバラを探すことにした。
狐は王子様と一緒に色んな場所を巡り、探した。
あるときは山を登り、またあるときは森に入り……。
そうして、ようやく、人魚の王子様のお城でバラを見つけた。
バラはぐったりとした様子で、魔法の瓶の中で横になっている。それはバラが誰かの願いを叶えたためだと、彼らは気づいた。
彼らは再び、バラをお城へ連れて帰った。
バラは相変わらず微笑み、彼らにあと一回だけ願いごとを叶えられると伝えた。彼女は、王子様の友達である獣の呪いを解きたいのだ。
狐はハッと分気づいた。王子様は、自分を助けたいと思っていることを。
しかし、彼らは知っていた。もし願いごとをしてしまえば、バラは消えてしまうのだ。
狐と王子様は、躊躇なく願いごとはしないと決め、変わらずバラを守ると誓った。
それからというもの、王子様にはもう一人仲間が増え、皆で美しいお城の中で楽しく暮らしたとさ。
チーズ/失われたバラ
海の魔女のガーデンには特別なバラが一輪あり、願いごとを三回まで叶えられるチャンスを持っていた。
しかし願いごとを叶えるたびに、バラは弱くなってしまう。
ガーデンにはさまざまな花があり、魔女は定期的に甲斐甲斐しくお世話をしていた。
しかし魔女以外に、お話しが出来る花は一本もいなかった。
少しずつ、少しずつ、バラはつまらなくなっていった。
そうして柵の外に広がる青空を見ては、ガーデン以外の世界を想像するのだった。
ある日、魔女が数日ほど留守にすると告げた。
そうして魔女が出かける当日、バラは魔女が去ったのを確認するや、可愛らしい少女の姿になり、なんとガーデンを離れてしまったのだ。
バラは森を通り、青く生い茂った木々や澄んだ川、舞う花妖精を見かけた。
バラは軽い足取りで歩いていたが、うっかい迷子になってしまった。
弱い体では魔法も維持できず、彼女はバラに戻り、枯れた葉っぱの隣に倒れた。
すると突然、優しい手のひらが彼女を拾い上げた。
可愛いバラだねと、その人は言った。
そのままバラは、その人によってお城へと連れて行かれた。お城には狐が一匹いて、狐はいつも彼を王子様と呼んでいた。
王子様は魔女と同じように、毎日彼女の世話をしてくれた。彼女の力を回復させるため、魔法の瓶に彼女を入れるなどもした。
王子様は、来る日も来る日もバラとおしゃべりをした。
王子様は、呪いのせいで獣になってしまった親友がいることをバラに伝えた。けれどもその親友が人を襲ったことは一回もないと、皆が知っていた。
王子様は、親友の呪いを解きたいと零した。
自分がよく旅に出るのもそのためだと。森の小人や谷の蛇、ラズベリーを持ったおばあちゃんなどに尋ねたが、皆は一様に首を振り、知らないと答えるばかりだった。
しかし王子様はきっと見つかるよ、まだ行ったことのない場所はいっぱいあるんだからと、自信満々に言った。
バラはとても感動し、花びらを揺らしながら王子様を慰めた。
バラは王子様に、自分がその願いを叶えてあげると伝えた。まだ、チャンスが二回あるから。
王子様は旅好きで、彼がお城にいないとき、狐が王子様の代わりにバラの世話をしていた。
バラは王子様の旅の話を聞かせるのが好きで、狐は静かに隣に座ってそれを聞いていた。
魔女のガーデンよりも、王子様のお城のほうがバラは好きだった。
数日後、王子様はまた旅に出た。
バラはいつも通り、王子様のお城に残った。
ある日、鶯がさえずりながら飛んできた。鶯はこっそりとバラをくわえ、賢い狐さえもそれに気付けなかった。
バラは鶯によって、人魚の王子様のお城へと連れて行かれた。
鶯は、この綺麗なバラを人魚の王子様にプレゼントしよう、彼もきっと気にいるはずだと言った。
鶯は人魚の王子様のために、自分の血を使ってバラに願いごとをした。
何も知らない人魚の王子様は、人間になって、海以外の世界に行きたいと考えていた。
そうして人魚の王子様は、人間になった。
力を使いすぎたバラはまた弱くなってしまった。
その後、バラを見つけた王子様と狐は、再び彼女をお城へと連れて帰った。
バラに願いごとをするチャンスはあと一回しか残っていないが、自分を犠牲にして王子様の親友の呪いを解いても構わないと、バラはそう思っていた。
彼女は二人が大好きで、自分自身よりも好きだったから。
狐はバラの話を聞いて、王子様がずっと自分の呪いを解きたいと思っていたことにようやく気がついた。
しかし最後の願いを叶えてしまえば、きっと自分は消えてしまうと、バラは確信していた。
けれども、狐も王子様も、そんなことは願っていなかった。
それはバラと同じように、バラのことを大切な親友だと思っているから。お互いを傷つけることなど、したくはなかったのだ。
それを知ったバラは、ひどく喜んだ。彼女は嬉しさから花びらを揺らし、お城には華やかな香りが漂い続けたという。
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