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甘酒団子・エピソード

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甘酒団子のエピソード

お利口な女の子。知らない人と接するのが苦手なせいで、新しい友だちを作りにくい。普段の臆病な様子が何だか愛らしい。


Ⅰ悪夢

暗く湿った部屋、固くパサパサになったパン、それに濁り切ったコップの水。


「甘酒……苦しいよ」

御侍さまは部屋の隅に縮こまり、ムシャムシャとパンを食べながら、よくわからない唸り声を上げた。


私は這っていって、御侍さまの額に手を当てる。


「ひどい熱!」

手から伝わる熱さに慌てて私は思わずドアの方に向かった。

「だ……誰か呼ばなきゃ」

「だ、だめ!」

御侍さまは体に残された力を振り絞り、私の腕を掴んだ。焦点を失いかけた目には怯えの色が満ちている。

「だめ……やめて……」


「甘酒、あいつらは助けてくれないわ、どうか……何も……何もしないで」


御侍さまの声はだんだん弱くなり、最後は聞き取れなくなった。


御侍さまが倒れてしまうと、どこまでも続く闇が私を呑み込む。


「!!!」

突然大きく瞼を開き、口を開け、私は無意味な叫び声を上げた。

「甘酒?甘酒!どうしたんだ?」

聞き慣れた男の声が耳元で聞こえて、私は数秒間わけがわからず、それから我に返った。


心配そうな表情を浮かべた顔が目の前にある。


ゆ……夢か。


「だ……大丈夫」

小さな声で答えて、私はまた顔をその懐にうずめる。

話すことがなくなると、あたりは急に静まり返り、火がはぜるパチパチという音だけが聞こえた。

私を抱く腕に力がこもる。

耳を胸に当て、しばらくして、私は答えた。


「お……落ち着いてきた……」

「え?」

「いいえ……もう寝る」

「ああ」


安心できる息遣い、大きくはないけど落ち着ける抱擁。

そばにいてくれて……本当に嬉しい。


Ⅱ再会

「えっと、玉泉村……玉泉村」

分かれ道に立って、紹興酒は私の手を引きながら、地図を眺めまわしている。


頭がぼんやりする。毛先に反射する光が目に眩しい。


そんなことをぼんやりと考えていると、足取りがおぼつかなくなってきた。


異変に気付いた紹興酒が私をぎゅっと引っ張り、前にしゃがみ込んだ。


「ほら。」

「うん……」

「寝不足ならそう言えよ。」

「ごめんなさい……」

紹興酒の背中が上下に揺れる。

紹興酒兄ちゃん……」

私は小さな声で言った。瞼が自然に閉じる。


「どうした?」

ほっとする声。わかってる、普段はこうじゃない。

いつも誰かに怒っているように見えるけど、私には優しい。

「その……御侍さまに会えるかな。」

「ああ!きっとだ、俺様……や、兄ちゃんが、必ずお前の御侍さまを見つけてやるさ。」

紹興酒の言葉は一瞬途切れたけど、十分自信がありそうだった。

「ちゃんと調べてあるんだ、今回こそ甘っちょ、安心していいぞ!」

「ありがとう、紹興酒兄ちゃん……」

「いいさ。」


玉泉村は光耀大陸でも有名な、大きな村だ。

御侍さまはここに売られてしまったそうだ。

手頃な安宿を探すと、紹興酒は私を休ませた。


紹興酒が宿の主人と細かいことを話していると、外を見慣れた人影が通りかかった。

もはや身なりもボロボロではなく、顔もきれいになっていたが、それでもわかるあの面影。

何よりも、手の甲のあの印!

「御侍さま!」

突然の再会に、私は一瞬にして我を失った。

何も考えず、ただ人込みをかき分け、後を追いかける。


Ⅲ なすすべ無し


騒がしい喧騒、人混み。

さっきまで姿があった御侍さまは影も形も見えなくなっていた。

とっさの衝動は消え、だんだんと我に返った。

「うぅ……」

突然、周囲の様子にびっくりして、私は口を押えた。


ここは……どこなの。


どうしていいのか分からずに振り返る。人がごった返し、建物がたくさん並んでいる。さっき飛び出してきた宿はどこにも見当たらなかった。


紹興酒兄……ちゃん……」

無意識に叫んだが、行き交う人にぶつかって地面に倒れてしまった。


目に映る光景がぼやけ始めてきた。


人影がたくさん。


痛い。


「跪け!」

顔のはっきり見えない男の人が私と御侍さまに向かって怒鳴った。


「おい……この女の子……様子がおかしい……よせ……」

隣の人がその人の服の袖を引っ張って小声で何か注意している。

「構うな食霊が何だ。ブロイラーみたいなものじゃないか」

男の人は乱暴に仲間の手を振りほどき、鞭を持ってこちらに来た。

心の中では恐かったけど、御侍さまを守るという信念が私を本能的に反抗のために立ち上がらせた。

「甘酒、ダメ!」

御侍さまがすかさず私の手を引っ張った。


「ダメ……何もしないで。何もしないで」

彼女の両目には哀願の色が浮かんでいた。


御侍さまの命令とあっては逆らえない。


「盗み食いしやがって、盗み食いしやがって。」

男の人は罵りながら鞭を振るう。

鞭が御侍さまの体に叩きつけられ、皮膚の裂ける痛々しい音が響く。


痛みをこらえる声と泣き声が混ざった彼女の悲鳴を聞き、心の中で何かがあふれ出してきた。

私は耳を覆いながら必死に後ろへ下がった。目の前の光景から逃げようとするかのように。

「痛い……」

「痛いよう……」

私は地面に縮こまって、頭を両足にうずめ、辛そうにつぶやいた。


「お嬢ちゃん、お嬢ちゃん、どうしたんだい?」

見知らぬ暖かい男の人の声が聞こえ、私は顔を上げた。甲冑を身にまとった2人の男性がいつの間にか私の前に立っていた。


私の横には誰もおらず、周りを大勢の人がぐるりと囲んでいた。


「私……」

彼らの心配そうな顔を見ながら、私はすぐには言葉が出てこなかった。


紹興酒兄ちゃん……どこにいるの?


Ⅳ 拠り所は何

「お嬢ちゃん、大丈夫かい?」おじさんが腰をかがめて心配そうに私をのぞきこむ。右手をブラブラさせていたが、私はその手に触ろうとして、やはり止めた。


彼らは自警団の人だった。来ている服は違っていたけど、紹興酒の故郷で見たことがあった。


「私……私、お兄ちゃんとはぐれちゃったの」

私はびくびくしながら小さな声で答えた。


「え?お家の人とはぐれちゃったのかい?」

おじさんはまっすぐ立ち上がって言った。そしてすぐに、私を優しく慰めてくれた。

「お嬢ちゃん、心配しなくても大丈夫だよ。おじさんと一緒に自警団に行こう。おじさんがお家の人を探してあげるからね。」

「うん……」


行きたくはなかった。目の前のおじさんがいい人であることは分かっていた。

しかし私はここで紹興酒兄ちゃんを待っていたかった。紹興酒兄ちゃんはきっと私を探しに来るはずだ。


それでも、頭の中に焼き付けられたある感情のせいで、私は逆らえなかった。


まさにその時、驚くような叫び声が人混みの中から聞こえてきた。

「インちゃん!インちゃんなの!?」

一人の老婦人が人混みをかき分け、こちらに駆け寄って来た。


彼女を見て、言い知れぬ恐怖が瞬く間に私を包み込んだ。

「お……同じだ……」

恐怖で体が震え始めた。


老婦人を見て、記憶の中のあの男の人とまったく同じような印象を受けた。


「お母さん?」

おじさんは少し驚いたけど、すぐに喜んだ。

「この人がお嬢ちゃんのお母さんなの?早く行ってあげなさい」

そう言いながら私の手を引っ張って私を立たせようとした。

「いや……いや……」


おじさんの腕をギュッと握りしめながら、私は叫ぼうとした。しかし、口から出てきたのは意味もまとまりもない言葉だけだった。


私が言いたいこと、伝えたいことは、恐怖によって喉の奥に押しやられてしまった。


老婦人が一歩ずつ近寄ってくる。


もう……間に合わない。


私は恐怖のあまり目を閉じ、予想のつく結末が訪れるのを待っていた。


突然、周囲が静まり返った。


あの時と同じように。


耳元に火がパチパチとはじけるような音が響いた。



衛兵の掴んでいる手から私の手が引っ込められ、体もろとも暖かい胸の中に抱きかかえられた。


よく知っている息づかいが不安をかき消してくれた。


暗闇の中で、怒声が聞こえた。


「失せろ!」


再び目を開けると、紹興酒が地面に片膝をついて私を抱きしめていた。右手で地面に突き刺さった刀を握りしめ、噛みつかんばかりの形相で衛兵を睨みつけていた。


自警団の二人のおじさんは驚いて後退りした。


一人が口を開き、後ろの老婦人のいた場所を指差してモゴモゴと言った。


「こ……このお嬢ちゃんの母親が来たんだ。だから……俺たちは……」


私と紹興酒は一緒にその方向を見たけど、あの老婦人の姿はどこにもなかった。


「もう一度言う」

紹興酒は片手で私を抱きかかえ、もう一方の手で刀を持ち上げた。とても迫力があった。


「失せろ!!」


もう混乱した光景を見ることもせず、私は自分の顔を紹興酒の首元に押しやった。


来るって分かってたよ。分かってた……


ずっと待ってたんだよ。


あなたがいてくれて、本当によかった。


Ⅴ甘酒団子

玉泉村は今日、ちょっとした騒ぎがあった。どうやら自警団と他所の二人の食霊との間で誤解があったようだ。


幸い、誤解が大きくなることはなく、双方の話し合いによってすぐに解決した。この騒動はそれほど長く続かなかったので、人々も徐々に忘れ、日常の世間話の中に消えていった。


誤解の中に隠された異変と共に。



玉泉村のある民家。一人の老婦人が見た目からは想像もできない力強い姿勢で、窓を押し開けて跳躍するように入って来た。


「本当にもったいない」

カツラを外し、顔に被せた皮を引き裂く。中から中年男性の顔が現れた。

「せっかく様子のおかしい食霊を見つけたというのに、手に入れられなかったなんて」

彼は頭を振りながら小さな声で残念そうに言った。

「あとちょっとだったのに」


「だから僕にやらせていれば、こんなことにならなかったのに」

部屋の隅で一人の少年が腕組みしながらあくびをし、影の中から出てきた。

「今から僕がどうにかしてこようか?」

「いや!」

男は手を挙げて少年を制した。

「少し面倒なことになった。彼女の傍にいた食霊を知っているんだ。あれは紹興酒だ」

そう言いながら顔を上げて少年を一瞥する。

紹興酒を倒せるのか?」


「ちぇっ」

少年は胸の前で両腕を組み、不服そうな顔をしている。

「僕はあいつよりも強いよ」

「応援を待とう。問題を増やすんじゃない」

男はダメだと言わんばかりに首を横に振り、話題を変えた。「あの子のことは首尾よくやったか?」

「もうグルイラオ行きの馬車に乗せたよ」

少年は男の反応に不満そうに、冷たく言った。

「ならよかった。あんな下っ端でもご褒美をくれるなんて。これが操ることのできる料理御侍だったら、ボスからどんなご褒美がもらえることやら」

男の笑い声が部屋の中に響き渡った。



一方、紹興酒甘酒団子は宿に戻っていた。


「もう一人でどこかに行ったりするんじゃないぞ」

紹興酒は木の櫛を使い、不慣れな手つきで甘酒団子の髪を梳かしている。

「お前がどこにもいないから、心配したんだぞ」

「……ごめんなさい」

甘酒団子は俯きながらばつが悪そうにしている。


「……いや、別に……責めてるわけじゃないんだ」

紹興酒はその様子を見て、頭の後ろをポリポリかきながら口調を柔らかくした。

「……紹興酒兄ちゃん……ずっと私と一緒にいてくれる?」しばしの沈黙の後、甘酒はふっと顔を上げて紹興酒を見ると、心細そうに言った。


紹興酒は少し驚いたが、髪を梳かす手を動かし続け、優しい声で平然と言った。


「ああ」


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