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創始頌・ストーリー・序章

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預言前夜Ⅰ


創世日前夜

法王庁


チェダーチーズ:は……ら……………………へった!!!

タイガーロールケーキ:っつ――何を叫んでるんだ、びっくりしただろ……それと、腹が減っても俺のシッポを食うなよ!

チェダーチーズ:ぺっ。まずい。

タイガーロールケーキ:……╬!

パニラマフィン:あの、この前森を通った時に摘んだ果物がまだある……チェダー、食べるか?

チェダーチーズ:結構。あんなものが好きなのは馬だけだ。

タイガーロールケーキ:お、お前調子に乗るなよ!

チェダーチーズ:Emperor――!飯!いつなの!

カイザーシュマーレン:ああ、もう少しの我慢ですよ、チェダー。もうすぐ……「宴会」が始まる。


 横で寝返りをうっている人に構わず、青年の声は依然として穏やかでのんびりとしていて、ずっと黙って本を読んでいた鴨のコンフィも思わず彼の顔に視線が移った。


鴨のコンフィ:とはいえ、貴方が最初に選んだパートナーが法王庁だったということに、いまだに驚かされるわ。

カイザーシュマーレン:パートナー?ふ、そう理解できなくもないですね。

鴨のコンフィ:?

プレッツェル:お待たせしました。教皇さまは創世日祭典のたくさんの事柄を解決したばかりです。今から私が皆様を会議室に案内します。

カイザーシュマーレン:神父さま、ありがとう。だが、私一人で教皇様に会えばいいですよ。


 初対面にしては少し優しい口調だったので、神父は一瞬固まったようだった。彼はうなずいて、カイザーシュマーレンを会議室に連れて行った。クロワッサンはすでに中で座っていた。


***


クロワッサン:この時間に法王庁を訪れるということは、何か特別に重要な件なのでしょうか。

カイザーシュマーレン:もちろん。そうでなければ、再び法王庁の客人になる幸運はおろか、教皇様のこの態度を見る限り、私たちは今後ブラックリストに入れられてしまうでしょう。

クロワッサン:……創世日祭典を間近に控え、この機に乗じて暴動を起こそうとする人がいるのは避けられない。法王庁はもちろんそのような客人を歓迎しません。

カイザーシュマーレン:だから私も法王庁のために悩みを解決したいんです……法王庁は黒い霧の姿をした堕神を追跡しているが、進展はないと聞きました。

クロワッサン:あなたはそれがどこにいるか知っていますか?

カイザーシュマーレン:いや。しかし、敵を後ろから追いかけ回すよりも、脅威を一気に取り除いたほうがいいのではないでしょうか。

カイザーシュマーレン:もし私が問題を根本から解決する方法を持っていれば、法王庁は私と協力する意向はありますか?

クロワッサン:……正直なところ、誰が「パラダイスサーカス」事件を引き起こしたのか私はすでに知っています。言うまでもなく、彼は法王庁のパートナーにはなれません。

カイザーシュマーレン:ハハ、法王庁はいわゆる「正義」にとりわけ固執している。それもそうだ。正義のためにかつての親友まで見捨てることができるのだから、私のような赤の他人はなおさらですね。

クロワッサン:なんて?


 クロワッサン周囲の冷気をはっきりと感じられたが、カイザーシュマーレンは収束するつもりはなく、むしろわざと相手を刺激していた。


カイザーシュマーレン:何か間違ったことを言いましたか?さもなくば、法王庁はどうして陥れられて堕化した仲間に背を向けて、追放することができたのでしょうか?

クロワッサン:そんなことしたことがない。私は彼を終始信じます。

クロワッサン:これは法王庁の私的な問題であり、部外者に口を挟ませるつもりはありません。

カイザーシュマーレン:本当にそうなんですか?しかし、貴方は堕化を完治させる治療法には関心がないように見えますね。

クロワッサン:堕化を治療……あなたは何を知っている?

カイザーシュマーレン:ハハ、私もこのような貴重な情報を長期間調査してきたのに、何も知らない法王庁に渡すのは気が引けます。

クロワッサン:……

カイザーシュマーレン:ですが、もし私たちがパートナーになれば全てが変わります。知っていることを全て話します。

クロワッサン:……あなたが言う協力とは具体的に何を指しているんでしょうか?

カイザーシュマーレン:私のある友人がパラタで頭痛の種になることをしています。それはこの世界の「創始の力」と関係しています。

クロワッサン:創始の力?

カイザーシュマーレン:ええ、それはかなり恐ろしい力です。もし彼が成功すれば、私や法王庁だけでなく、ティアラも全て存在しないかもしれません。だから……

カイザーシュマーレン:たとえ今、私が貴方の目にただの殺戮好きの狂人と映ったとしても、私と協力することは、一刻も猶予できない選択です。

クロワッサン:なるほどね。じゃあ私は何をすれば?

カイザーシュマーレン:もちろん彼を制止することです。

クロワッサン:もし人手が必要なだけなら、あなたには選択肢がたくさんあり、法王庁に来る必要はない。

カイザーシュマーレン:その通りです。貴方にペリゴール研究所からコアな研究者を何人か借りてきてもらいたい。

クロワッサン:ではどうしてあなたが直接ペリゴールのところに行かないんだ。それに……


 クロワッサンはそれ以上質問をしなかった。目の前の青年が「ひと目でわかるだろ」という表情をしているのを見たからだ――


カイザーシュマーレン:私がまだペリゴールを脅迫するのに使えるものを何も持っていないため、法王庁を利用して便宜を図ってもらうしかないんです。


預言前夜Ⅱ


数日前

サヴォイア国外


バクラヴァ:……パルマ、あとどれくらい心の準備をしたいんだ?君の旧友に会いに行くだけだ……

パルマハム:黙って、俺今……おえ……

スブラキ:あ!緊張で吐いたのか?本当に深刻そうだな……

フェジョアーダ:お前は彼らと一緒にサヴォイアを再建せずに、自分で別れも告げずに出て行ったんじゃないのか。もし本当に仲の良い友達なら、お前が戻って謝りさえすれば彼らも何もしないだろう。

パルマハム:……

キャラメルマキアート:もしかしたら彼らの間には私たちが知らないことがあるのかも……バクラヴァ、パルマが今こんな様子だし、サヴォイアに行く件を延期しない?

バクラヴァ:おや――預言書に何が書いてあるか見てみる!


 バクラヴァが預言書を使う状況は多くなく、メンバーたちも好奇心を持ち、続々と集まってきた。


フェジョアーダ:どう?何が見えた?

バクラヴァ:えっと……サヴォイアは……安全だって!ほら、サヴォイアに行っても全然……待って!

パルマハム:どうした?

バクラヴァ:破滅……

パルマハム:なんだって!?サヴォイアが破滅する?!!

バクラヴァ:いや……サヴォイアじゃなくて、俺の実家というか旧友というか……これはまずい。


 シュメール探検隊の隊長として、実はバクラヴァが真剣な表情を見せることは少なく、普段は騒がしいメンバーたちもそれを見て真剣に受け止めずにはいられなかった。


ムサカ:戻らないのか。

バクラヴァ:え?

フェジョアーダ:そうだよ、預言書にはお前の故郷や友人が危険にさらされるって書いてあったけど、助けに行かないのか?

バクラヴァ:だが俺らはさっきサヴォイアに着いたばかりだし……それに俺が戻ったとしても力になれるとは限らない……

キャラメルマキアートバクラヴァらしくないよ。「『できない』のと『何もしない』のは違うから」って自分で言った言葉でしょ?

バクラヴァ:でも俺は今探検隊の隊長なんだぞ。お前らのことを考えないで自分のことだけ考えられるわけないだろ……

キャラメルマキアート:もう、どうしてそんなにくどいの!私たちこんなにいるんだから、バクラヴァが何人か連れて行って、残りの人はその場で待機すればいいでしょ?

スブラキ:マキアートの言う通りだよ。どうせ隊長は武力で勝てそうには見えないから、助っ人を1人か2人連れていけばいいよ。

バクラヴァ:君の「武力で勝てそうには見えない」という発言が気になるが、だが……君らの言う通りだ!さすがに俺の選りすぐりのメンバーだけあって、肝心な時は頼りになるな~

バクラヴァ:じゃあマキアート、君とスブラキそれとムサカはここに残って。野良猫ちゃんは俺と一緒にパラタに行くぞ。

フェジョアーダ:っつ、その呼び方はやめろって何度言ったらわかるんだ!

パルマハム:えーと……俺のことを忘れたの?

バクラヴァ:まさか、君にはもっと重要な任務を与える――グレロに行ってティアラを救う存在を見つけて、それをパラタに持って行って俺らと合流する。

パルマハム:ままま待って……ティアラを救う存在?それはなんだ?どうして急に事が大きくなった?預言はパラタじゃなかった?どうしてまたティアラの話が?

バクラヴァ:まあ、俺の実家は特殊だからな、もし何かあったらただごとじゃない。

パルマハム:でも……グレロはあんなに大きいのに、具体的にどこに行って探せば?

バクラヴァ:うーん……預言は具体的には言わないからな……

パルマハム:……君の預言はいったい当てになるのか……

バクラヴァ:絶対に頼りになる!これはティアラ全体にとって一大事だぞ!君に質問をさせる時間もない……

バクラヴァ:とにかく自分の感覚に従っていけばいい。グレロに着いたら、君は主のもとに導かれるだろう!そうだ、悪魔の目をつけて。預言の中の存在に遭遇したら、悪魔の目は反応するはずだ。

パルマハム:……そんな重要な任務を俺に任せていいのか?俺は傷だらけのサヴォイアから逃げ、今でも全てに向き合うと思うと緊張して吐き気がする臆病者だと知らないわけじゃないだろう……


 パルマの話はバクラヴァの平手打ちによって中断された。彼は肩に置かれた手を見て、また隊長の安心させられる笑顔を見た。


バクラヴァ:君を信じてるぞ、パルマ。今回、きっと、きっと俺らをがっかりさせない。


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